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8章 覚悟
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松葉丘商店街は古くからの小さな商店街ながら、最近よくあるようなシャッター通りにはなっておらず、人通りも多い。だからこのまま篤樹がしゃべり続ければ、なんとかなるはずなのだ。
しかし篤樹のつまらない努力をあざ笑うかのように、歩いている二人の側には小さな人影が走り寄ってきた。
「うわ、葵ちゃんじゃん?!」
「智くん?!」
ランドセルを背負った智樹の姿に、葵は目を見張る。
「今、学校帰り? 智くんのおうちってこの近くなんだね」
「え? 近くって言うかさ……」
「え……」
智樹の視線を追って葵も同じ方へと目を向けた。
「お、お前、邪魔なんだよ! 向こう行ってろ!!」
慌てた篤樹は弟を蹴り飛ばしかねないほどの勢いで会話を遮ったが、さすがにもう遅かった。
「……あっちゃんの家って、薬局だったんだ……」
葵はキツネにつままれたような顔をしてその場に立ち尽くしてしまった。その視線の先には、伊藤薬局と書かれた緑色の古い看板が。あぁ、どうしてうちの店はこんなに言い逃れのできない名前にしちゃったんだろう。
「寄ってく? 今ならお父さんもお母さんもいるはずだよ」
「寄らねぇよ! バーカ!!」
無邪気な弟を腹立ちまぎれに怒鳴りつけた篤樹は葵の腕を掴み、強引に店の前から離れたのだった。
翌朝には、かつて火曜日の朝には恒例になっていた反省会が久しぶりに開催される運びとなった。篤樹が登校するや否や洋輔が近寄ってきて「ねーちゃんのことだけどさ」と話しかけてきたのだ。
「昨日なんかあったのか?」
「ん……」
篤樹は通学鞄を片付けながら、虚ろな目で坊主頭の友人を見上げた。
「なんか、昨日からねーちゃんがやたらと深刻そうな顔してるんだよ。聞いてもろくに話してくれないからさ」
「深刻、か……」
篤樹は唇の端だけで力なく笑った。いや、もう笑うしかない。
「うちのことがバレたんだ」
「え? 伊藤薬局のこと?」
篤樹はこくんと頷いた。洋輔は学校帰りに一度立ち寄ったことがあるからずっと前から篤樹の家のことは知っている。
「もちろん説明はしたぜ。うちは薬局って言っても商店街の中に古くからある雑貨屋に毛が生えたくらいの存在で、今どきの調剤薬局やドラッグストアなんかとは比べ物にならないくらい汚くてごちゃごちゃしてて、とても先輩に紹介できるような代物じゃないから、なんとなく言い出せなかっただけだって」
「それで?」
「一言だけ、ちょっと考えさせてって言われた」
篤樹の言葉に、洋輔は息を呑んだ。
「おう……なんつーか、思いのほかシリアスな展開になったな」
「多分俺の魂胆に気付いたんだと思う。だって、あまりに不自然だもんな。薬学部志望って言ってる人に、家は薬局やってますって話をしないのは」
分かっている。これは篤樹が悪い。
どうしてもっと早くに打ち明けておかなかったのだろう。
葵が薬学部を考えていると言った時に『へぇ薬学部ですか。うちは薬局なんですよ』とさらっと言えていたら、こんなことには……。
篤樹は糸の切れた操り人形のように、力なく机の上に突っ伏した。
「だってさぁ、薬学部って言われた時についうっかり考えちゃったんだよ。先輩みたいなほわんとした雰囲気の人だと、うちの薬局に来るじーさんばーさんなんかとも波長が合いそうだなって。それに薬剤師免許を持ってる人にうちへ嫁に来てもらえば、俺は遠慮なく研究の方に進めるわけだしさ」
ちょうど兄が薬学部を中退し、次男である篤樹が家業を継がなければいけない雰囲気になっていた時だったのだ。葵は絶対彼氏とかいなさそうな見た目だったし口説けば何とかなるかも、とまで瞬間的に思ってしまい、その失礼な考え方を反省していたら、ますます言えなくなってしまった。
「まぁそのうち折を見て言えばいいや、って……あぁそっか。受験料の振込を後回しにしていた先輩の事なんて咎められないな」
そのうち、というのは意識しておかないと絶対やってこないのだ。それで気付いた時には手遅れになる。
はぁ……情けない。
「でも、篤樹は結局のところそんな理屈でねーちゃんを好きになったわけじゃないんだろ。だったら何も問題はないんじゃねぇの? 大体、その魂胆って、ねーちゃんならむしろ喜びそうなもんだぜ」
とにかく今日の昼休みにでもゆっくり話してくりゃいいじゃん、と洋輔には励まされた。
そこで篤樹は昼休みになった瞬間、待ち合わせにしている図書室へ向かったのだった。
「あれ? あっちゃん早いね。お昼ちゃんと食べた?」
15分後にやってきた葵は、図書室の長机にぽつんと座っている篤樹を見て驚きの声を上げた。
「早弁しちゃったんで平気です」
昨日の放課後は来てくれなかった。だから今日だって顔すら出さない可能性もある、と覚悟していただけに、とりあえず会うことができただけでもほっとする。
しかし葵は椅子に座る前に「今日の放課後は用事があるから、図書室には来られないんだ」と早口で宣告したのだ。
「え……」
「明後日もちょっと……あぁ、でもあっちゃんは今日も明後日も塾だもんね。頑張ってね」
いやいや、何を他人事みたいに応援しちゃってんだよ。夜はお互いに塾があって忙しいからこそ、それまでの間は一緒に過ごそうと放課後の勉強会をすることになったはずじゃ……。
……これ、密かにヤバい奴じゃねぇの?
隣に座り、集中しているフリをしてペンを走らせる葵を横目で見ながら、篤樹は不安感で心がぽっきりと折れてしまいそうだった。
あれから二週間が経った。
葵はことあるごとに放課後の図書室デートを断るようになり、今はまだかろうじて昼休みに顔を合わせているが、これだっていつ打ち切られるか……。
しかし篤樹のつまらない努力をあざ笑うかのように、歩いている二人の側には小さな人影が走り寄ってきた。
「うわ、葵ちゃんじゃん?!」
「智くん?!」
ランドセルを背負った智樹の姿に、葵は目を見張る。
「今、学校帰り? 智くんのおうちってこの近くなんだね」
「え? 近くって言うかさ……」
「え……」
智樹の視線を追って葵も同じ方へと目を向けた。
「お、お前、邪魔なんだよ! 向こう行ってろ!!」
慌てた篤樹は弟を蹴り飛ばしかねないほどの勢いで会話を遮ったが、さすがにもう遅かった。
「……あっちゃんの家って、薬局だったんだ……」
葵はキツネにつままれたような顔をしてその場に立ち尽くしてしまった。その視線の先には、伊藤薬局と書かれた緑色の古い看板が。あぁ、どうしてうちの店はこんなに言い逃れのできない名前にしちゃったんだろう。
「寄ってく? 今ならお父さんもお母さんもいるはずだよ」
「寄らねぇよ! バーカ!!」
無邪気な弟を腹立ちまぎれに怒鳴りつけた篤樹は葵の腕を掴み、強引に店の前から離れたのだった。
翌朝には、かつて火曜日の朝には恒例になっていた反省会が久しぶりに開催される運びとなった。篤樹が登校するや否や洋輔が近寄ってきて「ねーちゃんのことだけどさ」と話しかけてきたのだ。
「昨日なんかあったのか?」
「ん……」
篤樹は通学鞄を片付けながら、虚ろな目で坊主頭の友人を見上げた。
「なんか、昨日からねーちゃんがやたらと深刻そうな顔してるんだよ。聞いてもろくに話してくれないからさ」
「深刻、か……」
篤樹は唇の端だけで力なく笑った。いや、もう笑うしかない。
「うちのことがバレたんだ」
「え? 伊藤薬局のこと?」
篤樹はこくんと頷いた。洋輔は学校帰りに一度立ち寄ったことがあるからずっと前から篤樹の家のことは知っている。
「もちろん説明はしたぜ。うちは薬局って言っても商店街の中に古くからある雑貨屋に毛が生えたくらいの存在で、今どきの調剤薬局やドラッグストアなんかとは比べ物にならないくらい汚くてごちゃごちゃしてて、とても先輩に紹介できるような代物じゃないから、なんとなく言い出せなかっただけだって」
「それで?」
「一言だけ、ちょっと考えさせてって言われた」
篤樹の言葉に、洋輔は息を呑んだ。
「おう……なんつーか、思いのほかシリアスな展開になったな」
「多分俺の魂胆に気付いたんだと思う。だって、あまりに不自然だもんな。薬学部志望って言ってる人に、家は薬局やってますって話をしないのは」
分かっている。これは篤樹が悪い。
どうしてもっと早くに打ち明けておかなかったのだろう。
葵が薬学部を考えていると言った時に『へぇ薬学部ですか。うちは薬局なんですよ』とさらっと言えていたら、こんなことには……。
篤樹は糸の切れた操り人形のように、力なく机の上に突っ伏した。
「だってさぁ、薬学部って言われた時についうっかり考えちゃったんだよ。先輩みたいなほわんとした雰囲気の人だと、うちの薬局に来るじーさんばーさんなんかとも波長が合いそうだなって。それに薬剤師免許を持ってる人にうちへ嫁に来てもらえば、俺は遠慮なく研究の方に進めるわけだしさ」
ちょうど兄が薬学部を中退し、次男である篤樹が家業を継がなければいけない雰囲気になっていた時だったのだ。葵は絶対彼氏とかいなさそうな見た目だったし口説けば何とかなるかも、とまで瞬間的に思ってしまい、その失礼な考え方を反省していたら、ますます言えなくなってしまった。
「まぁそのうち折を見て言えばいいや、って……あぁそっか。受験料の振込を後回しにしていた先輩の事なんて咎められないな」
そのうち、というのは意識しておかないと絶対やってこないのだ。それで気付いた時には手遅れになる。
はぁ……情けない。
「でも、篤樹は結局のところそんな理屈でねーちゃんを好きになったわけじゃないんだろ。だったら何も問題はないんじゃねぇの? 大体、その魂胆って、ねーちゃんならむしろ喜びそうなもんだぜ」
とにかく今日の昼休みにでもゆっくり話してくりゃいいじゃん、と洋輔には励まされた。
そこで篤樹は昼休みになった瞬間、待ち合わせにしている図書室へ向かったのだった。
「あれ? あっちゃん早いね。お昼ちゃんと食べた?」
15分後にやってきた葵は、図書室の長机にぽつんと座っている篤樹を見て驚きの声を上げた。
「早弁しちゃったんで平気です」
昨日の放課後は来てくれなかった。だから今日だって顔すら出さない可能性もある、と覚悟していただけに、とりあえず会うことができただけでもほっとする。
しかし葵は椅子に座る前に「今日の放課後は用事があるから、図書室には来られないんだ」と早口で宣告したのだ。
「え……」
「明後日もちょっと……あぁ、でもあっちゃんは今日も明後日も塾だもんね。頑張ってね」
いやいや、何を他人事みたいに応援しちゃってんだよ。夜はお互いに塾があって忙しいからこそ、それまでの間は一緒に過ごそうと放課後の勉強会をすることになったはずじゃ……。
……これ、密かにヤバい奴じゃねぇの?
隣に座り、集中しているフリをしてペンを走らせる葵を横目で見ながら、篤樹は不安感で心がぽっきりと折れてしまいそうだった。
あれから二週間が経った。
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