あなたのタマシイいただきます!

さくらんこ

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isc(裏)生徒会

イレギュラー

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【千星 那由多】


三木さんに追いついた時には遅かった。
何があったのかはわからない。
ただ、会長は倒れている。
その身体は酷く痛み、まるで死んでいるかのようだった。

これは幻術でもない。俺の目に映る光景は――――現実。


「三木さん!!!」


我を失ったかのように九鬼へと攻撃に行った三木さんは簡単に薙ぎ払われてしまった。
飛ばされてきた三木さんの身体を受け止めると、ぐったりと彼女の体重が両腕にかかった。

「三木さん!しっかり!!」

蒼白な表情の彼女は、小さく唇を開き俺に言葉を残し瞼を閉じた。


『左千夫様を助けて……、千星君。』


小さく呟かれたその声は、俺の胸に大きく刺さった。
ふつふつと怒りや悲しみ恐怖と言った感情が沸き起こり、身体が震える。
俺は彼女を支えた身体が地面に崩れそうなのを堪え、九鬼を睨みつけた。 

「結局君が最後か、おもしろみもなーんにもないネ」

九鬼はそう言いながら足に突き刺さった会長の槍の柄らしきものを引き抜いた。
血が勢いよく噴き出した後、自分の袖を破り止血するように足へ巻く。

「ま、ボクだいぶ満身創痍だから、もしかしたら君でも勝てるかもネ?」

そうやって笑う九鬼は酷く無邪気だった。
俺は三木さんを入口付近の壁へともたれ掛けさせる。
彼女の握っていた槍を膝に置き、その上にそっと手を乗せてあげた。

「…どうにかやってみます、もう、三木さんを……みんなも悲しませたくないから」

眠っている彼女に震える声をかけ、俺は九鬼の方へと振り向き、歩んでいく。
恐怖で足が震える。心拍数は早くなっていくばかりだ。
もう、誰も助けてくれない。
俺一人で闘わなきゃならない。


絶対に、負けちゃいけない。


俺は携帯に戻っていた剣を、イデアアプリを解き、展開させた。 


「解除」


青い光が手元で輝き、それは剣の重みへと変わっていく。
そのまま宙に火の字を刻み、横一直線に振りかざすと赤々と燃える炎が剣に絡みついた。
揺れる炎の先の九鬼を見つめる。

「へぇ、逃げないんだネ……。
……わかったヨ、かかってくれば?」

九鬼の言葉に返事も返さないまま、俺は一直線に彼の元へと駆け出した。 


----------------------------------------------------------------------- 


【フリーデル】


彼がここまで苦戦する戦いを初めて見た。
黒鬼となっても苦戦する相手。


ジングウサチオ。


とんでも無い男だった。
助太刀どころか私達は誰もこの場から一歩も動けなかった、逃げることすら出来ない。
負傷した彼の治療に向かいたいが、クキ様はそう言ったことを嫌う。
仕方なく私達はこの戦いを見守る。
ジングウが倒れたところで戦いは終わると思ったが、ミキとセンボシが帰ってきた。 

彼は不思議な男だ。
女も殴れない甘さを持っているくせに、クキ様には歯向かう。

ローレンツの件を引きずっている私達では戦力にはならないだろう。
しかも、クキ様は不正を行っていた。ディータはそれが引っかかっているようだ。
こんな迷いが有る状態では戦えない。
ただ、クキ様が勝ってくれるのを見守るばかりだった。 


----------------------------------------------------------------------- 


【九鬼】


彼はバカ正直に正面から突っ込んできた。
炎の剣がボクの周りで無茶苦茶に動く。
一人ならこの程度、弱っているボクでも楽に相手できるだろう。

「本当に君、剣術センスないネ。
なんでそんな武器をもらったの?」

手で受けることなく彼の太刀筋を避けていく。
遅い上に、後衛で補佐してくれる者は誰もいない。
宝の持ち腐れとはこのコトか。
炎の威力を持て余しているというか、これに剣術センスがプラスされれば、いいものになるとは思うのだけれど。 

彼の太刀筋が横を通過した時、左足で脇腹に蹴りを入れてやる。
そのまま彼は声なく吹っ飛ぶと、地面を滑るように転がっていった。 

「…字書くならもう武器、筆とかにしてもらいなヨ」

ケラケラと笑いながら彼を見下ろす。

「……っ…」

ただ、ひとつ褒めることがあるとしたら、彼は諦めが悪いようだった。
腹を抱えながら立ち上がると、宙に水という文字を綴った。
それが水が圧縮された玉になると、そのままいくつか打ち込んでくる。

片足は軽く引きずった状態で、左肩もまともに動かなかったが、スキップするようにそれを避けると、彼の顔はますます歪んでいった。 
あまり長引かせてもこちらも結構辛い。
ボクが彼の元へ駆け込むと、彼は間合いを取るように走り出した。 


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【千星 那由多】


どうにかして一度でも奴に剣を打ち込めれば。

だけど俺のそんな甘い考えはことごとく打ち砕かれる。
俺の太刀筋は全て受けられることもなく避けられ、更には攻撃さえも食らわされる。
拳じゃないだけマシだった。
だけど、それでもかなり痛い。

九鬼が俺の方へと駆け出した。
それから間合いを取るように俺も走り出す。
あちらが満身創痍だと言え、元々の体力差が大きい。
足から血が噴き出しながらも彼は笑いながら俺を追ってきた。

まるでピエロにでも追っかけられてる悪夢を見ているようだ。


彼の間合いが詰められる前に、俺は剣を彼から見えない死角に構える。
小さく「土」という文字を綴った直後、彼は俺に追いつき、再び蹴りを繰り出してきた。

「!!」

その瞬間に九鬼が蹴りつけた部分に岩の壁ができあがる。
ミシッと鈍い音を立てたが壁は割れない。
ガードしている隙を狙って、彼の半身へと炎の剣を打ち込んだ。

しかしそれは俺の太刀筋よりも早く彼の痛めている方の手で抑え込まれてしまった。
また指先の丸い突起物で炎の剣を難なく受け止めていた。 


「受け止めれるけど、それでも結構熱いんだヨ、それ」


掴まれた剣を引っ張られ、身体がまた吹っ飛ぶ。
近くにあった瓦礫にぶち当たると、全身に衝撃が走った。

「グッ―――――!!」

目を見開き、痛みを堪える。息が詰まり、呼吸を整えるように咳を吐きだした。
九鬼は放り投げた体勢で身体を捻ったままこっちを見て笑っていた。


…やっぱりダメだ。
圧倒的な実力差。
しかもあれだけの傷で、俺を玩具のように遊んでいる。

痛みに歯を食いしばりながら、顔にへばりつく髪を手の甲でかきあげた。 


----------------------------------------------------------------------- 


【九鬼】


ああ、本当に本気を出すまででもない。
ボクは捻った身体を戻すと、痛みを堪えている彼を見ながら大げさにため息をついた。
そして、調度近くにあった左千夫クンの身体が目に入る。


…もうちょっと遊んでやろう。


そう思ったボクは、左千夫クンの身体に足をかけた。
千星の表情が余計に歪むのを確認し、彼を転がすように蹴りつける。


「…やめろ…ッ」


小さい怒りの声が聞こえ、ボクは口端をあげてイタズラに笑った。

「奴隷をどう扱おうがボクの勝手でしょ?」

「何が…奴隷だ!!!」

そのまま左千夫クンを足裏で更に踏みつける。
彼は起きることも、反応を示すこともない。

「あれ、君は知らない?
彼、今はこんなところでえらそーにやってるけど、昔は人間以下の存在だったんだよネ。
毎日色んな実験されて、痛めつけられて、それでも抵抗できなかったただの奴隷。
そしてボクは奴隷を買う側の人間。
所謂ボクは彼にとって絶対的な王。そして彼は家畜同然の奴隷」

千星の怒りを煽るように左千夫クンをの腹をかかとで数度踏みつける。

「やめろ…つってんだろ…」

怒りや恐怖で震えている人間を見るのは楽しい。
子犬みたいでかわいいんだ。
ボクのやることで一喜一憂してくれる。
千星は格好の玩具だ。 


「やめさせたいなら止めたら?」


そう言う間もなく、彼は再び斬りつけてきた。 


----------------------------------------------------------------------- 


【千星 那由多】


会長を足蹴にされ、しかも奴隷だなんて意味のわからないことを言っている。
俺は会長の過去を知らない。
もし、それが本当だったとしても、そんなこと俺には関係なかった。

今、ここで起きていること、それが全てなんだから。

九鬼の言葉を遮るように、俺は再び炎の剣で斬りつけに行く。
会長から足はどけたが、避けながら俺を茶化すように言葉を放ってくる。

「あはっ、怒っちゃった?余計に太刀筋乱れてるヨ?」

「―っ!!!」

全て九鬼が言う言葉は挑発なんだ。
わかってる。わかってるけど。

横一直線に斬り込むように剣を振うと、真上に飛び上がった九鬼が太陽の光で影になった。
そのまま落ちてくる彼へ剣を打ち込もうとしたが、間に合わない。
蹴りがそのまま俺の顔面横に入るのを剣の刃で防いだが、身体はまた無残にも吹っ飛んだ。

「あっつー」

蹴り込んだ九鬼の制服が燃えたが、それをグローブで霧散させている光景が見えた。 


何度繰り返せばいいんだ。
俺は地面に横向きで倒れたまま、動けなかった。

このままじゃ無理だ…。勝つどころか、剣の一発もお見舞いすることができない。
怒りや自分への呆れで感情が昂ぶり、目頭が熱くなる。
なんで、俺なんだ。
なんで、俺に託されたんだ。
こんな弱くて甘い奴になんか、九鬼を倒せるわけがない。

動けないまま剣を握りしめると、目に映った赤い炎は俺の気持ちとは裏腹に轟々と燃えていた。 

九鬼の足音が近づいてくる。
そちらへ視線だけを動かすと、彼はグローブを嵌め直していた。

「もう終わり?じゃ、さっさと蹴りつけちゃおっかナ」

一歩一歩恐怖の足音が近づいてくる。
俺は、半ば諦め気味だった。
圧倒的な実力差。力の差。

俺にこの炎の剣が扱えるほどの力量があれば、少しは優勢になったのかな。

そんなことをうだうだ考えていても、九鬼の足音は止まらない。
自分の心音もやけに煩い。
死の恐怖に怯えているのだろうか。 

俺は上半身を立ち上げ、座り込み炎の剣を九鬼へと掲げた。


「…もう、無駄だって」


九鬼はすぐ側にいる。
表情は見ないまま、俺は九鬼へと向けた剣先を自分の胸元へと当てた。

「…あれ、自害すんの?残念だナ」

その声には驚きや悲しみなどはもちろん籠っていない。
ただ、薄っぺらな文字を並べただけの言葉。
それを気にも止めず俺は剣先を思うままに動かした。


「…?なに、して」


九鬼の言葉と同時だっただろうか、俺の身体は先ほどまでとは違う動きで彼の足元へと剣を斬りつけていた。
間一髪のところで九鬼は後ろへと回転しながら飛びのいたが、その場からゆっくりと立ち上がった俺を見た目は笑っていなかった。

もちろん、俺は自殺する気なんて毛頭なかった。
胸元に刻まれた「力」という文字が、淡い橙色に輝くと身体の中へと吸い込まれるように消えていった。
全身の血液が逆流するように流れているのがわかる。
頭は沸騰しそうに熱いのに、視界にうつる全てが今まで見たこともないような景色に見えた。
力が漲ると言うのはこういうことなんだろうか。 


「…足りないもの…足してやったよ」


俺に今足りないもの。
それは九鬼に打ち勝つための「力」。
素早さ、体力、腕力、全ての基本スキルを向上させるために、自分の身体に「力」を刻んだ。


九鬼に引き攣った笑いを贈ると、俺は全力で駆け出した。 


----------------------------------------------------------------------- 


【九鬼】


明らかに先ほどと太刀筋が違う。
その速さに一瞬ためらってしまったが、うまく身をかわすことができた。
千星のオーラ、というのだろうか、そういった気配が先ほどまでとガラリと変わっている。
どうやら自分に「力」を足した、らしい。

「ほんっとーに腹立つね、その何でもできちゃう剣」 

いや、剣の力ではないのだろう。
それが彼の特殊能力だ。
まさか、自然エネルギー以外も作り出せるなんて、イレギュラーすぎて呆れてしまう。
全ての理を無視した、魔法のようなその能力。
彼に相応しいのか、相応しくないのか。 

そんな事を考える暇もなく、彼は俊敏な動きで俺に斬りつけてくる。
太刀筋のパターンは変わっていない。
だが、比べ物にならないくらい全てが早い、そしてその太刀は――――重い。


「―――ッ!!!」


避けきれなかった剣先を受け止めたが、指先の突起物を無視し、押し込まれてしまうほどの威力だった。
ジリジリと熱でグローブの焦げた匂いが漂う。
これ以上炎を受け止めていてはグローブも持たないだろう。
そのまま剣を投げるように突き離したが、彼は再び地を蹴りすぐに俺へと斬り込んできた。

彼の目に迷いはなくなっていた。
そのまま幾度となく避けてはいたが、さすがにこの速さや重さは今のボクの身体に堪える。


「うっとーしーんだ…ヨ!!!」


一瞬の隙をついてみぞおちに思い切り拳を食らわせる。
彼の身体はくの字に曲がったが、顔を上げた彼の表情は歪んでなどいなかった。

「!!!」

そのまま彼はボクの負傷している左腕に炎の剣を打ち込む。
嫌な音を立て、再び血が噴き出し、炎で制服が燃え散った。
舌打ちした後、千星から身体を離し間合いを取ると、少し焼けただれた腕を擦った。


「おまえ、ずりーわ」


こいつとの対峙で、自分の中に黒鬼が目覚めるとは思っていなかったが、少しオレの胸は高鳴っていた。 


----------------------------------------------------------------------- 


【千星 那由多】


正直、息はあがっているし、腹に減り込んだ拳も痛い。
けれど身体は軽く、打ち込む一太刀一太刀が自分の力で打ち込まれていないのではないかと思うくらいに、九鬼を翻弄させているのは確かだった。 

肩で息をしながら、炎の先の九鬼を睨みつける。

この力は何時まで持つのかわからない。
なんとか、今の状態で九鬼を倒すことはできるだろうか。
九鬼の目が見開き、口角が更にあがっている。
その表情に黒く禍々しい殺気を感じたが、俺はひるまなかった。


「やっと拳、使わせた……次は、その全てを燃やす…!」


俺の言葉に九鬼は喉を鳴らして笑った。

「楽しませてもらおーじゃねーか」

それを合図にお互いがぶつかり合う。
俺のこの太刀筋の速さや威力でも、その上を行く九鬼。
自分の基本スキルをアップさせても、やはり強かった。 
受け止められた剣を弾かれては斬りつけ、その繰り返しだっただろう。
幾度となく俺の顔や脇腹にも拳が放たれる。

力と力のぶつかり合い。


けれど、そこに転機が訪れた。 


彼の両拳が頭上を狙い落ちてくると、それを土の壁で防ぐ。
砕かれる壁がお互いの視界を遮った隙に俺は後ろへと滑るように回り込み、そのまま奴の後ろから首元へと剣を叩き込んだ。
だが、彼は身を捻ると、やはりそれさえも受け止めてしまった。


――――が、その受け止めたはずの手には、力が入っていなかった。


九鬼も眉を顰め自分の意思通りの力が入っていない手を見つめていた。
そのままグローブが焼けると同時に俺は剣を槍を突き刺すような体勢で素早く構えると、剣先を喉元のギリギリの位置で止める。 


硬直状態になった。
九鬼は、轟々と燃える炎の剣に照らされながら笑顔なく俺を見ていた。
俺も肩で荒い息を整えながら、自分の額から汗が伝ったのを感じた。 


----------------------------------------------------------------------- 


【九鬼】


なぜかわからない。
違和感、はなかった。

ただ、腕が痺れ、千星の剣を受け止めることができなかったのが事実だった。
そのまま炎の剣を喉元に突き付けられたまま、千星の顔を見つめる。


「…勝負、ありだな」


千星がそう言ったのを鼻で笑うと、ボクは舌を出した。

「それは、ボクを殺してから言う言葉だヨ」

そのまま首をワザと剣先に当てると、首元には炎が纏わりつき酷く熱く、肌が焼けた匂いがした。
たじろいだ彼の表情に再び笑った後、痺れの残る拳を全力で振り切るように彼の左半身を殴った。 


「…君の最後の弱点。その剣は人を斬れないコト」


千星は真横へぶっ飛ばされ、眉を顰めながら俺を見ていた。

もう拳も痺れて限界だ。
さすがにもう右足だけで今の彼をどうにかするなんてことはできないだろう。
さっさと止めを刺すか。


そう思い立ち上がろうとした瞬間だった。
千星の真後ろから槍が飛んでくる。
あまりにも唐突なそれに、ボクは身をかわすことができず、そのまま槍先に首を捉えられるように地面へと仰向けに倒れ込んだ。
地面に深くささった槍先に三つ編みがひっかかり、引き抜こうとしたが手が痺れて力が入らなかった。


誰だ…。 


----------------------------------------------------------------------- 


【千星 那由多】


あと一歩だったのに、結局俺は奴を殺すことも気絶させることもできなかった。
不意をつかれ飛ばされていく体制を整えようとした瞬間だった。

槍が俺の真横を高速で通り過ぎ、それが九鬼の首元を捉えるように地面へと突き刺さった。

「え…?」

そのまま後ろの誰かに受け止められた。
男の身体ではない、華奢でやわらかい感触。


「三木、さん…」


そこには目覚めた三木さんが立っていた。
けれどその表情は、いつもの三木さんではなく、どことなく会長の雰囲気に似ていた。
にっこりと俺に微笑みかけられたのに少しドキッとすると、彼女はそのまま俺を置いて九鬼の元へと歩んでいった。 

「…三木さん!」

もしかして闘うつもりなのかと、追いかけようとすると、前を向いたまま俺を制止するように彼女は横に手を突き出した。 


「お疲れ様です…後は僕が。」


その言葉にハッとした。
三木さんの中にいるのは彼女ではなく――――会長だ。 

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