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天邪鬼
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おはよう。
この言葉を君に投げかけようとしてはいつも喉元で突っかかる。
おやすみ。
この言葉を言おうとするけどまるで自分の口じゃないみたいに開かなくなる。
好きだよ。
言おうとすらできない。
大嫌い。
この言葉だけはスラスラ出てくる。
毎日僕が自分に投げかけてる言葉だから。
君は僕に言う。
おはよう。
僕はなにも返せない。
おやすみ。
僕の目を覗き込んで言う。
好きだよ。
僕にまっすぐ伝えてくれる。
大嫌い。
君は一度もその言葉を僕に投げかけたことがなかったよね。
でもね、僕は知ってる。
僕はひねくれ者で君は正直者。
僕は天邪鬼、言えないんじゃなくてわざと言わない。
君は正直者、僕になにも言わそうとしない。
僕が口を開こうとするたびにこの口を君の唇で塞ぎに来る。
でもね、大嫌いって僕が僕に言うときだけはなんでか塞いでくれない。
君の態度は正直だよね。
自分のかわりに僕に僕のことが大嫌いだって言わせるなんて、あまりに正直だよ。
その熱をもった瞳の中にいつからだろう、僕が映ってないと気がついたのは。
だけど君は僕を決して突き放そうとはしない。
僕が気づいていないふりをすれば君は僕に幸せをくれる。
幸せから一本線を抜けば辛さになるというのは有名な話だ。
その一本の線が僕にとっては君なんだろうとわかっていてもこの胸の奥の痛みは消えない。
君が塞いでくれないこの口から漏れ出る大嫌いが僕の心を蝕んでいく。
いつまでも君のことを眺めていたいからこそもう君を見ていたくない。
僕がつらくなれば君は一本の線になってくれる。
僕がつらくなくなれば君という一本の線は忽然と姿を消す。
僕は気づく。
本当に天邪鬼なのは君で、僕は普遍的な正直者だって。
僕に幸せを与えるふりをして心の奥の痛みを助長し、僕がつらくなるような言動をしておきながら救ってくれるのはいつも君。
君は天邪鬼。
僕の邪悪な心を浄化してくれる。
僕の心は天邪悪鬼、いつだって君を疑ってばかりいる。
本当はそんなことしたくないのにね。
ねぇ、大好きだよ。
言おうとするとやっぱり君は僕の口を塞ぐ。
大嫌い。
僕はそう言う。
君はなにもしない。
君が口を開く。
「私も嫌い。」
この言葉を君に投げかけようとしてはいつも喉元で突っかかる。
おやすみ。
この言葉を言おうとするけどまるで自分の口じゃないみたいに開かなくなる。
好きだよ。
言おうとすらできない。
大嫌い。
この言葉だけはスラスラ出てくる。
毎日僕が自分に投げかけてる言葉だから。
君は僕に言う。
おはよう。
僕はなにも返せない。
おやすみ。
僕の目を覗き込んで言う。
好きだよ。
僕にまっすぐ伝えてくれる。
大嫌い。
君は一度もその言葉を僕に投げかけたことがなかったよね。
でもね、僕は知ってる。
僕はひねくれ者で君は正直者。
僕は天邪鬼、言えないんじゃなくてわざと言わない。
君は正直者、僕になにも言わそうとしない。
僕が口を開こうとするたびにこの口を君の唇で塞ぎに来る。
でもね、大嫌いって僕が僕に言うときだけはなんでか塞いでくれない。
君の態度は正直だよね。
自分のかわりに僕に僕のことが大嫌いだって言わせるなんて、あまりに正直だよ。
その熱をもった瞳の中にいつからだろう、僕が映ってないと気がついたのは。
だけど君は僕を決して突き放そうとはしない。
僕が気づいていないふりをすれば君は僕に幸せをくれる。
幸せから一本線を抜けば辛さになるというのは有名な話だ。
その一本の線が僕にとっては君なんだろうとわかっていてもこの胸の奥の痛みは消えない。
君が塞いでくれないこの口から漏れ出る大嫌いが僕の心を蝕んでいく。
いつまでも君のことを眺めていたいからこそもう君を見ていたくない。
僕がつらくなれば君は一本の線になってくれる。
僕がつらくなくなれば君という一本の線は忽然と姿を消す。
僕は気づく。
本当に天邪鬼なのは君で、僕は普遍的な正直者だって。
僕に幸せを与えるふりをして心の奥の痛みを助長し、僕がつらくなるような言動をしておきながら救ってくれるのはいつも君。
君は天邪鬼。
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本当はそんなことしたくないのにね。
ねぇ、大好きだよ。
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大嫌い。
僕はそう言う。
君はなにもしない。
君が口を開く。
「私も嫌い。」
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