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九鬼がアジトへ乗り込む当日の話。 九鬼×左千夫 放尿、ブジー使用有り、左千夫幼児退行。
【神功 左千夫】
あの日から九鬼は僕の心まで支配しようとするセックスをするようになった。
正直、初めのただただ欲望を吐き出すだけの玩具として扱われていたほうが僕は気が楽だった。
相変わらず暴力は振るわれているけど、彼は僕を気持ちよくすることを優先させる。
そして、僕が泣いて強請るまでその行為は続けられた。
考えるだけで頭がおかしくなりそうだ。
僕もだいぶ本体に馴染んできた。
気が狂わないうちにさっさと逃げ出さないと、と、思うけれどなかなかチャンスも無ければ、僕を幽閉しただけのリスクを与える手立てが今のところ無い。
学校に行っている間は客と呼ばれる相手や実験に使われているので体力が戻らないという理由もあるが。
不意に、臀部に違和感を感じる。
あの日から贈り物を胎内に入れられたり、それで尿道を弄られたりと言うことは無くなったのだけど。
そもそも、贈り物を持ってこないところを見ると突き返しているのか。
また、何か挿れられたのかとゆっくりと眠りから覚醒していく、本当はもう少し寝ていたかったが仕方ない。
しかし、僕は起きたことを後悔する羽目になった。
重い瞼を上げると彼の私室が広がっていた。
そうだ、昨日は彼の部屋で行為をして……。
余り思い出したくない内容だったので忘れることにした。
それから、直ぐに違和感に気付く。
……後ろに誰か居る。
そう思って振り向こうとした時、下肢の違和感が確定した。
どうやら、僕は寝ている間に挿入されてしまったらしい。
しかも、後ろに居るのは九鬼だった。
彼が情事後、僕と一緒に居ることは無い、朝起きて同じ部屋に居ることはあっても一緒に寝ているなんて、あり得ない。
彼はこう見えても用心深い性格だ。
僕みたいないつ、寝首を掻かれてもおかしくない相手と寝る趣味は持ち合わせていないだろう。
同じ部屋に居ても大体服を確り着込んで壁際に立っている。
それほど、徹底していた。
今までは…。
顔だけ後ろに向け、まだ、少し熱の孕んだ瞳で睨みつけてやる。
「……ッ、なんの、つもりですか?」
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【九鬼】
目が覚めた。
時刻は朝の6時、あまり朝が強くないボクは嫌な夢を見た日ぐらいにしかこんな時刻には目覚めない。
薄い目を数度瞬かせてから寝返りを打つ。
左千夫クンがいた。
ああ、そうだ、昨日は情事後一緒に寝てしまったんだった。
いつもなら彼を別室へ移すかボクが移る。
ただ、昨日だけは何故か彼と一緒にいたかった。今日が最期だから、とでも思っていたからだろうか。
今日の放課後、愛輝凪生徒会のアジトへと乗り込む。
うまく行けばもう彼とはこうやって肌を寄せ合うこともできないんだろう。
正直自分の甘さに落胆したため息を付くと、彼の背中へとすり寄る。
彼の尻に下半身があたり自分が朝勃ちしていたことに気づいた。
昨日あれだけヤってもボクは健康な青少年なのだなと少し笑ってしまった。
彼の髪から香る甘い香りを嗅ぎながら、そのまま先端をアナルへと押し付ける。
甘いのは大嫌いだけど、彼の香りは何故かすごく落ち着いてしまう自分がいた。
ペニスを挿入させると、昨日の今日で彼の中はまだボクの精液が残っているようだったので、思ったよりすんなりと挿入できた。
数度腰を動かしたところで彼が目覚めた。
顔だけこちらへ向けてやぼったそうな目でボクを見つめる。
「あっ起きちゃった?折角寝てる内に気持ちよくしてあげよっかなーと思ってたのに」
そう言って彼へいつもの笑顔を向けると、そのまま腰の動きは止めずに彼のペニスへと手をやる。
「…左千夫クンも朝勃ちしてるネ」
耳元に息を吹きかけるように囁いてから首筋に舌を這わせ、尿道口を開くように爪をたてた。
今彼は鎖で繋がれていない。
こんなコトをすれば無理矢理にでも引っぺがされてしまうだろうか。
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【神功 左千夫】
「は……昨日、散々していただいたので、もう、結構…です。」
丁寧に綴ってやってもこいつには届かないであろう。
しかも、腰を動かされてしまうとまだ、熱が残っていたのか体は反応してしまう。
この短期間で僕の体は彼を受け入れることを容認してしまったかのように甘く疼く。
そのまま、動き続けられると後ろを向き続けることが出来ず、顎を引きシーツに爪を立てる。
彼も朝勃ちしたから挿れた、とでも言いたげな言葉に眉を寄せる。
「生理現象…だから、仕方な……ッ!!」
耳に注がれる声に肌が粟立つ、滑る舌に息を引き攣らせ、いつになく過敏な反応を体は示した。
尿道口を引っ掻く指を剥がそうとした瞬間にフルリと嫌な感覚が体を襲った。
そう言えば、昨日彼を相手にする前の客に水気のものを沢山飲まされていたことを思い出す。
まずい…。
僕はその手を剥がすのではなく、そのまま、自分の性器の根元をグッと締め付ける様に持った。
「九鬼。……ちょっと、待って下さい………ッ」
もう片方の手を背中に回し、動く腰を止めろと言わんばかりにトントンと、叩く。
正直、一度認識してしまうと、揺らされるだけでも結構来る。
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【九鬼】
彼から制止の言葉をかけられると、思った以上に抵抗が小さかったということもあるが、その行動に目を丸くし、思わず腰の動きを止める。
「え?もうイくの?」
そう言った時に彼が根元を抑えているのを手で確認し、射精ではなく別の思考へと制止の意味が繋がった。
「ああ…おしっこ?」
笑みを含めた言葉を彼に投げかけながらペニスを優しく擦ってあげる。
どうやら尿意を感じているらしい。
少し考えた後、ボクは一気にペニスを引き抜き、ベッドから降りた。
トイレへ行けるのかと起き上がろうとした彼を両腕でお姫様抱っこのように抱え上げると、そのままベッドルームから出る。
「いいよ、連れてってあげる」
軽く抵抗されたがそう言うと怪訝そうな表情をしたが大人しくなった。
が、ボクはトイレへ連れて行くつもりはない。
そのまま彼を小さなユニットバスへと連れて行く。
ボクの部屋にはこの間の大きいバスルームもあるけど、あちらは完全プライベートだ。
こちらのシャワールームは基本来客用。
どうでもいいヤるだけの子にこちらを使わせている。
男二人が入るとさすがに狭く、二人立つだけでも窮屈だろう。
そのまま彼を抱えたままドアの鍵を閉め、小さな室内に施錠の音が響いた。
彼を降ろすと後ろから抱きかかえる状態になり、ペニスを放尿する時のように支えてあげる。
「さ、思う存分していいよ?」
そう言って自分の勃起しているペニスを股の間に擦るように小さく腰を動かした。
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【神功 左千夫】
含みなく後ろから告げられる言葉に本当にデリカシーのない男だな、と、思った。
確かに、捕虜の僕に遣う気遣いなんてないのだろうけど。
腰の動きが止まるとホッとした。
案外すんなり離してくれたので気が変わらない内にトイレに行こうと思ったがその動きは止められてしまった。
いぶかしげに相手を見つめたがとりあえずベッドルームから抜けたので部屋の作りを覚えようと視線を巡らせる。
かなり広い私室だ。
僕は数度しか来ていないので、全容は分からないが。
そう考えていたこと自体呑気だった。 この男の本性はこんなものでは無かったと言うことか。
僕が連れて来られたのは簡易なシャワールームだった。
この部屋には幾つ風呂が有るんだ、と、思ってしまったが、僕だけじゃなく彼までが一緒に入ってくる。
はっきり言って僕は小さい方では無い。
いや、はっきりってでかい。
余りの狭さに両手を壁に付いてしまうと、ペニスを下から支えられた。
響く施錠の後に彼から落ちる言葉に表情が青くなる。
「―――――――ッゥゥ!!!!!!」
意味を理解するのに数秒要した。
今この男は何て言った?
しかも、ここはトイレじゃないし、何より後ろに九鬼が居る状態だ。
「何を…、ッ、貴方はどこまで変態なんですか?……こんな状態で、出来る……か!」
思いつく限りの言葉で彼を嬲る。
しかし、それくらいのことで離してくれる男では無いことは今までの経緯で思い知らされていた。
擦り付けられるペニスを遮る様に股を閉じ、自然と臀部を突きだす。
僕の尿意は限界に近かったので小さく体が震え始め、上体を半分捻った状態で、片手を壁から離し、九鬼の肩を押した。
そして、苦し紛れに首を横に振った。
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【九鬼】
彼はやはり抵抗してきた。
でもこの狭い浴室内に二人、抵抗されてもボク自身の身体はなかなか離れることができない。
「別にもっと恥ずかしいものいっぱい見られてるのに今更だヨ。
それともなに、自分で出せないなら無理矢理出さして欲しい?」
お尻を突きだしてきたのをいいことに、ボクは彼の股に挟んでいたペニスをアナルへとあてがい、
そのまま一気に奥へと突き刺し、前立腺をじわじわと擦りあげるように突いてやる。
尿意を我慢しているせいか、中の締まりはかなり良い。
彼が悶絶している間に、頭上の棚へと手を伸ばした。
探しているものがここにあったかはわからないが、中を漁る様に確認すると目当てのケースが見つかった。
それを引きずり降ろすと、横の洗面台へと置き蓋を開く。
もちろん中にはブジーが入っている。
こんな時のために色んな場所にこういうものを置いているボクは、自分でもちょっと呆れるくらい変態だなと口角が上がった。
少し細めのブジーを取り出すと、そこへ手際よくローションを塗りたくる。
腰はゆっくり刺激を送るように動かしたままで、我慢の表情を浮かべている彼の目の前へとそのブジーを晒してやった。
「我慢は身体によくナイからネ」
抵抗されると黙らせるように腰を打ち付けてやりながら、嫌がる手を押しのけブジーを尿道へとゆっくり突き刺していく。
もちろん、前立腺ではなく膀胱の方へと。
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【神功 左千夫】
「………ッあ!!!……ツ!!!」
彼は離すどころかさらなる追い打ちを掛けてきた。
力を入れ狭くなっている腸壁をペニスで掻き分けられると思わず、声が漏れた。
かなり狭い密室だったので、声が反響する。
その、恥ずかしさに思わず口を結んだ。
腰が動いている間はまた、彼の手の無いところの陰茎を握って耐えていた、勿論後ろを気にしている余力など無い。
「―――ッ!!なんで、そんなものが、こんな、……はっ、あ、だめ、だめ、ィ!!!ぁああ!!」
抵抗すると激しく腰を揺さぶられる。
最早片目をきつく閉じ片目だけで現状を見るのが限界だった。
足は内股になり、太腿を擦り合わせる。
ペニスを握っている手に抗うようにブジーは挿入してくるのでその痛みに一瞬手を緩めた瞬間膀胱まで突きたてられてしまった。
「……ぁああ!!!」
狭い浴室で僕の体が弓なりに撓る。
もう駄目だ、今はブジーを差しこまれているので辛うじて我慢できているが、抜かれたらもう無理だ。
僕はブジーを持っている手をカリカリと力無く引っ掻く。
前立腺での快楽に体は震え、射精感も込み上げていたが尿道が塞がっているためそれも叶わない。
収まったブジーを揺らされるだけでもう、死にたくなった。
これだけ、僕の恥ずかしいところを見ているんだから、逆にもう、見る必要は無いだろうと、言ってやりたかったがうまく口が回らない。
汗が、びっしゃりと全身に噴出した。
「九鬼……、おねが…い……、他の事なら……なんでも、…する……から」
生理的な涙を溜め、僕は苦し紛れにそう零すしかなかった。
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【九鬼】
「他の事?」
そう言われた時、ふいに要らない感情が巡る。
そのなんとも自分らしからぬ感情に、小さく笑むとブジーを更に膀胱の方へと突き立てるように動かした。
ボクが本当に彼にしてほしいことなんて、きっとこの先も言うことはないのかもしれない。
今日が彼との最期の行為だとしても。
「そんなこと言ってもダーメ、今は君のおしっこ手伝ってあげてるの。
ちゃんと言ってヨ、「おしっこしたい」って」
もうかなり我慢も限界だろう。
それでもブジーは抜かないまま突いたり止めたりを繰り返し、彼の腸壁をじらすようにゆっくりと突き上げていく。
「ほら、言わないとずっとこのままだよ?」
彼の首筋に伝う汗をくすぐる様に舐め取る。
小さな浴室内に彼の吐息と身体が触れ合う音が響いていた。
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【神功 左千夫】
「―――ヒッ!!!んー……!!」
どうやら何を言ってももう、許してもらえないようだ。
次はもう、尿意を我慢することが難しく、苦痛になってきた。
頭痛はするし、生理現象を押さえる苦痛に吐き気さえする。
ガクガクと体を震わせながら数分攻めに耐えていたが、もう限界だ。
両手を壁に付き、爪先が鬱血するほど爪を立てたまま、小さく青ざめた顔を肩越しに向ける。
「九鬼……も、……無理です……出させて……」
彼に強請りを請うのは何度目だろうか。
聞こえるか聞こえないかの声で喉を震わせる。
何度しても慣れることは無い、この、屈辱感が全身を震わせ、アナルをきゅうっと締め上げた。
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【九鬼】
「んー、ま、いっか」
彼の言葉にボクは少し残念だったが了承した。
本当は「おしっこ」って言わせたかったのに。
そんなことを考えながらボクは狭い浴室内で挿入したまま彼の身体をこちらを向けるように回転させた。
図体のデカい男同士が動くとますます狭く感じる。
彼と向き合う形になると、壁際へ背中を押し付け、腸壁を抉る様に奥へと一度腰を打ち付けた。
「よく我慢できたネ、いっぱいおしっこ出していいヨ」
そう言って彼の顔を見てイタズラに笑い、最後にブジーで膀胱を突くと、ゆっくりと抜いていく。
彼の我慢の顔が少しずつゆるんでいくのをうっとりと眺めながら、全部抜き切ってあげた。
「さ、ドーゾ」
更に刺激するように腰の打ち付けは止めないまま、彼の痴態を見下ろすように見つめる。
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【神功 左千夫】
「ッ――――……!?な、なぜ……う…はッ!」
狭い浴室内で足を曲げる様にして体を回転させられる行為に声無き悲鳴を上げた。
只でさえ限界なのだ。
しかも、背中を押しt蹴られたタイルは冷たく、全身を震わせた。
出すだけでも、かなりの精神的ダメージなのに、この男は何を血迷ったか向かい合わせに体位を変えた。
咄嗟にガシリと相手の両肩に爪を立てる。
どこを見たらいいか分からなかったが、瞼を落とすわけにも行かない僕は、自分の性器に視線を落とす。
今にも吐き出したく、尿道口を開閉させている様は滑稽だった。
しかも、赤く充血している。
「くぅ………ン!……はっ、ぁ、あ……、あ……」
追い打ちを掛ける様に膀胱を突かれた後引き抜かれるとすべて抜き切る前に間から小水が溢れる。
そのもどかしさに顎を引き耐えていると、全てブジーが引き抜かれた。
罪悪感と、背徳感と羞恥。
もう、何が何でどうなのか、そんなことも分からず体は解放を求めていた。
ただ。気持ちだけが追いつかず、眉を寄せたまま恍惚な表情を浮かべ、相手の腹に掛る勢いで全てを出し切り始めた。
我慢していた分長く、中々終わらない。
ジョボジョボと生温かい液体が彼の腹と自分の太腿を汚していく。
しかも、胎内を刺激されているため、思った以上の快楽を失禁から感じで腰が揺れてしまった。
アナルからは昨日の残りの体液が漏れているようで卑猥な音が更に僕を攻め立てた。
既につま先しか付いてない足までもガクガクと震えながら僕は失禁の快楽に酔いしれた。
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【九鬼】
彼の精子ではない生暖かい体液がボクの腹へとかかる。
なんとも情けない痴態。
ボクにこういった趣味は無いけど、彼の恍惚な表情が余計に興奮を掻き立て、思わず身体が震えてしまう。
「すっごい出てるヨ?」
羞恥を煽るように口端を上げて彼に笑いかけた。
床にジョボジョボと音を立てながら流れていく彼の尿は、透明で綺麗だった。
こんなものに綺麗なんて言葉は滑稽に感じてしまうが、聖水と言っている輩の気持ちが少しわかってしまったような気がする。
その間も腰を打ち付けていたが、彼が放尿したことによってボクは満足してしまったのか、
興奮とは反対に妙に満たされた気分になり、彼が全て出し切るのを腰を止めて待った。
彼が出し終えたのを確認すると、ボクの腹付近に溜まった尿に指をつけた。
それを見せびらかすように咥え、味を確かめる。
もちろん、ボクは人の尿なんて自分から舐めたことなどない。
飲まされたことは幾度かあったが。
「んー…苦い!左千夫クンのなら甘いかなと思ったんだケド」
そう言っていつもの笑顔を彼に向ける。
ふいに部屋のチャイムが鳴ったのが聞こえた。
そのチャイムで朝食をフリーデルに持ってくるよう頼んでおいたことを思い出した。
彼のアナルからペニスを引き抜くと、溜まっていた尿が全て下へと落ちる。
射精はしていないので自身のペニスは勃起したままだったが、ボクはシャワーを取って彼の敏感そうなペニスへと汚れを取るように湯をかけた。
「さ、綺麗にしたら朝ごはんにしよっか」
いつもなら朝食なんて後回しでここで最後までヤッていただろう。
けれど、今日はこんなところでする気分でもなかった。
彼のペニスを洗ってやりながら、感情を隠す様に鼻歌を歌った。
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【神功 左千夫】
舐められた……。
失禁後の脱力感が一気に吹き飛ぶ。
矢張りこいつは僕の想像の上を行く。
はっきり言って意味が分からないし、理解も出来ない。
なにがしたいんだ。
「……ン。」
結局射精はしなかったペニスに湯を掛けられる。
敏感なそれを湯で愛撫されるのは辛かったし、少し一人にして欲しかった。
調度チャイムがなった。
これくらいの反抗許されるだろうとシャワーを奪い、相手の顔、そして汚れた下肢にざっと湯を掛ける。
そして、そのまま彼の背中に有る扉の鍵を開けて、突き飛ばす様にして外へと押し出した。
「体ぐらい自分で洗えます。」
本当は見下してやりたかったが、そこまで傷つけられたプライドは回復していなかった。
正直ご飯なんて食べたくもない。
僕はここに入ってから、無理矢理口に入れられたもの以外は食べていない。
食べなくても栄養剤をいれられるので死ぬことも無いだろう。
しかし、そこまで口にすると何を言われるか分からなかったのでそのまま扉を閉め、鍵を掛ける。
外から何か声が聞こえたが、諦めてくれたようだ。
一生ここに居たいと思ったが扉をぶち破られるのがオチだろう。
仕方なく、少し冷たい湯で体を洗った。
打撲で火照った体にはこれくらいが気持ちいい。
胎内も気持ち悪かったので彼が居ない間に掻きだしてしまう。
それから僕はゆっくりとさっきの痴態を忘れようとシャワーを浴びた。
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【九鬼】
追い出されてしまった。
「左千夫クンひどいー開けてよー」
暫く鍵を閉められた浴室のドアを叩いたが、シャワーの音だけで返事なんて返ってくるはずがなかった。
まぁ、いいか。
出てこなかったらここのドアをブチ破るまでだ。
ボクはため息をつくととりあえず下着を履き、フリーデルが用意してくれた朝食を室内へと持って入った。
ベッドの脇に小さい机を置き、二人分のパンケーキ、フルーツ、コーヒーと紅茶を横一列に並べる。
誰かと一緒に朝食をとるなんて何年ぶりだろう。
なんだかむずかゆくなってしまう。
少し気持ちが踊ってしまった自分を沈めるようにに小さく頭を振った。
左千夫クンがなかなか出てこないので、ボクはそのまま浴室の前で壁にもたれかけながら彼を待った。
時刻は7時、もうすぐ学校へ行かなければならない。
このまま時間が止まればいいなんて、女々しいコトを思った後に表情を崩した。
左千夫クンが出てくると、タオルを手渡し腕を掴んで朝食を用意した部屋へと戻る。
「じゃっじゃーん、パンケーキ!
質素だけど一応シェフに作ってもらってるからおいしいはずだヨ。
左千夫クンは甘いの好きだからシロップネ。
ボクはマスタード!」
そう言って彼を無理矢理ベッドの脇に座らせるとボクも彼の後ろにまたがるように腰をかけた。
「さ、食べよっか」
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【神功 左千夫】
シャワー室からでると直ぐに引っ張って行かれる。
タオルで拭いても間に合わず水滴が落ちるがどうやらこの男は気に留めていないようだ。
ベッドに腰かけると目の前には僕の大好物の甘いモノやフルーツが並んであった。
流石にこれには少し惹かれてしまう。
それでなくても、僕はこの長期の捕虜生活で精神的に弱ってきている。
しかも、ここ数日で一気に。
加えて。
後ろの男が悪意なく上機嫌だ。
これにマスタードをつけると言う言葉の暴力を振るわれはしたが、それ以外は年相応の青年に見える。
あの、ドライを体験したセックス前ならちゃぶ台返しを披露していただろうが、どうも、そういう気分にはなれなかった。
目の前のパンケーキはとても美味しそうだった。
………一口だけ付き合って上げましょうか。
後ろの彼と距離を取る様にギリギリに座る。
どうせ、僕には毒は効かない。
それでも用心してわざと彼の前にあるパンケーキの皿を引っ張り、無駄にでかい蜂蜜の入れ物からスプーンで一掬いして、一部分にだけ掛ける。
そこだけ、丁寧に切り取って、蜂蜜が一滴も落ちないようにして口内にフォークを進める。
甘い……。
正直。
ここ最近は精液の味しか口にしてなかった僕には至福の時間だった。
多分、口元は綻んでしまっただろう。
もう一口、と、思ったが、横でパンケーキにマスタードを塗る九鬼の姿を見てしまったので、僕の食事はそこで終了した。
「ごちそうさまでした……。」
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【九鬼】
実のところ、ボクが用意した料理なんて食べないかと思っていたが、案外すんなりと彼はパンケーキを口にした。
甘いものにはめっぽう弱い…ってのは本当だったのか。
ボクは辛いものが好きなのに。
本当に噛みあわないな。
彼が一口パンケーキを食べた後、ボクは彼の後ろから自分のパンケーキへとマスタードをぶっかけた。
しかし、その行為のせいかはわからないが、彼はピタリと食べるのをやめてしまう。
「食べないの?」
そう言いながらマスタードが大量にかかったパンケーキを口へ運ぶと、暫くその辛さを堪能しながら思考を巡らせた。
…いいことを思いついた。
テーブルを少し向こうへと押しやると、ボクはベッドから降りる。
大きな蜂蜜の入れ物を無造作に手に取り、座っている彼の目の前で自分の下着と、下着の中の少し半勃ちなペニスへと大量にぶっかけた。
ひやりとした冷たさに鳥肌がたつ。
蜂蜜を中のペニスと下着こすりつけるようにした後、口端をあげて笑いながら彼に向けて差し出すように先端を向けた。
「パンケーキ食べないなら、ボクのコレ舐めてヨ」
彼はその言葉に不快そうな顔をしてベッドから離れようとしたが、蜂蜜のついた手で肩を掴みとった。
「してくれたら、あの大事なピンキーリング、返すヨ?」
実の所、この捕虜期間に彼にフェラをしてもらったことがない。
噛みつかれてしまうのがオチだからだ。
さすがにボクもそこまで無謀じゃなかった。死ぬのはヤだからね。
口枷をして何度か無理矢理させたことはあったが、ボクは彼が自発的にやってくれるのを望んでいた。
もっと痴態を晒させボクの言うことを聞いてもらうように仕向けるには、交換条件を出せばいい。
あのピンキーリングと引き換えに。
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【神功 左千夫】
「食べましたよ?もう充分です。」
後ろから問いを掛けてくる相手に白々しく返答してやる。
マスタード付きのパンケーキを口に運ぶ様は見ているだけで気分が悪くなった。
どうして僕がこんなに辛いモノが嫌いになったのかはちゃんとは覚えてないが、昔、人から貰った食べ物のせいだったような気がする。
甘いと思ったものが辛かった…そんな、経験だったような…。
そう言えば、九鬼に初めて貰った飴も甘いと思ったら辛かった、そんなことを考えているとツキンと頭が痛んだが思考は彼の行為で引き戻される。
彼は自分の股間に蜂蜜を掛け、更にそれを舐めろと僕に向けてきたのだ。
下着の中までぐちゃぐちゃだろう。
下品もここまで行くと清々しい。
取り合えず、この部屋に居たくなかったので立ちあがろうとすると、ネバついた手で肩を掴まれた。
そして、紡がれた言葉に僕は思わず瞳を揺らしてしまった。
「―――――ッ!!!」
ピンキーリング。
あの指輪は僕がここから抜け出せたら改めて取り返しに来るつもりだった。
もしかしたらもう、捨てられたかもしれないと思っていたものの名前が出てきたことにまず驚く。
それから、僕はその価値を考えた。
僕は何か交換条件を出された時、即ち取引の時は自分のプライドを下げる。
手段より目的。達成出来ることが全てだからだ。
ここで、あれを返してもらえるなら、フェラくらい安いものかもしれない。
別に咥えたことが無い訳でも無い、そんなに自分がきれいだと思っている訳でもない。
寧ろ、プライドすら捨ててしまえばすることにはそんなに抵抗が無い位咥えている。
僕は彼を真っ直ぐに見詰めたまま、暫く考える。
眉間に皺を寄せ、気難しい顔をしていただろう。
それから、僕は決意したようにひとつ溜息を落とした。
「約束ですよ。」
そう告げると、僕はベッドと机の間の床へ跪き、ベッド側へと体を向ける。
それから、立ったままの彼にベッドへと座れと顎でしゃくった。
彼の気が変わらないうちにさっさとやってしまおうと、長い髪を後ろへと流した。
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【九鬼】
「うん、約束。僕は約束破らないカラ」
暫く迷っていたようだったが、どうやら交換条件は成立。
案外すんなりと引き受けてくれたことに少し驚いたが、彼はこれくらいのこと幾度も経験してきているはずだ。
まるで仕事かのように淡々と事を進めようとすることが少し気に食わなかった。
けれど、それほど嫌な思いをしてでも取り返したいピンキーリングは、一体彼にとってどれほどの価値なんだろうか。
ボクがあげたことも忘れてるくせに。
そもそも、ボクの存在自体を覚えていなかったんだろう、君は。
少し表情が曇ったが、彼には見せないままベッドへと腰かける。
跪いている彼を見ると少し優越感が溢れた。
「初めて左千夫クンにフェラしてもらうの嬉しいナ」
そんなことを笑顔で言ったが、彼は表情も変えずボクの方を見向きもしなかった。
そしてそのまま行為を始める。
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【神功 左千夫】
目の前に相手が腰掛けるとその間入り込む。
べったりと、下着を汚している蜂蜜、勿体無いと思いながら、先ずは下着の上から唇を付け軽く吸い上げる。
なんとも言えない不思議な感覚が広がった。
口当たりは最悪だ。
相手がどのようなものを好むかが分からなかったので、そのまま下着の上から唇で性器を食んで行く。
そうすると更に、ぺニスはボクサーパンツを持ち上げていくのでその頂を吸ってやった。
更に下着のゴムの部分を歯で挟み、そのまま引っ張ると下着の中からポロンと零れるように性器が姿を現す。
赤黒いそれは蜂蜜にまみれてとても卑猥だった。
僕じゃなければ、きっと蜂蜜を塗られてない性器を舐める方がマシだと言う意見が大多数かもしれないが、僕は塗られていた方がマシだ。
それくらい甘いものが好きだ。
色々忘れてしまえる気がする。
先ずは蜂蜜を塗りたくるようにぺニスを扱き上げる。
この時点でもう既に僕の手はベトベトだ。
蜂蜜が泡立つほど塗り広げると、先ずは先端にチュッとキスを落とした。
この行為は余りしないのだが、なぜだかしてしまった。
「は………ん……。」
蜂蜜に濡れてない手を九鬼の内股に奥、ぺニスをしごいていた手で陰嚢をやわやわと揉み、
好きなところを探すようにゆっくり、大きく覗かせた舌を表から裏、尿道、雁首、亀頭、側面へと這わせていく。
内股に置いた手で筋肉の緊張を探り、その度合いで感じる場所をつきとめようとする。
チラッと上を向くと目があってしまい、また、すぐ下へと逸らした。
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【九鬼】
左千夫クンの行為を上からじっと眺めていた。
彼が下着へついた蜂蜜を吸い取るように唇を宛がうと、それだけでも腰がうずいてしまう。
丁寧に舐め取られていく蜂蜜と、それとともに刺激されるペニスは半立ちになっていき、思わず熱の籠った息が漏れる。
正直に嬉しかった。
荒っぽく適当にやられてしまうんじゃないかと思っていたが、彼は思った以上に丁寧にボクの下半身を扱ってくれた。
妙に胸の奥がキュッと締め付けられ、自然と笑みがこぼれてしまった。
そのままペニスを扱かれ、それもまたボクの快感をさぐるように卑猥な舌で舐めていく。
まぁ、彼はフェラをするというより、この蜂蜜のおかげで少しやる気になってくれているのだと思うが、さすがに手慣れているのかかなり気持ちよかった。
すぐにその快感でペニスは固くなっていき、ゾクゾクと全身に鳥肌がたっていく。
「……は……っ…きもち…」
彼の行為を目を離さずにずっと見守っていると、チラリとこちらを見上げた視線が絡んだ。
しかし、すぐに逸らされてしまったので、ボクは彼の頬に蜂蜜がついた両手を添え、こちらを向かせるように顔をあげる。
「目…逸らさないで、そのままボクのこと見て…」
熱の籠った小さく掠れた声で左千夫クンに言葉をかけ、小さく笑った。
その声は酷く優しく、自分でも少し気持ち悪かった。
いつもフェラをされている時は、無理矢理顔を向かせるように頭を鷲掴みにしたりすることばかりだし、構わず一気に咥内にペニスを突っ込むこともある。
甘い香りのするこの空間に、ボクは完璧に酔ってしまったんだろうか。
……気分が悪いナ。
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【神功 左千夫】
引っかかっている下着はそのままに行為を進めていく。
あれだけ人の口に無理矢理突っ込んでおきながら、どうやら甘くされるのも好みのようだ。
べったりと頬に蜂蜜が付着する。
その感覚は不快だったが相手の表情が余りにも嬉しそうで、聞いたことの無い優しい声音だった為暫くは休戦かと、仕方なくそのまま行為を続ける。
「……見ていても、見ていなくても変わらないでしょうに……、ッ……ん。」
上にある相手に視線を向けたまま大きく口を開き、裏筋を舌で包み込むようにしながら根元まで頬張る。
じゅるりとわざと大きな音を立てて吸い上げると口いっぱいに甘い香りが広がった。
そのまま大きな動きでぐちゅぐちゅと頭を前後させる様にしてペニス全体を唇で擦り上げていく、相変わらず視線は上げたままで相手を見つめる。
長大なペニスが喉を刺激するのでどうしても悩ましげな表情になる。
太腿の手でそこを撫で。
蜂蜜に塗れた手で陰嚢や根元の辺りを刺激していく。
相手の呼吸が上がってきたところで浅く咥え直し、頬を掴んでいる手から逃げる。
弱そうな部分を舌でつつき、尿道をぐるりと尖らせた舌先で回す様に舐める。
それから、手で扱き上げながら、陰嚢を順番に吸い上げる。
そこまで、甘い味がして、はぁ…、と、思わず熱のこもった息を吐いてしまった。
「フフ……もう、イきたそうですね。」
案外、何も感じないのではと思ったのだが、思った以上に九鬼は僕の口淫に酔ってくれた。
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【九鬼】
左千夫クンがボクの言う通りにこちらを見てくれた。
視線を外さないままじっと彼の行為を見つめる。
見ていても見なくても一緒だと言われたが、ボクの中ではまったく違う。
視覚で感じることは大事だ。
今ボクのペニスを咥えているのが彼なら尚更に。
大げさにしゃぶっている音が更に興奮を押し上げていく。
「…は……ぁ…」
自然と吐息が漏れ、うっとりと彼の咥内をペニスで感じる。
悩ましげな表情と彼の口から自分のモノが抜き差しされる光景はなんとも言えない幸福感であった。
風呂場での行為の時はイかなかったので、正直このまま続けられるともう持たないと思っていたが、彼の言葉にボクは口端を上げて笑った。
「だね、もうダメかも」
そう言うとボクは彼の頭を撫でるフリをしてそのまま後ろのテーブルの裏へと手を伸ばした。
そこにあらかじめ張り付けていた催淫剤の入った注射を引っぺがし、ペニスから口を離した隙を狙って、素早く彼の首筋へとそれを突き刺した。
彼の顔は自分がされた行為に気がついたのか、一瞬にして表情が歪んだ。
首筋を抑えた彼の両腕を抱え上げ、ベッドへと押し倒すようにボクとの位置を逆転させる。
「だから、そろそろ始めよっか」
そう言ってボクはベッド横の棚から再び注射を取り出し、彼に見せつけるように小さく振ってみせた。
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【神功 左千夫】
「………ッ!!」
首筋に走る痛みには覚えがある。
その通りなら僕が最も苦手とするものだ。
そちらに意識を奪われている間にベッドに押し倒される。
やはり、僕の思った通りの代物だった。
情事中の注射なんて碌なものが無い。
しかも、首となると下手をすれば空気が入って即死する。
それでなくても脳に近い部分だ。
裏切られた。
予測してなかった訳ではない。
ただ、この行為で指輪を取り返せたらいいと思ったからやったまでだ。
なのに、酷く落胆している自分が居た。
こんなこと慣れている筈なのに。
「……初めから返すつもりなんて無かったんですね。」
苦笑交じりに小さく落とす。
思いっきり相手の腹部を蹴ろうとしたが、視界に注射針が入った瞬間体が萎縮してしまった。
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【九鬼】
彼が苦く笑ったのを見て、少し心が痛んだ。
別に痛むことなんてないのに。
ボクは嘘をついていない。
でも、この反応は少しキツいものがあった。
「……ちゃんと返すよ?絶対約束は破らない。
でも、今返すなんてボクは言ってないでショ?」
自分の思いを拭うように同じように笑ってみせると、目を薄く開き彼の表情を見る。
注射を見た瞬間に身体が萎縮した彼の腕を手にとり、針を突き刺した。
どうやら彼は注射が嫌いなようだった。
今まで散々なコトがあったんだろう。
注射を見た彼の態度からするとかなりのトラウマみたいだ。
そのまま抵抗もせず従順になっていく彼は、彼ではないような気さえした。
だけどボクは構わず彼をベッドにきちんと乗せてあげると、上にまたがりそっと顔を近づけそのまま唇を軽く落とした。
「気持ちよくしてくれたお礼に、君も気持ちよくしてあげるネ」
そう言うとボクはテーブルの上に乗っているマスタードを手に取った。 そのまま彼の腹へとぶっかけると、身体のいたる所にある傷口へとわざと塗り込んでいく。
もちろんペニスとアナルにも有無を言わさずに広げて行った。
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【神功 左千夫】
九鬼が何か話していたがうまく聞き取れない。
そんなに自分に取って何がショックだったかは分からないが気力が削げた。
しかも、もう一本腕に刺されてしまった。
痛い…。
もう嫌だ…。
その思いが頭を支配すると僕の精神は退行してしまった。
嫌なことから逃げるように。
ココは?
あれ、研究室で…。
また、意識を失ったのかな。
「……ッ。」
僕の体から注射の針が抜かれていく。
何の注射だろう。
しかも、体全体が痺れていてとても痛い。
電流か何か、流す実験でもしているのかな。
そんなことを考えていると体が熱くなってきた。
研究員の顔を見ようと目の前の相手を見上げると、飴をくれたあの子が居た。
あれ、違う。
彼はこんなに大きくなかった。でも、似ている…。
あれ、…僕も大きくなってる?
なんの実験だろ…。
そう思ってると唇が降ってくる。
どうやら、今からするのは実験ではなく、いつもの実験の後のお遊びのようだった。
「―――――――ッ!!!!ぁ………ぁ!…・……ンッ」
僕の体は傷だらけのようで彼が塗り広げていくマスタードがしみて痛い。
声を上げそうになったが、相手の嗜好が分からない。
悲鳴なんて上げたら殴られるかもしれない。
目もとに涙を溜めながらシーツを握り締め必死に耐えていると、それはアナルやペニスまで広げられていった。
自分のものとは思えない大人の性器に塗り広げられると背が弓なりに撓った。
尿道がヒクヒクとわななく。
なんだか、体も熱くて堪らない。
完全にペニスは勃起し、汗が噴き出る。
体が揺れ空気に触れるたびに激痛が走る。
それでも、ガクガクと震える足を閉じること無く広げたまま時間が過ぎるのを待った。
「………はっ………も…………ッぅ」
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【九鬼】
彼の身体に塗り込んだマスタードを丁寧に舐め取っていく。
拘束もしていないのに抵抗すらしてこない。
物凄く従順な彼の表情は、いつもと違い幼く感じられた。
注射のトラウマが蘇り、幼児退行でもしたのか?
下半身へと顔を寄せ、彼のペニスを貪るように丁寧に味わっていく。
そのペニスは固く勃起し、薬の効果も効き始めているようだった。
先ほどまでの甘い香りがマスタードでかき消されていき、気分の悪さがかき消されていく。
そのまま開かれたままの足を彼の顔元まで掲げ上げ、身体を曲げ込んだ。
股の間から覗く彼の表情を見ながら、アナル付近のマスタードを舌先でなぞる様に舐めて取ったり、音を立てて吸い付いたりしてみる。
その行為も受け止め、突き放そうともしないので、やはり本当に幼少期に退行しているのかもしれない。
試しに、と彼の目をじっと見つめながら問いかける。
「…ボクのコト、覚えてる?」
まるで幼いあの頃の彼に声をかけるように優しく言葉をかけ、返答を待つ間も、執拗にアナルや陰嚢、ペニスを音を立てながら啄んでいく。
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【神功 左千夫】
僕に塗り広げられたマスタードを舐め始めたので少しぎょっとした。
辛くないのかな…。
思考がうまく働かない…。
これはきっと、薬か何かの作用だ。
体中痛かったけれど、彼の舌が触れた部分は痛みが治まる気がした。
ゾクゾクする…。
これが、いつも、言われる‘気持ちいい。’なのかな。
呼吸がうまくできなくてはぁ、はぁ、と胸を上下させているとあられもない姿になった。
大人の性器が目の前にある。
僕の体なんだけどなんだか恥ずかしくて一瞬視線を逸らす。
「ふっ……ぁ………ぅ、あ……汚な……ィ、……ッ!!!」
舐められている間はいいが舌を離された瞬間にその倍は沁みる。
つま先を曲げたり伸ばしたりすることで耐えていたが敏感な部分になってくると耐えるのが辛くなってきた。
真っ赤に染めた顔で相手を見上げ、苦しさに眉を寄せる。
不意に落ちてきた疑問に目を見開く。
「――――――――ッ!!」
唇が‘あめ’と、模るが声は出なかった。
いや、そんなはずはない、彼はこんなに大きい筈が無い。
と、言うことは研究員だ。
それなら、僕は一度名前を聞いただけで覚えている筈だ。
覚えて置かないと痛い目を見ることが多いからだ。
しかし、彼は見たことも聞いたことも無い。
視線が泳ぐ。
僕が頭にある見たことは無いが名前だけ知っている研究員のリストにも彼の容姿に当てはまるものは無い。
当てずっぽうで答えて間違えたときの方が恐ろしい。
ゴクリと大きく喉を動かしてから、緊張に渇いた唇を開く。
「ごめんなさ…い。覚えて…ません。
今度は…きちんと名前、覚えますので、もう一度教えて……下さい。」
何とか、最後まで伝えきったが体の震えは止まらない。
体を滑る唇。焼けるような刺激。
熱くて熱くて仕方ないのにどこか頭の中だけ冷えていた。
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【九鬼】
彼がボクの質問に返事を返す。
その声は震え、怯えた表情だった。
そう言えば彼にはあの時ボクの名前を教えてなかったな。
だが、九鬼という名前も言えないということは、今の彼の精神は彼であって彼ではない。
「…終わってから教えてあげるネ。
大丈夫、ボクは君のトモダチだヨ、怯えないで」
まるで小さな子供を相手しているようだった。
あの頃の左千夫クンを。
ボクはある程度彼の下半身のマスタードを舐め取ると後ろの壁へと彼をもたれかけさせる。
そして、ベッド脇の机に置いていたブジーの入った蓋を開けた。
何をするのかと、怯えた表情で身を縮め座っている彼の前へと座ると、ブジーにローションを塗り込んでいるのを見せつけながら彼に微笑む。
「これネ、今の君の身体がダイスキなモノなんだ。
おちんちんの先に挿入するとネ、とっても気持ちいいヨ」
そう言って彼の手を取りブジーを手渡してあげた。
困ったような表情をしていたので、興奮させてあげようと、アナルへと指を這わせる。
そのまま一気に指を二本挿し込み、前立腺を擦り上げた。
「大丈夫、すぐに気持ちよくなるヨ。
だから君の手でやって欲しいナ」
怖がらないように、なるべく優しく彼へと言葉をかけた。
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【神功 左千夫】
「トモダチ……?じゃあ、あの時の……?」
相手の言葉を小さく反芻する。
小さすぎたのか、聞こえなかったのか、彼は僕から離れていく。
取り合えず、名前を知らないことで殴られることはなさそうでホッと息を吐く。
見たことが無い道具が出てくる。
それを手渡されながらこれを尿道に入れろと言われた。
……入るものなのか。怖い…。
命令は絶対だ本当なら直ぐにでも取り掛からなければならないのに逡巡してしまった。
すると、彼が近づいてきた、しまった。と、思った時には遅く、アナルに指を挿入されてしまった。
てっきり痛みが上がるのかと思ったが僕は確かに気持ちいいと感じてしまった。
「……あ!……んん……?……は。なに……」
まだ熱くジンジンするアナルが更に熱くなる。
残っているマスタードが広げられたのか奥まで熱い。
こんなの初めてだと思って相手の顔を見上げると、そこにはどこか優しげな表情をした相手が居た。
トモダチならずっと優しいままなのかな?
その思いの抱きながら手の中の道具を見つめる。
挿れなきゃどうなるか、分からない。
更に壁に深く凭れるようにするとローションの滑りを借りて挿入していく。
「―――はぁッ!!ィ……ンー!!………ッ」
思ったよりはすんなり挿入できた。
この体はこういうことに慣れているのかもしれない。
それでも、焼けるような痛みが走る。
ポロポロと涙を零しながら、アナルで暴れる指をギュギュっと締め上げる。
真っ直ぐ挿入したらいいのか、どこまでいれるものなのかが分からなくて半分位挿入したところで相手を見上げた。
「……もっと、…挿れます……か?」
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【九鬼】
ボクの指示に従ってくれる様に興奮を覚える。
いつもの反抗的な彼も好きだが、こんな左千夫クンもたまにはイイ。
彼の目からぼろぼろと零れる涙を汚れていない手の甲で拭ってあげながら、アナルへの刺激を続けていく。
なんとも不思議な感覚だ。
もし、あの頃の彼を買えていたのなら、こんなセックスをしていたのだろうか。
「うん、もっと気持ちイイところまで挿れてみて?」
そう答えると二本の指で前立腺を何度も押し上げる。
彼の声や喘ぎはいつも以上に甘ったるかった。
いつもはどこかトゲトゲしいが、この頃はまだ少しは純粋だったんだろう。
いや、恐怖から従順になるしかなかったのか。
正直ボクも性格がイイとは言えない。かなり歪んでいる。
でもそれは、あの時左千夫クンを手に入れられなかったことから全てが始まっている気がする。
また感傷的になってしまう自分を抑圧しながら、彼の竿に唇を宛がい、扱くように顔を上下へと動かした。
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【神功 左千夫】
「はぁっ!……あ!っ……ッ、…はい……ぁ………あっ!」
気持ちいい…。
これが快楽と言うのだろう。
いつもは痛いだけなのに今日はとても、気持ちいい。
トモダチとしているからかな…。
彼が諭すままに道具を沈ませていく。
痛みは有ったが不思議と恐怖はなかった。
尿道側の細い棒も不意に何かを引っ掻く。
「ァアア!!はっ……な…にっ…?……ッ気持ち……いい……よぉ…」
尿道側の前立腺に当たる。
そうとは知らないが一度気持ちいいところをおぼえてしまうと手は止まらなかった。
ぐちゅぐちゅとローションを泡立てながら棒を抜き差しする。
彼の唇が滑るぺニスが震え、彼の顔を挟み込むように脚を閉じてしまう。
アナルも熱くて堪らない…。
段々と相手意外考えられなくなってくる。
気持ちいいがもどかしい、そんな感覚のまま困惑した表情と赤い舌を覗かせながらも手は止まることはなかった。
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【九鬼】
ブジーが前立腺に達したのか、彼はおもむろに抜き差しを繰り返していた。
「は…すっごい…カワイイ…」
その光景に下半身は熱くなっていき、熱のこもった吐息のような声が漏れる。
彼に挿入してくてたまらない気持ちが膨らみ、アナルの指を引き抜くと、ペニスを擦り付けるように彼との距離を縮めた。
「ボクの挿れてあげる…一緒に気持ちよくなろっか」
もったいぶる様に何度かアナル周辺を先端でなぞり、ゆっくりと挿し込んでいく。
マスタードや蜂蜜の残りが混ざり合ったのか挿入はかなり楽だったが、締りのいい腸壁が固くなったペニスに絡みつくと快感で小さく声が漏れた。
そのまま彼の唇ギリギリのところまで自分の唇を寄せるとキスはせずに、息を荒げながら淡紅色の瞳を見つめる。
そして、ゆっくりと前立腺を擦るように大げさに奥まで力強く突き上げていった。
「今、だから言う、けど…っ…君を、買えなかったコトっ…後悔してるっ…」
突き上げていく振動で息を詰まらせながら目を逸らさずに言葉を口にした。
退行が戻った彼に言っても、多分この意味はわからないだろう。
いや、わからないからこそ、今の彼にボクは伝えているのかもしれない。
「指輪っ、大事に、してくれてっ…嬉しかったヨ」
そう言って少し微笑むと、覗いた舌を絡め取るように咥内を荒らしていく。
腰の動きに緩急をつけながら、彼の髪をそっと撫でた。
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【神功 左千夫】
視界に完全に入った男のペニスに息を呑む。
それでも、自らゆっくりと受け入れるように足を開き、腰を突きだす。
焦らされるようにアナルの周りを擽られる、それから一気に熱の塊が押し入ってきた。
「――――――ッん!!!は……な…に?……、ん……ぁ、じゃあ、君……はっ」
買えなかったと彼は言った。
僕の記憶と合致する、その銀色の瞳、銀色の髪。
何よりも僕をトモダチと言う、君。
僕の濡れた瞳に彼が映った。
「ん、ぁあ、あ!!……はっ、また……会えたッ……指輪ッ、返せ…た?……ちゃんと、……受け取っ……れ……た?―――ン!!」
口内に隠していた筈の指輪は今は無かった。
傷はあるので大人になっているがこれは僕の体なのかな。
彼が、嬉しかったと言うことはきっと指輪は返せたんだろう。
本当は言う通りに尿道の道具を動かさないといけないのだろうけど、僕は彼の首に両手を回した。
深く絡んだ相手の咥内は酷く辛かった。
あの時に貰ったあの飴みたいだ。
キスの仕方なんか分からないが、舌を絡めることは分かる。
拙いままに舌を伸ばし、絡め吸い上げる。
足までも相手の腰に絡めると、密着しすぎたせいか、ペニスからはみ出している道具が相手の腹に擦れて、ビクンっと全体が撓った。
きもちいい。
セックスってこんなに気持ち良いんだと初めて知った。
僕の淡紅色の瞳に映る彼を見つめながら、キュウっと腸壁がペニスを締め上げた。
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【九鬼】
どうやらこの時期の彼はボクの事を覚えてくれているようだった。
自然と笑みがこぼれると、更に強く突き上げてしまう。
抱きしめられ密着している肌が酷く熱いのが何故だかわからなかった。
拙い舌使いがまた愛おしくてたまらない。
誘導するように舌を絡めあうと、彼が離したブジーを手に取り、前立腺を突いていく。
腰の動きも早めていき、更に快感を煽っていく。
ボクもだいぶ限界に近づいてきていた。
「…指輪はっ、返してもらったヨ…でも…大人の…君にっ…またあげる……、だから…ッ」
この後に続けるはずの言葉は今の彼には言わなかった。
無駄だと思ったからだ。
言うのであれば、ちゃんと大人の精神に戻った彼に言いたかった。
そのまま言葉を濁すように腰を思い切り打ち付け、射精へと近づいていくボクは、彼の耳元へと顔を埋める。
「はっ…、も、中に…ッ出すネ……。
最後に、ボクの名前……っ」
彼の耳元でボクの名前を小さく囁いた。
もちろん、九鬼ではない、本当の名前を。
ボクはこの本名が嫌いだ。
母がつけてくれたことには感謝しているが、あまりにも綺麗すぎて、今のボクには不釣合いな気がしているからだ。
囁いた後、再び彼の顔を見つめる。
ブジーで前立腺を小刻みに突き上げながら、ペニスも集中して激しく打ち込んだ。
「誰にも…内緒だ、ヨ?……………ッ――――!!!」
そのまま彼のゆるんだ表情を見ながら、ボクは精液を開放した。
身体が快感で震えながらも彼の中へすべてを注ぎ込むようにゆっくりと腰を動かす。
荒い息を繰り返しながら、左千夫クンの頬に手を当てると「最後」と言うように彼に長いキスを贈った。
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【神功 左千夫】
「はぁ……ン!!……ぁ、ああッ、あんな…高価な…モノ…頂けない……ひゃぁ!!……ッ、…奥まで……ッ」
胎内を掻きまわされる行為が堪らなく気持ち良い。
セックスを再認識させられた瞬間だった。
彼は大人の僕にまた、指輪をくれると言った。
と、言うことは今の体は大人の僕…?
呑みこめないことがいっぱいだが、彼もなぜだか、大きいのでこんなことも有るのかもしれない。
言葉を遮る様に突き上げられると変な声が出た。
駄目だ、頭が真っ白になって―――。
最後と言いながら耳元で彼の名前を教えて貰った。
秘め事みたいでちょっと特別な感じがして嬉しかった。
「――――ッ!!―――ぁ、ああ、……ッ!!ぼく…も、ぁああ――、―――ッ、――!!」
教えて貰った名前を何度も相手に耳元で呼んだ。
首に回した手で更に相手に抱きつく。
いつの間にか仰向けに寝転んでいるのと余り変わらない体勢になってしまった。
許容を超えた快楽に耐えるように自分の腕に爪を立てる。
相手が最高潮に達した時に僕も何かが弾けた。
ペニスがビクビクと震え棒を押しだそうとしていたが、確りと嵌ったそれは抜け出ることは無く何も出せなかったが。
熔けそうなほど気持ち良かった。
同時に胎内が精液を求めるように波打つ。
そのまま、相手は事を終えたようだ。
動きが単調になってくると、キスをした今までで一番長いキス。
まるで、これが最後だと言われているようで嫌だったので、唇が離れると頬に添えてある手を片手で掬い上げる。
てっきり、指しか掴めないと思ったが僕の手も同じくらいの大きさだったので、指を絡めるように握り締めた。
「捕まえました…よ。……僕とトモダチになってくれる…んでしょ?……次は、逃がしません……から。」
幸い、僕達を隔てていた檻は今日はもう無かった。
あの日離して後悔した手を僕はもう一度捕まえることが出来た。
そして、屈託なく笑ってみせる。
きっと、このまま捕まえておけることは無いんだろう、それでも今だけでも捕まえて置きたかった。
僕を初めて人として認めてくれた彼。
僕の宝物。
「僕は……指輪なんかより……」
――――――――――君が欲しい。
それが言葉になるより早く僕は意識を手放した。
その手を掴んだまま。
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【九鬼】
彼の頬に触れた手を握りしめられた。
離さない、とでも言いたげな彼のその行為に思わず苦笑してしまう。
トモダチ…か。
そういえば、そんな単純で純粋な関係を求めていたんだな、昔は。
今はと言うと、欲望に汚れてしまって、ただただ彼が欲しい一心だ。
トモダチなんかの枠で収まらなくなってしまった。
「そうだネ…もう、君とボクはトモダチだヨ……ボクだって、逃がさない」
彼の屈託のない笑顔につられるように微笑む。
純粋なその笑みを、大人の彼の顔で見れるとは思っていなかったので、胸の奥が感動で少し震えてしまった。
彼が言葉を言いきる前に気を失うと、だらりと肩へ項垂れるように寄りかかって来た。
起こすようにトントンと背中を叩いても起きる気配はなかった。
力尽きちゃったかな。
彼を再び優しく抱きしめ、ベッドに仰向けに寝かせてあげる。
ブジーをペニスから抜き取ると、塞き止められていた精液があふれ出した。
軽くふき取ってあげてから、近くのシーツを身体にかける。
いつもはこんなコトはいつもしないんだけど、今日だけは特別。
そして、眠っている彼の髪を整える様に撫でながら小さく囁く。
「今日(裏)生徒会のアジトに乗り込むつもりなんだ。
うまく行けばもうこの闘いも終わるネ。
だから、こんなコトするのも今日で最後」
こんなことを言っても彼は目覚めないし、完璧にただの独り言だったが、ボクは構わず続けた。
「闘いが終わったら、指輪は返すから、それまで眠ってて」
彼の唇に軽くキスを落とすと、名残惜しさを抑え込んでベッドから降りた。
時刻は8時を周っていて、登校の時間が近づいている。
身体は色んな液体でドロドロだったので、まずは風呂に入らないといけない。
ベッド脇の鍵がかかった机を開け、指輪の入ったケースを取り出す。
それを手に取ると、彼の顔は見ないまま部屋から出て行った。
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【神功 左千夫】
あれからどれくらいの時間が経っただろう。
僕は意識を取り戻した。
九鬼が精神が退行した僕に話したことは全て記憶に残っていた。
そう、僕は幼い僕と記憶を共有した。
彼の事を全て思い出した。
あの、牢屋で交わした約束、なぜ指輪を大事に持っていたかも。
それと同時に酷く頭痛と、共に思い出したくない記憶までも共有していく。
「――――――ッぅ!!!!!」
人は酷い苦痛を受けると忘れるように出来ている。
壊れない為の防御だ。
しかし、僕は九鬼との記憶を取り戻したが為に、一番酷かった研究施設での出来事も全て思い出した。
それでも、忘れているよりもずっといい。
体を起こすと僕に掛っていたシーツがひらりと体から落ちる。
そこに含まれた優しさを知ってしまった僕はもうここに居てはならない。
九鬼は幼い僕の記憶が僕と共有するとは思ってなかったのだろう。
でないと、彼の心の奥まで聞けるはずがない。
そう考えている間に家政婦のような者が部屋に入ってくる。
逃げるなら今しかチャンスは無いと考え、僕はその人物と瞳を合わせた。
彼に愛輝凪(裏)生徒会を壊させる訳にはいかない。
また、彼を一人にすることになる。
僕は奥の手の瞳術を使ってこの部屋から逃亡した――――。
【神功 左千夫】
あの日から九鬼は僕の心まで支配しようとするセックスをするようになった。
正直、初めのただただ欲望を吐き出すだけの玩具として扱われていたほうが僕は気が楽だった。
相変わらず暴力は振るわれているけど、彼は僕を気持ちよくすることを優先させる。
そして、僕が泣いて強請るまでその行為は続けられた。
考えるだけで頭がおかしくなりそうだ。
僕もだいぶ本体に馴染んできた。
気が狂わないうちにさっさと逃げ出さないと、と、思うけれどなかなかチャンスも無ければ、僕を幽閉しただけのリスクを与える手立てが今のところ無い。
学校に行っている間は客と呼ばれる相手や実験に使われているので体力が戻らないという理由もあるが。
不意に、臀部に違和感を感じる。
あの日から贈り物を胎内に入れられたり、それで尿道を弄られたりと言うことは無くなったのだけど。
そもそも、贈り物を持ってこないところを見ると突き返しているのか。
また、何か挿れられたのかとゆっくりと眠りから覚醒していく、本当はもう少し寝ていたかったが仕方ない。
しかし、僕は起きたことを後悔する羽目になった。
重い瞼を上げると彼の私室が広がっていた。
そうだ、昨日は彼の部屋で行為をして……。
余り思い出したくない内容だったので忘れることにした。
それから、直ぐに違和感に気付く。
……後ろに誰か居る。
そう思って振り向こうとした時、下肢の違和感が確定した。
どうやら、僕は寝ている間に挿入されてしまったらしい。
しかも、後ろに居るのは九鬼だった。
彼が情事後、僕と一緒に居ることは無い、朝起きて同じ部屋に居ることはあっても一緒に寝ているなんて、あり得ない。
彼はこう見えても用心深い性格だ。
僕みたいないつ、寝首を掻かれてもおかしくない相手と寝る趣味は持ち合わせていないだろう。
同じ部屋に居ても大体服を確り着込んで壁際に立っている。
それほど、徹底していた。
今までは…。
顔だけ後ろに向け、まだ、少し熱の孕んだ瞳で睨みつけてやる。
「……ッ、なんの、つもりですか?」
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【九鬼】
目が覚めた。
時刻は朝の6時、あまり朝が強くないボクは嫌な夢を見た日ぐらいにしかこんな時刻には目覚めない。
薄い目を数度瞬かせてから寝返りを打つ。
左千夫クンがいた。
ああ、そうだ、昨日は情事後一緒に寝てしまったんだった。
いつもなら彼を別室へ移すかボクが移る。
ただ、昨日だけは何故か彼と一緒にいたかった。今日が最期だから、とでも思っていたからだろうか。
今日の放課後、愛輝凪生徒会のアジトへと乗り込む。
うまく行けばもう彼とはこうやって肌を寄せ合うこともできないんだろう。
正直自分の甘さに落胆したため息を付くと、彼の背中へとすり寄る。
彼の尻に下半身があたり自分が朝勃ちしていたことに気づいた。
昨日あれだけヤってもボクは健康な青少年なのだなと少し笑ってしまった。
彼の髪から香る甘い香りを嗅ぎながら、そのまま先端をアナルへと押し付ける。
甘いのは大嫌いだけど、彼の香りは何故かすごく落ち着いてしまう自分がいた。
ペニスを挿入させると、昨日の今日で彼の中はまだボクの精液が残っているようだったので、思ったよりすんなりと挿入できた。
数度腰を動かしたところで彼が目覚めた。
顔だけこちらへ向けてやぼったそうな目でボクを見つめる。
「あっ起きちゃった?折角寝てる内に気持ちよくしてあげよっかなーと思ってたのに」
そう言って彼へいつもの笑顔を向けると、そのまま腰の動きは止めずに彼のペニスへと手をやる。
「…左千夫クンも朝勃ちしてるネ」
耳元に息を吹きかけるように囁いてから首筋に舌を這わせ、尿道口を開くように爪をたてた。
今彼は鎖で繋がれていない。
こんなコトをすれば無理矢理にでも引っぺがされてしまうだろうか。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
「は……昨日、散々していただいたので、もう、結構…です。」
丁寧に綴ってやってもこいつには届かないであろう。
しかも、腰を動かされてしまうとまだ、熱が残っていたのか体は反応してしまう。
この短期間で僕の体は彼を受け入れることを容認してしまったかのように甘く疼く。
そのまま、動き続けられると後ろを向き続けることが出来ず、顎を引きシーツに爪を立てる。
彼も朝勃ちしたから挿れた、とでも言いたげな言葉に眉を寄せる。
「生理現象…だから、仕方な……ッ!!」
耳に注がれる声に肌が粟立つ、滑る舌に息を引き攣らせ、いつになく過敏な反応を体は示した。
尿道口を引っ掻く指を剥がそうとした瞬間にフルリと嫌な感覚が体を襲った。
そう言えば、昨日彼を相手にする前の客に水気のものを沢山飲まされていたことを思い出す。
まずい…。
僕はその手を剥がすのではなく、そのまま、自分の性器の根元をグッと締め付ける様に持った。
「九鬼。……ちょっと、待って下さい………ッ」
もう片方の手を背中に回し、動く腰を止めろと言わんばかりにトントンと、叩く。
正直、一度認識してしまうと、揺らされるだけでも結構来る。
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【九鬼】
彼から制止の言葉をかけられると、思った以上に抵抗が小さかったということもあるが、その行動に目を丸くし、思わず腰の動きを止める。
「え?もうイくの?」
そう言った時に彼が根元を抑えているのを手で確認し、射精ではなく別の思考へと制止の意味が繋がった。
「ああ…おしっこ?」
笑みを含めた言葉を彼に投げかけながらペニスを優しく擦ってあげる。
どうやら尿意を感じているらしい。
少し考えた後、ボクは一気にペニスを引き抜き、ベッドから降りた。
トイレへ行けるのかと起き上がろうとした彼を両腕でお姫様抱っこのように抱え上げると、そのままベッドルームから出る。
「いいよ、連れてってあげる」
軽く抵抗されたがそう言うと怪訝そうな表情をしたが大人しくなった。
が、ボクはトイレへ連れて行くつもりはない。
そのまま彼を小さなユニットバスへと連れて行く。
ボクの部屋にはこの間の大きいバスルームもあるけど、あちらは完全プライベートだ。
こちらのシャワールームは基本来客用。
どうでもいいヤるだけの子にこちらを使わせている。
男二人が入るとさすがに狭く、二人立つだけでも窮屈だろう。
そのまま彼を抱えたままドアの鍵を閉め、小さな室内に施錠の音が響いた。
彼を降ろすと後ろから抱きかかえる状態になり、ペニスを放尿する時のように支えてあげる。
「さ、思う存分していいよ?」
そう言って自分の勃起しているペニスを股の間に擦るように小さく腰を動かした。
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【神功 左千夫】
含みなく後ろから告げられる言葉に本当にデリカシーのない男だな、と、思った。
確かに、捕虜の僕に遣う気遣いなんてないのだろうけど。
腰の動きが止まるとホッとした。
案外すんなり離してくれたので気が変わらない内にトイレに行こうと思ったがその動きは止められてしまった。
いぶかしげに相手を見つめたがとりあえずベッドルームから抜けたので部屋の作りを覚えようと視線を巡らせる。
かなり広い私室だ。
僕は数度しか来ていないので、全容は分からないが。
そう考えていたこと自体呑気だった。 この男の本性はこんなものでは無かったと言うことか。
僕が連れて来られたのは簡易なシャワールームだった。
この部屋には幾つ風呂が有るんだ、と、思ってしまったが、僕だけじゃなく彼までが一緒に入ってくる。
はっきり言って僕は小さい方では無い。
いや、はっきりってでかい。
余りの狭さに両手を壁に付いてしまうと、ペニスを下から支えられた。
響く施錠の後に彼から落ちる言葉に表情が青くなる。
「―――――――ッゥゥ!!!!!!」
意味を理解するのに数秒要した。
今この男は何て言った?
しかも、ここはトイレじゃないし、何より後ろに九鬼が居る状態だ。
「何を…、ッ、貴方はどこまで変態なんですか?……こんな状態で、出来る……か!」
思いつく限りの言葉で彼を嬲る。
しかし、それくらいのことで離してくれる男では無いことは今までの経緯で思い知らされていた。
擦り付けられるペニスを遮る様に股を閉じ、自然と臀部を突きだす。
僕の尿意は限界に近かったので小さく体が震え始め、上体を半分捻った状態で、片手を壁から離し、九鬼の肩を押した。
そして、苦し紛れに首を横に振った。
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【九鬼】
彼はやはり抵抗してきた。
でもこの狭い浴室内に二人、抵抗されてもボク自身の身体はなかなか離れることができない。
「別にもっと恥ずかしいものいっぱい見られてるのに今更だヨ。
それともなに、自分で出せないなら無理矢理出さして欲しい?」
お尻を突きだしてきたのをいいことに、ボクは彼の股に挟んでいたペニスをアナルへとあてがい、
そのまま一気に奥へと突き刺し、前立腺をじわじわと擦りあげるように突いてやる。
尿意を我慢しているせいか、中の締まりはかなり良い。
彼が悶絶している間に、頭上の棚へと手を伸ばした。
探しているものがここにあったかはわからないが、中を漁る様に確認すると目当てのケースが見つかった。
それを引きずり降ろすと、横の洗面台へと置き蓋を開く。
もちろん中にはブジーが入っている。
こんな時のために色んな場所にこういうものを置いているボクは、自分でもちょっと呆れるくらい変態だなと口角が上がった。
少し細めのブジーを取り出すと、そこへ手際よくローションを塗りたくる。
腰はゆっくり刺激を送るように動かしたままで、我慢の表情を浮かべている彼の目の前へとそのブジーを晒してやった。
「我慢は身体によくナイからネ」
抵抗されると黙らせるように腰を打ち付けてやりながら、嫌がる手を押しのけブジーを尿道へとゆっくり突き刺していく。
もちろん、前立腺ではなく膀胱の方へと。
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【神功 左千夫】
「………ッあ!!!……ツ!!!」
彼は離すどころかさらなる追い打ちを掛けてきた。
力を入れ狭くなっている腸壁をペニスで掻き分けられると思わず、声が漏れた。
かなり狭い密室だったので、声が反響する。
その、恥ずかしさに思わず口を結んだ。
腰が動いている間はまた、彼の手の無いところの陰茎を握って耐えていた、勿論後ろを気にしている余力など無い。
「―――ッ!!なんで、そんなものが、こんな、……はっ、あ、だめ、だめ、ィ!!!ぁああ!!」
抵抗すると激しく腰を揺さぶられる。
最早片目をきつく閉じ片目だけで現状を見るのが限界だった。
足は内股になり、太腿を擦り合わせる。
ペニスを握っている手に抗うようにブジーは挿入してくるのでその痛みに一瞬手を緩めた瞬間膀胱まで突きたてられてしまった。
「……ぁああ!!!」
狭い浴室で僕の体が弓なりに撓る。
もう駄目だ、今はブジーを差しこまれているので辛うじて我慢できているが、抜かれたらもう無理だ。
僕はブジーを持っている手をカリカリと力無く引っ掻く。
前立腺での快楽に体は震え、射精感も込み上げていたが尿道が塞がっているためそれも叶わない。
収まったブジーを揺らされるだけでもう、死にたくなった。
これだけ、僕の恥ずかしいところを見ているんだから、逆にもう、見る必要は無いだろうと、言ってやりたかったがうまく口が回らない。
汗が、びっしゃりと全身に噴出した。
「九鬼……、おねが…い……、他の事なら……なんでも、…する……から」
生理的な涙を溜め、僕は苦し紛れにそう零すしかなかった。
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【九鬼】
「他の事?」
そう言われた時、ふいに要らない感情が巡る。
そのなんとも自分らしからぬ感情に、小さく笑むとブジーを更に膀胱の方へと突き立てるように動かした。
ボクが本当に彼にしてほしいことなんて、きっとこの先も言うことはないのかもしれない。
今日が彼との最期の行為だとしても。
「そんなこと言ってもダーメ、今は君のおしっこ手伝ってあげてるの。
ちゃんと言ってヨ、「おしっこしたい」って」
もうかなり我慢も限界だろう。
それでもブジーは抜かないまま突いたり止めたりを繰り返し、彼の腸壁をじらすようにゆっくりと突き上げていく。
「ほら、言わないとずっとこのままだよ?」
彼の首筋に伝う汗をくすぐる様に舐め取る。
小さな浴室内に彼の吐息と身体が触れ合う音が響いていた。
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【神功 左千夫】
「―――ヒッ!!!んー……!!」
どうやら何を言ってももう、許してもらえないようだ。
次はもう、尿意を我慢することが難しく、苦痛になってきた。
頭痛はするし、生理現象を押さえる苦痛に吐き気さえする。
ガクガクと体を震わせながら数分攻めに耐えていたが、もう限界だ。
両手を壁に付き、爪先が鬱血するほど爪を立てたまま、小さく青ざめた顔を肩越しに向ける。
「九鬼……も、……無理です……出させて……」
彼に強請りを請うのは何度目だろうか。
聞こえるか聞こえないかの声で喉を震わせる。
何度しても慣れることは無い、この、屈辱感が全身を震わせ、アナルをきゅうっと締め上げた。
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【九鬼】
「んー、ま、いっか」
彼の言葉にボクは少し残念だったが了承した。
本当は「おしっこ」って言わせたかったのに。
そんなことを考えながらボクは狭い浴室内で挿入したまま彼の身体をこちらを向けるように回転させた。
図体のデカい男同士が動くとますます狭く感じる。
彼と向き合う形になると、壁際へ背中を押し付け、腸壁を抉る様に奥へと一度腰を打ち付けた。
「よく我慢できたネ、いっぱいおしっこ出していいヨ」
そう言って彼の顔を見てイタズラに笑い、最後にブジーで膀胱を突くと、ゆっくりと抜いていく。
彼の我慢の顔が少しずつゆるんでいくのをうっとりと眺めながら、全部抜き切ってあげた。
「さ、ドーゾ」
更に刺激するように腰の打ち付けは止めないまま、彼の痴態を見下ろすように見つめる。
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【神功 左千夫】
「ッ――――……!?な、なぜ……う…はッ!」
狭い浴室内で足を曲げる様にして体を回転させられる行為に声無き悲鳴を上げた。
只でさえ限界なのだ。
しかも、背中を押しt蹴られたタイルは冷たく、全身を震わせた。
出すだけでも、かなりの精神的ダメージなのに、この男は何を血迷ったか向かい合わせに体位を変えた。
咄嗟にガシリと相手の両肩に爪を立てる。
どこを見たらいいか分からなかったが、瞼を落とすわけにも行かない僕は、自分の性器に視線を落とす。
今にも吐き出したく、尿道口を開閉させている様は滑稽だった。
しかも、赤く充血している。
「くぅ………ン!……はっ、ぁ、あ……、あ……」
追い打ちを掛ける様に膀胱を突かれた後引き抜かれるとすべて抜き切る前に間から小水が溢れる。
そのもどかしさに顎を引き耐えていると、全てブジーが引き抜かれた。
罪悪感と、背徳感と羞恥。
もう、何が何でどうなのか、そんなことも分からず体は解放を求めていた。
ただ。気持ちだけが追いつかず、眉を寄せたまま恍惚な表情を浮かべ、相手の腹に掛る勢いで全てを出し切り始めた。
我慢していた分長く、中々終わらない。
ジョボジョボと生温かい液体が彼の腹と自分の太腿を汚していく。
しかも、胎内を刺激されているため、思った以上の快楽を失禁から感じで腰が揺れてしまった。
アナルからは昨日の残りの体液が漏れているようで卑猥な音が更に僕を攻め立てた。
既につま先しか付いてない足までもガクガクと震えながら僕は失禁の快楽に酔いしれた。
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【九鬼】
彼の精子ではない生暖かい体液がボクの腹へとかかる。
なんとも情けない痴態。
ボクにこういった趣味は無いけど、彼の恍惚な表情が余計に興奮を掻き立て、思わず身体が震えてしまう。
「すっごい出てるヨ?」
羞恥を煽るように口端を上げて彼に笑いかけた。
床にジョボジョボと音を立てながら流れていく彼の尿は、透明で綺麗だった。
こんなものに綺麗なんて言葉は滑稽に感じてしまうが、聖水と言っている輩の気持ちが少しわかってしまったような気がする。
その間も腰を打ち付けていたが、彼が放尿したことによってボクは満足してしまったのか、
興奮とは反対に妙に満たされた気分になり、彼が全て出し切るのを腰を止めて待った。
彼が出し終えたのを確認すると、ボクの腹付近に溜まった尿に指をつけた。
それを見せびらかすように咥え、味を確かめる。
もちろん、ボクは人の尿なんて自分から舐めたことなどない。
飲まされたことは幾度かあったが。
「んー…苦い!左千夫クンのなら甘いかなと思ったんだケド」
そう言っていつもの笑顔を彼に向ける。
ふいに部屋のチャイムが鳴ったのが聞こえた。
そのチャイムで朝食をフリーデルに持ってくるよう頼んでおいたことを思い出した。
彼のアナルからペニスを引き抜くと、溜まっていた尿が全て下へと落ちる。
射精はしていないので自身のペニスは勃起したままだったが、ボクはシャワーを取って彼の敏感そうなペニスへと汚れを取るように湯をかけた。
「さ、綺麗にしたら朝ごはんにしよっか」
いつもなら朝食なんて後回しでここで最後までヤッていただろう。
けれど、今日はこんなところでする気分でもなかった。
彼のペニスを洗ってやりながら、感情を隠す様に鼻歌を歌った。
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【神功 左千夫】
舐められた……。
失禁後の脱力感が一気に吹き飛ぶ。
矢張りこいつは僕の想像の上を行く。
はっきり言って意味が分からないし、理解も出来ない。
なにがしたいんだ。
「……ン。」
結局射精はしなかったペニスに湯を掛けられる。
敏感なそれを湯で愛撫されるのは辛かったし、少し一人にして欲しかった。
調度チャイムがなった。
これくらいの反抗許されるだろうとシャワーを奪い、相手の顔、そして汚れた下肢にざっと湯を掛ける。
そして、そのまま彼の背中に有る扉の鍵を開けて、突き飛ばす様にして外へと押し出した。
「体ぐらい自分で洗えます。」
本当は見下してやりたかったが、そこまで傷つけられたプライドは回復していなかった。
正直ご飯なんて食べたくもない。
僕はここに入ってから、無理矢理口に入れられたもの以外は食べていない。
食べなくても栄養剤をいれられるので死ぬことも無いだろう。
しかし、そこまで口にすると何を言われるか分からなかったのでそのまま扉を閉め、鍵を掛ける。
外から何か声が聞こえたが、諦めてくれたようだ。
一生ここに居たいと思ったが扉をぶち破られるのがオチだろう。
仕方なく、少し冷たい湯で体を洗った。
打撲で火照った体にはこれくらいが気持ちいい。
胎内も気持ち悪かったので彼が居ない間に掻きだしてしまう。
それから僕はゆっくりとさっきの痴態を忘れようとシャワーを浴びた。
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【九鬼】
追い出されてしまった。
「左千夫クンひどいー開けてよー」
暫く鍵を閉められた浴室のドアを叩いたが、シャワーの音だけで返事なんて返ってくるはずがなかった。
まぁ、いいか。
出てこなかったらここのドアをブチ破るまでだ。
ボクはため息をつくととりあえず下着を履き、フリーデルが用意してくれた朝食を室内へと持って入った。
ベッドの脇に小さい机を置き、二人分のパンケーキ、フルーツ、コーヒーと紅茶を横一列に並べる。
誰かと一緒に朝食をとるなんて何年ぶりだろう。
なんだかむずかゆくなってしまう。
少し気持ちが踊ってしまった自分を沈めるようにに小さく頭を振った。
左千夫クンがなかなか出てこないので、ボクはそのまま浴室の前で壁にもたれかけながら彼を待った。
時刻は7時、もうすぐ学校へ行かなければならない。
このまま時間が止まればいいなんて、女々しいコトを思った後に表情を崩した。
左千夫クンが出てくると、タオルを手渡し腕を掴んで朝食を用意した部屋へと戻る。
「じゃっじゃーん、パンケーキ!
質素だけど一応シェフに作ってもらってるからおいしいはずだヨ。
左千夫クンは甘いの好きだからシロップネ。
ボクはマスタード!」
そう言って彼を無理矢理ベッドの脇に座らせるとボクも彼の後ろにまたがるように腰をかけた。
「さ、食べよっか」
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【神功 左千夫】
シャワー室からでると直ぐに引っ張って行かれる。
タオルで拭いても間に合わず水滴が落ちるがどうやらこの男は気に留めていないようだ。
ベッドに腰かけると目の前には僕の大好物の甘いモノやフルーツが並んであった。
流石にこれには少し惹かれてしまう。
それでなくても、僕はこの長期の捕虜生活で精神的に弱ってきている。
しかも、ここ数日で一気に。
加えて。
後ろの男が悪意なく上機嫌だ。
これにマスタードをつけると言う言葉の暴力を振るわれはしたが、それ以外は年相応の青年に見える。
あの、ドライを体験したセックス前ならちゃぶ台返しを披露していただろうが、どうも、そういう気分にはなれなかった。
目の前のパンケーキはとても美味しそうだった。
………一口だけ付き合って上げましょうか。
後ろの彼と距離を取る様にギリギリに座る。
どうせ、僕には毒は効かない。
それでも用心してわざと彼の前にあるパンケーキの皿を引っ張り、無駄にでかい蜂蜜の入れ物からスプーンで一掬いして、一部分にだけ掛ける。
そこだけ、丁寧に切り取って、蜂蜜が一滴も落ちないようにして口内にフォークを進める。
甘い……。
正直。
ここ最近は精液の味しか口にしてなかった僕には至福の時間だった。
多分、口元は綻んでしまっただろう。
もう一口、と、思ったが、横でパンケーキにマスタードを塗る九鬼の姿を見てしまったので、僕の食事はそこで終了した。
「ごちそうさまでした……。」
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【九鬼】
実のところ、ボクが用意した料理なんて食べないかと思っていたが、案外すんなりと彼はパンケーキを口にした。
甘いものにはめっぽう弱い…ってのは本当だったのか。
ボクは辛いものが好きなのに。
本当に噛みあわないな。
彼が一口パンケーキを食べた後、ボクは彼の後ろから自分のパンケーキへとマスタードをぶっかけた。
しかし、その行為のせいかはわからないが、彼はピタリと食べるのをやめてしまう。
「食べないの?」
そう言いながらマスタードが大量にかかったパンケーキを口へ運ぶと、暫くその辛さを堪能しながら思考を巡らせた。
…いいことを思いついた。
テーブルを少し向こうへと押しやると、ボクはベッドから降りる。
大きな蜂蜜の入れ物を無造作に手に取り、座っている彼の目の前で自分の下着と、下着の中の少し半勃ちなペニスへと大量にぶっかけた。
ひやりとした冷たさに鳥肌がたつ。
蜂蜜を中のペニスと下着こすりつけるようにした後、口端をあげて笑いながら彼に向けて差し出すように先端を向けた。
「パンケーキ食べないなら、ボクのコレ舐めてヨ」
彼はその言葉に不快そうな顔をしてベッドから離れようとしたが、蜂蜜のついた手で肩を掴みとった。
「してくれたら、あの大事なピンキーリング、返すヨ?」
実の所、この捕虜期間に彼にフェラをしてもらったことがない。
噛みつかれてしまうのがオチだからだ。
さすがにボクもそこまで無謀じゃなかった。死ぬのはヤだからね。
口枷をして何度か無理矢理させたことはあったが、ボクは彼が自発的にやってくれるのを望んでいた。
もっと痴態を晒させボクの言うことを聞いてもらうように仕向けるには、交換条件を出せばいい。
あのピンキーリングと引き換えに。
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【神功 左千夫】
「食べましたよ?もう充分です。」
後ろから問いを掛けてくる相手に白々しく返答してやる。
マスタード付きのパンケーキを口に運ぶ様は見ているだけで気分が悪くなった。
どうして僕がこんなに辛いモノが嫌いになったのかはちゃんとは覚えてないが、昔、人から貰った食べ物のせいだったような気がする。
甘いと思ったものが辛かった…そんな、経験だったような…。
そう言えば、九鬼に初めて貰った飴も甘いと思ったら辛かった、そんなことを考えているとツキンと頭が痛んだが思考は彼の行為で引き戻される。
彼は自分の股間に蜂蜜を掛け、更にそれを舐めろと僕に向けてきたのだ。
下着の中までぐちゃぐちゃだろう。
下品もここまで行くと清々しい。
取り合えず、この部屋に居たくなかったので立ちあがろうとすると、ネバついた手で肩を掴まれた。
そして、紡がれた言葉に僕は思わず瞳を揺らしてしまった。
「―――――ッ!!!」
ピンキーリング。
あの指輪は僕がここから抜け出せたら改めて取り返しに来るつもりだった。
もしかしたらもう、捨てられたかもしれないと思っていたものの名前が出てきたことにまず驚く。
それから、僕はその価値を考えた。
僕は何か交換条件を出された時、即ち取引の時は自分のプライドを下げる。
手段より目的。達成出来ることが全てだからだ。
ここで、あれを返してもらえるなら、フェラくらい安いものかもしれない。
別に咥えたことが無い訳でも無い、そんなに自分がきれいだと思っている訳でもない。
寧ろ、プライドすら捨ててしまえばすることにはそんなに抵抗が無い位咥えている。
僕は彼を真っ直ぐに見詰めたまま、暫く考える。
眉間に皺を寄せ、気難しい顔をしていただろう。
それから、僕は決意したようにひとつ溜息を落とした。
「約束ですよ。」
そう告げると、僕はベッドと机の間の床へ跪き、ベッド側へと体を向ける。
それから、立ったままの彼にベッドへと座れと顎でしゃくった。
彼の気が変わらないうちにさっさとやってしまおうと、長い髪を後ろへと流した。
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【九鬼】
「うん、約束。僕は約束破らないカラ」
暫く迷っていたようだったが、どうやら交換条件は成立。
案外すんなりと引き受けてくれたことに少し驚いたが、彼はこれくらいのこと幾度も経験してきているはずだ。
まるで仕事かのように淡々と事を進めようとすることが少し気に食わなかった。
けれど、それほど嫌な思いをしてでも取り返したいピンキーリングは、一体彼にとってどれほどの価値なんだろうか。
ボクがあげたことも忘れてるくせに。
そもそも、ボクの存在自体を覚えていなかったんだろう、君は。
少し表情が曇ったが、彼には見せないままベッドへと腰かける。
跪いている彼を見ると少し優越感が溢れた。
「初めて左千夫クンにフェラしてもらうの嬉しいナ」
そんなことを笑顔で言ったが、彼は表情も変えずボクの方を見向きもしなかった。
そしてそのまま行為を始める。
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【神功 左千夫】
目の前に相手が腰掛けるとその間入り込む。
べったりと、下着を汚している蜂蜜、勿体無いと思いながら、先ずは下着の上から唇を付け軽く吸い上げる。
なんとも言えない不思議な感覚が広がった。
口当たりは最悪だ。
相手がどのようなものを好むかが分からなかったので、そのまま下着の上から唇で性器を食んで行く。
そうすると更に、ぺニスはボクサーパンツを持ち上げていくのでその頂を吸ってやった。
更に下着のゴムの部分を歯で挟み、そのまま引っ張ると下着の中からポロンと零れるように性器が姿を現す。
赤黒いそれは蜂蜜にまみれてとても卑猥だった。
僕じゃなければ、きっと蜂蜜を塗られてない性器を舐める方がマシだと言う意見が大多数かもしれないが、僕は塗られていた方がマシだ。
それくらい甘いものが好きだ。
色々忘れてしまえる気がする。
先ずは蜂蜜を塗りたくるようにぺニスを扱き上げる。
この時点でもう既に僕の手はベトベトだ。
蜂蜜が泡立つほど塗り広げると、先ずは先端にチュッとキスを落とした。
この行為は余りしないのだが、なぜだかしてしまった。
「は………ん……。」
蜂蜜に濡れてない手を九鬼の内股に奥、ぺニスをしごいていた手で陰嚢をやわやわと揉み、
好きなところを探すようにゆっくり、大きく覗かせた舌を表から裏、尿道、雁首、亀頭、側面へと這わせていく。
内股に置いた手で筋肉の緊張を探り、その度合いで感じる場所をつきとめようとする。
チラッと上を向くと目があってしまい、また、すぐ下へと逸らした。
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【九鬼】
左千夫クンの行為を上からじっと眺めていた。
彼が下着へついた蜂蜜を吸い取るように唇を宛がうと、それだけでも腰がうずいてしまう。
丁寧に舐め取られていく蜂蜜と、それとともに刺激されるペニスは半立ちになっていき、思わず熱の籠った息が漏れる。
正直に嬉しかった。
荒っぽく適当にやられてしまうんじゃないかと思っていたが、彼は思った以上に丁寧にボクの下半身を扱ってくれた。
妙に胸の奥がキュッと締め付けられ、自然と笑みがこぼれてしまった。
そのままペニスを扱かれ、それもまたボクの快感をさぐるように卑猥な舌で舐めていく。
まぁ、彼はフェラをするというより、この蜂蜜のおかげで少しやる気になってくれているのだと思うが、さすがに手慣れているのかかなり気持ちよかった。
すぐにその快感でペニスは固くなっていき、ゾクゾクと全身に鳥肌がたっていく。
「……は……っ…きもち…」
彼の行為を目を離さずにずっと見守っていると、チラリとこちらを見上げた視線が絡んだ。
しかし、すぐに逸らされてしまったので、ボクは彼の頬に蜂蜜がついた両手を添え、こちらを向かせるように顔をあげる。
「目…逸らさないで、そのままボクのこと見て…」
熱の籠った小さく掠れた声で左千夫クンに言葉をかけ、小さく笑った。
その声は酷く優しく、自分でも少し気持ち悪かった。
いつもフェラをされている時は、無理矢理顔を向かせるように頭を鷲掴みにしたりすることばかりだし、構わず一気に咥内にペニスを突っ込むこともある。
甘い香りのするこの空間に、ボクは完璧に酔ってしまったんだろうか。
……気分が悪いナ。
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【神功 左千夫】
引っかかっている下着はそのままに行為を進めていく。
あれだけ人の口に無理矢理突っ込んでおきながら、どうやら甘くされるのも好みのようだ。
べったりと頬に蜂蜜が付着する。
その感覚は不快だったが相手の表情が余りにも嬉しそうで、聞いたことの無い優しい声音だった為暫くは休戦かと、仕方なくそのまま行為を続ける。
「……見ていても、見ていなくても変わらないでしょうに……、ッ……ん。」
上にある相手に視線を向けたまま大きく口を開き、裏筋を舌で包み込むようにしながら根元まで頬張る。
じゅるりとわざと大きな音を立てて吸い上げると口いっぱいに甘い香りが広がった。
そのまま大きな動きでぐちゅぐちゅと頭を前後させる様にしてペニス全体を唇で擦り上げていく、相変わらず視線は上げたままで相手を見つめる。
長大なペニスが喉を刺激するのでどうしても悩ましげな表情になる。
太腿の手でそこを撫で。
蜂蜜に塗れた手で陰嚢や根元の辺りを刺激していく。
相手の呼吸が上がってきたところで浅く咥え直し、頬を掴んでいる手から逃げる。
弱そうな部分を舌でつつき、尿道をぐるりと尖らせた舌先で回す様に舐める。
それから、手で扱き上げながら、陰嚢を順番に吸い上げる。
そこまで、甘い味がして、はぁ…、と、思わず熱のこもった息を吐いてしまった。
「フフ……もう、イきたそうですね。」
案外、何も感じないのではと思ったのだが、思った以上に九鬼は僕の口淫に酔ってくれた。
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【九鬼】
左千夫クンがボクの言う通りにこちらを見てくれた。
視線を外さないままじっと彼の行為を見つめる。
見ていても見なくても一緒だと言われたが、ボクの中ではまったく違う。
視覚で感じることは大事だ。
今ボクのペニスを咥えているのが彼なら尚更に。
大げさにしゃぶっている音が更に興奮を押し上げていく。
「…は……ぁ…」
自然と吐息が漏れ、うっとりと彼の咥内をペニスで感じる。
悩ましげな表情と彼の口から自分のモノが抜き差しされる光景はなんとも言えない幸福感であった。
風呂場での行為の時はイかなかったので、正直このまま続けられるともう持たないと思っていたが、彼の言葉にボクは口端を上げて笑った。
「だね、もうダメかも」
そう言うとボクは彼の頭を撫でるフリをしてそのまま後ろのテーブルの裏へと手を伸ばした。
そこにあらかじめ張り付けていた催淫剤の入った注射を引っぺがし、ペニスから口を離した隙を狙って、素早く彼の首筋へとそれを突き刺した。
彼の顔は自分がされた行為に気がついたのか、一瞬にして表情が歪んだ。
首筋を抑えた彼の両腕を抱え上げ、ベッドへと押し倒すようにボクとの位置を逆転させる。
「だから、そろそろ始めよっか」
そう言ってボクはベッド横の棚から再び注射を取り出し、彼に見せつけるように小さく振ってみせた。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
「………ッ!!」
首筋に走る痛みには覚えがある。
その通りなら僕が最も苦手とするものだ。
そちらに意識を奪われている間にベッドに押し倒される。
やはり、僕の思った通りの代物だった。
情事中の注射なんて碌なものが無い。
しかも、首となると下手をすれば空気が入って即死する。
それでなくても脳に近い部分だ。
裏切られた。
予測してなかった訳ではない。
ただ、この行為で指輪を取り返せたらいいと思ったからやったまでだ。
なのに、酷く落胆している自分が居た。
こんなこと慣れている筈なのに。
「……初めから返すつもりなんて無かったんですね。」
苦笑交じりに小さく落とす。
思いっきり相手の腹部を蹴ろうとしたが、視界に注射針が入った瞬間体が萎縮してしまった。
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【九鬼】
彼が苦く笑ったのを見て、少し心が痛んだ。
別に痛むことなんてないのに。
ボクは嘘をついていない。
でも、この反応は少しキツいものがあった。
「……ちゃんと返すよ?絶対約束は破らない。
でも、今返すなんてボクは言ってないでショ?」
自分の思いを拭うように同じように笑ってみせると、目を薄く開き彼の表情を見る。
注射を見た瞬間に身体が萎縮した彼の腕を手にとり、針を突き刺した。
どうやら彼は注射が嫌いなようだった。
今まで散々なコトがあったんだろう。
注射を見た彼の態度からするとかなりのトラウマみたいだ。
そのまま抵抗もせず従順になっていく彼は、彼ではないような気さえした。
だけどボクは構わず彼をベッドにきちんと乗せてあげると、上にまたがりそっと顔を近づけそのまま唇を軽く落とした。
「気持ちよくしてくれたお礼に、君も気持ちよくしてあげるネ」
そう言うとボクはテーブルの上に乗っているマスタードを手に取った。 そのまま彼の腹へとぶっかけると、身体のいたる所にある傷口へとわざと塗り込んでいく。
もちろんペニスとアナルにも有無を言わさずに広げて行った。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
九鬼が何か話していたがうまく聞き取れない。
そんなに自分に取って何がショックだったかは分からないが気力が削げた。
しかも、もう一本腕に刺されてしまった。
痛い…。
もう嫌だ…。
その思いが頭を支配すると僕の精神は退行してしまった。
嫌なことから逃げるように。
ココは?
あれ、研究室で…。
また、意識を失ったのかな。
「……ッ。」
僕の体から注射の針が抜かれていく。
何の注射だろう。
しかも、体全体が痺れていてとても痛い。
電流か何か、流す実験でもしているのかな。
そんなことを考えていると体が熱くなってきた。
研究員の顔を見ようと目の前の相手を見上げると、飴をくれたあの子が居た。
あれ、違う。
彼はこんなに大きくなかった。でも、似ている…。
あれ、…僕も大きくなってる?
なんの実験だろ…。
そう思ってると唇が降ってくる。
どうやら、今からするのは実験ではなく、いつもの実験の後のお遊びのようだった。
「―――――――ッ!!!!ぁ………ぁ!…・……ンッ」
僕の体は傷だらけのようで彼が塗り広げていくマスタードがしみて痛い。
声を上げそうになったが、相手の嗜好が分からない。
悲鳴なんて上げたら殴られるかもしれない。
目もとに涙を溜めながらシーツを握り締め必死に耐えていると、それはアナルやペニスまで広げられていった。
自分のものとは思えない大人の性器に塗り広げられると背が弓なりに撓った。
尿道がヒクヒクとわななく。
なんだか、体も熱くて堪らない。
完全にペニスは勃起し、汗が噴き出る。
体が揺れ空気に触れるたびに激痛が走る。
それでも、ガクガクと震える足を閉じること無く広げたまま時間が過ぎるのを待った。
「………はっ………も…………ッぅ」
-----------------------------------------------------------------------
【九鬼】
彼の身体に塗り込んだマスタードを丁寧に舐め取っていく。
拘束もしていないのに抵抗すらしてこない。
物凄く従順な彼の表情は、いつもと違い幼く感じられた。
注射のトラウマが蘇り、幼児退行でもしたのか?
下半身へと顔を寄せ、彼のペニスを貪るように丁寧に味わっていく。
そのペニスは固く勃起し、薬の効果も効き始めているようだった。
先ほどまでの甘い香りがマスタードでかき消されていき、気分の悪さがかき消されていく。
そのまま開かれたままの足を彼の顔元まで掲げ上げ、身体を曲げ込んだ。
股の間から覗く彼の表情を見ながら、アナル付近のマスタードを舌先でなぞる様に舐めて取ったり、音を立てて吸い付いたりしてみる。
その行為も受け止め、突き放そうともしないので、やはり本当に幼少期に退行しているのかもしれない。
試しに、と彼の目をじっと見つめながら問いかける。
「…ボクのコト、覚えてる?」
まるで幼いあの頃の彼に声をかけるように優しく言葉をかけ、返答を待つ間も、執拗にアナルや陰嚢、ペニスを音を立てながら啄んでいく。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
僕に塗り広げられたマスタードを舐め始めたので少しぎょっとした。
辛くないのかな…。
思考がうまく働かない…。
これはきっと、薬か何かの作用だ。
体中痛かったけれど、彼の舌が触れた部分は痛みが治まる気がした。
ゾクゾクする…。
これが、いつも、言われる‘気持ちいい。’なのかな。
呼吸がうまくできなくてはぁ、はぁ、と胸を上下させているとあられもない姿になった。
大人の性器が目の前にある。
僕の体なんだけどなんだか恥ずかしくて一瞬視線を逸らす。
「ふっ……ぁ………ぅ、あ……汚な……ィ、……ッ!!!」
舐められている間はいいが舌を離された瞬間にその倍は沁みる。
つま先を曲げたり伸ばしたりすることで耐えていたが敏感な部分になってくると耐えるのが辛くなってきた。
真っ赤に染めた顔で相手を見上げ、苦しさに眉を寄せる。
不意に落ちてきた疑問に目を見開く。
「――――――――ッ!!」
唇が‘あめ’と、模るが声は出なかった。
いや、そんなはずはない、彼はこんなに大きい筈が無い。
と、言うことは研究員だ。
それなら、僕は一度名前を聞いただけで覚えている筈だ。
覚えて置かないと痛い目を見ることが多いからだ。
しかし、彼は見たことも聞いたことも無い。
視線が泳ぐ。
僕が頭にある見たことは無いが名前だけ知っている研究員のリストにも彼の容姿に当てはまるものは無い。
当てずっぽうで答えて間違えたときの方が恐ろしい。
ゴクリと大きく喉を動かしてから、緊張に渇いた唇を開く。
「ごめんなさ…い。覚えて…ません。
今度は…きちんと名前、覚えますので、もう一度教えて……下さい。」
何とか、最後まで伝えきったが体の震えは止まらない。
体を滑る唇。焼けるような刺激。
熱くて熱くて仕方ないのにどこか頭の中だけ冷えていた。
-----------------------------------------------------------------------
【九鬼】
彼がボクの質問に返事を返す。
その声は震え、怯えた表情だった。
そう言えば彼にはあの時ボクの名前を教えてなかったな。
だが、九鬼という名前も言えないということは、今の彼の精神は彼であって彼ではない。
「…終わってから教えてあげるネ。
大丈夫、ボクは君のトモダチだヨ、怯えないで」
まるで小さな子供を相手しているようだった。
あの頃の左千夫クンを。
ボクはある程度彼の下半身のマスタードを舐め取ると後ろの壁へと彼をもたれかけさせる。
そして、ベッド脇の机に置いていたブジーの入った蓋を開けた。
何をするのかと、怯えた表情で身を縮め座っている彼の前へと座ると、ブジーにローションを塗り込んでいるのを見せつけながら彼に微笑む。
「これネ、今の君の身体がダイスキなモノなんだ。
おちんちんの先に挿入するとネ、とっても気持ちいいヨ」
そう言って彼の手を取りブジーを手渡してあげた。
困ったような表情をしていたので、興奮させてあげようと、アナルへと指を這わせる。
そのまま一気に指を二本挿し込み、前立腺を擦り上げた。
「大丈夫、すぐに気持ちよくなるヨ。
だから君の手でやって欲しいナ」
怖がらないように、なるべく優しく彼へと言葉をかけた。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
「トモダチ……?じゃあ、あの時の……?」
相手の言葉を小さく反芻する。
小さすぎたのか、聞こえなかったのか、彼は僕から離れていく。
取り合えず、名前を知らないことで殴られることはなさそうでホッと息を吐く。
見たことが無い道具が出てくる。
それを手渡されながらこれを尿道に入れろと言われた。
……入るものなのか。怖い…。
命令は絶対だ本当なら直ぐにでも取り掛からなければならないのに逡巡してしまった。
すると、彼が近づいてきた、しまった。と、思った時には遅く、アナルに指を挿入されてしまった。
てっきり痛みが上がるのかと思ったが僕は確かに気持ちいいと感じてしまった。
「……あ!……んん……?……は。なに……」
まだ熱くジンジンするアナルが更に熱くなる。
残っているマスタードが広げられたのか奥まで熱い。
こんなの初めてだと思って相手の顔を見上げると、そこにはどこか優しげな表情をした相手が居た。
トモダチならずっと優しいままなのかな?
その思いの抱きながら手の中の道具を見つめる。
挿れなきゃどうなるか、分からない。
更に壁に深く凭れるようにするとローションの滑りを借りて挿入していく。
「―――はぁッ!!ィ……ンー!!………ッ」
思ったよりはすんなり挿入できた。
この体はこういうことに慣れているのかもしれない。
それでも、焼けるような痛みが走る。
ポロポロと涙を零しながら、アナルで暴れる指をギュギュっと締め上げる。
真っ直ぐ挿入したらいいのか、どこまでいれるものなのかが分からなくて半分位挿入したところで相手を見上げた。
「……もっと、…挿れます……か?」
-----------------------------------------------------------------------
【九鬼】
ボクの指示に従ってくれる様に興奮を覚える。
いつもの反抗的な彼も好きだが、こんな左千夫クンもたまにはイイ。
彼の目からぼろぼろと零れる涙を汚れていない手の甲で拭ってあげながら、アナルへの刺激を続けていく。
なんとも不思議な感覚だ。
もし、あの頃の彼を買えていたのなら、こんなセックスをしていたのだろうか。
「うん、もっと気持ちイイところまで挿れてみて?」
そう答えると二本の指で前立腺を何度も押し上げる。
彼の声や喘ぎはいつも以上に甘ったるかった。
いつもはどこかトゲトゲしいが、この頃はまだ少しは純粋だったんだろう。
いや、恐怖から従順になるしかなかったのか。
正直ボクも性格がイイとは言えない。かなり歪んでいる。
でもそれは、あの時左千夫クンを手に入れられなかったことから全てが始まっている気がする。
また感傷的になってしまう自分を抑圧しながら、彼の竿に唇を宛がい、扱くように顔を上下へと動かした。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
「はぁっ!……あ!っ……ッ、…はい……ぁ………あっ!」
気持ちいい…。
これが快楽と言うのだろう。
いつもは痛いだけなのに今日はとても、気持ちいい。
トモダチとしているからかな…。
彼が諭すままに道具を沈ませていく。
痛みは有ったが不思議と恐怖はなかった。
尿道側の細い棒も不意に何かを引っ掻く。
「ァアア!!はっ……な…にっ…?……ッ気持ち……いい……よぉ…」
尿道側の前立腺に当たる。
そうとは知らないが一度気持ちいいところをおぼえてしまうと手は止まらなかった。
ぐちゅぐちゅとローションを泡立てながら棒を抜き差しする。
彼の唇が滑るぺニスが震え、彼の顔を挟み込むように脚を閉じてしまう。
アナルも熱くて堪らない…。
段々と相手意外考えられなくなってくる。
気持ちいいがもどかしい、そんな感覚のまま困惑した表情と赤い舌を覗かせながらも手は止まることはなかった。
-----------------------------------------------------------------------
【九鬼】
ブジーが前立腺に達したのか、彼はおもむろに抜き差しを繰り返していた。
「は…すっごい…カワイイ…」
その光景に下半身は熱くなっていき、熱のこもった吐息のような声が漏れる。
彼に挿入してくてたまらない気持ちが膨らみ、アナルの指を引き抜くと、ペニスを擦り付けるように彼との距離を縮めた。
「ボクの挿れてあげる…一緒に気持ちよくなろっか」
もったいぶる様に何度かアナル周辺を先端でなぞり、ゆっくりと挿し込んでいく。
マスタードや蜂蜜の残りが混ざり合ったのか挿入はかなり楽だったが、締りのいい腸壁が固くなったペニスに絡みつくと快感で小さく声が漏れた。
そのまま彼の唇ギリギリのところまで自分の唇を寄せるとキスはせずに、息を荒げながら淡紅色の瞳を見つめる。
そして、ゆっくりと前立腺を擦るように大げさに奥まで力強く突き上げていった。
「今、だから言う、けど…っ…君を、買えなかったコトっ…後悔してるっ…」
突き上げていく振動で息を詰まらせながら目を逸らさずに言葉を口にした。
退行が戻った彼に言っても、多分この意味はわからないだろう。
いや、わからないからこそ、今の彼にボクは伝えているのかもしれない。
「指輪っ、大事に、してくれてっ…嬉しかったヨ」
そう言って少し微笑むと、覗いた舌を絡め取るように咥内を荒らしていく。
腰の動きに緩急をつけながら、彼の髪をそっと撫でた。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
視界に完全に入った男のペニスに息を呑む。
それでも、自らゆっくりと受け入れるように足を開き、腰を突きだす。
焦らされるようにアナルの周りを擽られる、それから一気に熱の塊が押し入ってきた。
「――――――ッん!!!は……な…に?……、ん……ぁ、じゃあ、君……はっ」
買えなかったと彼は言った。
僕の記憶と合致する、その銀色の瞳、銀色の髪。
何よりも僕をトモダチと言う、君。
僕の濡れた瞳に彼が映った。
「ん、ぁあ、あ!!……はっ、また……会えたッ……指輪ッ、返せ…た?……ちゃんと、……受け取っ……れ……た?―――ン!!」
口内に隠していた筈の指輪は今は無かった。
傷はあるので大人になっているがこれは僕の体なのかな。
彼が、嬉しかったと言うことはきっと指輪は返せたんだろう。
本当は言う通りに尿道の道具を動かさないといけないのだろうけど、僕は彼の首に両手を回した。
深く絡んだ相手の咥内は酷く辛かった。
あの時に貰ったあの飴みたいだ。
キスの仕方なんか分からないが、舌を絡めることは分かる。
拙いままに舌を伸ばし、絡め吸い上げる。
足までも相手の腰に絡めると、密着しすぎたせいか、ペニスからはみ出している道具が相手の腹に擦れて、ビクンっと全体が撓った。
きもちいい。
セックスってこんなに気持ち良いんだと初めて知った。
僕の淡紅色の瞳に映る彼を見つめながら、キュウっと腸壁がペニスを締め上げた。
-----------------------------------------------------------------------
【九鬼】
どうやらこの時期の彼はボクの事を覚えてくれているようだった。
自然と笑みがこぼれると、更に強く突き上げてしまう。
抱きしめられ密着している肌が酷く熱いのが何故だかわからなかった。
拙い舌使いがまた愛おしくてたまらない。
誘導するように舌を絡めあうと、彼が離したブジーを手に取り、前立腺を突いていく。
腰の動きも早めていき、更に快感を煽っていく。
ボクもだいぶ限界に近づいてきていた。
「…指輪はっ、返してもらったヨ…でも…大人の…君にっ…またあげる……、だから…ッ」
この後に続けるはずの言葉は今の彼には言わなかった。
無駄だと思ったからだ。
言うのであれば、ちゃんと大人の精神に戻った彼に言いたかった。
そのまま言葉を濁すように腰を思い切り打ち付け、射精へと近づいていくボクは、彼の耳元へと顔を埋める。
「はっ…、も、中に…ッ出すネ……。
最後に、ボクの名前……っ」
彼の耳元でボクの名前を小さく囁いた。
もちろん、九鬼ではない、本当の名前を。
ボクはこの本名が嫌いだ。
母がつけてくれたことには感謝しているが、あまりにも綺麗すぎて、今のボクには不釣合いな気がしているからだ。
囁いた後、再び彼の顔を見つめる。
ブジーで前立腺を小刻みに突き上げながら、ペニスも集中して激しく打ち込んだ。
「誰にも…内緒だ、ヨ?……………ッ――――!!!」
そのまま彼のゆるんだ表情を見ながら、ボクは精液を開放した。
身体が快感で震えながらも彼の中へすべてを注ぎ込むようにゆっくりと腰を動かす。
荒い息を繰り返しながら、左千夫クンの頬に手を当てると「最後」と言うように彼に長いキスを贈った。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
「はぁ……ン!!……ぁ、ああッ、あんな…高価な…モノ…頂けない……ひゃぁ!!……ッ、…奥まで……ッ」
胎内を掻きまわされる行為が堪らなく気持ち良い。
セックスを再認識させられた瞬間だった。
彼は大人の僕にまた、指輪をくれると言った。
と、言うことは今の体は大人の僕…?
呑みこめないことがいっぱいだが、彼もなぜだか、大きいのでこんなことも有るのかもしれない。
言葉を遮る様に突き上げられると変な声が出た。
駄目だ、頭が真っ白になって―――。
最後と言いながら耳元で彼の名前を教えて貰った。
秘め事みたいでちょっと特別な感じがして嬉しかった。
「――――ッ!!―――ぁ、ああ、……ッ!!ぼく…も、ぁああ――、―――ッ、――!!」
教えて貰った名前を何度も相手に耳元で呼んだ。
首に回した手で更に相手に抱きつく。
いつの間にか仰向けに寝転んでいるのと余り変わらない体勢になってしまった。
許容を超えた快楽に耐えるように自分の腕に爪を立てる。
相手が最高潮に達した時に僕も何かが弾けた。
ペニスがビクビクと震え棒を押しだそうとしていたが、確りと嵌ったそれは抜け出ることは無く何も出せなかったが。
熔けそうなほど気持ち良かった。
同時に胎内が精液を求めるように波打つ。
そのまま、相手は事を終えたようだ。
動きが単調になってくると、キスをした今までで一番長いキス。
まるで、これが最後だと言われているようで嫌だったので、唇が離れると頬に添えてある手を片手で掬い上げる。
てっきり、指しか掴めないと思ったが僕の手も同じくらいの大きさだったので、指を絡めるように握り締めた。
「捕まえました…よ。……僕とトモダチになってくれる…んでしょ?……次は、逃がしません……から。」
幸い、僕達を隔てていた檻は今日はもう無かった。
あの日離して後悔した手を僕はもう一度捕まえることが出来た。
そして、屈託なく笑ってみせる。
きっと、このまま捕まえておけることは無いんだろう、それでも今だけでも捕まえて置きたかった。
僕を初めて人として認めてくれた彼。
僕の宝物。
「僕は……指輪なんかより……」
――――――――――君が欲しい。
それが言葉になるより早く僕は意識を手放した。
その手を掴んだまま。
-----------------------------------------------------------------------
【九鬼】
彼の頬に触れた手を握りしめられた。
離さない、とでも言いたげな彼のその行為に思わず苦笑してしまう。
トモダチ…か。
そういえば、そんな単純で純粋な関係を求めていたんだな、昔は。
今はと言うと、欲望に汚れてしまって、ただただ彼が欲しい一心だ。
トモダチなんかの枠で収まらなくなってしまった。
「そうだネ…もう、君とボクはトモダチだヨ……ボクだって、逃がさない」
彼の屈託のない笑顔につられるように微笑む。
純粋なその笑みを、大人の彼の顔で見れるとは思っていなかったので、胸の奥が感動で少し震えてしまった。
彼が言葉を言いきる前に気を失うと、だらりと肩へ項垂れるように寄りかかって来た。
起こすようにトントンと背中を叩いても起きる気配はなかった。
力尽きちゃったかな。
彼を再び優しく抱きしめ、ベッドに仰向けに寝かせてあげる。
ブジーをペニスから抜き取ると、塞き止められていた精液があふれ出した。
軽くふき取ってあげてから、近くのシーツを身体にかける。
いつもはこんなコトはいつもしないんだけど、今日だけは特別。
そして、眠っている彼の髪を整える様に撫でながら小さく囁く。
「今日(裏)生徒会のアジトに乗り込むつもりなんだ。
うまく行けばもうこの闘いも終わるネ。
だから、こんなコトするのも今日で最後」
こんなことを言っても彼は目覚めないし、完璧にただの独り言だったが、ボクは構わず続けた。
「闘いが終わったら、指輪は返すから、それまで眠ってて」
彼の唇に軽くキスを落とすと、名残惜しさを抑え込んでベッドから降りた。
時刻は8時を周っていて、登校の時間が近づいている。
身体は色んな液体でドロドロだったので、まずは風呂に入らないといけない。
ベッド脇の鍵がかかった机を開け、指輪の入ったケースを取り出す。
それを手に取ると、彼の顔は見ないまま部屋から出て行った。
-----------------------------------------------------------------------
【神功 左千夫】
あれからどれくらいの時間が経っただろう。
僕は意識を取り戻した。
九鬼が精神が退行した僕に話したことは全て記憶に残っていた。
そう、僕は幼い僕と記憶を共有した。
彼の事を全て思い出した。
あの、牢屋で交わした約束、なぜ指輪を大事に持っていたかも。
それと同時に酷く頭痛と、共に思い出したくない記憶までも共有していく。
「――――――ッぅ!!!!!」
人は酷い苦痛を受けると忘れるように出来ている。
壊れない為の防御だ。
しかし、僕は九鬼との記憶を取り戻したが為に、一番酷かった研究施設での出来事も全て思い出した。
それでも、忘れているよりもずっといい。
体を起こすと僕に掛っていたシーツがひらりと体から落ちる。
そこに含まれた優しさを知ってしまった僕はもうここに居てはならない。
九鬼は幼い僕の記憶が僕と共有するとは思ってなかったのだろう。
でないと、彼の心の奥まで聞けるはずがない。
そう考えている間に家政婦のような者が部屋に入ってくる。
逃げるなら今しかチャンスは無いと考え、僕はその人物と瞳を合わせた。
彼に愛輝凪(裏)生徒会を壊させる訳にはいかない。
また、彼を一人にすることになる。
僕は奥の手の瞳術を使ってこの部屋から逃亡した――――。
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