元戦闘奴隷なのに、チャイニーズマフィアの香主《跡取り》と原住民族の族長からの寵愛を受けて困っています

過去編

11

【九鬼】

彼の言葉に満足そうな笑みを零すと、ペニスから足をどけた。

「ん、その言葉信じるから。あ、もう執事は帰っていいヨ、お疲れ様～♪」

側でずっと頭を下げていた執事をその場から帰すと、逃がさないように繋いでいた鎖を能力で外す。
そして、彼を起こすように鎖を引っ張った。

「じゃ、散歩終わりネ。そろそろリンにご褒美あげないと」

ボクのご褒美という言葉に反応したのか、リンは一度吠えると砂浜を楽しそうに駆け出していく。
そのまま元来た道を辿り、砂まみれになった彼を別荘へと再び連れ帰った。
自分たちの寝室へは行かずに、リン専用のプレイルームへと足を運ぶ。

プレイルームはボク達の部屋と変わりの無い大きさだ。
犬専用の玩具や遊具があり、外に出れない時にリンをここで遊ばせている。
まぁリン用の部屋、と言えばそうなるが、それだけのための部屋ではない。

「ほら、入って」

鎖を引っ張り彼を無理矢理部屋へと入れると、部屋に備え付けてある水道にホースを繋いだ。

「汚れたでしょ？身体洗おっか」

そう告げると冷たい水を彼の身体へとぶっかけてやった。

【神功左千夫】

どうやら今の答えで彼は満足してくれたようだ。
一歩引いた執事に視線だけ流すと少しだけ頭を垂れる。
それからは引っ張られるままに歩いていくが、もう動ける状態じゃなかった。
アナルも尿道も刺激されているのにイけないんだ。

何度も、何度もイきそうになり立ち止まるが、体が痙攣するだけでなんともなかった。
そうしている間に部屋に着く。

先程までの部屋とは異なり、犬用の玩具が沢山置いてあった。
どうやら、ここはリンの部屋のようだ。

床もタイルになっているので膝は痛いままだったが引き摺られるようにしてその中に入った。

「――――――ッ！！！！！！！？……は、……ぅ、つめ………んんッ」

ホースから出る水が僕に掛る。
夏だと言っても体が冷え過ぎてお腹を壊しそうなくらいだ。
少しでも体の熱さが取れるかと思ったがその気配は無かった。
僕はその場で体を丸め蹲る様にして綺麗になるのを待った。

「……くきっ……は、……僕……は、どう……したら……ん、……」

どうしたら、このもどかしさから解放して貰えるのか。
彼がその答えを知っているかは分からないが、もう彼に縋るしか道は無かった。

【九鬼】

彼を見下しながら、汚れた足や身体に水をかけていく。
身体を震わせて濡れて行く彼は、まるで捨てられた子犬のようだ。

「どうしたら？…さぁ、知らなーい。
別にこのままでもいいんじゃナイ？ボクがそんな君を一生面倒みてあげるヨ」

彼の顔へと水をかけながら笑っていると、ポケットに入れていた携帯が鳴った。
着信は巽からだ。
水を彼へかけたまま、片手で携帯を操作する。

「はーい……うん、そなの？……へぇ…それ、おもしろいネ。ん、わかったー頑張ってネー」

巽はこの能力の解除方法がわかったようだった。
「好き」と言わせればいいわけだ。
そして、それを解除すれば、次は「絶頂」になると…。

携帯をポケットへとしまうと、彼の顔から水を逸らす。
内容を気にしているようだったが、特にボクはそこに触れなかった。
彼に解除方法を告げることなくホースの水を止めると、イタズラに微笑んだ。

「さて、リンにご褒美あげるから、ごろんして？」

彼に対し手で「床に寝転べ」という指示を出す。
その行動で気づいたのか、プレイルームで走り回っていたリンが左千夫クンの側へとやってきた。