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強がりなお前の白い肌⑤

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【明智剣成】


「ちょ、あっ!──挿れねぇ…った、だ…ろ!」

「ん?挿れねぇから大丈夫。
あ、でも、挿んねぇようにちゃんと締めとかなきゃしんねぇぜ?」

日当瀬の腹の上あたりに跨がっていたがそこから後ろに下がり足元まで来ると同時にズボンへと手をかける。
日当瀬は抵抗してきたが、上半身を曲げ敏感になっている乳首に歯を立ててやる。
浮いた腰を見逃さずに下着ごとスウェットのスボンを引き剥がす。
メガネもずれ落ちてしまっていたので、壊れないように服の上へと置いといてやる。
そのまま両足をクロスするように掲げ、自分の右肩に預けながら俺もベンチへと腰を掛ける。
日当瀬の足の隙間にペニスを差し込み、ローションを二人の性器へと盛大に垂らす。

「日当瀬…ほら、さっきみたいに、ここ、扱いて………」

自分でも驚くほど掠れた余裕のない声が落ちて苦笑した。
日当瀬の手を二人のペニスへと誘導してやると、俺の指は日当瀬のきめ細やかな肌を辿るように、臍、腹、胸へと指先を滑らせながら抽挿〈ちゅうそう〉を開始する。
片手ではしっかりと日当瀬の両足を抱え、口元に来る脚のアキレス腱の辺りを舐ったり、軽く歯を当てたりして跳ねる体を愉しむ。
薄い腿の肉がローションにまみれて、卑猥な音を立て、日当瀬の白い肌が赤く染まっていくのは堪らない。
ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てながら裏筋通しを擦りつけてやる。
日当瀬が申し訳無さ程度に性器を二つ纏めて握っている姿に庇護欲と征服欲が掻き立てられる。

「もっと、…ッ、握ってくれねぇと、イけ…ねぇんだけど…」

「ンッ……んなこと、ッ……ッあ、く、も、胸触んなッ…て」

上からイタズラな笑みで見下ろせば、日当瀬がやり場のない視線で睨み上げてくる。
カリッとローション塗れの胸の突起を指先で引っ掻かけば一際大きく体が跳ね、嬌声が漏れる。
この性に初心な感じが嗜虐心を擽るのは言うまでまもない。
はぁ───っと長く息を吐くともっと虐めたくなった俺は体勢を変えるために左足の踝を強く吸い上げてから開放し、日当瀬の片手を引っ張って起き上がらせる。
腰を攫うようにして相手を立たせると、俺の部屋はジム仕様の為鏡張りの箇所が多く、全身が映るその一枚へと相手の両手を付かせた。
日当瀬ははじめはわかっていなかったようだが目の前に広がる光景に前屈みになっていた体勢を持ち上げようとしたため彼に覆い被さる。
ウエイトの関係上こうなっちまえば、こっちのもんだ。
更に追い上げるようにと日当瀬自身に指先を絡め、少しキツめに扱いてやる。

「明智ッ…おい、テメェ───ふっ、……くっ、待てって……もうちょっと、マシなば、しょ」

「だーめ。日当瀬、ちゃんと、扱いて、んねぇ…から、ほら自分の綺麗な顔、見て、みろよッ…」

顎を持ち上げるようにして鏡に映る相手の姿を見せてやる。
目許は赤く熟れ、唇はローションで汚れ、熱を帯びた瞳は鏡で見ても堪らなく俺を欲情させた。
更に顔を露出させるように前髪を耳に掛けるように掻き揚げてやり、自分の体を相手の背中にピッタリと密着させると唇を相手の右耳へと寄せる。

「ぁー、堪んねぇ、もー、挿れてぇ……俺、日当瀬の顔、滅茶苦茶、好き」

「ぁあ!?…も、バカなこと、言って…ッ…ねぇで、さっさと、終わらせ…ろっ」

吐息混じりの声に日当瀬の肌が粟立つのが分かる。
ペニスをずっと扱いてやってる為に日当瀬は膝が崩れるのを耐えるように鏡に爪を立てている。
日当瀬はみっともない姿を俺に晒したくないだけだろうが、こっちはその健気な姿が更に興奮を掻き立てる。
不意に目の前にあった、日当瀬の右耳へと舌を這わせた。

「───────ぁ!………ッ…、てめ、そこっ、────ッ!?あ、やめ、ちょ、んんッ…ぁ、あっ」

「やっべぇ、…かわいいー、耳、気持ちい?
ちょっとマジで抑えてくれねぇと、俺、保たねぇわ…」

日当瀬から大きな嬌声が漏れたと同時に俺の指が先走りで白く汚れる。
ウイークポイントを発見してしまった俺は執拗に耳朶を舐めあげ、ピアスを一つずつ歯で挟み引っ張ってやる。
首を降って逃げようとするのを、鏡に相手の左頬がつくくらい押し付け、完全に固定してしまう。
今にも抜けそうな腰を腕で支え直し、ペニスを挟んで確りと太腿をクロスさせる様に閉じさせると、内腿へとペニスを擦りつけ始める。

「はっ、………スッゲェ、ぐちゅぐちゅいってる。
挿入してるみてぇじゃね?」

「ンッ、も、…………………耳、やめっ、ぁ、も、俺、出る…………ッ…」

耳朶から耳輪、軟骨の部分までピアスを押し付けるようにしながらゆっくりと舌を這わす。
わざと吐息混じりの声で耳を擽り、日当瀬の余裕のない呼吸に合わせてペニスを扱いてやる。
手の中で誇張し、先走りを滴らせる日当瀬自身の鈴口に親指を立て擦るように刺激してやる。
必死に口を片手で覆い、声を殺そうとしているが、指の隙間から普段聞けないような甲高い声が漏れ落ちた。
男を悦ばす肢体が今目の前にある。

「ん、…じゃ、一瞬にイこ、…ッ」

「ッ……く、は、ッ、ん、ん、……………──────ァアッ!!」

日当瀬の限界を感じると一際大きく腰をグラインドさせ、パンパンと肉をぶつける音響かせながら絶頂へと向かう。
日当瀬の先走りで濡れたペニスを扱きあげ、彼の体が大きく震えた瞬間に耳に強く噛み付いた。
日当瀬は大きく背をしならせながら吐精液し、俺もそれに合わせるように鏡を白濁に汚す。
日当瀬がそのままズルズルと下に崩れていくので支えながらゆっくりと、床に座るようにおろしてやる。

「……と。待ってろよ、拭くもん持ってくるから」

自分の性器をさっさとしまうと、肩を上下させながら呼吸している日当瀬をおいて脱衣室へと向かう。
派手にローションをぶち撒けたせいで、俺も日当瀬もヌルヌルだ。
洗面所でタオルを濡らそうと、湯を出しているとカラカラと窓を開ける音が響いてきて俺は顔を覗かせた。

「いっ!?ちょ、帰んの?って、日当瀬、おーい!!」

「うるせー!も、喋んなッ!!」

日当瀬の体は俺よりもローション塗れでヌルヌルだろうに、既に服を着ていた。
日当瀬の背中は物凄く怒っているように見えたが、耳が真っ赤だったのでなんだか説得力がなく、無理矢理止めてもいいんだけどきっと彼のプライドが許さないだろう故、静かに目を細めその背中を見送った。

「日当瀬、ありがとなー。」

勿論、俺への返答は無かったし、此方を一度も見ることもしなかった。





End
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