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第30話 ヨシュア、夢の中でママと会う。
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「…………う、ん。ここ、は……僕の部屋?」
目が覚めて、周囲を見渡すと……そこは僕の部屋だった。
どうして僕はここに居るんだろうか?
僕は、ハジメーノ王国の城でご飯を食べてて、王妃様に抱き締めて貰って……。
「あら? ヨシュア、目が覚めたのね?」
「え……、マ、マ……?」
聞きたかった声がした。
呼んで欲しかった声がした。
その声がしたほうを向くと、ママが居た。
僕に優しく微笑んでくれるママが、椅子に座って僕を見ていた。
「どうしたの? 怖い夢を見たの?」
「……うん、ママがね。ママが、死んじゃう夢を見たんだ……。けど、けどママは、ママはここに居るよね? だったら――え?」
優しく、それで居て心配そうに僕を見てくれるママに僕は素直に答える。
そしてママは何時もみたいに、僕を優しく慰めてくれる。
そう思っていた。だれど、ママは僕の前に手を出すだけだった。
どうして? どうしてママは慰めてくれないの?
その視線を感じたのかママは僕に優しく諭すように、口を開いた。
「ヨシュア……、残念だけど。これは夢なの……」
「え……。そん、な……」
「そんな顔をしないで、ヨシュア……。現実の私は死んじゃったけど、夢の中でなら何度でも会えるから……。だから、悲しまないでちょうだい……ね?」
そう言って、ママは少し困った顔をする。
そんなママの顔を見て、僕は何時の間にかこう言っていた。
「ママは……、僕が頑張ってるのを……ずっと見てるの?」
「ええ、ママはずっと……ずぅ~っと、ヨシュアを見ているわ。だから、ママが居なくてもヨシュアは頑張れるわよね?」
「う、うん……。僕、頑張る! 頑張って……頑張って、魔王を退治してみせるから! ママのかたきを討つから!!」
「分かったわヨシュア……、ママはその様子をずっと遠くから見ているわね」
優しくママがそう言うと、周囲が僕の部屋じゃなくて見晴らしの良い原っぱに変わった。
そして、ママはゆっくりと浮かび始めた。
「ママ!?」
「ああ、もう時間みたいね……。ヨシュア、ママはもう行くわ……。そんな顔をしないでちょうだい、会おうと思えば何時だって夢の中であるのだから……」
「うん……、けど、けど……やっぱり僕寂しいよ!」
「そんな顔しないでヨシュア。ママずっとヨシュアのこと見てるから~、あと彼女にヨロシクって言っておいてねぇ」
言っておいてねぇ、っておいてねぇ、てねぇ……ねぇ……。と僕へと手を振るママの声が周囲に響く中、周囲が黒くなっていく。
多分だけど、夢から覚めるんだろうな。って思いながら、僕は静かに目を閉じた。
●
「ん、んんっ……。あ、れ……? ママァ……?」
ムクリと起き上がり、周囲を見渡しながら僕はママを探す。
だけどそこにはママは居なかった。
「…………そう、だった。ママは、もう……。それに、僕は今ハジメーノ王国に居るんだ……」
ママが居ない事を思い出し、少し悲しくなる。だけど、僕は夢の中でママに誓ったんだ。
絶対に、絶対に……。
「僕は、魔王を……倒してみせるから、だから……見ててね、ママ」
僕は決意をし、ギュッと手を握り締める。
そんな僕の耳元に、「ええ、見ているわ。だから……はやく来てね」とママの声が聞こえた気がした。
きっとママも応援してくれているんだ。そう思うと僕はやる気が湧いてきた。
と、そんな時、部屋の扉が叩かれた。そして、少ししてから声が掛かった。
「勇者様、お目覚めでしょうか?」
「は、はい。大丈夫……、です」
「失礼いたします」
誰だろう、と思いながら扉が開くのを待つと……部屋の中に入ってきたのは王妃様の後ろに居た侍女さんだった。
その人に続いて、3人ほど侍女さんが並んで入ってきて、その手には桶や水差しと布が持たれていた。
何をするんだろう? そう思っていると……。
「朝食の用意が出来ましたので、先にお顔をお洗いください」
「え、えっと……? え?」
「慣れないかと思われますが、水差しから水を受け桶の中に水が入るように洗ってください」
「は、はい……」
侍女さんにそう言われて、僕は石みたいにカチカチに固まりながら顔を洗う。
水差しの中の水には嗅ぎ慣れないけれど、良い香りがすると思いながら、差し出された布で顔を拭く。
それが終わると侍女さん達が僕の服を着替えさせ始めた。
「うわぁ!? ぼ、僕自分で出来るからぁ!?」
「いえいえ、お気になさらず」
「気になるってばぁ!?」
「「「いえいえ、本当お気になさらず」」」
だから、自分で出来るからぁ!!
そう僕は叫んだけれど、侍女さん達は構わずに僕の服を脱がして、着替えを行った……。
ぐすん。
目が覚めて、周囲を見渡すと……そこは僕の部屋だった。
どうして僕はここに居るんだろうか?
僕は、ハジメーノ王国の城でご飯を食べてて、王妃様に抱き締めて貰って……。
「あら? ヨシュア、目が覚めたのね?」
「え……、マ、マ……?」
聞きたかった声がした。
呼んで欲しかった声がした。
その声がしたほうを向くと、ママが居た。
僕に優しく微笑んでくれるママが、椅子に座って僕を見ていた。
「どうしたの? 怖い夢を見たの?」
「……うん、ママがね。ママが、死んじゃう夢を見たんだ……。けど、けどママは、ママはここに居るよね? だったら――え?」
優しく、それで居て心配そうに僕を見てくれるママに僕は素直に答える。
そしてママは何時もみたいに、僕を優しく慰めてくれる。
そう思っていた。だれど、ママは僕の前に手を出すだけだった。
どうして? どうしてママは慰めてくれないの?
その視線を感じたのかママは僕に優しく諭すように、口を開いた。
「ヨシュア……、残念だけど。これは夢なの……」
「え……。そん、な……」
「そんな顔をしないで、ヨシュア……。現実の私は死んじゃったけど、夢の中でなら何度でも会えるから……。だから、悲しまないでちょうだい……ね?」
そう言って、ママは少し困った顔をする。
そんなママの顔を見て、僕は何時の間にかこう言っていた。
「ママは……、僕が頑張ってるのを……ずっと見てるの?」
「ええ、ママはずっと……ずぅ~っと、ヨシュアを見ているわ。だから、ママが居なくてもヨシュアは頑張れるわよね?」
「う、うん……。僕、頑張る! 頑張って……頑張って、魔王を退治してみせるから! ママのかたきを討つから!!」
「分かったわヨシュア……、ママはその様子をずっと遠くから見ているわね」
優しくママがそう言うと、周囲が僕の部屋じゃなくて見晴らしの良い原っぱに変わった。
そして、ママはゆっくりと浮かび始めた。
「ママ!?」
「ああ、もう時間みたいね……。ヨシュア、ママはもう行くわ……。そんな顔をしないでちょうだい、会おうと思えば何時だって夢の中であるのだから……」
「うん……、けど、けど……やっぱり僕寂しいよ!」
「そんな顔しないでヨシュア。ママずっとヨシュアのこと見てるから~、あと彼女にヨロシクって言っておいてねぇ」
言っておいてねぇ、っておいてねぇ、てねぇ……ねぇ……。と僕へと手を振るママの声が周囲に響く中、周囲が黒くなっていく。
多分だけど、夢から覚めるんだろうな。って思いながら、僕は静かに目を閉じた。
●
「ん、んんっ……。あ、れ……? ママァ……?」
ムクリと起き上がり、周囲を見渡しながら僕はママを探す。
だけどそこにはママは居なかった。
「…………そう、だった。ママは、もう……。それに、僕は今ハジメーノ王国に居るんだ……」
ママが居ない事を思い出し、少し悲しくなる。だけど、僕は夢の中でママに誓ったんだ。
絶対に、絶対に……。
「僕は、魔王を……倒してみせるから、だから……見ててね、ママ」
僕は決意をし、ギュッと手を握り締める。
そんな僕の耳元に、「ええ、見ているわ。だから……はやく来てね」とママの声が聞こえた気がした。
きっとママも応援してくれているんだ。そう思うと僕はやる気が湧いてきた。
と、そんな時、部屋の扉が叩かれた。そして、少ししてから声が掛かった。
「勇者様、お目覚めでしょうか?」
「は、はい。大丈夫……、です」
「失礼いたします」
誰だろう、と思いながら扉が開くのを待つと……部屋の中に入ってきたのは王妃様の後ろに居た侍女さんだった。
その人に続いて、3人ほど侍女さんが並んで入ってきて、その手には桶や水差しと布が持たれていた。
何をするんだろう? そう思っていると……。
「朝食の用意が出来ましたので、先にお顔をお洗いください」
「え、えっと……? え?」
「慣れないかと思われますが、水差しから水を受け桶の中に水が入るように洗ってください」
「は、はい……」
侍女さんにそう言われて、僕は石みたいにカチカチに固まりながら顔を洗う。
水差しの中の水には嗅ぎ慣れないけれど、良い香りがすると思いながら、差し出された布で顔を拭く。
それが終わると侍女さん達が僕の服を着替えさせ始めた。
「うわぁ!? ぼ、僕自分で出来るからぁ!?」
「いえいえ、お気になさらず」
「気になるってばぁ!?」
「「「いえいえ、本当お気になさらず」」」
だから、自分で出来るからぁ!!
そう僕は叫んだけれど、侍女さん達は構わずに僕の服を脱がして、着替えを行った……。
ぐすん。
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