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「……はっ、ん……」
 風呂でも深く抱かれたというのに、克彦は場所を自身の部屋のベッドに変えて、再び匠の体に愛撫を重ねていた。
 熱くなりすぎた体はどこを撫でられても過敏になっていて、匠は克彦を見上げて子どもみたいに首を振ることしかできなかった。
 克彦とするセックスはいつも気持ちいいものではあったが、こんなにも感じることはなかったから、自分がどうなるのか自分でも分からなくて初めて怖いと感じたのだ。
「克、彦……も、変になる……っ!」
 何度も白濁を零しているのにそれでも天を向く匠の屹立と後ろで淫らに口を開けている後孔を優しく愛撫する克彦に、匠は訴える。けれども克彦はそれをあやすように受け止め、手を止めることはなかった。
「いいよ、変になって。もっと可愛い匠が見たい」
 ちゅっ、と音を立てて胸の粒を吸われる。舌先で転がされれば、頭の中が真っ白になるほどの心地よさが襲い、匠は足の先でシーツを蹴り上げることでしか、それを逃すことができなかった。
「克彦、も、無理……」
 いってしまいたい、そのことしか匠は考えられなくなる。克彦の緩い愛撫ではなくて、自分でしっかり擦りあげて吐き出してしまいたい――そう思って匠が自分の中心に手を伸ばすと、克彦がそれを止めた。そしてゆっくりと後孔から指を引き抜く。匠の体がその快感に震える。
「一人でいこうとしないで、私も一緒に」
 克彦はそう言うと、一気にその楔を匠の体につきたてた。匠の体の中心に大きな波が押し寄せる。その瞬間だった。
「あ……ッ!」
 声にすらならないほどの、感じたこともない快感が体を走っていき、それは匠の中心から白濁を吐き出させていた。
「……え……俺、いった……」
 嘘でしょ、と匠は枕を引き寄せた。あまりに恥ずかしくて克彦の顔を見ることが出来なくて、枕で顔を隠す。いくら気持ちよかったからって、それだけ達してしまうなんてありえない。
 どうしよう、克彦はきっと呆れてる――そう思っていると、不意に頭を撫でられた。匠がそっと枕から顔を出す。
「どうした? 匠」
「あの、ごめん……なんかいつもより気持ちよくて、だから……その……」
 一生懸命言葉を選んだ。とにかく申し訳なくて匠が謝ると、克彦はゆっくりと首を振った。
「そうじゃなくて。どうして急に顔を隠す? もっと顔を見せて」
「……え?」
「今日の匠は、今まで見てきた中で一番可愛い。すぐに終わらせるつもりはないから、何度でもいけばいい」
 克彦がキスをして微笑む。それからゆっくりと腰を動かす。その刺激が匠の体の中に残っていた火種に少しずつ火をつけていく。
「克彦……」
「匠はそのまま、感じるままでおいで。私が迎えに行くから」
 その優しい言葉に匠は頷いて、克彦に深いキスをねだるように唇を重ねた。
 まだ愛されている――体ごとそれを感じることができたのが嬉しくて、匠はそのぬくもりに溺れるように目を閉じた。
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