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第8話 魔マ王様、治療を行う。
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…………いや、回想長すぎじゃなかろうか? そして、何時の間にかワシの回想だったはずが色んな人物に乗っ取られとったような気がするぞ?
特に魔王……いや、魔マ王と呼ぶしか無い。こやつは平然とワシの回想を乗っ取っておったんじゃぞ?
他の人物は無意識じゃろうけど、ヤツだけは普通に割り込みをかけてきおった。
さすがはワシの……いや、遥か昔のことじゃから別に気にするべきじゃない。
とか思っておると、ザッコと呼ばれておったデーモンロードが魔マ王の前へと現れおった。
「魔王様、長い間ご苦労様でしたッス……」
「労いの言葉ありがとうザッコ君、それで家のほうはどうなったかしら?」
「は、はいッス……。家のほうはきちんと侍女たちと共に掃除をして綺麗にしたッス。もちろんヨシュア君の汚れてしまった服も綺麗に洗ってもらったッスよ。もちろん扉も……げぐふ……っ」
あ、今気づいたがこのザッコ、凄く顔色が悪いぞ?
ああ、ヨシュアの勇者オーラ全開のパンチを受けたからこんな状態なんじゃな。
まあ……パンチは普通の威力じゃったが、勇者オーラが問題なんじゃよ。所謂魔族にそれは毒じゃからなぁ……。
そう思っていると、魔マ王がザッコへと近づきおった。こんな体になってまでも家を直したザッコを労ってやろうとしておるのじゃろう……やはり魔マ王、親馬鹿じゃとしても優し――
「ねえ、ザッコ君。私のお腹、ちょっと傷付いちゃったな~?」
「え、ま……魔王様?」
「ちょ~っと痛かったのよぉ? それに、ヨシュアが一杯泣いちゃったのよ~?」
「あ、あの、ま、魔王様? 頭、頭が痛いッスよ?」
優しく頭を撫でると思われた手は、ザッコの頭を掴んでおり……優しい微笑みの中には怒りが込められていた。
……うん、コヤツ。鬼じゃ、悪魔じゃ。……いや、魔マ王じゃから当たり前の行動か?
ワシが戦々恐々としていると、ミシミシと頭蓋骨を締め上げられておるザッコから悲鳴が洩れおった。
「ぎゃひぃぃぃーーーーっ!? い、痛いッス。痛いッスよぉ!! でも、懐かしくも思うのは悲しいことッス~~~~!!」
……昔からこれを喰らっておったのか、コヤツ……(ほろり)。
そして喚いているザッコを無視しながら、魔マ王は掴んだ頭を放そうとはしないどころか更に強くしていき……最終的に指が喰い込んで行きおった。
指が喰い込んだ頭からはダクダクと血が垂れ始めていき、ザッコはガクガク震え始めた。
なにこれこわい。こわいのじゃ。
「ヴぁ……あ、あぁぁ……ヴぁあああ…………」
「さてと、私の怒りとヨシュアが悲しんだ分はこれでチャラにしておくわね~。ってことで始めるとしましょうか」
「あごっ、ぶぎっ、ぐぎょ!? かぶっ!? …………あ、あれ?」
魔マ王は怒りを放出し終えると次の行動へと移り始めたようじゃ。
その行動とは、ザッコの頭の中をグチョグチョすることじゃった。……って、お仕置き継続中じゃよなこれっ!?
とか思いながらザッコを見ると、呻くように良く分からない言葉の羅列を口にしておったのじゃが……最終的に白目を向き、そして……魔マ王が手を頭から抜くと何事も無かったかのようにきょとんとした表情をしおった。
「気分はどう、ザッコ君? いっぱつ……いる?」
「あ~……、えっと……お願いするッス――ルボアッ!?」
ママオーラをムンムンにさせながら、首を傾げながら魔マ王が問いかけるとザッコは現状に戸惑いながらも頷いた。
瞬間、ザッコの頬へと魔マ王の張り手が炸裂したのじゃ。
淑女が不埒な男性に行うような平手じゃったが、ザッコの体はグルングルンと錐揉みをしながら宙を舞い……回転しながら地面へと突き刺さっていきおった。
ニコニコと笑う魔マ王、地面に突き刺さるザッコ。静寂が産まれる。
「ぶはっ!? な、なにするッスか魔王様~~!?」
……が、すぐにザッコが突き刺さった地面から体を抜いて起き上がりおった。
こやつ、地味にタフじゃよな?
やはり魔マ王の従者じゃから、それぐらいの能力を要求されるのじゃろうな。
「ザッコ君、気分はどうかしら?」
「はい? 気分って、頭がズッキンズッキンして痛……あれ? 何と言うか胸のムカムカが無くなってるッス?」
「ええ、ちょっとザッコ君の中に溜まっていた勇者オーラを血と一緒に搾り出したから、ムカムカは無くなってるわよ」
「は、はあ……」
「ちなみに私があのまま放って置いたら、溜まった勇者オーラは頭に向かって行って、最終的にボッカンと頭が弾けていたわよ~♪」
ニコニコ笑顔で魔マ王は言う。
事実、ヨシュアのパンチはほぼノーダメージじゃったが、込められた勇者オーラはヤバイ濃度と量じゃったんじゃよね。
所謂勇者が勇者足らしめる能力じゃから、モンスターや魔族には猛毒なんじゃよ。
で、魔マ王が這い上がるまでザッコは猛毒溜め込んだ状態じゃったんじゃよな。……つまりは爆弾抱えた状態じゃったわけよ。
それに気づいておった魔マ王は、お仕置きを兼ねて血を搾り出すと同時に溜まっていた勇者オーラも搾り出したわけじゃ。……と言うか、胸のほうが良かったのじゃ無いだろうか?
え? お仕置きはアイアンクロー? 良く分からんのじゃ。
そしてアフターケアとして平手打ち系回復魔法をかけおったから、ザッコの傷は塞がっておるのじゃ。
「そ、そうなっていたッスか……。あ、ありがとうございますッス、魔王様」
「どういたしまして。まあ、ザッコ君が居なくなったらママ友の侍女たちが路頭に迷っちゃうし、君は結構使えるからねぇ」
「うぅ、嬉しいのかどう言えば良いのかわからない言葉ッス……」
優しく微笑む魔マ王の言葉に、ザッコは何とも言えない表情を浮かべながら項垂れおった。
特に魔王……いや、魔マ王と呼ぶしか無い。こやつは平然とワシの回想を乗っ取っておったんじゃぞ?
他の人物は無意識じゃろうけど、ヤツだけは普通に割り込みをかけてきおった。
さすがはワシの……いや、遥か昔のことじゃから別に気にするべきじゃない。
とか思っておると、ザッコと呼ばれておったデーモンロードが魔マ王の前へと現れおった。
「魔王様、長い間ご苦労様でしたッス……」
「労いの言葉ありがとうザッコ君、それで家のほうはどうなったかしら?」
「は、はいッス……。家のほうはきちんと侍女たちと共に掃除をして綺麗にしたッス。もちろんヨシュア君の汚れてしまった服も綺麗に洗ってもらったッスよ。もちろん扉も……げぐふ……っ」
あ、今気づいたがこのザッコ、凄く顔色が悪いぞ?
ああ、ヨシュアの勇者オーラ全開のパンチを受けたからこんな状態なんじゃな。
まあ……パンチは普通の威力じゃったが、勇者オーラが問題なんじゃよ。所謂魔族にそれは毒じゃからなぁ……。
そう思っていると、魔マ王がザッコへと近づきおった。こんな体になってまでも家を直したザッコを労ってやろうとしておるのじゃろう……やはり魔マ王、親馬鹿じゃとしても優し――
「ねえ、ザッコ君。私のお腹、ちょっと傷付いちゃったな~?」
「え、ま……魔王様?」
「ちょ~っと痛かったのよぉ? それに、ヨシュアが一杯泣いちゃったのよ~?」
「あ、あの、ま、魔王様? 頭、頭が痛いッスよ?」
優しく頭を撫でると思われた手は、ザッコの頭を掴んでおり……優しい微笑みの中には怒りが込められていた。
……うん、コヤツ。鬼じゃ、悪魔じゃ。……いや、魔マ王じゃから当たり前の行動か?
ワシが戦々恐々としていると、ミシミシと頭蓋骨を締め上げられておるザッコから悲鳴が洩れおった。
「ぎゃひぃぃぃーーーーっ!? い、痛いッス。痛いッスよぉ!! でも、懐かしくも思うのは悲しいことッス~~~~!!」
……昔からこれを喰らっておったのか、コヤツ……(ほろり)。
そして喚いているザッコを無視しながら、魔マ王は掴んだ頭を放そうとはしないどころか更に強くしていき……最終的に指が喰い込んで行きおった。
指が喰い込んだ頭からはダクダクと血が垂れ始めていき、ザッコはガクガク震え始めた。
なにこれこわい。こわいのじゃ。
「ヴぁ……あ、あぁぁ……ヴぁあああ…………」
「さてと、私の怒りとヨシュアが悲しんだ分はこれでチャラにしておくわね~。ってことで始めるとしましょうか」
「あごっ、ぶぎっ、ぐぎょ!? かぶっ!? …………あ、あれ?」
魔マ王は怒りを放出し終えると次の行動へと移り始めたようじゃ。
その行動とは、ザッコの頭の中をグチョグチョすることじゃった。……って、お仕置き継続中じゃよなこれっ!?
とか思いながらザッコを見ると、呻くように良く分からない言葉の羅列を口にしておったのじゃが……最終的に白目を向き、そして……魔マ王が手を頭から抜くと何事も無かったかのようにきょとんとした表情をしおった。
「気分はどう、ザッコ君? いっぱつ……いる?」
「あ~……、えっと……お願いするッス――ルボアッ!?」
ママオーラをムンムンにさせながら、首を傾げながら魔マ王が問いかけるとザッコは現状に戸惑いながらも頷いた。
瞬間、ザッコの頬へと魔マ王の張り手が炸裂したのじゃ。
淑女が不埒な男性に行うような平手じゃったが、ザッコの体はグルングルンと錐揉みをしながら宙を舞い……回転しながら地面へと突き刺さっていきおった。
ニコニコと笑う魔マ王、地面に突き刺さるザッコ。静寂が産まれる。
「ぶはっ!? な、なにするッスか魔王様~~!?」
……が、すぐにザッコが突き刺さった地面から体を抜いて起き上がりおった。
こやつ、地味にタフじゃよな?
やはり魔マ王の従者じゃから、それぐらいの能力を要求されるのじゃろうな。
「ザッコ君、気分はどうかしら?」
「はい? 気分って、頭がズッキンズッキンして痛……あれ? 何と言うか胸のムカムカが無くなってるッス?」
「ええ、ちょっとザッコ君の中に溜まっていた勇者オーラを血と一緒に搾り出したから、ムカムカは無くなってるわよ」
「は、はあ……」
「ちなみに私があのまま放って置いたら、溜まった勇者オーラは頭に向かって行って、最終的にボッカンと頭が弾けていたわよ~♪」
ニコニコ笑顔で魔マ王は言う。
事実、ヨシュアのパンチはほぼノーダメージじゃったが、込められた勇者オーラはヤバイ濃度と量じゃったんじゃよね。
所謂勇者が勇者足らしめる能力じゃから、モンスターや魔族には猛毒なんじゃよ。
で、魔マ王が這い上がるまでザッコは猛毒溜め込んだ状態じゃったんじゃよな。……つまりは爆弾抱えた状態じゃったわけよ。
それに気づいておった魔マ王は、お仕置きを兼ねて血を搾り出すと同時に溜まっていた勇者オーラも搾り出したわけじゃ。……と言うか、胸のほうが良かったのじゃ無いだろうか?
え? お仕置きはアイアンクロー? 良く分からんのじゃ。
そしてアフターケアとして平手打ち系回復魔法をかけおったから、ザッコの傷は塞がっておるのじゃ。
「そ、そうなっていたッスか……。あ、ありがとうございますッス、魔王様」
「どういたしまして。まあ、ザッコ君が居なくなったらママ友の侍女たちが路頭に迷っちゃうし、君は結構使えるからねぇ」
「うぅ、嬉しいのかどう言えば良いのかわからない言葉ッス……」
優しく微笑む魔マ王の言葉に、ザッコは何とも言えない表情を浮かべながら項垂れおった。
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