早乙女さん夫夫(ふうふ)は授かりたい

藤吉めぐみ

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13-1★

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 部屋についた途端、円を掬い上げるように抱き上げ、ベッドまで運んだ想生はそのまま体を重ね、かみつくようなキスをした。想生のセックスはいつも優しい愛撫とキスから始まるのに、こんな激しいのは初めてで、円はとてもドキドキしていた。
 荒々しいけれど不思議と怖くはない。むしろ、求められている感じがして嬉しかった。
「……怖くない? まーちゃん」
 昼間のことを気にしているのだろう。こうして押し倒されることに怯えていないか、トラウマになっていないか心配してくれている。優しい言葉に円は、平気、と頷いた。
「そうくんだから、平気。だからもっと来て」
 誰よりも傍に居てほしい。できることならずっと抱き合っていたい。
 そう思えるのは想生だからだ。
「愛してるよ、円」
 円の答えに幾分安心した顔をして、想生がキスをする。今度は優しい、想生らしいキスだ。舌を絡め、互いの体温を感じてから離れると、想生は円の着ていたものを手早く脱がせた。それからそっと腹の傷に触れる。
「これ、アイツにも見られてたよね」
「うん……」
 これを見て『傷モノ』と言っていたから、当然見られている。自分でもその傷はキレイなものではないと思うが、想生にとって、この傷は特別なもののようだった。
「あー、やっぱりもう一回殴っておけばよかった。これ見てまーちゃんのこと罵るとか、ホント腹立つ。俺にとって、何より愛しいものなのに」
「まだ、役に立ってないけどね」
「……ずっと役に立たなくてもいいよ。俺は子どもが出来ても出来なくてもずっとまーちゃんの傍にいる。この傷は、うちの家族の言葉を受けて、まーちゃんが俺といたいって思ってくれた証拠だから俺にとっては、宝物なんだ」
 優しい表情でこちらを見下ろす想生を見ていたら、涙が溢れてきた。きっとこの先想生は、円がどんな姿になっても愛してくれるのだろう。
「そうくん……僕もどんなそうくんも大好きだよ」
 円が両手を想生に差し伸べる。想生は体を近づけ、円を抱きしめた。
「将来、社長にならなくても? デブで禿げてニートになっても?」
「僕が痩せさせてあげるし、ツルツルのそうくんもきっと可愛いよ。僕がいっぱい働いて稼いであげる。だから……何があっても離れないで」
 円がぎゅっと想生の背中を抱きしめる。苦しいくらい抱き合っているのに、円の不安は拭えなかった。もっと、近づきたい。
「まーちゃん、俺もまーちゃんもお互いを失うかもしれないっていう気持ちを味わったよね。俺はもう、こんな思いしたくないよ。だから、ずっと離してあげない。俺が嫌だから離さない」
 うん、と答えたかった。けれど、すぐに想生にキスで唇を塞がれ、それは叶わなかったけれど、想生には伝わっているようだった。
 想生の手がするりと円の背中を撫で、双丘のはざまに辿り着く。ゆっくりと指をしのばせられ、円の肌がふるりと小さく震えた。
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