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過去編(三角関係・攻めが片想いで鬼畜なので注意)
痕①
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【天夜 巽】
那由多の顔を見た瞬間なんとなく分かってしまった。
俺は洗い場では掛け湯だけして早々に浴槽へと向かう。
チラリと日当瀬と視線が合うが彼はすぐ逸らして那由多へと言葉を掛ける。
「俺、先に上がりますね。」
「あ、おれ……」
そう言って日当瀬は俺の横をすり抜ける様に浴槽から出て行った。
どうやら夏岡先輩の方へ向って言ったようだ。
後を追うようにして那由多も上がろうとした。
しかも、俺に視線を合わせること無く。
「那由多…まだ、入るだろ?」
俺は那由多にしか聞こえないような声で。
しかも有無を言わせない低い声で囁くように告げ、俺の横を通り抜けようとした那由多の性器を湯の中で鷲掴みにしてやった。
-----------------------------------------------------------------------
【千星 那由多】
巽は身体を洗いに行ったかと思うと、掛け湯だけで済ませすぐにこちらへ向かって湯船へと足をつけた。
その行動に俺は余計に焦ってしまう。
無理だ。
あんなことをした後で、巽と晴生と一緒に風呂なんて入れない。
晴生があがると言ってそそくさと湯船から出たのを見て、俺もそのタイミングで一緒に風呂からあがろうとした。
「あ、おれ…」
も、と続ける前に巽の低い声が湯船からあがろうとする俺を静止させた。
一瞬にして上半身に身の毛がよだち、息がつまる。
そしてそのまま巽は湯船の中で俺のペニスを鷲掴みにした。
「っ!!」
ビクンと肩が上がり、俺はそのまま何も言わずにゆっくりと湯船に腰を落とす。
頭の中で心臓の音がうるさく鳴り響き、身体は長時間湯船につかっていたせいで熱く、少し逆上せかけていた。
視線はきょろきょろと泳ぎ、傍から見たら怪しいと丸わかりの仕草だった。
晴生はそのまま夏岡先輩達の方へ行ってしまい談笑している。
俺の今の現状には気づいていないようだった。
少しだけ安心したが、問題はそこじゃない。
「……俺、のぼせそうだから……離して、ほしい…」
俯きながら巽を見ずに小さくつぶやいた。
-----------------------------------------------------------------------
【天夜 巽】
「のぼせるようなことしてたの?」
こちらを一切見ない那由多。
それでは何をしていたか言っているのと変わらない。
思わずペニスを握った手に力が入る。
ぐぐ…っと、締め付けてしまうと那由多が痛そうに表情をゆがめたので仕方なく離してやる。
それから、俺は那由多を浴槽の奥、岩の陰へと引っ張っていく。
段差に腰を掛けると、調度腰のあたりまで湯船に浸かる形になった。
「のぼせたくないなら、早く終わらそ?那由多。
立ったままなら足しか浸かって無いから大丈夫だよ。
まさか、日当瀬とできて、俺と出来ないとか言わないよね。
ほらこっちにお尻向けて、さっさと突き出して。」
こちらに向かって尻を突き出せば那由多の体は夏岡先輩たちからは見えないだろう。
顔位はあちらから見えてしまうかもしれないが。
那由多は恥ずかしいの好きだし、調度いいか。
そう思って、突き放す様に掴んでいた腕を離してやった。
-----------------------------------------------------------------------
【千星 那由多】
巽に掴まれていたペニスに痛みが走る。
のぼせるようなこと、と言われ完全に晴生との行為がバレていることに恐怖を覚えた。
何も言い返せないまま痛みに顔を歪めていると、巽は俺の腕を引っ張りながら浴槽の奥へと連れて行く。
「…やめ…っ」
逃げ出そうという本能が働いたのか、それを嫌がるように反対方向へと引っ張ったが、巽の力には到底勝てない。
そのまま岩陰へ行くと俺と巽の姿は晴生たちから見えなくなった。
巽の顔は見れないままだったが、有無を言わさない命令のような言葉で大体の表情は想像がついた。
掴んでいた腕を突っぱねられても、俺は動くことができない。
唇が震え、頭の中で冷静な判断さえできなくなっている。
逃げることだってできるはずだ。
でも…。
チラりと巽へ視線を向け、その凍てつくような笑顔に恐怖で身体が強張った。
きっと断れば、こいつは俺を傷つけるためなんでもしてしまうだろう。
俺はおずおずと巽へと背中を向ける体勢を取る。
調度岩が俺の正面の位置になり、顔が晴生たちの方へと向く。
湯気の隙間でかすかに三人の姿が見えた。
俺はそれを見ないよう顔を隠しながら巽に尻を突きだした。
「は、はやく、終わらせて…」
そう言うと唇を痛いくらいに結んだ。
-----------------------------------------------------------------------
【天夜 巽】
やっぱり従順であれば従順で有るほど俺の心は満たされていく。
調度俺の顔の前に那由多のお尻が晒された。
小さく締まりのある、双丘を撫でまわす様にしてから、わざと割り開くように親指に力を入れる。
流れ出した、湯にここも弄っていたことが直ぐ分った。
そのまま、指を左右両方の親指を突き入れ割り開くようにして中の媚肉に息をふぅっと掛ける。
「なんだよ、那由多。もう、解し終わってるなら言ってくれないと。
ほら、そのまま俺の上に腰おろして?」
それだけ告げると早々に指を離してやる。
それから、湯の中になる自分のペニスを扱き完全に勃起させると那由多の腰を軽く下へと引っ張った。
「はやくしないと夏岡先輩達、来ちゃうよ?」
いたずらっ子のような声音で、耳元で囁いてやる。
もう、那由多は俺の思うままだろう。
-----------------------------------------------------------------------
【千星 那由多】
アナルへと息を吹きかけられると身体がゾクゾクと震え、キュッと入口が締まる。
先ほどの行為での熱はだいぶ冷めたが、まだ少し身体は敏感だった。
「っ!!」
声を出すわけにはいかなかったので、俺は片手で身体を支えながら口を塞ぐ。
解し終わっている、と言われたことで、先ほどの晴生との行為が罪悪感とともに蘇ってきた。
それとともに今のこの場所での巽との行為で、俺のペニスは完全に萎えきっていた。
本当に、俺は何がしたいんだろう。
巽に腰を引っ張られるように下へと降ろされ挿入を促される。
震えているのを隠す様に口に当てていた手を息を止めるように抑え込んだ。
巽は自分で俺に挿入する気配はない、こいつは今の状況を楽しんでいる。
逃げられない。
それなら急いで終わらせるしかない。
いつもいつも、こうやって、俺は流されていく。
俺は眉を顰めながら目を瞑り、そのまま無言で巽のペニスへと自分のアナルをあてがった。
「……っ」
硬くなった先端が入口へと触れると、無意識に挿入を拒むように締めてしまう。
鼻で息を吐きながら身体の力を抜き、俺はゆっくりと腰を降ろしていった。
「んっ…ぅ…!」
すんなりと侵入してきた巽のペニスが、少し敏感な中を刺激するようにずぶりと挿し入り、萎えたペニスが少し反応する。
少し痛みはあったが、腰を降ろしていく勢いで一気に根元まで咥えていった。
そのままの体勢で止まると、巽が早く動いてくれるのを静かに待った。
-----------------------------------------------------------------------
【天夜 巽】
なるほど。那由多がのぼせそうと言ったことが分かるくらい中は熱かった。
それだけ長く日当瀬と行為をしていたかと思うと苛立たしい。
俺のペニスが初めはゆっくりと那由多の中に入っていく。
そして、後半は勢いよく腰を落とされた。
余りの熱さ、そして締め付けに俺は思わず悩ましげな吐息を零した。
「あれ?もしかして、俺が動くとでも思ってる?
図々しいな、那由多。
自分で突っ込んだんだからちゃんと、最後まで奉仕して?」
本当は動きたくて仕方が無かったが敢えて相手を傷つける言葉を選んで掛ける。
ペニスには一切触ってやらず、両手で乳首をキュっと摘みあげ、コリコリと指の腹で押しつぶす。
さっさとしろ、と、促す様に小さく腰を揺らし、前立腺を一度だけ突いてやった。
-----------------------------------------------------------------------
【千星 那由多】
巽の言葉に絶句した。
後ろからかけられた冷たい言葉に、俺の頭が目まぐるしく回る。
自分で動かなくては、多分巽はずっと動かないつもりだろう。
情けないのと巽への恐怖心で泣きそうになる自分の感情を抑え込み項垂れたまま暫くどうしようかと考える。
しかし、巽は催促するように前立腺を突きあげてきた。
「んんっ!!」
身体が反り、俯いていた顔が自然にあがると、チラリと晴生たちの姿が岩陰から覗いた。
早く、早くしないと…。
頭の中はもうそれでいっぱいになっていた。
小刻みな呼吸を繰り返しながら、俺は塞いでいる口を更につぐむと、意を決してそのままゆっくりと腰を上下に動かし始めた。
「んっ…ぅっ…」
自分が巽の指示で腰を動かしているなんて考えたくもなかった。
だけど、そんな感情とは正反対に、弄られる乳首の先が尖り、全身が熱を持ち始める。
正直敏感なアナルの中にペニスが入ってきていることが気持ちよかった。
萎えていたペニスも半立ちになってきている。
腰を上下に動かすリズムと一緒に水がぶつかり合う音が気になってしまい、早く終わらせなければいけないのに、中々うまく動くことができない。
こんなゆっくりしていたって、巽は果てることはないだろう。
-----------------------------------------------------------------------
【天夜 巽】
俺の命令に従って、那由多は動き始める。
物足りないけど、那由多にしてはよくやってる方かな。
那由多の乳首は既に芯を持つほど尖っていた。
角度だけは前立腺を擦る様に付けてやるが那由多だけならもう限界だろう。
「ほんと、那由多は俺が居なきゃなんにもできないね」
耳元でそう囁くと、俺は急に立ち上がり、結合したまま那由多を前の岩に押し付けた。
那由多からは調度日当瀬が見える位置に顔が来るように。
そこからは夢中で那由多の中を突きあげた。
余り長引かせて夏岡先輩達にまでばれると何を言われるか分からない。
日当瀬だけなら、別にいいんだけどね。
那由多の髪の毛の辺りのキスマークが俺の視界に映ったので、更にその横にもう一つ付ける様に吸い上げながら乳首を思いっきり捻り切った。
-----------------------------------------------------------------------
【千星 那由多】
腰を上下に落としていると、調度巽のペニスが前立腺を擦り上げてくる。
それだけで快感が上って行き、俺は体を小さく震わせた。
早くしなければと焦るほどに行為に集中できない。
すると巽は耳元で囁いた後急に立ち上がった。
「っ!」
前面の岩に押し付けられた途端に、激しく何度も突きあげてくる。
ペニスが岩に触れ、巽が突き上げる度に痛く擦れる。
思わず手に取ってしまうと、それはもうすでに硬く勃起していた。
身体を揺さぶられながら閉じた目を開くと、先ほどまで動かないと見えなかった晴生たちの姿が、湯煙の向こうではっきりと確認できた。
その瞬間に自然とアナルを締め上げてしまい、巽のペニスの感触が余計に伝わってきてしまう。
「んっ!んぅっ!」
突き上げられる衝撃と共に塞いだ口から声が漏れてしまう。
首元に小さな痛みが走ったが、頭はぼんやりとしてしまってそれさえも快感に変わり、ペニスを掴んだ手を無意識に扱いてしまっていた。
やばい…頭、クラクラする…。
脳内が熱を持って全身が膨張するように熱い。
突き上げられながらゆるくなった視線で晴生たちをぼんやりと見ていた。
そんな時、晴生の声が浴場内に響いた。
「千星さん、俺出ます…あれ?」
「!」
心臓が激しく脈打つ。
恐怖心があるにも関わらず、扱いているペニスは更に勃起し、腸壁が巽のペニスに絡みついた。
その瞬間を狙ったように巽のペニスが前立腺を抉る。
「んぐっ!!!」
やばい、やばい、俺、興奮してる。
快感が駆け巡っている全身に鳥肌が立ち、ペニスを逃がさないように中が収縮したのがわかった。
あ…イきそう…もう……!俺…!
「―――――ッ!!!!!」
晴生の声がしてから数秒も経たないうちに、俺は岩へ向かって射精していた。
身体が快感で痙攣し、反り上げた上半身が項垂れた瞬間に赤いものがポタリと湯の中に落ちた。
…血……。
俺は鼻から血を流したことにぼんやりと気づいた後、目の前が真っ白になる。
そのまま後ろにいる巽に寄りかかる様に倒れてしまったようだったが、そこからの記憶はない。
-----------------------------------------------------------------------
【天夜 巽】
俺がめちゃくちゃに突きあげると那由多は果ててしまった。
日当瀬を見ながら。
納得行かないことだらけだったが、俺も那由多の胎内からペニスを引きずり出し、岩へと射精した途端。
那由多がこちらに倒れてきた。
どうやら、逆上せたようだ。
嘘じゃなかったんだなと、思いながら俺は那由多を肩に担ぐ。
「あれ。那由多?逆上せちゃった?
もー、いくら俺と話すのが愉しいからって自己管理くらいしなきゃね。」
白々しくいつもの調子で俺はそう告げる。
すると、日当瀬が慌てて走ってきた。
-----------------------------------------------------------------------
【日当瀬 晴生】
どうやら、千星さんは逆上せてしまったらしい。
俺があんなことをこんな場所でしたのがいけなかったのか。
天夜と反対側の腕を肩に回す。
その時に不意にまた、首の付け根が視界に入った。
あれ…二つ。
さっきは一つだったような…。
くっきりとした赤い痕がもう一つ増えていた。
いや、俺の見間違いかもしれないし、温泉にもしかした蚊が居たのかもしれねぇ。
それより今は早く千星さんを外に出して、水を飲ませるか、頭を冷やさないと。
俺はその時は余り深く考えず、風呂場を後にした。
【天夜 巽】
那由多の顔を見た瞬間なんとなく分かってしまった。
俺は洗い場では掛け湯だけして早々に浴槽へと向かう。
チラリと日当瀬と視線が合うが彼はすぐ逸らして那由多へと言葉を掛ける。
「俺、先に上がりますね。」
「あ、おれ……」
そう言って日当瀬は俺の横をすり抜ける様に浴槽から出て行った。
どうやら夏岡先輩の方へ向って言ったようだ。
後を追うようにして那由多も上がろうとした。
しかも、俺に視線を合わせること無く。
「那由多…まだ、入るだろ?」
俺は那由多にしか聞こえないような声で。
しかも有無を言わせない低い声で囁くように告げ、俺の横を通り抜けようとした那由多の性器を湯の中で鷲掴みにしてやった。
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【千星 那由多】
巽は身体を洗いに行ったかと思うと、掛け湯だけで済ませすぐにこちらへ向かって湯船へと足をつけた。
その行動に俺は余計に焦ってしまう。
無理だ。
あんなことをした後で、巽と晴生と一緒に風呂なんて入れない。
晴生があがると言ってそそくさと湯船から出たのを見て、俺もそのタイミングで一緒に風呂からあがろうとした。
「あ、おれ…」
も、と続ける前に巽の低い声が湯船からあがろうとする俺を静止させた。
一瞬にして上半身に身の毛がよだち、息がつまる。
そしてそのまま巽は湯船の中で俺のペニスを鷲掴みにした。
「っ!!」
ビクンと肩が上がり、俺はそのまま何も言わずにゆっくりと湯船に腰を落とす。
頭の中で心臓の音がうるさく鳴り響き、身体は長時間湯船につかっていたせいで熱く、少し逆上せかけていた。
視線はきょろきょろと泳ぎ、傍から見たら怪しいと丸わかりの仕草だった。
晴生はそのまま夏岡先輩達の方へ行ってしまい談笑している。
俺の今の現状には気づいていないようだった。
少しだけ安心したが、問題はそこじゃない。
「……俺、のぼせそうだから……離して、ほしい…」
俯きながら巽を見ずに小さくつぶやいた。
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【天夜 巽】
「のぼせるようなことしてたの?」
こちらを一切見ない那由多。
それでは何をしていたか言っているのと変わらない。
思わずペニスを握った手に力が入る。
ぐぐ…っと、締め付けてしまうと那由多が痛そうに表情をゆがめたので仕方なく離してやる。
それから、俺は那由多を浴槽の奥、岩の陰へと引っ張っていく。
段差に腰を掛けると、調度腰のあたりまで湯船に浸かる形になった。
「のぼせたくないなら、早く終わらそ?那由多。
立ったままなら足しか浸かって無いから大丈夫だよ。
まさか、日当瀬とできて、俺と出来ないとか言わないよね。
ほらこっちにお尻向けて、さっさと突き出して。」
こちらに向かって尻を突き出せば那由多の体は夏岡先輩たちからは見えないだろう。
顔位はあちらから見えてしまうかもしれないが。
那由多は恥ずかしいの好きだし、調度いいか。
そう思って、突き放す様に掴んでいた腕を離してやった。
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【千星 那由多】
巽に掴まれていたペニスに痛みが走る。
のぼせるようなこと、と言われ完全に晴生との行為がバレていることに恐怖を覚えた。
何も言い返せないまま痛みに顔を歪めていると、巽は俺の腕を引っ張りながら浴槽の奥へと連れて行く。
「…やめ…っ」
逃げ出そうという本能が働いたのか、それを嫌がるように反対方向へと引っ張ったが、巽の力には到底勝てない。
そのまま岩陰へ行くと俺と巽の姿は晴生たちから見えなくなった。
巽の顔は見れないままだったが、有無を言わさない命令のような言葉で大体の表情は想像がついた。
掴んでいた腕を突っぱねられても、俺は動くことができない。
唇が震え、頭の中で冷静な判断さえできなくなっている。
逃げることだってできるはずだ。
でも…。
チラりと巽へ視線を向け、その凍てつくような笑顔に恐怖で身体が強張った。
きっと断れば、こいつは俺を傷つけるためなんでもしてしまうだろう。
俺はおずおずと巽へと背中を向ける体勢を取る。
調度岩が俺の正面の位置になり、顔が晴生たちの方へと向く。
湯気の隙間でかすかに三人の姿が見えた。
俺はそれを見ないよう顔を隠しながら巽に尻を突きだした。
「は、はやく、終わらせて…」
そう言うと唇を痛いくらいに結んだ。
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【天夜 巽】
やっぱり従順であれば従順で有るほど俺の心は満たされていく。
調度俺の顔の前に那由多のお尻が晒された。
小さく締まりのある、双丘を撫でまわす様にしてから、わざと割り開くように親指に力を入れる。
流れ出した、湯にここも弄っていたことが直ぐ分った。
そのまま、指を左右両方の親指を突き入れ割り開くようにして中の媚肉に息をふぅっと掛ける。
「なんだよ、那由多。もう、解し終わってるなら言ってくれないと。
ほら、そのまま俺の上に腰おろして?」
それだけ告げると早々に指を離してやる。
それから、湯の中になる自分のペニスを扱き完全に勃起させると那由多の腰を軽く下へと引っ張った。
「はやくしないと夏岡先輩達、来ちゃうよ?」
いたずらっ子のような声音で、耳元で囁いてやる。
もう、那由多は俺の思うままだろう。
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【千星 那由多】
アナルへと息を吹きかけられると身体がゾクゾクと震え、キュッと入口が締まる。
先ほどの行為での熱はだいぶ冷めたが、まだ少し身体は敏感だった。
「っ!!」
声を出すわけにはいかなかったので、俺は片手で身体を支えながら口を塞ぐ。
解し終わっている、と言われたことで、先ほどの晴生との行為が罪悪感とともに蘇ってきた。
それとともに今のこの場所での巽との行為で、俺のペニスは完全に萎えきっていた。
本当に、俺は何がしたいんだろう。
巽に腰を引っ張られるように下へと降ろされ挿入を促される。
震えているのを隠す様に口に当てていた手を息を止めるように抑え込んだ。
巽は自分で俺に挿入する気配はない、こいつは今の状況を楽しんでいる。
逃げられない。
それなら急いで終わらせるしかない。
いつもいつも、こうやって、俺は流されていく。
俺は眉を顰めながら目を瞑り、そのまま無言で巽のペニスへと自分のアナルをあてがった。
「……っ」
硬くなった先端が入口へと触れると、無意識に挿入を拒むように締めてしまう。
鼻で息を吐きながら身体の力を抜き、俺はゆっくりと腰を降ろしていった。
「んっ…ぅ…!」
すんなりと侵入してきた巽のペニスが、少し敏感な中を刺激するようにずぶりと挿し入り、萎えたペニスが少し反応する。
少し痛みはあったが、腰を降ろしていく勢いで一気に根元まで咥えていった。
そのままの体勢で止まると、巽が早く動いてくれるのを静かに待った。
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【天夜 巽】
なるほど。那由多がのぼせそうと言ったことが分かるくらい中は熱かった。
それだけ長く日当瀬と行為をしていたかと思うと苛立たしい。
俺のペニスが初めはゆっくりと那由多の中に入っていく。
そして、後半は勢いよく腰を落とされた。
余りの熱さ、そして締め付けに俺は思わず悩ましげな吐息を零した。
「あれ?もしかして、俺が動くとでも思ってる?
図々しいな、那由多。
自分で突っ込んだんだからちゃんと、最後まで奉仕して?」
本当は動きたくて仕方が無かったが敢えて相手を傷つける言葉を選んで掛ける。
ペニスには一切触ってやらず、両手で乳首をキュっと摘みあげ、コリコリと指の腹で押しつぶす。
さっさとしろ、と、促す様に小さく腰を揺らし、前立腺を一度だけ突いてやった。
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【千星 那由多】
巽の言葉に絶句した。
後ろからかけられた冷たい言葉に、俺の頭が目まぐるしく回る。
自分で動かなくては、多分巽はずっと動かないつもりだろう。
情けないのと巽への恐怖心で泣きそうになる自分の感情を抑え込み項垂れたまま暫くどうしようかと考える。
しかし、巽は催促するように前立腺を突きあげてきた。
「んんっ!!」
身体が反り、俯いていた顔が自然にあがると、チラリと晴生たちの姿が岩陰から覗いた。
早く、早くしないと…。
頭の中はもうそれでいっぱいになっていた。
小刻みな呼吸を繰り返しながら、俺は塞いでいる口を更につぐむと、意を決してそのままゆっくりと腰を上下に動かし始めた。
「んっ…ぅっ…」
自分が巽の指示で腰を動かしているなんて考えたくもなかった。
だけど、そんな感情とは正反対に、弄られる乳首の先が尖り、全身が熱を持ち始める。
正直敏感なアナルの中にペニスが入ってきていることが気持ちよかった。
萎えていたペニスも半立ちになってきている。
腰を上下に動かすリズムと一緒に水がぶつかり合う音が気になってしまい、早く終わらせなければいけないのに、中々うまく動くことができない。
こんなゆっくりしていたって、巽は果てることはないだろう。
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【天夜 巽】
俺の命令に従って、那由多は動き始める。
物足りないけど、那由多にしてはよくやってる方かな。
那由多の乳首は既に芯を持つほど尖っていた。
角度だけは前立腺を擦る様に付けてやるが那由多だけならもう限界だろう。
「ほんと、那由多は俺が居なきゃなんにもできないね」
耳元でそう囁くと、俺は急に立ち上がり、結合したまま那由多を前の岩に押し付けた。
那由多からは調度日当瀬が見える位置に顔が来るように。
そこからは夢中で那由多の中を突きあげた。
余り長引かせて夏岡先輩達にまでばれると何を言われるか分からない。
日当瀬だけなら、別にいいんだけどね。
那由多の髪の毛の辺りのキスマークが俺の視界に映ったので、更にその横にもう一つ付ける様に吸い上げながら乳首を思いっきり捻り切った。
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【千星 那由多】
腰を上下に落としていると、調度巽のペニスが前立腺を擦り上げてくる。
それだけで快感が上って行き、俺は体を小さく震わせた。
早くしなければと焦るほどに行為に集中できない。
すると巽は耳元で囁いた後急に立ち上がった。
「っ!」
前面の岩に押し付けられた途端に、激しく何度も突きあげてくる。
ペニスが岩に触れ、巽が突き上げる度に痛く擦れる。
思わず手に取ってしまうと、それはもうすでに硬く勃起していた。
身体を揺さぶられながら閉じた目を開くと、先ほどまで動かないと見えなかった晴生たちの姿が、湯煙の向こうではっきりと確認できた。
その瞬間に自然とアナルを締め上げてしまい、巽のペニスの感触が余計に伝わってきてしまう。
「んっ!んぅっ!」
突き上げられる衝撃と共に塞いだ口から声が漏れてしまう。
首元に小さな痛みが走ったが、頭はぼんやりとしてしまってそれさえも快感に変わり、ペニスを掴んだ手を無意識に扱いてしまっていた。
やばい…頭、クラクラする…。
脳内が熱を持って全身が膨張するように熱い。
突き上げられながらゆるくなった視線で晴生たちをぼんやりと見ていた。
そんな時、晴生の声が浴場内に響いた。
「千星さん、俺出ます…あれ?」
「!」
心臓が激しく脈打つ。
恐怖心があるにも関わらず、扱いているペニスは更に勃起し、腸壁が巽のペニスに絡みついた。
その瞬間を狙ったように巽のペニスが前立腺を抉る。
「んぐっ!!!」
やばい、やばい、俺、興奮してる。
快感が駆け巡っている全身に鳥肌が立ち、ペニスを逃がさないように中が収縮したのがわかった。
あ…イきそう…もう……!俺…!
「―――――ッ!!!!!」
晴生の声がしてから数秒も経たないうちに、俺は岩へ向かって射精していた。
身体が快感で痙攣し、反り上げた上半身が項垂れた瞬間に赤いものがポタリと湯の中に落ちた。
…血……。
俺は鼻から血を流したことにぼんやりと気づいた後、目の前が真っ白になる。
そのまま後ろにいる巽に寄りかかる様に倒れてしまったようだったが、そこからの記憶はない。
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【天夜 巽】
俺がめちゃくちゃに突きあげると那由多は果ててしまった。
日当瀬を見ながら。
納得行かないことだらけだったが、俺も那由多の胎内からペニスを引きずり出し、岩へと射精した途端。
那由多がこちらに倒れてきた。
どうやら、逆上せたようだ。
嘘じゃなかったんだなと、思いながら俺は那由多を肩に担ぐ。
「あれ。那由多?逆上せちゃった?
もー、いくら俺と話すのが愉しいからって自己管理くらいしなきゃね。」
白々しくいつもの調子で俺はそう告げる。
すると、日当瀬が慌てて走ってきた。
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【日当瀬 晴生】
どうやら、千星さんは逆上せてしまったらしい。
俺があんなことをこんな場所でしたのがいけなかったのか。
天夜と反対側の腕を肩に回す。
その時に不意にまた、首の付け根が視界に入った。
あれ…二つ。
さっきは一つだったような…。
くっきりとした赤い痕がもう一つ増えていた。
いや、俺の見間違いかもしれないし、温泉にもしかした蚊が居たのかもしれねぇ。
それより今は早く千星さんを外に出して、水を飲ませるか、頭を冷やさないと。
俺はその時は余り深く考えず、風呂場を後にした。
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自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
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怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
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