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過去編(三角関係・攻めが片想いで鬼畜なので注意)
お仕置き勉強会(総受け)
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お仕置き 電流 バイブ 擽り 洗濯バサミ 尻叩き
【千星那由多】
期末テストが近づいて来た。
中間テストは落としまくったので、今回は頑張らないといけない。
幸い最近は勉強ができない程の任務も事件もないので、それなりに頑張ろうと思っていた。
でないと今度こそ母さんに大目玉を食らう。
しかし、俺は勉強が苦手な上に怠慢なので、いつも家に帰ればテスト勉強などせずにゲームをしているんだけど。
(裏)生徒会に入ってからクリアできていないゲームが溜まりに溜まってるんだ、仕方ないっちゃ仕方ない。
テスト期間には魔物が住んでいると思う。
勉強をしなければと思えば思う程、別の事がしたくてたまらなくなってしまうんだ。
(裏)生徒会室でお茶中、そういう話になった。
みんな大体勉強しなくてもできる奴等ばかりなので、肩身の狭い思いをしながらあまり話に乗らないでおこうと押し黙っていると、巽が声をかけてくる。
「那由多ちゃんと勉強してる?」
「…う、ああ、うん…」
「ゲームばっかりしてない?」
「し、してないしてない!」
いや、してるんだけど。
あんまり責めてくんなよ、と思っても巽はこういう時ハンパ無く空気が読めない。
というかお節介すぎるんだ。
「また赤点取っておばさん心配させないでよ」
その話しは今ここでするな…と言おうとした時、会長がこちらを見て微笑んでいるのが見えた。
嫌な予感で背筋に悪寒が走る。
「では、那由多君のために勉強会と行きましょうか。(裏)生徒会から赤点を出す訳にはいきませんので」
更ににっこりと笑みを深めた会長の言葉に、やっぱりこう来たかとがっくりと肩が下がった。
周りのみんなも全員同調して俺を見ている。
会長達に勉強を教えてもらうことが、ものすごくスパルタになるような気がするのは、俺の勘違いであってほしい…。
【三木柚子由】
今日から千星君の勉強会をすることになった。
色々仕込みが有るとイデアちゃんが仮眠室に消えて行く。
私と左千夫様は教科を割り振る、その後左千夫様がイデアちゃんに呼ばれて入って行った。
「えーっと、受け持ち教科になりますが…イデアちゃんが、社会。私が、生物。日当瀬君が物理。クッキーさんが数学。左千夫様が国語。ここは、九鬼さんも一緒に受けて下さい。最後に天夜君は英語です。」
私が教える立場になるとは思わなかったので、少し緊張する。
その教科に使う教科書と筆記用具を集める。
そうしていると、那由多君以外が集まって何かひそひそ話していた。
クッキーさんが率先して話していたようだけど。
「ね、巽は間違った時の罰、何にするの?ボクはね…」
罰!?
そうか、間違うと千星君に罰を与えなくちゃならないんだ。
私はどうしようかな。
「ナユタ入レ!ユズユはサチオの手伝いをしろ。」
仮眠室からイデアちゃんの声が聞こえたので千星君と一緒に入る。
「取り合えず、ヌゲ!」
私かと思ったがそれは左千夫様に止められた。
いつものパターンで千星君だけ脱がされる。
どうやら全部脱ぐようなので左千夫様が私の目を隠していた。
チラッとだけ見えたけど、機械がいっぱい繋がった椅子が二つあった。
あれに座って勉強するのかな?
【千星那由多】
イデアが介入すると確実に「普通の勉強会」ではなくなるだろう。
皆が何かを話している横で、逃げ出したい気持ちをグッと抑え込んだ。
額から冷や汗が流れ落ちてくる。
そわそわしていると、イデアのが俺を呼んだ。
三木さんも呼ばれたので一緒に仮眠室へ入ると、途端に「脱げ」という指示に目を見開く。
勉強会で脱ぐ必要があるのか、いや、ないだろう。
しかしさっさと脱がないと鞭が飛んできそうだったので、三木さんの目を会長に隠してもらっている間に、まったく気乗りしない身体を動かしながら服を脱いで行った。
パンツだけは…と思っていたが、結局それもイデアに引っぺがされてしまう。
そしてすぐさま机の向こうにある変な椅子へと座らせられた。
「な、なんだよ、これ……勉強に関係ねーだろ…絶対……」
腕は自由だったが足は固定され、至るところに淡々とイデアは何かを貼りつけていた。
乳首や下半身の際どい部分にまで貼っているので、嫌な予感しかしない。
「ヨシ、コレぐらいでイイダロウ。どうナルかはその時のオタノシミだ」
そう言ってイデアは俺から離れ、目の前の席へと座った。
どうやらこれの意味は説明してくれないらしい。
明らかに電流ビリビリ!系な気がしてならないんだけど。
三木さんがいたので、気持ち程度に股間部分にはタオルをかけてくれていたが、恥ずかしいやら情けないやらで顔が引き攣ってしまう。
「デハ最初ハワタシからダ」
イデアは社会の教科書を出すと、テスト範囲を起伏の無い声で読み上げていった。
大体は暗記なので、読み上げてくれる意味はわかるのだが、授業もろくに聞いていない俺はちんぷんかんぷんだった。
呆けた表情でそれを聞いていると、イデアが急に片手をあげた。
「ん?」
その途端に身体中に電気が走る。
「――――――ヒッッ!!!!」
声にならない声を上げると、暫くして電流が止まり、ガクッと身体が項垂れた。
乱れる視界をイデアに向けると、赤い瞳がじっと俺を見据えていた。
「真面目にシナケレばコウなるゾ。ワカッタなら集中シロ」
「あ……あい……」
震える手でペンを握りながら、俺は小さく頷いた。
つーかこんなことされたら余計に集中できない…。
【神功左千夫】
イデアに任せた僕が間違いだったかもしれない。
これで、那由多君も少しは勉強する習慣が付いてくれればいいが。
柚子由は目のやり場に困っている…訳ではなさそうだが、僕が彼女に見せたくないので、イデアが終わるまでは僕の問題作りを共にして貰う。
全教科、テストに出そうな問題を作って行く。
まずは、初めに必要な社会だ。
その次は柚子由が教える生物。
違う机で静かに問題を作っていたその時イデアが右手を上げた。
これは電流を流せと言う合図だ。
僕の傍にあるスイッチを押す、そうすると那由多君に電流が流れる。
那由多君についている器具で心拍数や脳波などもこちらにデータとして出ているので、僕自身も彼の集中力が途切れると分かる。
それから暫くは淡々とイデアが教えていた。
それが終わったようで僕が作った問題の中で、今日彼女が教えた範囲の問題を持っていく。
「サテ、私からの授業は以上ダ。今から、オサライをする。出す問題に答エヨ。
社会保険制度にある保険5つはなに。」
答えは年金、医療、雇用、労災、介護の五つ。
さて、那由多君は幾つ答えられるか、それによって電流の強さを変えなければならない。
「イデアちゃんの、罰は電流……」
前で柚子由が小さく呟いた。
僕はどうしたのかと柚子由を見つめると彼女は控え目にこちらを見上げてきた。
「あの、間違えると…罰を与えないと…いけない…って、……なにに、しようか…迷って…左千夫様は決まってますか?」
なるほど、九鬼辺りが提案したのだろう。
まぁ、那由多君を戒めるのには悪くないかもしれない。
「そうですね…僕はまだ、決まってませんが、柚子由はくすぐるのとかはどうですか?」
取り合えず柚子由にアドバイスしておく。
勿論那由多君には聞こえないように。
那由多君はうめきながらイデアの問題を考えているようだ。
僕はスイッチを押す準備をした。
【千星那由多】
起伏の無い声のせいで余計に頭に入ってこない。
正確な発音なのだろうが、機械じみているので聞き慣れていない物を耳にしているようだ。
いや、元々聞き慣れていない文章なんだけど。
必死で頭に詰め込んだが、覚えられているかはわからない。
社会はまだ好きな方なのだけれど、胸を張って得意と言えるわけでもなかった。
範囲を教え終わってもらうと、会長がプリントのようなものを持ってくる。
どうやらおさらいをするらしい。
電流の恐怖に身体を強張らせながら、イデアが問題を読み上げたので、必死で聞き取った。
社会保険制度にある保険5つ?
ああ、なんかあった気がする。
つーか5つもあったっけ?
……えと…えーっと、社会っつーんだから、コヨウ…?あとなんだ、いーいー…イリョウ?
……。
…。
……わからん…!!!!
「えっと…コヨウ、と…イリョウ……あと…ネ、…ネンキン?……」
「後二つハ」
「……生命……」
そう言った途端に身体に電気が走った。
全身がビクンと跳ね、ピリピリと棘がささるような感覚に目の前が霞む。
「労災と介護ダ。お前の生命を終わラセテやろうカ、社会不適合者メ」
そうイデアが言うと、再び電気が流れた。
ガクガクと身体を揺らしながら、俺は机に突っ伏した。
その後もいくつかは答えられたが、半数以上を間違い、見事に電流の嵐だった。
おさらいを全て終えたイデアは大きくため息をつくと席を立ち、俺に貼りついている電流の配線を何故か局部だけ異様に増やし、三木さんと交代した。
三木さんならきっと優しく丁寧に教えてくれるはずだ…。
心配そうな表情を向ける彼女に、引き攣った笑顔でお願いしますと頭だけを下げた。
【三木柚子由】
「明日もカクゴしておけよ。」
その言葉を最後にイデアちゃんはアトリエに帰って行った。
確かに、試験までの残り日数を考えるとかなり頑張らないと千星君の試験勉強は終わらないかもしれない。
しっかり、教えなくっちゃ!
私は千星君の隣に椅子を付けて座ると出来るだけ丁寧に教えて行った。
教科のポイントはラインを引くようにして教えて行くけどこれで有っているのかな。
なぜか分からないけど、時折千星君は電流を流されていた。
その度に左千夫様を見やるが、彼はいつものように微笑むだけだった。
今日の範囲を終え、おさらいをして貰う。
その間に左千夫様のところに行き、今日の範囲の問題を貰ってくる。
「千星君、まずはこの遺伝子の問題を解いてください」
色覚異常の問題で、回答は12.5%
ちょっと計算もしないといけない問題だけど、必ずテストにはこの手の問題が出てくる。
頑張って!千星君!その思いを込めながら横で彼を見守った。
【千星那由多】
三木さんが教えてくれる教科は生物だ。
丁寧に説明をしてくれているので、質問などもしていくが、俺のとんちんかんな質問に三木さんは少し困っているようだった。
それにしても、少し目を伏せている真剣な彼女はかわいい。
マーカーを持った手も細くて白くて…。
三木さんとなら二人で一緒に勉強したいところだ。
そんな事を思っていると、身体に電流が流れた。
会長だ。
痛みに顔を歪めながらそちらの方へと向くと、いつものように微笑んでいる。
完璧にバレている。俺が違う所に集中していることを。
その後も何度か思考が逸れる度に電流が流れた。
目尻に溜まる涙を拭いながら、俺は三木さんの優しい声に耳を傾けていた。
それにしても…少し下半身が危うい。
三木さんがいるからとかでなく、多分電流のせいだ。
幾度となく身体に電流は流されてきているが、どんどんそれが快感になってきていることには、自分でも気づいていた。
それでも今彼女の目の前で勃つわけにはいかない。とんだ変態野郎になってしまう。
どうにか自制しながらも範囲を終えると、会長の作った問題でおさらいが始まった。
色覚異常の問題らしいんだが、意味がわからない。
記号が全て顔文字に見えてくる。
俺は無言でその問題を見つめた。
何か計算をしなければいけないんだろうけど、何を書けばいいのかもわからない。
押し黙っていると、三木さんが心配そうに顔を覗き込んだ。
すいません三木さん。
せっかく…せっかく教えてくれたのに…全然わかりません!!!
そう思った所で時間切れになったのか、身体に再び電流が流れる。
「―――――ぐ、あぁッッッ!!!!」
もう嫌だ。このまま気を失いたいのに、気絶できない。
三木さんの期待にも応えることができない。
その後も散々間違いまくって俺の身体は更に動かなくなった。
「ずいまぜん……みぎざん……」
濁った声で項垂れながら彼女に謝ることしかできなかった。
【神功左千夫】
どうやら那由多君はかなり参っているようだ。
と、言ってもこの集中力の無さは称賛に値する。
女性が相手だからだろうか、僕の手元の数値が良く乱れる。
しかも下半身を気にし出しているので、そろそろころ合いだろうか。
イデアも悪戯に妙なところにばかり付けていましたしね。
僕が作った問題が難し過ぎたのか遺伝子の問題は手つかずだった、明日はもう少し簡単にしなければならない。
それからも色々な問題を間違えてしまった那由多君に容赦なく電流を流す。
初日はきっちりと教え込まないと後々面倒なことになるからだ。
柚子由の番が終わったので次を呼んで来て貰おうと思った瞬間、彼女は那由多君に近づいた。
「お……お仕置きです…ッ!!!」
柚子由はそう言うなり那由多君の脇腹や腹部を擽っていた。
これはかなりの効果が有りそうな気がする。
と、言うか那由多君は大丈夫だろうか…色々と。
ほんの小さな気持ちで柚子由に擽ると言ったのは間違えだったかもしれない。
これは、男性にとっては拷問に近い展開だ。
「こ、ここ、と…ここ。ちゃんと、明日までに復習しておいてください……!」
そんなことも知らない柚子由は顔を真っ赤にしながら那由多君の元から帰って行った。
次は晴生君が英語を教えてくれる番だ。
【千星那由多】
期末テストが近づいて来た。
中間テストは落としまくったので、今回は頑張らないといけない。
幸い最近は勉強ができない程の任務も事件もないので、それなりに頑張ろうと思っていた。
でないと今度こそ母さんに大目玉を食らう。
しかし、俺は勉強が苦手な上に怠慢なので、いつも家に帰ればテスト勉強などせずにゲームをしているんだけど。
(裏)生徒会に入ってからクリアできていないゲームが溜まりに溜まってるんだ、仕方ないっちゃ仕方ない。
テスト期間には魔物が住んでいると思う。
勉強をしなければと思えば思う程、別の事がしたくてたまらなくなってしまうんだ。
(裏)生徒会室でお茶中、そういう話になった。
みんな大体勉強しなくてもできる奴等ばかりなので、肩身の狭い思いをしながらあまり話に乗らないでおこうと押し黙っていると、巽が声をかけてくる。
「那由多ちゃんと勉強してる?」
「…う、ああ、うん…」
「ゲームばっかりしてない?」
「し、してないしてない!」
いや、してるんだけど。
あんまり責めてくんなよ、と思っても巽はこういう時ハンパ無く空気が読めない。
というかお節介すぎるんだ。
「また赤点取っておばさん心配させないでよ」
その話しは今ここでするな…と言おうとした時、会長がこちらを見て微笑んでいるのが見えた。
嫌な予感で背筋に悪寒が走る。
「では、那由多君のために勉強会と行きましょうか。(裏)生徒会から赤点を出す訳にはいきませんので」
更ににっこりと笑みを深めた会長の言葉に、やっぱりこう来たかとがっくりと肩が下がった。
周りのみんなも全員同調して俺を見ている。
会長達に勉強を教えてもらうことが、ものすごくスパルタになるような気がするのは、俺の勘違いであってほしい…。
【三木柚子由】
今日から千星君の勉強会をすることになった。
色々仕込みが有るとイデアちゃんが仮眠室に消えて行く。
私と左千夫様は教科を割り振る、その後左千夫様がイデアちゃんに呼ばれて入って行った。
「えーっと、受け持ち教科になりますが…イデアちゃんが、社会。私が、生物。日当瀬君が物理。クッキーさんが数学。左千夫様が国語。ここは、九鬼さんも一緒に受けて下さい。最後に天夜君は英語です。」
私が教える立場になるとは思わなかったので、少し緊張する。
その教科に使う教科書と筆記用具を集める。
そうしていると、那由多君以外が集まって何かひそひそ話していた。
クッキーさんが率先して話していたようだけど。
「ね、巽は間違った時の罰、何にするの?ボクはね…」
罰!?
そうか、間違うと千星君に罰を与えなくちゃならないんだ。
私はどうしようかな。
「ナユタ入レ!ユズユはサチオの手伝いをしろ。」
仮眠室からイデアちゃんの声が聞こえたので千星君と一緒に入る。
「取り合えず、ヌゲ!」
私かと思ったがそれは左千夫様に止められた。
いつものパターンで千星君だけ脱がされる。
どうやら全部脱ぐようなので左千夫様が私の目を隠していた。
チラッとだけ見えたけど、機械がいっぱい繋がった椅子が二つあった。
あれに座って勉強するのかな?
【千星那由多】
イデアが介入すると確実に「普通の勉強会」ではなくなるだろう。
皆が何かを話している横で、逃げ出したい気持ちをグッと抑え込んだ。
額から冷や汗が流れ落ちてくる。
そわそわしていると、イデアのが俺を呼んだ。
三木さんも呼ばれたので一緒に仮眠室へ入ると、途端に「脱げ」という指示に目を見開く。
勉強会で脱ぐ必要があるのか、いや、ないだろう。
しかしさっさと脱がないと鞭が飛んできそうだったので、三木さんの目を会長に隠してもらっている間に、まったく気乗りしない身体を動かしながら服を脱いで行った。
パンツだけは…と思っていたが、結局それもイデアに引っぺがされてしまう。
そしてすぐさま机の向こうにある変な椅子へと座らせられた。
「な、なんだよ、これ……勉強に関係ねーだろ…絶対……」
腕は自由だったが足は固定され、至るところに淡々とイデアは何かを貼りつけていた。
乳首や下半身の際どい部分にまで貼っているので、嫌な予感しかしない。
「ヨシ、コレぐらいでイイダロウ。どうナルかはその時のオタノシミだ」
そう言ってイデアは俺から離れ、目の前の席へと座った。
どうやらこれの意味は説明してくれないらしい。
明らかに電流ビリビリ!系な気がしてならないんだけど。
三木さんがいたので、気持ち程度に股間部分にはタオルをかけてくれていたが、恥ずかしいやら情けないやらで顔が引き攣ってしまう。
「デハ最初ハワタシからダ」
イデアは社会の教科書を出すと、テスト範囲を起伏の無い声で読み上げていった。
大体は暗記なので、読み上げてくれる意味はわかるのだが、授業もろくに聞いていない俺はちんぷんかんぷんだった。
呆けた表情でそれを聞いていると、イデアが急に片手をあげた。
「ん?」
その途端に身体中に電気が走る。
「――――――ヒッッ!!!!」
声にならない声を上げると、暫くして電流が止まり、ガクッと身体が項垂れた。
乱れる視界をイデアに向けると、赤い瞳がじっと俺を見据えていた。
「真面目にシナケレばコウなるゾ。ワカッタなら集中シロ」
「あ……あい……」
震える手でペンを握りながら、俺は小さく頷いた。
つーかこんなことされたら余計に集中できない…。
【神功左千夫】
イデアに任せた僕が間違いだったかもしれない。
これで、那由多君も少しは勉強する習慣が付いてくれればいいが。
柚子由は目のやり場に困っている…訳ではなさそうだが、僕が彼女に見せたくないので、イデアが終わるまでは僕の問題作りを共にして貰う。
全教科、テストに出そうな問題を作って行く。
まずは、初めに必要な社会だ。
その次は柚子由が教える生物。
違う机で静かに問題を作っていたその時イデアが右手を上げた。
これは電流を流せと言う合図だ。
僕の傍にあるスイッチを押す、そうすると那由多君に電流が流れる。
那由多君についている器具で心拍数や脳波などもこちらにデータとして出ているので、僕自身も彼の集中力が途切れると分かる。
それから暫くは淡々とイデアが教えていた。
それが終わったようで僕が作った問題の中で、今日彼女が教えた範囲の問題を持っていく。
「サテ、私からの授業は以上ダ。今から、オサライをする。出す問題に答エヨ。
社会保険制度にある保険5つはなに。」
答えは年金、医療、雇用、労災、介護の五つ。
さて、那由多君は幾つ答えられるか、それによって電流の強さを変えなければならない。
「イデアちゃんの、罰は電流……」
前で柚子由が小さく呟いた。
僕はどうしたのかと柚子由を見つめると彼女は控え目にこちらを見上げてきた。
「あの、間違えると…罰を与えないと…いけない…って、……なにに、しようか…迷って…左千夫様は決まってますか?」
なるほど、九鬼辺りが提案したのだろう。
まぁ、那由多君を戒めるのには悪くないかもしれない。
「そうですね…僕はまだ、決まってませんが、柚子由はくすぐるのとかはどうですか?」
取り合えず柚子由にアドバイスしておく。
勿論那由多君には聞こえないように。
那由多君はうめきながらイデアの問題を考えているようだ。
僕はスイッチを押す準備をした。
【千星那由多】
起伏の無い声のせいで余計に頭に入ってこない。
正確な発音なのだろうが、機械じみているので聞き慣れていない物を耳にしているようだ。
いや、元々聞き慣れていない文章なんだけど。
必死で頭に詰め込んだが、覚えられているかはわからない。
社会はまだ好きな方なのだけれど、胸を張って得意と言えるわけでもなかった。
範囲を教え終わってもらうと、会長がプリントのようなものを持ってくる。
どうやらおさらいをするらしい。
電流の恐怖に身体を強張らせながら、イデアが問題を読み上げたので、必死で聞き取った。
社会保険制度にある保険5つ?
ああ、なんかあった気がする。
つーか5つもあったっけ?
……えと…えーっと、社会っつーんだから、コヨウ…?あとなんだ、いーいー…イリョウ?
……。
…。
……わからん…!!!!
「えっと…コヨウ、と…イリョウ……あと…ネ、…ネンキン?……」
「後二つハ」
「……生命……」
そう言った途端に身体に電気が走った。
全身がビクンと跳ね、ピリピリと棘がささるような感覚に目の前が霞む。
「労災と介護ダ。お前の生命を終わラセテやろうカ、社会不適合者メ」
そうイデアが言うと、再び電気が流れた。
ガクガクと身体を揺らしながら、俺は机に突っ伏した。
その後もいくつかは答えられたが、半数以上を間違い、見事に電流の嵐だった。
おさらいを全て終えたイデアは大きくため息をつくと席を立ち、俺に貼りついている電流の配線を何故か局部だけ異様に増やし、三木さんと交代した。
三木さんならきっと優しく丁寧に教えてくれるはずだ…。
心配そうな表情を向ける彼女に、引き攣った笑顔でお願いしますと頭だけを下げた。
【三木柚子由】
「明日もカクゴしておけよ。」
その言葉を最後にイデアちゃんはアトリエに帰って行った。
確かに、試験までの残り日数を考えるとかなり頑張らないと千星君の試験勉強は終わらないかもしれない。
しっかり、教えなくっちゃ!
私は千星君の隣に椅子を付けて座ると出来るだけ丁寧に教えて行った。
教科のポイントはラインを引くようにして教えて行くけどこれで有っているのかな。
なぜか分からないけど、時折千星君は電流を流されていた。
その度に左千夫様を見やるが、彼はいつものように微笑むだけだった。
今日の範囲を終え、おさらいをして貰う。
その間に左千夫様のところに行き、今日の範囲の問題を貰ってくる。
「千星君、まずはこの遺伝子の問題を解いてください」
色覚異常の問題で、回答は12.5%
ちょっと計算もしないといけない問題だけど、必ずテストにはこの手の問題が出てくる。
頑張って!千星君!その思いを込めながら横で彼を見守った。
【千星那由多】
三木さんが教えてくれる教科は生物だ。
丁寧に説明をしてくれているので、質問などもしていくが、俺のとんちんかんな質問に三木さんは少し困っているようだった。
それにしても、少し目を伏せている真剣な彼女はかわいい。
マーカーを持った手も細くて白くて…。
三木さんとなら二人で一緒に勉強したいところだ。
そんな事を思っていると、身体に電流が流れた。
会長だ。
痛みに顔を歪めながらそちらの方へと向くと、いつものように微笑んでいる。
完璧にバレている。俺が違う所に集中していることを。
その後も何度か思考が逸れる度に電流が流れた。
目尻に溜まる涙を拭いながら、俺は三木さんの優しい声に耳を傾けていた。
それにしても…少し下半身が危うい。
三木さんがいるからとかでなく、多分電流のせいだ。
幾度となく身体に電流は流されてきているが、どんどんそれが快感になってきていることには、自分でも気づいていた。
それでも今彼女の目の前で勃つわけにはいかない。とんだ変態野郎になってしまう。
どうにか自制しながらも範囲を終えると、会長の作った問題でおさらいが始まった。
色覚異常の問題らしいんだが、意味がわからない。
記号が全て顔文字に見えてくる。
俺は無言でその問題を見つめた。
何か計算をしなければいけないんだろうけど、何を書けばいいのかもわからない。
押し黙っていると、三木さんが心配そうに顔を覗き込んだ。
すいません三木さん。
せっかく…せっかく教えてくれたのに…全然わかりません!!!
そう思った所で時間切れになったのか、身体に再び電流が流れる。
「―――――ぐ、あぁッッッ!!!!」
もう嫌だ。このまま気を失いたいのに、気絶できない。
三木さんの期待にも応えることができない。
その後も散々間違いまくって俺の身体は更に動かなくなった。
「ずいまぜん……みぎざん……」
濁った声で項垂れながら彼女に謝ることしかできなかった。
【神功左千夫】
どうやら那由多君はかなり参っているようだ。
と、言ってもこの集中力の無さは称賛に値する。
女性が相手だからだろうか、僕の手元の数値が良く乱れる。
しかも下半身を気にし出しているので、そろそろころ合いだろうか。
イデアも悪戯に妙なところにばかり付けていましたしね。
僕が作った問題が難し過ぎたのか遺伝子の問題は手つかずだった、明日はもう少し簡単にしなければならない。
それからも色々な問題を間違えてしまった那由多君に容赦なく電流を流す。
初日はきっちりと教え込まないと後々面倒なことになるからだ。
柚子由の番が終わったので次を呼んで来て貰おうと思った瞬間、彼女は那由多君に近づいた。
「お……お仕置きです…ッ!!!」
柚子由はそう言うなり那由多君の脇腹や腹部を擽っていた。
これはかなりの効果が有りそうな気がする。
と、言うか那由多君は大丈夫だろうか…色々と。
ほんの小さな気持ちで柚子由に擽ると言ったのは間違えだったかもしれない。
これは、男性にとっては拷問に近い展開だ。
「こ、ここ、と…ここ。ちゃんと、明日までに復習しておいてください……!」
そんなことも知らない柚子由は顔を真っ赤にしながら那由多君の元から帰って行った。
次は晴生君が英語を教えてくれる番だ。
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