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2 隣の席
しおりを挟む授業中、俺は昨日橘を自転車に乗せて帰ったことを思い出していた。
カゴに入っている2つのカバン、ペダルの重さ、黒髪が風になびいた橘の後ろ姿、昨日のことなのになぜか懐かしく感じる。
ふと隣の席を見ると橘が机に突っ伏して寝ている。
教室の窓側の一番後ろの席だし寝たくなる気持ちもわかる。
ましてや不良が集まる高校だし、授業を真剣に受けている奴などあまりいない。
寝ている隙に橘の寝顔を見る。
橘は可愛いというより綺麗だ。
他の女子と比べてがっつりメイクはしてないみたいだ。
いわゆるナチュラルメイクってやつか。
橘を含めた俺をいじめているギャルたちの会話をいつも聞いていることで、ナチュラルメイクという言葉を覚えてしまった。
まつげは長く、くりっとしていて、目は切れ長。
鼻筋はしっかり通っていて、唇はふっくらしている。
黒髪の艶のある髪の毛はサラサラでシャンプーのCMに出演できそうだ。
風が吹くと橘のつけている香水の甘い匂いが香る。
雑誌のモデルと言われても納得するな。
そんな気持ち悪い分析をしていると、橘が急に目を開いた。
バッと視線を逸らす。
まずい、寝顔を見ていたのがバレたか?
体を起こした橘が疑うようにジーッと俺を見つめる。
知らんフリをしてノートに板書を書き込んでいると、
「私のことみてたでしょ」
あー怖い。バレた。
橘の怪訝な視線に耐えながら打開策を考える。
すると授業終了のチャイムが鳴る。
俺は次が体育であることを思い出し、荷物を持って男子更衣室に走り出した。
「ちょっと!待って!」
後ろから橘の声が聞こえたが、聞こえていないフリをして教室から走り出た。
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