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過去編(高校生)

心の底③

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【日当瀬晴生】

千星さんがなにを言っているかは分からなかったが唇が動いていたので何かはいっているのだろう。
たまにこちらを覗く顔が可愛い。
そう思いながら一定のリズムで前立腺を擦り上げる。
すると、ビクンと大きく体が撓ったのが分かった。

その瞬間に俺は千星さんを仰向けにひっくり返した。
気持ちよさそうなその表情に溜まらず電源を切りイヤフォンを引っこ抜いた。

「気持ちよさそうですね…、ドライオーガズムっていうんですよ、これ。いつでも、してあげますから。」

仰向けにした千星さんのペニスは赤黒く充血していた。
痛そうなそれをさわさわと撫でてやる。
俺のことを構う余裕も無いんだろう、千星さんは喘ぎ狂っていた。

「凄い、色っぽい……千星、さん、俺、…イれますね、…。」

胎内のバイブの振動は弱に戻すが、そのまま前立腺を突きあげる。
その一方で前を寛げたズボンから出るペニスをバイブと入れ替えようとアナルの付近に近付けた。

激しくだから、挿れていいんだよな。
つーか、エロ過ぎます千星さん。
俺、そろそろ限界きそうです。

表情的には満面の笑みだろうがもう逆上せそうな勢いだ。
ああ、はやく繋がりたい。

  
【千星那由多】

「んッ、…うッ、ヒッ…―――――あぁあああ!!!」

まだまだ快感は終わらず、気が狂ってしまいそうだった。
仰向きに体勢を変えられると、見たかった晴生の顔が見えた。
その表情は興奮しているようで、それを見て俺も更に興奮が高まって行く。

イヤフォンを抜いた晴生に声は届くだろう。
けれど、俺は既にこの酷い快感に負けてしまっていて、今すぐ止めろとは言えなかった。
もっともっとこの快感を感じていたい。そんな弱い自分が情けない。

これはドライオーガズムと言うらしい。
痛みやそう言ったものから感じる快楽とも全く違う。
自分でもこの快感をどう現せばいいのかわからない。
とにかく狂うぐらいに気持ちがいいのは確かだった。

「はッ、ぁぐっ!……はるッ!…きっ……!きもちッ…―――ひ、あ、ッあぅ!!!いれッいれてッ!はる…はるきのッほしぃ…ッ…!!」

緩んだ表情ではるきを見つめると、自然と足を大きく開いていた。
今すぐ早く挿入して突き上げて欲しい。
めちゃくちゃにして欲しい。
巽以上に。巽なんかの行為を忘れるぐらいに。
そんな想いをぐっと飲み込むように、笑っている晴生に俺も緩く笑みを返した。

  
【日当瀬晴生】

目の前で千星さんが足を開く。
その姿は淫猥そのものだった。
俺も我慢の限界だ、完全にいきり立つペニスを千星さんのアナルに宛がうとバイブを引き抜くと共に奥まで押しこんだ。

「――――ッ、く、千星さんのなか…ッ、きつくて、やばい……ですッ」

余りにしめつけが強くてそのままではもたなかったので直ぐに腰を揺らした。
足を大きく広げ、相手の肩に膝が付くほど持ち上げる。
両手の拘束を解いた手首に身を乗り出して口付けを落とした。

そのまま腰を打ち付けて、雁首で前立腺を擦ると本当に持って行かれそうなほど腸壁が絡みついてきて眉を寄せた。
口角は自然と上がってしまう。
気持ちいい、はやくこの中にぶちまけたいんだけど、千星さんはまだまだ、気持ち良くなりたそうだったのでそのまま腰を揺らし続けた。

「はッ―――ッ、気持ちいいですか…ッ、俺、…すぐ、イきそ、…です」


激しくと言われているのに物理的に苦しい。
しかし、満足させてあげねぇーとの一心で俺は腰を揺らし奥を打ち付けた。
喘ぎ狂う様な千星さんを見下ろすと欲は溜まって行くばかりだった。

はやく、千星さんの中に…
もっと、もっと交わりたい。
恍惚な視線で彼を見下ろし、跳ねる呼吸を惜しげもなく繰り返した。

  
【千星那由多】

晴生のペニスが挿入されたのが分かった。
思わず嬉しさに腸壁が硬いペニスに絡みつき、身体が大きく跳ねる。
湧き上がってくる感情に涙がまた一筋目尻を伝った。

快感が継続しているため、とんでもなく気持ちがいい。
先ほど無理矢理挿れられた時よりも、晴生のペニスの輪郭がはっきりとわかる。
すぐに中を掻き乱されると、気を失ってしまいそうだ。
晴生に落とされたキスに応えるように、背中へと自由になった両手を回した。

「あ、ッは、はるきのッ…中ッに…!…ひ、ぐッ、きもち!あッ、…ひッ……きも、ち……ッ!!!―――――あぁああああッッ!!!!」

またイッてしまったような気がする。
身体が大きく痙攣したが、何が何なのか本当にわからない。
永遠にこの快感は続いてしまうのではないだろうかという不安と、それを求める気持ちが入り混じっていく。

余裕の無い晴生の顔を見つめる。
俺に夢中になってくれるこいつがたまらなく愛おしかった。
ずっと繋がっていたい。
離したくない。

「も、俺、おかし…――――あァッ!!!イ、イって…!はるき、ぃ、イって…い、いか……ら、あ、あぁあッ!!!」

晴生が催眠術にかかっていることなど忘れていた。
ただ晴生と繋がれたことに興奮し、混じり気のない快感を全身で感じている。
全てを忘れさせて欲しい、もう離さないでほしい、大好きなんだ、晴生。
色んな感情が言葉になっていくが、口から漏れることは、ない。

快感に叫びながら、晴生の射精を煽るように胎内を締め付けてやる。
抱き着くように晴生にキスを落とし、快感に狂った笑みを向けた。

「ひ、ぅ、あッ、あっ……晴生ッ…の、全部………俺ん、中に……ッだし、て…ッ……!!」

  
【日当瀬晴生】

千星さんが命令を重ねてくれた。
そんなことをしなくても俺はもう我慢の限界だ。
ガツガツと千星さんの中を抉り、ペニスに絡みつく腸壁を楽しむ。

救急箱からハサミを取り出すと、更にコンドームを引っ張ってその結び目の近くを切る。
パチンとゴムが弾け飛ぶ、それと一緒に千星さんのペニスが自由になった。

「はっ、俺、イきますね―――ッッ!」

千星さんの艶っぽい声が室内に響く。
俺が絶え間なく突き上げていると千星さんは射精した、その誘う様な締め付けに俺も耐えきれずに胎内に吐き出した。
余韻を残す様に腰をゆっくりと揺らす。

激しいとはこれで有っていたのか。
千星さんはこれで満足していた。

そんなことを考えていると仮眠室の扉が開いた。
会長の姿が見える。

俺は今、千星さんの命令を聞いているからなにも悪いことはしていない筈。
千星さんはよほど刺激が酷かったのか会長には気づいてない様子だった。

「忘れたことを戻しに来ただけなので。」

いつもの笑みを浮かべながら会長が俺達に近づいてくる。
次は会長が俺に命令を出すのか。
そう思っていたら俺の目の前に催眠術を掛けた時のリングをじゃらりと垂らした。
そして一気に引き上げる。

「それでは、続きをどうぞ。」

会長はそう言って数歩下がった。

下がった…。

さが、―――ぇええええ!!!

俺は急いで千星さんからペニスを引き抜く。
どろりと胎内から体液が垂れた、それが更に罪悪感を高めた。

「す、すいません!!!千星さん!!!」

俺はその場で土下座した。

   
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