20 / 88
第19話 侍女長、お風呂場でお喋りをする。
しおりを挟む
旦那様で有らせられるザッコ様が所有し、私達が働く職場である館。
その一区画はこの館で働く従者たち……つまりは私達に開放された場所であり、そこへはザッコ様だとしても入室が禁止されています。
そしてこの区画には私達の寝室を始め、遊びが欲しい者達が集う遊戯室、子供を持つ親達の為の託児所、趣味で料理を作る者達の為のキッチン、体の汚れを落とし疲れを取り除く為の大きなお風呂も完備されています。
まあ、いくつかは旦那様に無理を言って創ってもらったりしました。
本当……、私達の旦那様は器用貧乏ですよね。
……ああ、遅れ馳せながら、私は侍女長のサキュバスです。
名前もちゃんとありますけど、私は侍女長で魔マ王様のママ友。それで十分です。
そして、私は……いえ、私含めた侍女達は今就寝前のお風呂に浸かっていました。
当然、子供達も一緒です。
「はぁ~~……、あったかいですねー」
「そうですね~……」
「「あちゃかーい♪」」
背中を伸ばし、まったり呟くと賛同するように誰かが口にする。
そして、幼い子供達が私の言葉を真似たい年頃なのか、舌足らずの口で楽しそうに言うのが届く。
あ~、幸せってこう言うのかしらね~~……。
じんわりと体が温かくなるのを感じながら、私は心から思う。
そんな時、誰かが口を開きました。
「しかし……、魔マ王様の旦那様への怒りっぷりが半端なかったわよねー」
「魔マ王様の怒りは分かりますけど、ちょっと子供には目に毒だと思いました……」
「とりあえず、うちの子は血気盛んだから近い内にパンチの練習すると思うんだよね……」
「でしたら、迷惑をかけないように言い聞かせないといけませんね」
「「いけまちぇんねー!」」
子供達がまたも真似するように口にし、可愛かったので私は子供達の頭を撫でます。
すると撫でられた子供達は嬉しそうに顔を綻ばせ、湯船の中で体を身動ぎさせました。
……うん、可愛いですね。ですが……。
『…………とりあえず、喋っても良いですけど、出来るならば<ソウルーム>内でした方が良いと思いますね』
『理由は?』
『この子達が意味も分からずに、ちねー。なんて言って欲しいですか?』
『……軽率でした。とりあえず、<ソウルーム>内でなら問題は無いって事で良いでしょうか?』
『はい、そこならば子供達に聞かれる事は無いでしょうし』
『『わかりました。それじゃあ、お風呂から上がってこの子達を寝かしつけてから入ります』』
「「?」」
私がこの世界に無い言語で喋ると他の侍女の皆さんも反応し、自分達の失敗に気づいたようです。
私も少し軽率だったかも知れませんが……、可愛い天使に汚い言葉は不要なんです。
そう心で思いながら拳を握り締める私達を子供達は不思議そうに見ていました。
……まあ、拳を握り締める理由は分からなくても、握って真似をする子も居ましたが……。
●
「おやすみなさい、お母さん」
「おやすみなさいママ」
「おやすみなさい皆。また明日」
「「……ちゅみなちゃーぃ…………」」
私達が居なくても一人で眠れるようになった子供達が寝室に向かっていくのを見送り、私を含めた幼い子を持つ侍女ママ達は自身の寝室へと向かいます。
一緒に部屋へと向かう子供達はお風呂に入って眠気が増したのか、うつらうつらとしており……何名かは既にママの腕の中でぐっすりおねむです。
もちろん私の娘達も腕の中でおねむです。サキュバスですが天使のような寝顔ですねー。
ひと時の幸せを噛み締めながら、部屋へと辿り着いた侍女ママ達へと「おやすみなさい、またあとで」と声をかけつつ、私達も部屋へと辿り着き……うとうとする幼い娘達を寝かせつける為にベッドの中へと入ります。
「「まま、ちゅきぃ~…………」」
「ママも、ふたりとも大好きですよ~……」
多分寝言だと思うけど、二人のその言葉に返事をするように優しく声をかける。
すると、にへら~と寝顔を蕩けさせ、それを見ていた私も優しく微笑みました。
そんな可愛らしい天使達の寝顔を見ながら、私は静かにゆっくりと目を閉じ……自身の意識を通常では見えない扉へと集中させます。
そうすると何も無い空間、けれど隣り合うようにしてその扉は現れます……いえ、見えるようになる。が正しいですね。
意識のみを起き上がらせ……扉へと近づくと、この世界の住人には理解出来ない言葉で問いかけられます。
『入室を希望しますか?』
「はい、入室を希望します」
なので私はそう返答を返します。すると、扉はゆっくりと開き……その中へと私は入って行きました。
そして扉の中は……。
「……ああ、今日は居酒屋風ですか」
扉の中、そこは居酒屋チェーンの店内を彷彿させるもので……中では先程別れた侍女ママを始め、色々な種族のママ達が楽しそうに話をしていました。
その様子を見ながら、私は空いている席へと座り……差し出されたおしぼりで手を拭き、一息吐きます。
そして、駆けつけ一杯。という風に出されたお酒に口をつけました。
……え? ここは何処かって?
おっといけない忘れていました。ここは<ソウルーム>……所謂、魂が休まる為の場所です。
そして、この部屋に居るママ達全員……転生者です。
その一区画はこの館で働く従者たち……つまりは私達に開放された場所であり、そこへはザッコ様だとしても入室が禁止されています。
そしてこの区画には私達の寝室を始め、遊びが欲しい者達が集う遊戯室、子供を持つ親達の為の託児所、趣味で料理を作る者達の為のキッチン、体の汚れを落とし疲れを取り除く為の大きなお風呂も完備されています。
まあ、いくつかは旦那様に無理を言って創ってもらったりしました。
本当……、私達の旦那様は器用貧乏ですよね。
……ああ、遅れ馳せながら、私は侍女長のサキュバスです。
名前もちゃんとありますけど、私は侍女長で魔マ王様のママ友。それで十分です。
そして、私は……いえ、私含めた侍女達は今就寝前のお風呂に浸かっていました。
当然、子供達も一緒です。
「はぁ~~……、あったかいですねー」
「そうですね~……」
「「あちゃかーい♪」」
背中を伸ばし、まったり呟くと賛同するように誰かが口にする。
そして、幼い子供達が私の言葉を真似たい年頃なのか、舌足らずの口で楽しそうに言うのが届く。
あ~、幸せってこう言うのかしらね~~……。
じんわりと体が温かくなるのを感じながら、私は心から思う。
そんな時、誰かが口を開きました。
「しかし……、魔マ王様の旦那様への怒りっぷりが半端なかったわよねー」
「魔マ王様の怒りは分かりますけど、ちょっと子供には目に毒だと思いました……」
「とりあえず、うちの子は血気盛んだから近い内にパンチの練習すると思うんだよね……」
「でしたら、迷惑をかけないように言い聞かせないといけませんね」
「「いけまちぇんねー!」」
子供達がまたも真似するように口にし、可愛かったので私は子供達の頭を撫でます。
すると撫でられた子供達は嬉しそうに顔を綻ばせ、湯船の中で体を身動ぎさせました。
……うん、可愛いですね。ですが……。
『…………とりあえず、喋っても良いですけど、出来るならば<ソウルーム>内でした方が良いと思いますね』
『理由は?』
『この子達が意味も分からずに、ちねー。なんて言って欲しいですか?』
『……軽率でした。とりあえず、<ソウルーム>内でなら問題は無いって事で良いでしょうか?』
『はい、そこならば子供達に聞かれる事は無いでしょうし』
『『わかりました。それじゃあ、お風呂から上がってこの子達を寝かしつけてから入ります』』
「「?」」
私がこの世界に無い言語で喋ると他の侍女の皆さんも反応し、自分達の失敗に気づいたようです。
私も少し軽率だったかも知れませんが……、可愛い天使に汚い言葉は不要なんです。
そう心で思いながら拳を握り締める私達を子供達は不思議そうに見ていました。
……まあ、拳を握り締める理由は分からなくても、握って真似をする子も居ましたが……。
●
「おやすみなさい、お母さん」
「おやすみなさいママ」
「おやすみなさい皆。また明日」
「「……ちゅみなちゃーぃ…………」」
私達が居なくても一人で眠れるようになった子供達が寝室に向かっていくのを見送り、私を含めた幼い子を持つ侍女ママ達は自身の寝室へと向かいます。
一緒に部屋へと向かう子供達はお風呂に入って眠気が増したのか、うつらうつらとしており……何名かは既にママの腕の中でぐっすりおねむです。
もちろん私の娘達も腕の中でおねむです。サキュバスですが天使のような寝顔ですねー。
ひと時の幸せを噛み締めながら、部屋へと辿り着いた侍女ママ達へと「おやすみなさい、またあとで」と声をかけつつ、私達も部屋へと辿り着き……うとうとする幼い娘達を寝かせつける為にベッドの中へと入ります。
「「まま、ちゅきぃ~…………」」
「ママも、ふたりとも大好きですよ~……」
多分寝言だと思うけど、二人のその言葉に返事をするように優しく声をかける。
すると、にへら~と寝顔を蕩けさせ、それを見ていた私も優しく微笑みました。
そんな可愛らしい天使達の寝顔を見ながら、私は静かにゆっくりと目を閉じ……自身の意識を通常では見えない扉へと集中させます。
そうすると何も無い空間、けれど隣り合うようにしてその扉は現れます……いえ、見えるようになる。が正しいですね。
意識のみを起き上がらせ……扉へと近づくと、この世界の住人には理解出来ない言葉で問いかけられます。
『入室を希望しますか?』
「はい、入室を希望します」
なので私はそう返答を返します。すると、扉はゆっくりと開き……その中へと私は入って行きました。
そして扉の中は……。
「……ああ、今日は居酒屋風ですか」
扉の中、そこは居酒屋チェーンの店内を彷彿させるもので……中では先程別れた侍女ママを始め、色々な種族のママ達が楽しそうに話をしていました。
その様子を見ながら、私は空いている席へと座り……差し出されたおしぼりで手を拭き、一息吐きます。
そして、駆けつけ一杯。という風に出されたお酒に口をつけました。
……え? ここは何処かって?
おっといけない忘れていました。ここは<ソウルーム>……所謂、魂が休まる為の場所です。
そして、この部屋に居るママ達全員……転生者です。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる