上 下
16 / 88

第15話 ヨシュア、救助される。

しおりを挟む
 ――DoGOOOOON!!

「う、うわぁ!? な、なにっ!? うわわ~~~~っ!?」

 大きな爆発音が聞こえ、僕はキョロキョロと周囲を見渡した。
 だけど、キョロキョロとしてしまったのがいけなかったのか、逆さに吊られた僕の体はグルグルと回り始めた。
 うわぁ~~、グルグルするよぉ~~!?
 そしてそんな僕の様子が面白いのか、僕を捕まえたと思う……歩くブタさんがブヒブヒと笑っている。
 うぅ、酷いよぉ!

『『ブヒャヒャヒャヒャーーーー!!』』
「わわ、笑ってないで、たしゅけてよぉ~~!!」
『イヤだブー、捕まったお前が悪いんだブー!』
『そうだブーそうだブー。捕まったやつの命令なんて聞くつもり無いブー!』

 助けてと言ってるのに、ぐるぐる回る僕を見てブタさんたちは笑うだけだった。
 うぅ、これって僕が悪いの? 言葉が分かったら良いんだけど……、難しいなぁ。
 それに……何だかこのブタさんたち、時々僕を変な目で見てるんだよなぁ……。
 うぅん……どうにかして、下ろして貰わないと……って、うわっ!?

 ――DoGOGOGOGOOOOOOON!!

 なんとか下りれないかと考えていると、さっきよりも凄い爆発音が森の中に響き渡った。
 そして少ししてから、熱い風がこっちに届いた。
 熱い風が頬に当たって、熱さからかピリピリと顔が痛くなる。

「あ、熱っ。熱いよっ!? それに痛いっ!!」
『ブヒッ!? さ、さっきからいったい何が起きてるブー!?』
『わ、わからないブー。だけど、とっても嫌な予感がするブー!』

 熱い風が顔に当たり、手を顔に当てているとブタさんたちがブーブー、ブヒブヒと深刻そうに話している。
 だけど何を言ってるのか本当に分からない……。
 あと、何かポリポリクチャクチャって音がちょっと耳に届くけど……何の音だろう?
 それに……何だかその音が近づいている? こっち、かな?
 耳に届く音が気になり、僕はそっちの方向に視線を移す。すると、煌々と光る金色の眼を持つ真っ赤な何かが……お肉(?)だと思う物を食べながら立っていた。

「ひっ!? な、なにあれぇっ!?」
『『ブヒ? って、何だブーーーーっ!?』』
「もぐもぐ……、うーん、やっぱりオーク不味いアル。ファンロン、グルメになってたアルね」

 驚く僕とブタさんたち、だけど真っ赤な何かはお肉と思う物をパクパクと食べ終えると、見た目とは違って女の人のような声で喋り始めた。
 ……って、も、もしかして……女の人?
 でも、角があるし……、真っ赤だし……。
 けどそうなのかなぁ、って思いながら真っ赤な何かを見ていると視線に気づいたのか女の人かも知れない真っ赤な何かが僕を見た。

「あ、またオークがいたアル。……んん? 吊るされてる人間もいるアル? …………ああ、もしかしてザッコさんが言ってたゆうしゃアルかっ!?」
「え、あ……は、はい? たぶん、ですけどー……?」
『ゆ、勇者!? 勇者と言ったブー!?』
『まさか、こんなガキが勇者っていうことかブー!?』

 女の人が僕を勇者と言った途端、ブタさんたちは驚いた風に鳴き始めた。どうしたんだろう?
 それに、ザッコさん? うーん、どこかで聞いたような気がするけど何処で聞いたんだっけ?
 思い出そうとするけれど、そろそろ吊るされ続けているからか……頭がボーっとし始めて考えることが出来なかった。
 そーいえば、ママがず~~っとさかさになってると、あぶないっていってたっけー……。
 だんだんとかおがあつくなっていくのと、あしさきがつめたくなっていくようなきがしてきたなー……。あれ? これってもしかして、きけんなんじゃ――

「氷よ、鏃となりて、撃ち放て――アイスアロー!」
「へ? ――へぶっ?! い、いたた……え?」

 とつぜんのふわっとしたかんかく、そのちょくご――ぼくはかおをおおきくぶつけた。
 いっしゅんなにがおきたのかわからなかったぼくだったけれど、あしがじめんに付いているからか、だんだんと頭の中がはっきりと、してきた。
 頭を軽く振りながら、ゆっくりと周囲を見渡して……何が起きたのかを調べてみると、僕が吊るされていたロープを結んでいた木が倒れていた。
 そして、倒れた木の奥の地面に大きな氷が突き刺さっていた。

「こ、氷……? え、え?」
「はあ~……、情けない。あんた、それでも勇者なのっ?」

 大きな氷に目をまん丸にしていた僕、そんな僕へと誰かが近づいてきて……溜息と一緒に苛立った声がかけられた。
 声がしたほうを見ると、ママよりもずっと怖そうな目つきで、ママよりも胸も身長も大きく無い女の人が立っていた。
 え、だ……誰?? それに、僕……悪いことしたのかな?
 ギロッてした目つきに睨まれると、怖くて謝りたくなってきた。

「あ、あの……、ご……ごめんなさい……」
「はあっ!? 何で、あんたわたしに謝るのっ!?」

 怒鳴り声にビクッとして、僕は縮こまってしまった。
 う、うぅ……、何で僕、怒られてるのぉ……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

処理中です...