あなたのタマシイいただきます!

さくらんこ

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isc(裏)生徒会

パンツで仲直り

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【天夜巽】

「くそ!!もう一回だ三木!!」

「う、うん。日当瀬君…その…あなたは犬になーれ、犬になーれ。」

「わ…いや、…わ、わん!わん!」

もう何回目だろうかこのやり取りを見るのは。
僕と日当瀬と三木さん、幸花ちゃんは野外へと訓練しに向かった。
今いるのは調度川のほとり。
三木さんは食料調達もしなくちゃいけないらしいので僕達も手伝うことになった。

でも、その前に修業してるんだけど…。

いつもみたいに日当瀬と組手かと思ったら、日当瀬が急に幻術を克服すると言い始めた。
日当瀬の性質、特殊能力の関係からも俺は無理だと思う。
幸花ちゃんと二人で川にある石の上に座って二人の様子を見守るが全く進歩が無い。

日当瀬が犬になったり、ネコになったり、ネズミになったりとしていくだけだった。

「うーん。暇だね、幸花ちゃん。」

そう言ったが横の少女はこちらを見るだけだった。
こっちはこっちでマイペースな様だ。
急に話しかけてもあれかといつもの調子で横に座るだけにとどめている。

「あ、あのね…日当瀬君。これよりもね、…この炎触れる様になった方が戦闘には役立つかも」

埒が明かないと思ったのか、あの三木さんから提案が出た。
三木さんの両手の中には幻術だろうが、とても熱そうな炎が揺らめいている。
俺達にも見えると言うことはテリトリーに入っているのだろう。

「えっとね。これは私達幻術師の初期の練習の一つなんだけど。この炎は触り方によって熱くもなるし、無いものとして扱える。
左千夫様が言うのには、ここがあるってことは認めてしまって、そこから、でも、これは幻術だから熱くないって否定するんだって。
それが幻術に囚われてしまった時の破り方の一つらしいの。」

なるほど。分かりやすい説明だ。
日当瀬も三木さんの言ったことには納得しているらしいが、じーっと炎を見つめたまま固まっていた。

「幸花ちゃんは幻術には強いの?」

俺は横にいる、幸花ちゃんに屈託のない笑みを向けた。

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【幸花】

目の前に犬がいる。
実際にはハルキという人物が幻術で犬にされているんだけれど、あの人は本当に幻術に弱いみたい。
破ることなんて容易いのに、どうしてあんなにもうまくいかないのか不思議でたまらない。
私には幻術にかかるという気持ちがわからなかった。
けれど、左千夫や柚子由の幻術は心地よいのは確か。
あったかくて、優しくて、それでいて力強くて…。

隣にタツミという人物が座って何かを話しかけてきているけれど、私はずっと左千夫の事ばかり考えていた。

「幸花ちゃんは幻術には強いの?」

どうしてこの人と会話をしなければいけないのかと思ったけれど、どうやらこの人は私に気を遣っているようだった。
見た所悪そうな人じゃないし、ナユタとか言うぐちゃぐちゃ頭と違って強そうなので返事ぐらいはしておこう。

「……それなりに…」

ぼそりと呟く様な声を向けた後、視線を柚子由達に戻した。
あまり喋るのは好きじゃないから、話しかけてほしくないんだけど、タツミはそれでも話しかけてくる。
とんだお節介男だ。
ぐちゃぐちゃ頭に、犬、お節介男、おじいちゃん頭…左千夫はなんでこんな人達と(裏)生徒会をやっているのか私にはまだわからない。
けれど、左千夫が一緒に時間を共にしているということは、それなりに理由もあるんだろうな。
暫く沈黙が続いた後、またタツミが話しかけてきた。

「幸花ちゃんの能力って何なの?」

この人は私のことばかり聞いてくるけれど、そう言った趣味でもあるのだろうか。
話しかけないこっちが悪いのだけれど。
言葉で説明するのはめんどうなので、首にかけていたロザリオを取り出す。
これはロザリオの先からナイフが出てくるようになっている特殊なものだ。
私の能力を使用する時に刃物は必須なので、左千夫がプレゼントしてくれた。
ちなみにリミッターのような役目も果たしてくれている。
私は純聖みたいに無闇に能力を発動させたりしないしスタミナもあるので、必要あるかと言えば無い気もするけど。

「…解除」

ロザリオを握りしめそう言った後、長い袖をまくり上げた。
人前で肌を見せるのは嫌だけど、今は左千夫もいないからいいか。
無数の傷を晒すとタツミはどんな表情をしたかはわからなかったけど、そのままロザリオナイフの刃を左腕へとあてた。
躊躇なく切り裂くと、血が流れでてくる。
その血を右手の平で、左手の指先まで伸ばし集中させると、左手全体が血でできた硬質な刃物へと変化した。

私の能力は自分の血を自由に操れること。
物も作れるし、血が付着した部分を利用したり、人を操ることだってできる。
この能力はあまり好きじゃないけど、使えてしまうのだから仕方がない。
驚いているタツミへ血の刃先を向けると、じっと見つめた。

「これ」

「…すごいね…」

すごい?気持ち悪いの間違いじゃないの?
などと思いながら、切り裂いた傷口へ手を当て集中すると、血が戻っていった。
その後何事もなかったように、また柚子由達へと視線を戻した。

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【天夜巽】

目の前に晒された細い腕には無数の傷が有った。
会長も確か人体実験の様な事を幼いころはされていたと言っていたがこの子もそうなのだろうか。
痛ましげにその腕を見つめていると彼女は急に刃物で傷を作った。
僕は驚きに目を見開いたが、どうやらこの行動は彼女の能力を発動させるための手段だったようだ。

彼女の腕から流れ落ちる赤い滴が見る見るうちに刃物へと形を変えていく。
これが彼女の能力。
なんだか見ただけで僕のとは比べ物にならないほど高等な能力だと分かってしまう。
そんな能力をこんな小さい子が扱えることの凄さに俺は声を上げた。

「…すごいね…」

称賛で述べたのに彼女は舞うを顰めたのみだった。
そしてまた日当瀬達の方へと視線を戻したので俺もそっちへと視線を戻した。

こっちは相変わらずで、日当瀬が幻炎を前に熱そうにしている。
多分俺は冷静な状態ならあれは触れる。
戦闘中になると気分が高揚しているので難しいかもしれないが。
これはまだまだ時間がかかりそうだなと思っていると幸花ちゃんが立ち上がった。

ゆっくりと三木さんと日当瀬に向かって歩いていく。
俺はその後ろ姿を見つめながらふと思いついたことを声に出した。

「そうだ、日当瀬。能力使ったほうがよくない?戦闘中は能力使ってるし。」

俺がそう言うと思いっきりこちらを睨まれたがいつものことなのでニコニコしている。
俺の言ったことが正論だと思ったのか日当瀬は能力を解放した。

そして、そこに歩いてきた幸花ちゃんを睨んでいる。

「なにしに来たんだよ。」

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【幸花】

目の前で炎の幻術に弄ばれているハルキにまったく進展がない。
柚子由が困りきっているのを見ていられなかった私は、二人の方へと向かった。

「なにしに来たんだよ。」

「…柚子由困ってるの…見てられない。お手本見せてあげる。犬…じゃなくてハルキは下がってて」

ハルキの目の前に立つと、柚子由が放っている炎の幻術を見つめた。
幻術など惑わされなければいい話。
ここにあるのに、ここにない、それだけしっかりと感じれれば後はすんなりと目の前の炎に触れるはず。

すっと手を伸ばすと、炎へ触れるように柚子由の手に手を乗せた。
熱そうに揺らめいているけれど、まったく熱く感じられない。
後ろで舌打ちが聞こえた気がしたけど、その炎を自分の手で掴み柚子由の手から炎を移動させる。
そしてハルキの方へと振り返った。

「…いっぱい考え過ぎ、炎=熱いと思うからダメ。寧ろ冷たいと思った方が手っ取り早い…。
こんなこともできないままじゃ、一生幻術には勝てない…犬以下…」

そう言って炎に触れるようにとすっと片手をハルキに差し出した。
ここまで指示してあげるのは、柚子由のためだ。
好き好んで犬に指導してあげる気なんて更々ない。

タツミの言葉にハルキは能力を発動させたみたいだけど、逆にその方がいいのかもしれない。
実際ここに炎などないのだ。
それを能力できちんと理解できるのであれば、幻術も少しは見破ることができるのではないだろうか。
それでもこの炎が幻術だと思えない人もいるだろうし、ハルキがどちらに転ぶかだけれども。

揺らめく炎の先のハルキをじっと見据えた。

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【日当瀬晴生】

―――犬!?
なんだよ、こいつも純聖とか言う奴も人を呼び捨てにしやがる上に見下しやがって…!!

しかし、目の前の女、幸花は柚子由が作った幻術の炎に触れた。
それだけじゃなくてそれを手に掬うようにして俺の前まで持ってきやがった。
全く、面白くねぇ。

そして、炎を冷たいと思えと言う。
無理だ!炎は熱いもんだ冷たい筈が無い…!!

そう思ったが戦闘中なら俺は能力を解放させていることが多い為携帯を展開させた。
腕に緑のブレスレットが巻き付くと同時に色々な情報が俺の中に入ってくる。
勿論目の前の炎の情報も。

その炎の温度。
酸素の消費量…あれ、酸素消費してなくねーか?
いや、消費はしているが消費の量がおかしい。
これじゃあ、炎として存在できる筈が無い。
つーことは、やっぱこれは無いのか?

俺は色々考えるままに手を伸ばした。
矢張り熱かったけど、これだけの温度表示が出てるのにこの距離でこの熱さしか感じられないのはおかしい。

と、言うことは矢張りこの炎はここには存在しない。

そう思った瞬間熱さは無くなり、俺は幸花の上の炎に触れることができた。

「…ッしゃあ!!幻術やったぜ!!!これで、会長のやろうを――――」

「左千夫の炎は無理だと思う。」

俺が言い切るか言いきらないかで彼女はその言葉を遮った。
なんだよ、やってみねぇとわかんねぇじゃねーか。
そう思い、女を睨んだが彼女はさっさと踵を返し川の方へ向かって行ってしまった。

「柚子由。…食料調達…、手伝うから。」

幸花はそう言うと更に滝のふもとに向かって行ったもともと俺達も手伝うつもりだったので同行する。
つーか、幸花の野郎め。
せめて、俺が会長が会長に勝てない理由を言いやがれつーんだ。

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【幸花】

ハルキはやっと炎を触ることができた。
そこまでやらなきゃできないようなことでもないのだけど、人には向き不向きがあるって左千夫が言ってたから仕方ないのかもしれない。
それがたまたまハルキは幻術だったと言う事。
あのぐしゃぐしゃ頭は一生かかっても無理だと思うけれど。

ここでの食糧調達はほぼ自分達で、という事になっているらしい。
川や山もあるのでそれなりに食材も豊富だとは思う。
とりあえず先に山へと向かった。
途中でリスやうさぎに出くわしたけれど、もっと大きい獲物が欲しいなと動物達を眺めながら山奥へと進んで行く。

「柚子由…でっかいお肉…無いの?」

「でっかいお肉?…うーん、鹿とかイノシシは見た事あるけど…あと熊?」

「くまさん……」

くまさんを食べるのはちょっと気が引けるけれど、おいしそうなので食べてみたい気もする。
私たちの後をついて来ているハルキ達の方へと振り返ると、二人を見据えた。
見るからにこの二人は仲が悪そうだ。
ここに来るまでもずっと文句ばっかり言い合っている。

柚子由の袖を引っ張り、しゃがんだ体勢を取ってもらうと、こそこそと耳打ちをする。

「えっと…今から私と幸花ちゃん、天夜君と日当瀬君に分かれて、熊を捕まえます」

「熊じゃない、くまさん」

「くまさんね。…ちなみにこの付近のくまさんはイデアちゃん仕込みで結構凶暴なので気をつけてね」

そう言えばあの少女ヒューマノイド、最初一緒に居たはずなのに見当たらなくなっている。
人間じゃないなら少しは仲良くなれるかもしれないと思っていたんだけど。

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【日当瀬晴生】

つーか、相変わらず天夜の野郎はムカつく。
俺の通りたいところばかり歩きやがるし、崖を昇ったら岩を落としてきやがるし。
やってられなくて煙草に火を点した。
いつも通り紫煙を燻らす、そうすると少し落ち付いたが、幸花と三木がとんでもないことを言い出して思わず煙草を落とした。

「うん、気を付けるよ。
僕、クマとかはじめて戦うな。」

天夜がまたクマと言ったので、幸花がくまさん、と、言いなおしている。
いや、そこが問題じゃねーんだ。
熊を食うのかこいつ等は。

どうもついていけないと後ろから三人を見つめるがこっちなんかそっちのけだ。

「……っち!」

俺は舌打ちした後落ちた煙草を拾うと三人を追いかけていった。
もう、こうなりゃどうでもなれ、肉は肉だ、食えるだろう。
シカでも熊でも、猪でもなんでも食ってやる!

そう思っていた俺達の前に体長5メートルある熊が姿を現した。
口から煙みたいなのが出てる気がしている。
俺達は急いで武器を展開させたがそれよりも早く熊の手が地面を叩いた。

全員それをかわす様に四方に飛ぶ。
が、俺と天夜が足場にしようとした岩が全く一緒だった。

「わっ!」
「――ッ!」

俺達はそこでぶつかってしまう。
本当になんでこいつは俺の邪魔ばかりすんだ。
俺は天夜の胸倉を掴んだ。

「いってーな!!」

「はは。ごめん、ごめん、それよりも日当瀬後ろ。」

そう言って天夜は俺の後ろを指差した。
なんだと思って後ろを見るとそこには巨体が息を荒くして立っていた。
急いで天夜を投げる様にしてから自分も転がる様に避ける。

ったく、やりにくいぜ!

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【幸花】

「おっきいくまさん…」

物凄い大きい。私が何人分の大きさだろう。
こんな大きなくまさんは見たことがない。
自然で鍛え抜かれるだけではこんなムキムキな肉体にはならない。
食べるよりペットにしたいなと思ったけど、今目の前にいるのは今日の晩御飯。

いち早くタツミ達に襲いかかっていくくまさんを見ながら、胸元からロザリオナイフを取りだした。
腕を捲ると深めに切り刻み、流れ出す血を見てどうするかを考える。
くまさんは銃でやっつけるって本で読んだことがある。

柚子由を守るように前へ出ると、猟銃を構えるような体勢をとった。
そこに血が集まってくると、銃のような形へと変化していく。
これで効くかはわからないけど、小手調べに何発かお見舞いした。

弾けるような音がすると、血の弾がくまさんの身体へと飛んでいったけれど、案の定跳ね返されてしまった。
本物の銃相当の威力はあるはずだけど、このおっきいくまさんには全く効かないみたい。
タツミとハルキの方向に向いていたくまさんが、こちらを振り向くと同時に、大きな手で殴りかかってくる。
柚子由の手を引きながらそれを避けると、側にあった木にくまさんの手がぶち当たり、なぎ倒された。

…別の方法を考えるしかないか。

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【三木柚子由】

目の前に現れた熊、うんん、くまさんはとっても大きかった。
これは結構大変かもしれない。

そう思っている間にも、くまさんVS私達は始まっていた。
日当瀬君や天夜君はうまくかわしていた。

幸花ちゃんも全くひるまず立ち向かうどころか手を引っ張る様にして私を守ってくれている。
私はこうなので、左千夫様が護衛を付けたんだろう。
強くならなくてはいけないと改めて思った。

幸花ちゃんが作った弾丸は弾かれてしまった。

そうなると接近戦に持ち込まなきゃいけないのかな。

でも、くまさんの一撃もかなりの威力があるみたい。
一発で大木がなぎ倒されてしまった。

続けざまに日当瀬君が空気砲を放つけどそれも効かない。
天夜君のクナイも毛皮で弾かれてしまった。

私は左千夫様から借りていた、双又の槍を構える。

でも、その前に幸花ちゃんがスタスタとくまさんに向かって歩いて行ってしまった。

「幸花ちゃん…!!」

「柚子由はそこで待ってって。危ないから。」

純聖君もそうだけど、幸花ちゃんも本当に左千夫様みたいなことを言う。
改めて守られていることを感じると少し歯痒くなる。
私も皆を守る存在になりたいんだけど、大事にされていることはとても嬉しい。
後ろから日当瀬君達もこっちに向かって走ってきていた。

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【幸花】

私は左千夫に柚子由を守れと言われた。
だから守る。
そしてもっともっと強くなって、左千夫も守るの。そう決めてる。
タツミとハルキは連携がなってないのできっといつまで経っても仕留められないだろう。
とりあえず私がくまさんを捕獲しなければいけない。

くまさんに近づくと、再び血液で作られた銃を構えた。
照準を身体に合わせると、そのまま一発放つ。
今度の弾は撃ちぬくためのものじゃなく、血液を付着させるためのもの。
暴れていたくまさんはこちらへ振り返ると、大きく吠え立ち向かってくる。
私の身体の何倍もある巨体がこちらへ走って来ても、怯むことはなかった。
動物なんてまったく怖くない。一番怖いのは人間だ。

くまさんをじっと見据えながら、ロザリオナイフの鎖を千切る。
鎖は見る見るうちに大きくなると、長い鎖へと変化した。
これが私の武器。
もちろん血液だけでも闘えるけれど、基本的に私は相手を拘束することに努めている。
昔は鎖に繋がれていたけれど、今は私が繋ぐ側だ。
全ての鎖を断ち切ってくれたのは左千夫。
血液の能力もこの武器も、私は嫌いだけれど、お似合いなのかもしれない。

先端にロザリオがついた鎖を放り投げた。
動いている標的に当てることは少し難しいけれど、私の血液が付着していれば、どこにでもこの鎖は飛んでいく。
くまさんの身体に付着した血液へとロザリオがくっついた。
引きはがそうとしているようだけど、絶対に取れることはない。
そのまま地面を蹴り、木を足場にしてぐるぐるとくまさんに鎖を巻き付けていく。
あっという間にがんじがらめにすると、くまさんの頭の上へと着地した。

「…くまさん捕獲…」

後はトドメを刺さないといけない。
これは私でなくてもできるので、こちらを見ている三人へと視線を落とした。

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【三木柚子由】

幸花ちゃんは手際よくくまさんを拘束した。
その技は小学生とは思えないほど正確でそして強力だ。

私はこの呼び方が嫌いだけれども、純聖君も幸花ちゃんも、研究施設での成功体。
勿論並みの大人では敵わない。
研究者たちはマインドコントロールや薬物を使って彼女たちを操っていたようだけどそれを左千夫様がといた。
勿論、実験の呪縛から逃れられない人は沢山居る。
私たちではどうすることも出来ない子たちも沢山居た。

それでも左千夫様はそう言った施設を見つけるといつも奇襲をかけにいった。
そして中に居る子供たちを解放している。

あっという間にくまさんを捕まえてしまった幸花ちゃんがこっちを振り返った。

「天夜君!日当瀬君、行くよ!!」

後はこのくまさんにとどめをさすだけだ。
私は心の中で謝罪しながら、くまさんを思いっきり殴打した。
日当瀬君達もそれに続いたようだった。

「やったね、幸花ちゃん。お手柄だね、左千夫様もきっと喜ぶよ。」

私が幸花ちゃんに声を掛けると気恥ずかしそうに俯いた。
これは幸花ちゃんが少し嬉しい時にする仕草だ。

後はこのくまさんを持ち帰らなければならない。

どうしようかと考えていると異音が辺りに響き渡る。
その音につられるように空を見上げると何かが空を飛びまわっていた。
銅像君にも似ている様な気がするけど、あれは学校にある筈。

そう思っている間にその石の塊は山の中へと消えていった。

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【九鬼】

どれくらいボクは左千夫クンと闘っているだろうか。
最初は訓練ということでお互い軽く手合せしていたのに、いつのまにか熱くなってしまった。
それにしても楽しい。
ボクが戦闘でここまで楽しくなれるのは、今の所彼しかいない。
やっぱり左千夫クンは強い。
もちろんボクも負けていないとは思うが。

「もーそろそろバテて来たんじゃない?」

「貴方こそ」

腕力ではボクの方が強いだろうが、彼の柔軟性や瞬発力はボクにはない。
お互いの短所を相手が持ち合わせていると言えばいいのだろうか。
何度武者震いしただろう。
口角があがってしまうのを抑えることができない。

「じゃ、そろそろ決着つけよっか」

汚れきったグローブを嵌め直すと、彼をまっすぐ見据える。
お互いが最後を決めようとした、その時だった。
上から凄い勢いで何かが降って来る。
ドスンッと物凄い音と砂煙があがり、地面が揺れ木々の葉が舞い落ちた。

「…?」

砂煙がひいて行くと、そこには血まみれの包丁を持った割烹着姿のイデちゃんがいた。

「ご飯の時間ダ。いつまでヤッテル。ミンナは戻っタゾ」

ボクと左千夫クンを首をぐるりと回し、真っ赤な瞳で見つめている。
姿格好からしてちょっとしたホラーだ。
ご飯の時間と言われて、空を見上げると辺りは暗くなりはじめていた。
本当にどれだけの時間やっていたのだろうかと、自分でも少し呆れてしまった。
左千夫クンも槍をしまったので、ボクもグローブを携帯へと戻す。

「イデちゃん、今日のご飯なんなの?」

「クマさんダ」

「クマサンダー?」

「クマさん肉」

熊さん肉……?熊肉?
昔食べたことがあるが、あまりおいしいとは言えない物だった気がする。
せめてイノシシとかの方がよかったなと思いながらも、三人でみんなの待つ宿泊施設へと帰っていった。

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【神功左千夫】

決戦の場は外に移っていた。
いや、途中までは訓練だったのだが、段々と肩慣らしでは済まなくなってきた。
最近は本気を出すことも無かったので調度いいと感覚を元に戻していく。

そろそろ終わりにしよう。

三叉槍を構え直した瞬間だった上から何かが落ちてきた。

血まみれの金髪、いつかのトイレの幽霊を彷彿させる姿に全身が凍てついたがこちらを振り向いた顔は間違いなくイデアだった。
イデアだと自分に言い聞かせると同時に武器を携帯に戻した。
九鬼とイデアは晩御飯の話をしていたが、僕は極端に辛くなければ特に嫌いなものは無いのでなんでも良かった。

宿泊施設の食堂に向かうと既に晩御飯の準備が出来ていた。
熊の肉だと聞いていたのでどんなものかと思っていたが民宿の様に綺麗に盛り付けられていた。
イデアだけではこうはいかないので巽君のお陰だろう。

各々が席に着く。
今日のえものは幸花が獲ってくれたらしいので彼女の頭を撫でた。

「幸花。大物を狙うのは良いですが、余り無理をしないでくださいね。
柚子由もお疲れ様です。」

魚もいいがたまにはこんなものもいい。
ここに居る間は自給自足なので色々なモノを食べることになりそうだと思いながら手を合わせご飯を食べ始めた。

暫くは和やかに食事が進んでいたが、急に那由多君が声を上げた。

「やっぱり、あれはイデアの仕業だったのかよ!」

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【千星那由多】

「何のコトダ」

熊肉へと手を付けながら、割烹着姿でご飯をつぐイデアへと叫ぶと、イデアから白々しい返事か返ってきた。

「あの飛び回る銅像だよ…あれイデアが作ったんだろ?」

三木さんに聞いた所、やっぱりあれはイデアが作成したもののようだった。
名前は銅像君2号。
校内での護衛用に作られている銅像型ロボットらしい。

「…そう言エバ散歩に行ったキリ、帰って来てナイナ」

「散歩じゃなくて暴走してたっつーの!!
…っとに…ああいう心臓に悪くて死ぬかもしれないような物ほいほい作るな!」

「結果的に必殺技ガ使えたノダカラ良かったダロウ」

「…やっぱり確信犯じゃねーか!!」

こんなやり取りをしても無意味なのはわかっているが、危なかったのは確かだ。
イデアなりに気を遣ってくれたのかとも思うが、こいつの気の遣い方はずれすぎてる。
まぁ…結果的に良かったっちゃ良かったのかもしれないけれど。

黙々と食事をとる会長へと目を向けた。
別に必殺技ができておめでとうとか、そんなことは一切ない。
やっぱり俺ってほぼ見捨てられてる状態なのかな。
昼間に言われた「戦力外」のような言葉を思い出すと、やっぱりまだ沈んでしまう。

いつかちゃんと会長に認めてもらえる日が来るのだろうか。
食事をしているみんなの顔を見渡すと、どうしても今の自分と見比べてしまった。

あー!考えても無駄だ無駄!
ご飯とおかずをかきこむと、いち早く立ち上がる。

「ごちそーさま!風呂、入ってくる」

逃げるようにその場を後にすると、俺は一人私室へと向かった。

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【天夜巽】

那由多を追うように俺と日当瀬が風呂に入った既に那由多は中に入っている様子だ。
俺も日当瀬も体を洗ってから風呂へと向かう。
どうも那由多が訓練後から元気が無いように思えたのでいつものように三人そろったとことで声を掛ける。

「どうしたの那由多?なんか、元気ないね。」

そう言うと那由多は一瞬こっちを見たが直ぐに視線を逸らした。

「どうしたんすか?千星さん。まさか、天夜テメェ!!」

日当瀬も那由多の反応が気になったのか那由多に質問したが結局こっちに降りかかってきた。
俺は慌てて両手を顔の前で横に振る。
そこで子供の大きな声が響いた。

「すっげー!!ひっれぇー!!」

「純聖。走ったらこけますよ。」

バタバタと純聖君は走り込んできた。
後ろから会長が声を掛けると彼は床を滑りながらもピタっと止まった。
そして、先に体を洗って貰っているようだ。

こっちまで来たときに純聖君の体が見えたけど火傷でただれた痕だらけだった。
幸花ちゃんの腕にも切り傷が沢山あったし、彼らはこの歳で僕達が想像できない位のことを経験してきているんだろう。
会長が体を洗い終えたのだろう、純聖がまた走ってきて大浴場に飛び込んできた。

「やっほー!!ちょー良い湯!!」

そこからは言うまでも無く、日当瀬との言いあい、湯の掛けあいになった。
湯の掛けあいには俺も知らない間に混ざっていたけどたまにはこれもいい。

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【千星那由多】

一人でゆっくり浸かりたかったが、やはりそうもいかなかった。
巽と晴生は心配しているようだったが、この二人に話した所で何も解決しない。

暫くすると、会長と純聖も風呂へと入ってくる。
余計に騒がしくなって、水の掛け合いに巻き込まれないように端へと避難した。
純聖の火傷だらけの身体を見て少し驚いてしまったけれど、本人は気にしていないようだった。
色々と苦労してきたんだろうな、あいつは。
俺なんかが知らない世界で、必死に生き延びて来たんだろう。
それでもはしゃいでいる所を見ると、やっぱりまだまだ無邪気な子供だ。
まぁ…俺よりは強いけど。

悶々としていると、勢いよく風呂のドアが開いた。
湯煙の向こうに立っていたのは、シャンプーハットを被って仁王立ちしている副会長だった。
一人足りないなとは思っていたが、またうるさいのが来てしまった。

「もーみんなさっさと入っちゃってー!」

そう言うと掛け湯も身体も洗わずに、純聖達の真ん中に割り込むように飛び込んできた。
水しぶきが顔にかかったのを手で拭う。
気づくと隣に会長がいることに気付いた。
巻き込まれないように端へと避難してきたのだろうか。
それにしても…気まずい……。

「あぶねーなおっさん!……ってなんだよそれ?」

「これ?お風呂セットのヒヨコちゃんだヨ♪」

純聖が副会長の持っていた、お風呂に浮かべて遊ぶビニールのひよこに食いついた。
5体それぞれ色が違って、ぷかぷかと浮いている。

「この白いのはボク。この黒いのが会長でネ~、緑がはるる。黄色が巽でー良く沈む青いのがなゆゆ」

……よく…沈む?

「なゆゆヒヨコは、本人と同じで超へちょいんだよネ~。なんかすぐに沈むし、まったく浮かんでこないし~」

その言葉に純聖も大声で笑っている。
本当に副会長は人が気にしてることをピンポイントで抉ってくる…。
いや、多分俺が落ち込んでいる理由を知って、更に虐めているんだろう。
四人が次はそれで遊び始めたようだったが、隣にいる会長は特にそのことを気にすることも無く、ゆったりと湯船に浸かっていた。

このまま自分の中で蟠りを持ったまま過ごすのも嫌だ。
意を決し、俺は会長を見ないまま小さく呟いた。

「…会長……俺って……俺ってそんなに戦力外…です、か?」

語尾が小さくなる。
今会長はどんな表情をしているか見ることはできない。
いつもの様に爽やかに微笑んでいるんだろうか。
そして、会長から言葉が落ちた。

「はい」

「……!!!」

わかっては、いた。
わかってはいたけど、その「はい」の重みは今の俺にはやはり耐えることができなかった。
湯船から急に立ち上がると、そのままドアへと向かっていく。
濡れてへたっている髪をタオルで徐に拭きながら、下着へと手を伸ばした。

あー!やっぱり聞くんじゃなかった!!
そんなの当たり前じゃんか!!
俺なんかよわっちょろくてへっぽこで天パで、能力の使い用なんてたき火の火とか、花に水やったりとか……って……。

パ ン ツ が な い。

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【神功左千夫】

いつも僕はシャワーで済ましてしまうがたまにはゆっくり湯船につかるのもいい。
まぁ、少し騒がしかったが大人数なので仕方ないだろう。
端によりゆっくりと浸かっていると僕と同じように湯が掛らないように避難してきた那由多君が居た。

どうやら彼は落ち込んでいる様子だ。
理由がはっきり分からなかったので何も助言できないなと思っていたら彼から質問された。

そして「はい」と言った瞬間に彼は風呂から出ていってしまった。

……どうやら、彼は僕のせいで落ち込んでいるらしい。

僕はそう言うつもりで言ったのでは無かったのだが。
取り合えず、僕のせいならちゃんと言っておかなければならないと湯船から上がった。

しかし、彼は変わっている。
いや、そう言う人物が多いのかもしれないが、僕なら他人からどう見られているかなど気にしない。
自分がどうしたいと言う信念だけ持っていれば事足りるからだ。
他人に認められたい、その気持ちは分かる気もするが、それが僕に認められたいとなるとよくわからなくなってくる。

僕は自然と認識番号と自分の誕生日が刻まれている自分の足を見つめた。

先に上がった那由多君を追うように横に行きバスタオルを羽織る。

「那由多君。那由多君…?また下着がないのですか?」

イデアの仕業かと思い、僕は自分の下着を彼に差し出す。
僕は簡易な浴衣を着るので無くても特に困らないし元から寝るときは余りなにも身につけない。
しかし、今日の那由多君はそれを受け取ってくれなかった。

あの一言がそんなにショックだったのだろうか。

僕は無理矢理那由多君の右手を掴むとその手に下着を握らせた。

「逆に僕が戦闘要員として見ているのは九鬼位ですよ。那由多君。」

そう言って僕はいつもの笑みを湛えた。
人には得手不得手がある。
それに地区聖戦を聞いていなかった僕は戦闘の面など全く何も考えていなかった。

「柚子由は表生徒会との補助的役割、晴生君は会計として引き続いてその職について貰いました、那由多君は書記。巽君は雑用と言うよりは彼は器用なので色々補佐をして貰う為に入って貰っただけです。
誰も戦闘要員なんて思ってませんよ、地区聖戦が無ければそう言った仕事は僕が片付けるつもりでしたからね。
しかし、どうしても(裏)生徒会に居ると危険な任務に巻き込まれる確率が有りますから、ある程度のスキルアップはして欲しいですがね。
肉体のレベルアップはそんな短時間で出来るものではないし、昔よりも強くなっているのは、那由多君。君本人が一番分かっているのではないですか?」

それだけ告げると僕は那由多君から離れて浴衣を羽織る。
上げていた長い髪を下ろすとタオルで拭いていくのだがその時に大きな声がこだました。

「あー!!駄目駄目!!ナユタが履くのはこのパンツ!!」

浴槽の方を振り返るとビシャビシャの純聖がこちらに走ってきている。
そして戦隊のキャラクターが描かれた小さなブリーフを那由多君に押し付けていた。
どうやらパンツ失踪には彼も一枚噛んでいるらしい。

-----------------------------------------------------------------------

【千星那由多】

着替えを置いていた棚を漁るが、やはりパンツが見当たらない。
今日はちゃんと確認して、ここまで持ってきた。
絶対にあるはずなんだ。

そうこうしていると、会長が出て来て声をかけられた。
丸出しのまま出て行くわけにもいかないので、逃げるように移動しようとすると、会長は自分の黒いボクサーパンツを俺に差し出す。
…けれど受け取れない。
拒否するように背を向けようとしたが、無理矢理手に掴まされてしまう。
そして会長は、さっきの続きを喋り始めた。

戦闘要員は副会長だけ、そう言われて驚いてしまった。
俺よりはるかに闘えるであろう巽や晴生も、戦闘要員ではないらしい。
会長は普段何を考えているかわからない。
この時でさえも、言っている事が俺には少し理解ができなかった。
けれど、これは会長のスタイルでもあるんだと思う。
一人で何事も乗り越えられる強さを持っている会長。
俺は認められたいという気持ちと共に、会長の強さが羨ましかったのかもしれない。
最後に「昔よりも強くなっているのは、自分が一番わかっているのでは」と言われると、小さく俯いた。
確かに俺は体力も全く無かった初期に比べて、かなり向上してきているとは思っている。
ただ、精神的な弱さは、あの頃から何も変わっていない。
認めてもらうとか、それ以前に、俺は自分で自分を守れるくらいに強くならなければ、この人たちの足を引っ張ってしまうんだ。
「戦闘要員」じゃないからなんだ。
これは、会長の優しさでもあるのに。

「……すいません、俺…なんか……」

下着を受け取り、会長へと声をかけようとした時、純聖の声が響いた。

「あー!!駄目駄目!!ナユタが履くのはこのパンツ!!」

…なんでお前が俺のパンツ無くなってんの知ってんだよ…。
犯人は純聖か!!

「盗ったのお前か!!こんなちっさいの履けるわけないだろ!!…今すぐ俺のパンツ返せ!!」

「とある人の貢物にしたからねーよー」

悪ガキみたいに舌を出しながら俺をからかう。
とある人物、絶対にイデアだ。
どういう意図でパンツを盗りイデアに渡したのかわからなかったが、怒りに震えながら俺は純聖にブリーフを投げつけた。

「こんな事したら、アニマルレンジャーのレッドにはなれねーぞ!!!」

「な…っなれるし!!いや、べ、別になりたくないし!!」

そんなやり取りで騒いでいると、会長が静かに笑みを零しながら俺達へと言葉を落とした。

「…二人とも、風邪ひきますよ…?」

いつものトーンだったが明らかに殺気を感じる。
純聖がいち早く姿勢を正すと、俺に投げ返そうとしていたブリーフを持ってさっさと逃げてしまった。

騒いでしまって疲れを感じ、大きく息を吐く。
俺の中の蟠りは無くなっていた。
これから先、会長に認めてもらえることはないと思う。
それでも、(裏)生徒会にいる意味はあるような気がするんだ。多分。

会長に深くお辞儀をすると、黒いブリーフへと足を通した。 





 
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