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初めての告白とセックス④
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∞∞ nayuta side ∞∞
「ん………」
ボヤケた視界に天井が映る。
あまり見慣れない天井に意識がはっきりしない。
エンジン音がするから車の中?
「あ、那由多気づいた?」
「巽?」
そうだ俺、マスターと闇カジノに行って。
そこから、そこから。
「那由多、ストップ…。」
シートを倒した助手席で体が緊張に強ばりそうになったけど、運転している巽の手の甲が俺の額に触れた。
フッと体が弛緩して穏やかな気分になってくる。
巽は直ぐにハンドルを切り路肩に車を止め、ハザードランプを付けた。
「ごめん、手じゃやりにくい…」
そう言うと俺の前髪を上げると額同士がくっつく。
文句を言おうとしたけど、驚くほど身体はリラックスして長く息を吐いた。
俺より体温が高い額に薄っすらと瞳を開くと、小さく微笑んだ巽が居た。
不覚にもドキっとしてしまい、慌てて視線を逸らせる。
ドキってなんだよ、ドキって、男同士だし。
男同士だし?
あれ、俺そう言えば。
巽から物凄いことを言われた気がするし、もっっの凄いこともした気がする。
一気に耳まで真っ赤になる
慌ててガバッと窓側を向いた。
そしたら、巽は困ったように笑っただけでそれ以上は追ってこなかった。
「置いとくね。」
新品のお茶のペットボトルの蓋を一度開けると、ゆるく閉めてから俺と巽の席の間にあるドリンクホルダーへと置いてくれた。
なんつーか、よくよく考えるとコイツって。
いつもは気にならなかった。
巽がペットボトルを持ち歩いてるから俺は持つことはないし、蓋だってこうやって開けてから渡してくれる。
そうやって考えている間に巽はまた車を運転し始める。
俺はペットボトルを手に取るとシートを少し起こしてから唇に飲み口を付けゆっくりと喉を潤した。
「そういや…俺以外ってどうなった?」
「那由多以外?う…うーん、俺も余裕なかったから…、でもあそこの場所には俺達二人とあの悪代官みたいなやつとその取り巻きしか残ってなかったから、他は逃げたんじゃないかな…?マスターの炎も幻影だったみたいで、建物は燃えてなかったし。」
「そっか………」
結局助けられなかった人物を思い出したけど、巽の話を聞くと逃げ出せたと考えればいいのだろうか。
ゴクと、時折お茶を飲むもののしばらく何も言葉に出来なかったがチラチラと視線は巽を見てしまう。
巽はそれに気づいているようで小さく苦笑を零した。
「ごめん……多分覚えてるよね。」
「あ、当たり前だろッ!……あんな!あんなとこ…で」
「だよね…、ほんと、ごめん。気にしないで貰えると助かるな…。《idea》 化の事もあったから…言わないつもりだったんだけど…」
「………ッ。」
「えー…と。避けられたら生きていけそうにないし、…那由多がエネルギー貯め過ぎて爆発しちゃっても困るから…今まで通りとか…無理、かな」
巽にしては珍しく細切れに落ちる言葉に俺の眉がグッと寄る。
俺の中では全く整理はつかないけど、だからって気持ち悪いって突き放すことも、俺にはできそうにない。
「…………わかった。」
そう言うと巽はガバッと、俺の方を向いた。
因みに車は止まってない、進んでる。
「ちょ!!巽!!前見ろ!前!!」
「大丈夫、俺の視野ウサギ並みだから…」
「そもそも、ウサギの視野しらねぇよ!取り敢えず前向け!前!!」
「えー」と、間延びした声が巽から落ちるが仕方なさそうに前を向いた。
なんか急に恥ずかしくなってきて、俺はまたシートを深く倒して瞼を落とした。
「寝る」
「ん、わかった。ありがとね、那由多」
End
「ん………」
ボヤケた視界に天井が映る。
あまり見慣れない天井に意識がはっきりしない。
エンジン音がするから車の中?
「あ、那由多気づいた?」
「巽?」
そうだ俺、マスターと闇カジノに行って。
そこから、そこから。
「那由多、ストップ…。」
シートを倒した助手席で体が緊張に強ばりそうになったけど、運転している巽の手の甲が俺の額に触れた。
フッと体が弛緩して穏やかな気分になってくる。
巽は直ぐにハンドルを切り路肩に車を止め、ハザードランプを付けた。
「ごめん、手じゃやりにくい…」
そう言うと俺の前髪を上げると額同士がくっつく。
文句を言おうとしたけど、驚くほど身体はリラックスして長く息を吐いた。
俺より体温が高い額に薄っすらと瞳を開くと、小さく微笑んだ巽が居た。
不覚にもドキっとしてしまい、慌てて視線を逸らせる。
ドキってなんだよ、ドキって、男同士だし。
男同士だし?
あれ、俺そう言えば。
巽から物凄いことを言われた気がするし、もっっの凄いこともした気がする。
一気に耳まで真っ赤になる
慌ててガバッと窓側を向いた。
そしたら、巽は困ったように笑っただけでそれ以上は追ってこなかった。
「置いとくね。」
新品のお茶のペットボトルの蓋を一度開けると、ゆるく閉めてから俺と巽の席の間にあるドリンクホルダーへと置いてくれた。
なんつーか、よくよく考えるとコイツって。
いつもは気にならなかった。
巽がペットボトルを持ち歩いてるから俺は持つことはないし、蓋だってこうやって開けてから渡してくれる。
そうやって考えている間に巽はまた車を運転し始める。
俺はペットボトルを手に取るとシートを少し起こしてから唇に飲み口を付けゆっくりと喉を潤した。
「そういや…俺以外ってどうなった?」
「那由多以外?う…うーん、俺も余裕なかったから…、でもあそこの場所には俺達二人とあの悪代官みたいなやつとその取り巻きしか残ってなかったから、他は逃げたんじゃないかな…?マスターの炎も幻影だったみたいで、建物は燃えてなかったし。」
「そっか………」
結局助けられなかった人物を思い出したけど、巽の話を聞くと逃げ出せたと考えればいいのだろうか。
ゴクと、時折お茶を飲むもののしばらく何も言葉に出来なかったがチラチラと視線は巽を見てしまう。
巽はそれに気づいているようで小さく苦笑を零した。
「ごめん……多分覚えてるよね。」
「あ、当たり前だろッ!……あんな!あんなとこ…で」
「だよね…、ほんと、ごめん。気にしないで貰えると助かるな…。《idea》 化の事もあったから…言わないつもりだったんだけど…」
「………ッ。」
「えー…と。避けられたら生きていけそうにないし、…那由多がエネルギー貯め過ぎて爆発しちゃっても困るから…今まで通りとか…無理、かな」
巽にしては珍しく細切れに落ちる言葉に俺の眉がグッと寄る。
俺の中では全く整理はつかないけど、だからって気持ち悪いって突き放すことも、俺にはできそうにない。
「…………わかった。」
そう言うと巽はガバッと、俺の方を向いた。
因みに車は止まってない、進んでる。
「ちょ!!巽!!前見ろ!前!!」
「大丈夫、俺の視野ウサギ並みだから…」
「そもそも、ウサギの視野しらねぇよ!取り敢えず前向け!前!!」
「えー」と、間延びした声が巽から落ちるが仕方なさそうに前を向いた。
なんか急に恥ずかしくなってきて、俺はまたシートを深く倒して瞼を落とした。
「寝る」
「ん、わかった。ありがとね、那由多」
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