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着物デート〜お泊り篇〜①
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拓馬が予約した所は、古民家をリノベーションしたという落ち着いた雰囲気の宿だった。
門から玄関までの大曲りに並べられた飛び石がアプローチに奥行きを感じさせ、白い玉砂利に埋め込まれた暖色の灯りが足元を明るく照らしていた。美しく選定された植え込みの紅葉に反射して、その煌めきに伊織は思わず息を呑んだ。
「素敵ですね……。中に入る前に、玄関までのこのアプローチだけでワクワクします(笑)」
ほのかに照らされた伊織の頬が上気しているように見える。瞳がキラキラと輝いて、拓馬はその瞳に思わず吸い込まれ、抱きつきたくなってしまった。
「拓馬?早く行きましょ!」
俺の手を引く伊織の可愛いつむじが目に入り、楽しげにフワフワと夜風になびく髪が艷やかに光っていた。
「そうだね。ここ、ご飯も相当美味しいらしいよ(笑)」
「ほんとですか?それなら余計に早く入りましょう!!」
さほどお酒が強くない伊織に、少し飲ませちゃおうかなと企んでいると、クルッと振り返って俺を見た。
「美味しい地酒があるって言ってましたよね?僕も少しなら飲んでも良いですか?」
「大丈夫か?伊織、いつも猫みたいにクニャクニャになるだろ(笑)」
「さすがに僕も少しは強くなりました!」
ちょっと頬を膨らませ、可愛い唇を尖らせた。恨みがましい上目遣いが可愛いだなんて…俺も大概、伊織にべた惚れだな(笑)。
「まぁ……寝ちゃわない程度にゆっくり飲もうな(笑)」
「はい!」
俺の許可が出たと思って嬉しそうに笑っている伊織を見て、許すと言うよりはむしろ飲んで欲しいと思っている不埒な自分を笑顔で隠した。
だって伊織……。いつもは恥ずかしがって嫌がることも、自らやってくれるから……。
俺、心の中でガッツポーズ(笑)。
+++
「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた女将が、伊織を見て眩しそうに目を細めた。そして、俺に向かって「可愛らしいお連れ様ですね。」と話してきた。荷物を預け勧められた浴衣を選んでいると、女将がおずおずと話しかけてきた。
「お着物素敵でらっしゃいますね。」
「僕が仕事で着ることが多いんです。」
「失礼ですが、お花の…?」
女将は伊織のファンだと明かし、嬉しそうに笑った。
「失礼いたしました」と恥ずかしそうにほほえみながら部屋に案内してくれた。やっぱり伊織ってその世界では有名なんだなと改めて感じた。
でも今は俺だけの伊織なんだよな……。
やっと部屋で二人っきりになれて、俺は不足していた伊織を補充すべく、華奢なその体を抱き寄せた。そして、大きく息を吐くと、鼻から思いっきり伊織を吸った(笑)。
「すぅ~……はぁぁ……。さすがに外では抱っこ出来ないからね……。すぅ~……はぁ…良い匂い(笑)」
「拓馬……コレ嫌だ。慣れない!」
困ったなという伊織の顔が……。
「可愛い♡」
「も~!終わりっ!!」
「ダメ~!一日外だったから吸い足りないよ♡」
思いっきり吸うと、伊織の体からほのかに花の香りがした。いつもお花に囲まれてるもんね。
「拓馬?…僕もしたい。真似していい?」
そう言うと、俺の胸に鼻を寄せてきて思いっきり吸われた。
「拓馬の匂い…僕らの家で一緒に使ってる石鹸の香りだ……。」
「汗臭くない?大丈夫?」
「ふふふっ(笑)。僕らのお家のシトラスの石鹸。安心する……。」
「そっか。安心か……。」
俺は伊織を力強く抱きしめた。
「大事な人が安心してくれるってのは、嬉しいね」
小鳥が啄むように、俺は伊織の唇に軽く口づけた。何度も何度もチュッチュと啄んでいると、伊織がクスクス笑い始めた。柔らかな髪にキスすると、潤んだ瞳が俺を見つめた。
「ね、伊織……。ここのお風呂凄く素敵なんだって。」
「じゃあ……入る?」
俺は伊織を攫った。
門から玄関までの大曲りに並べられた飛び石がアプローチに奥行きを感じさせ、白い玉砂利に埋め込まれた暖色の灯りが足元を明るく照らしていた。美しく選定された植え込みの紅葉に反射して、その煌めきに伊織は思わず息を呑んだ。
「素敵ですね……。中に入る前に、玄関までのこのアプローチだけでワクワクします(笑)」
ほのかに照らされた伊織の頬が上気しているように見える。瞳がキラキラと輝いて、拓馬はその瞳に思わず吸い込まれ、抱きつきたくなってしまった。
「拓馬?早く行きましょ!」
俺の手を引く伊織の可愛いつむじが目に入り、楽しげにフワフワと夜風になびく髪が艷やかに光っていた。
「そうだね。ここ、ご飯も相当美味しいらしいよ(笑)」
「ほんとですか?それなら余計に早く入りましょう!!」
さほどお酒が強くない伊織に、少し飲ませちゃおうかなと企んでいると、クルッと振り返って俺を見た。
「美味しい地酒があるって言ってましたよね?僕も少しなら飲んでも良いですか?」
「大丈夫か?伊織、いつも猫みたいにクニャクニャになるだろ(笑)」
「さすがに僕も少しは強くなりました!」
ちょっと頬を膨らませ、可愛い唇を尖らせた。恨みがましい上目遣いが可愛いだなんて…俺も大概、伊織にべた惚れだな(笑)。
「まぁ……寝ちゃわない程度にゆっくり飲もうな(笑)」
「はい!」
俺の許可が出たと思って嬉しそうに笑っている伊織を見て、許すと言うよりはむしろ飲んで欲しいと思っている不埒な自分を笑顔で隠した。
だって伊織……。いつもは恥ずかしがって嫌がることも、自らやってくれるから……。
俺、心の中でガッツポーズ(笑)。
+++
「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた女将が、伊織を見て眩しそうに目を細めた。そして、俺に向かって「可愛らしいお連れ様ですね。」と話してきた。荷物を預け勧められた浴衣を選んでいると、女将がおずおずと話しかけてきた。
「お着物素敵でらっしゃいますね。」
「僕が仕事で着ることが多いんです。」
「失礼ですが、お花の…?」
女将は伊織のファンだと明かし、嬉しそうに笑った。
「失礼いたしました」と恥ずかしそうにほほえみながら部屋に案内してくれた。やっぱり伊織ってその世界では有名なんだなと改めて感じた。
でも今は俺だけの伊織なんだよな……。
やっと部屋で二人っきりになれて、俺は不足していた伊織を補充すべく、華奢なその体を抱き寄せた。そして、大きく息を吐くと、鼻から思いっきり伊織を吸った(笑)。
「すぅ~……はぁぁ……。さすがに外では抱っこ出来ないからね……。すぅ~……はぁ…良い匂い(笑)」
「拓馬……コレ嫌だ。慣れない!」
困ったなという伊織の顔が……。
「可愛い♡」
「も~!終わりっ!!」
「ダメ~!一日外だったから吸い足りないよ♡」
思いっきり吸うと、伊織の体からほのかに花の香りがした。いつもお花に囲まれてるもんね。
「拓馬?…僕もしたい。真似していい?」
そう言うと、俺の胸に鼻を寄せてきて思いっきり吸われた。
「拓馬の匂い…僕らの家で一緒に使ってる石鹸の香りだ……。」
「汗臭くない?大丈夫?」
「ふふふっ(笑)。僕らのお家のシトラスの石鹸。安心する……。」
「そっか。安心か……。」
俺は伊織を力強く抱きしめた。
「大事な人が安心してくれるってのは、嬉しいね」
小鳥が啄むように、俺は伊織の唇に軽く口づけた。何度も何度もチュッチュと啄んでいると、伊織がクスクス笑い始めた。柔らかな髪にキスすると、潤んだ瞳が俺を見つめた。
「ね、伊織……。ここのお風呂凄く素敵なんだって。」
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俺は伊織を攫った。
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