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After Story
宵待の覚悟
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なあ佐野、いや斗真。
俺は今から先生たちと話し合ってくる。
議題はもちろん斗真たちのことについて。
俺、あいつらに一言言わないと気がすまないから、お前はこんなこと望んで無いかも知れないけどよ、俺の自己満に付き合ってくれな。
俺は今日、自主退学をする予定だ。
来る放課後、俺は担任の先生に応接室まで案内された。
俺が応接室の椅子に腰をおろしてしばらく後、校長と教頭、そして例の先生がやってきた。
三人が椅子に座ったのを確認し、俺は口を開いた。
「お忙しい中お時間をいただき感謝します。なんの件で俺が先生たちと話したいと言っているかはわかりますか?」
こう問いかけると先生たちは揃いも揃って青い顔。
その顔色が俺がここに来た理由を知っていることを、心当たりがあることを物語っていた。
俺はなお誰一人口を開こうとしない先生に向かって言い放った。
「だれもわからないんですか?」
「...」
「本当に分からないんですか?」
いい加減、我慢の限界だ。
「普段は意味のないことを大声でべらべら喋ってるくせにこういう時は何も声出さないんですね。」
「宵待!」
声を荒らげかけた先生の声に被せるように言う。
「今糾弾されるべきは俺ではない、それはあなたが一番わかってるんじゃないですか?」
「ぐっ、」
だれのものかわからない息を飲むような声が聞こえた。
「はぁ、いいです。つくづくあなた方には失望しました。俺から言って差し上げますね?」
「何だその口の聞き方は!」
「そんなに声出せるならさっきの質問にも答えられますよね?なんで俺がこの場で先生たちと話したいかわかりますか?」
「しらん、興味もない。」
冷たく先生が言い放つ。
俺は自制が効く間もなく口から溢れ出た言葉を垂れ流しにした。
「知らない、興味もない?なら教えてあげますよ。先生のせいで、お前のせいで死んでしまった佐野と神薙についての話を俺はここにしに来たんです。よくも知らないなんて言えましたね。自分のことでしょう?それとも何か、この三人であの件はなかったことにしようとしているわけじゃないですよね?そんなことするほど人間として落ちぶれてないと俺は信じてますよ。」
「先生に向かってお前とは何だ、宵待。」
見かねたように教頭先生が言う。
俺は嘲笑を零す。
「はっ、人を二人死にまで追いやったやつを先生なんて呼びたくありませんよ。」
「だからといって...」
「だからといって、じゃないんですよ。わかってます?この人がしたことといまあなた達がしていることの重大さ。」
「それはわかって、」
「わかってるならなんで公にしないんですか?結局は全員保身さえできりゃいいですもんね、先生っていうのは所詮自分がいちばん大切なエゴイズムに塗れた生物ですもんね、知ってますよそれくらい。」
「前にも言ったようだが、」
ようやく校長が口を開く。
「先日の体育祭においてのあの発言と佐野、神薙の両者の自殺に関して当校では関連性を見出すことが出来なかった。よってこの不毛な言い争いの時間は無駄である。」
「は?お前ら揃って何いってんの?間違いなくあの二人が死んだのはこいつのせいで、そういう学生の自殺が減らないのはお前らみたいに学校に批判が集まることにビビってるからだぞ。」
「事実無根の言いがかりをするのはやめていただきたい。」
「『事実無根の言いがかりをするのはやめていただきたい。』じゃねぇんだよ、何が事実か、そうじゃないかなんて一目瞭然だろうが。それとも何、あのボイスレコーダーを処分したから証拠不十分とでもいいたいわけ?」
「実際そのボイスレコーダーとやらはここには無いからなぁ、なんとも。」
「そっか、じゃあもう証拠がないんだ。」
俺はあえてしょんぼりとしたふうに言う。
そして畳み掛ける。
「せっかく佐野たちの仇取れると思ったのに、俺が取るって決めたのに。」
「残念ながら俺があいつらにクソガキって言ったことも体育祭での発言で二人が死んだことも事実無根、証拠不十分になるだろうね。君はどう足掻いても俺を訴えることは出来ないんだよ、わかったかい?」
「そっか、そうですよね。すみません、俺が悪かったです。」
「さっき君は俺や校長先生、教頭先生に向かって乱暴な物言いをしたよね?」
「はい、」
「俺の発言で二人が死んでしまったこととか黙っててくれるならこのまま罰も何もなしで帰してあげる。どうする?」
「今、認めましたね。認めましたよね?」
「は?」
「今自分で『俺の発言で二人が死んでしまったこととか黙っててくれるなら』って言いましたよね。」
「それがどうかしたのかよ。」
「わからないんですか?その発言があんたから出てきたことがあんたのあの発言で二人が死んだなによりの証拠になるんだよ。」
「今ここで言ってしまったことなんてここにいる四人しか知らないんだから証拠になんてなるはず無いだろ?」
「それは俺がこの場でボイスレコーダーを回していない場合ですよね、俺は残念ながら用意周到なので回させてもらってますよ。」
「は?」
「あ、あと先生が佐野たちのことクソガキって呼んだあの件についてのボイスレコーダーのことなんですが、」
「あれは本当に学校にないんだ、信じてくれ。」
「信じますよ?」
俺があっさり信じたのが逆に呆気なかったのかなにも言ってこない。
だから俺から爆弾発言をしてみる。
「だってあれいま持ってるの俺ですもん。」
これは紛れもない事実、ボイスレコーダーを聞いた後に佐野、神薙の親から先生に渡された時。
その数瞬のスキでおれは掠め取った。
「ま、そういうことなので帰りますね。」
「...」
先生たちはもうなにも言わない。
俺は校長先生に退学する旨を伝え、応接室から出た。
ボイスレコーダーがちゃんと回ってたことを確認し、俺は家に帰る。
お母さんに学校をやめたことを告げ、そのままの足で近くの警察署へ行く。
「すみません、少し良いですか?」
窓口でそう告げると一人の中年男性がやってきた。
「なにかな?」
「少し前に遺体が見つかった佐野と神薙の友人です。物的証拠と自分が知っている情報を渡しに来ました。」
そう告げるとその男性がとても険しくなり、厳しい口調で 信じて良いんだな? と聞かれた。
もちろん後ろめたいことなど無いので頷いて返事をした。
すると俺は謎の部屋に通され、続いて四人くらいの警察官が入ってきた。
さっきの中年男性の警察官が口を開く。
「早速その物的証拠とやらを出してもらおうか。」
「はい、警察の方々から見て右側が佐野と神薙、そして先生との会話のものです。左側のものが俺と先生たちとの会話です。どちらとも証拠と言うには弱いかも知れませんが聞くだけでも聞いてください。」
そして神妙な顔つきでボイスレコーダーを再生した。
2つとも聞き終わった後に若めの警察官が俺に言った。
「君がなぜこれを持っているんだい?」
「二人と親しく、また両者の親が学校にその件について聞いた際も無視をされたらしく、学生ならば内部情報も詳しく知れると判断したからです。」
「なるほど、では君が知っているという情報を教えてくれるかな?」
「はい、これが佐野から俺宛に書かれた遺書です。」
一通り目を通してから警察官が俺に問う。
「この日記とやらは今持っている?」
「ここにあります。」
その日記には体育祭の日に先生に言われたこと、その後の学校の対応、どんな気持ちで過ごしていたかが克明に記録されていた。
俺は何度か読んでいたが堪えられずに泣いてしまった。
すぐにティッシュをくれたり温かいお茶をくれたりして、その優しさのせいでまた涙を流す羽目になった。
そして日記を読み終えた後、四人の中で1番ベテランそうな人が口を開いた。
「個人で集めた証拠、しかも自殺者の証拠をここまで集めたとなると君はよっぽどこの件について考えたのだろう。協力感謝する。早速明日、君の通っている学校に捜査に行こうと思う。君の無念は私達が晴らします。」
「あっ、ありがとうございます!!!!!」
俺は夜が遅くなったのもあり警察の方に家の前まで送ってもらった。
パトカーが見えなくなってから俺は警察署と逆方向にあるき出した。
ポケットには睡眠剤。
手には水。
ザッザッザッザッ...
足音だけが響く。
気がつくと目の前には深そうな川があった。
ここにしよう。
そう思い俺は睡眠剤を大量に飲み下した。
そして冬の冷たい水に体を浮かべ襲ってきた眠気に身を任せた。
俺は今から先生たちと話し合ってくる。
議題はもちろん斗真たちのことについて。
俺、あいつらに一言言わないと気がすまないから、お前はこんなこと望んで無いかも知れないけどよ、俺の自己満に付き合ってくれな。
俺は今日、自主退学をする予定だ。
来る放課後、俺は担任の先生に応接室まで案内された。
俺が応接室の椅子に腰をおろしてしばらく後、校長と教頭、そして例の先生がやってきた。
三人が椅子に座ったのを確認し、俺は口を開いた。
「お忙しい中お時間をいただき感謝します。なんの件で俺が先生たちと話したいと言っているかはわかりますか?」
こう問いかけると先生たちは揃いも揃って青い顔。
その顔色が俺がここに来た理由を知っていることを、心当たりがあることを物語っていた。
俺はなお誰一人口を開こうとしない先生に向かって言い放った。
「だれもわからないんですか?」
「...」
「本当に分からないんですか?」
いい加減、我慢の限界だ。
「普段は意味のないことを大声でべらべら喋ってるくせにこういう時は何も声出さないんですね。」
「宵待!」
声を荒らげかけた先生の声に被せるように言う。
「今糾弾されるべきは俺ではない、それはあなたが一番わかってるんじゃないですか?」
「ぐっ、」
だれのものかわからない息を飲むような声が聞こえた。
「はぁ、いいです。つくづくあなた方には失望しました。俺から言って差し上げますね?」
「何だその口の聞き方は!」
「そんなに声出せるならさっきの質問にも答えられますよね?なんで俺がこの場で先生たちと話したいかわかりますか?」
「しらん、興味もない。」
冷たく先生が言い放つ。
俺は自制が効く間もなく口から溢れ出た言葉を垂れ流しにした。
「知らない、興味もない?なら教えてあげますよ。先生のせいで、お前のせいで死んでしまった佐野と神薙についての話を俺はここにしに来たんです。よくも知らないなんて言えましたね。自分のことでしょう?それとも何か、この三人であの件はなかったことにしようとしているわけじゃないですよね?そんなことするほど人間として落ちぶれてないと俺は信じてますよ。」
「先生に向かってお前とは何だ、宵待。」
見かねたように教頭先生が言う。
俺は嘲笑を零す。
「はっ、人を二人死にまで追いやったやつを先生なんて呼びたくありませんよ。」
「だからといって...」
「だからといって、じゃないんですよ。わかってます?この人がしたことといまあなた達がしていることの重大さ。」
「それはわかって、」
「わかってるならなんで公にしないんですか?結局は全員保身さえできりゃいいですもんね、先生っていうのは所詮自分がいちばん大切なエゴイズムに塗れた生物ですもんね、知ってますよそれくらい。」
「前にも言ったようだが、」
ようやく校長が口を開く。
「先日の体育祭においてのあの発言と佐野、神薙の両者の自殺に関して当校では関連性を見出すことが出来なかった。よってこの不毛な言い争いの時間は無駄である。」
「は?お前ら揃って何いってんの?間違いなくあの二人が死んだのはこいつのせいで、そういう学生の自殺が減らないのはお前らみたいに学校に批判が集まることにビビってるからだぞ。」
「事実無根の言いがかりをするのはやめていただきたい。」
「『事実無根の言いがかりをするのはやめていただきたい。』じゃねぇんだよ、何が事実か、そうじゃないかなんて一目瞭然だろうが。それとも何、あのボイスレコーダーを処分したから証拠不十分とでもいいたいわけ?」
「実際そのボイスレコーダーとやらはここには無いからなぁ、なんとも。」
「そっか、じゃあもう証拠がないんだ。」
俺はあえてしょんぼりとしたふうに言う。
そして畳み掛ける。
「せっかく佐野たちの仇取れると思ったのに、俺が取るって決めたのに。」
「残念ながら俺があいつらにクソガキって言ったことも体育祭での発言で二人が死んだことも事実無根、証拠不十分になるだろうね。君はどう足掻いても俺を訴えることは出来ないんだよ、わかったかい?」
「そっか、そうですよね。すみません、俺が悪かったです。」
「さっき君は俺や校長先生、教頭先生に向かって乱暴な物言いをしたよね?」
「はい、」
「俺の発言で二人が死んでしまったこととか黙っててくれるならこのまま罰も何もなしで帰してあげる。どうする?」
「今、認めましたね。認めましたよね?」
「は?」
「今自分で『俺の発言で二人が死んでしまったこととか黙っててくれるなら』って言いましたよね。」
「それがどうかしたのかよ。」
「わからないんですか?その発言があんたから出てきたことがあんたのあの発言で二人が死んだなによりの証拠になるんだよ。」
「今ここで言ってしまったことなんてここにいる四人しか知らないんだから証拠になんてなるはず無いだろ?」
「それは俺がこの場でボイスレコーダーを回していない場合ですよね、俺は残念ながら用意周到なので回させてもらってますよ。」
「は?」
「あ、あと先生が佐野たちのことクソガキって呼んだあの件についてのボイスレコーダーのことなんですが、」
「あれは本当に学校にないんだ、信じてくれ。」
「信じますよ?」
俺があっさり信じたのが逆に呆気なかったのかなにも言ってこない。
だから俺から爆弾発言をしてみる。
「だってあれいま持ってるの俺ですもん。」
これは紛れもない事実、ボイスレコーダーを聞いた後に佐野、神薙の親から先生に渡された時。
その数瞬のスキでおれは掠め取った。
「ま、そういうことなので帰りますね。」
「...」
先生たちはもうなにも言わない。
俺は校長先生に退学する旨を伝え、応接室から出た。
ボイスレコーダーがちゃんと回ってたことを確認し、俺は家に帰る。
お母さんに学校をやめたことを告げ、そのままの足で近くの警察署へ行く。
「すみません、少し良いですか?」
窓口でそう告げると一人の中年男性がやってきた。
「なにかな?」
「少し前に遺体が見つかった佐野と神薙の友人です。物的証拠と自分が知っている情報を渡しに来ました。」
そう告げるとその男性がとても険しくなり、厳しい口調で 信じて良いんだな? と聞かれた。
もちろん後ろめたいことなど無いので頷いて返事をした。
すると俺は謎の部屋に通され、続いて四人くらいの警察官が入ってきた。
さっきの中年男性の警察官が口を開く。
「早速その物的証拠とやらを出してもらおうか。」
「はい、警察の方々から見て右側が佐野と神薙、そして先生との会話のものです。左側のものが俺と先生たちとの会話です。どちらとも証拠と言うには弱いかも知れませんが聞くだけでも聞いてください。」
そして神妙な顔つきでボイスレコーダーを再生した。
2つとも聞き終わった後に若めの警察官が俺に言った。
「君がなぜこれを持っているんだい?」
「二人と親しく、また両者の親が学校にその件について聞いた際も無視をされたらしく、学生ならば内部情報も詳しく知れると判断したからです。」
「なるほど、では君が知っているという情報を教えてくれるかな?」
「はい、これが佐野から俺宛に書かれた遺書です。」
一通り目を通してから警察官が俺に問う。
「この日記とやらは今持っている?」
「ここにあります。」
その日記には体育祭の日に先生に言われたこと、その後の学校の対応、どんな気持ちで過ごしていたかが克明に記録されていた。
俺は何度か読んでいたが堪えられずに泣いてしまった。
すぐにティッシュをくれたり温かいお茶をくれたりして、その優しさのせいでまた涙を流す羽目になった。
そして日記を読み終えた後、四人の中で1番ベテランそうな人が口を開いた。
「個人で集めた証拠、しかも自殺者の証拠をここまで集めたとなると君はよっぽどこの件について考えたのだろう。協力感謝する。早速明日、君の通っている学校に捜査に行こうと思う。君の無念は私達が晴らします。」
「あっ、ありがとうございます!!!!!」
俺は夜が遅くなったのもあり警察の方に家の前まで送ってもらった。
パトカーが見えなくなってから俺は警察署と逆方向にあるき出した。
ポケットには睡眠剤。
手には水。
ザッザッザッザッ...
足音だけが響く。
気がつくと目の前には深そうな川があった。
ここにしよう。
そう思い俺は睡眠剤を大量に飲み下した。
そして冬の冷たい水に体を浮かべ襲ってきた眠気に身を任せた。
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