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2章
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「ふう?!」
驚いて着物を拾い上げると、中からなんと猫の仔が転がり出てきた。
「っ?!」
艶のある白い毛並みに、小柄でしなやかな体つき。間違いない。昨夜、慎之介が拾った猫だ。
ぴんと尻尾を立てたふうも己の身体の変化に驚いているのか、元々琥珀色の目を丸くし、尻尾をぴんと立てて慎之介を見上げていた。
「なんと……猫に戻ったのか」
呆気にとられたまま立ちすくむ慎之介に向かって、白猫はまるで人語を解するかのように、にゃあと一鳴きしたのだった。
***
猫に戻ってもふうの後ろ足には、やはり血が滲んでいた。慎之介は猫の仔を抱いて家に帰ると、すぐ手当てをしてやった。
「これでよし、と。だが、まさか猫に戻るとは思わなかったぞ」
「にゃあ」
「そうか、お前もか」
猫の相槌に、慎之介は相好を崩した。
それから夕飯に湯漬けを食べ、ふうにもかつ節ご飯を食べさせてやり終えると、慎之介は目の前の白猫相手にしみじみと語った。
「……俺は今日一日、夢を見ていたのだろうな」
「にゃ?」
「そなたと過ごせて楽しかった。佳代の魂が、そなたを連れてきてくれたのかもしれぬな」
猫は小首をかしげ、慎之介の言葉を理解しようというように見上げてくる。慎之介は抱き上げて、その柔らかな毛並みを優しく撫でてやった。
「しかし、これで終いか?」
「にゃおん?」
「いや、まさか、明日になったら、また化けるのではあるまいな、と思ってな」
言いながら、ふっと嫌な予感が胸をよぎった。慎之介は座布団を持って来ると、白猫をその上に置いた。
「悪いが、念のためそっちで寝ておいてくれ。さすがに今朝のあの状況が二日も続くと、姉上に合わせる顔が無い。頼んだぞ」
猫の仔相手におかしなことをしていると思いつつも、慎之介は真顔で手を合わせ、お願いしたのだった。
驚いて着物を拾い上げると、中からなんと猫の仔が転がり出てきた。
「っ?!」
艶のある白い毛並みに、小柄でしなやかな体つき。間違いない。昨夜、慎之介が拾った猫だ。
ぴんと尻尾を立てたふうも己の身体の変化に驚いているのか、元々琥珀色の目を丸くし、尻尾をぴんと立てて慎之介を見上げていた。
「なんと……猫に戻ったのか」
呆気にとられたまま立ちすくむ慎之介に向かって、白猫はまるで人語を解するかのように、にゃあと一鳴きしたのだった。
***
猫に戻ってもふうの後ろ足には、やはり血が滲んでいた。慎之介は猫の仔を抱いて家に帰ると、すぐ手当てをしてやった。
「これでよし、と。だが、まさか猫に戻るとは思わなかったぞ」
「にゃあ」
「そうか、お前もか」
猫の相槌に、慎之介は相好を崩した。
それから夕飯に湯漬けを食べ、ふうにもかつ節ご飯を食べさせてやり終えると、慎之介は目の前の白猫相手にしみじみと語った。
「……俺は今日一日、夢を見ていたのだろうな」
「にゃ?」
「そなたと過ごせて楽しかった。佳代の魂が、そなたを連れてきてくれたのかもしれぬな」
猫は小首をかしげ、慎之介の言葉を理解しようというように見上げてくる。慎之介は抱き上げて、その柔らかな毛並みを優しく撫でてやった。
「しかし、これで終いか?」
「にゃおん?」
「いや、まさか、明日になったら、また化けるのではあるまいな、と思ってな」
言いながら、ふっと嫌な予感が胸をよぎった。慎之介は座布団を持って来ると、白猫をその上に置いた。
「悪いが、念のためそっちで寝ておいてくれ。さすがに今朝のあの状況が二日も続くと、姉上に合わせる顔が無い。頼んだぞ」
猫の仔相手におかしなことをしていると思いつつも、慎之介は真顔で手を合わせ、お願いしたのだった。
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