ギャルゲーの幼馴染ヒロインに転生してしまった。

ぷり

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■5■ きっと大丈夫

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 次の日の朝。
 私は二人分のお弁当を作った。

 奏が迎えにこなかったから、私が迎えにいった。
 鍵で開けて中に入ると、防音のレッスン室から僅かに音が漏れてる。
 リビングにはスクール鞄が準備しておいてある。
 私はとりあえず、その中に作ってきた弁当を入れた。

 本当にやってる。
 私は感心した。
 私はしばらく、そのピアノの音に耳を傾けた。

 奏の音が戻ってきた。
 好きだ。
 私は音楽のことはさっぱりわからないけど、彼の弾くピアノが好きだ。


 ピアノの音が止まったから、ノックして、レッスン室をのぞく。

「おはよ。そろそろ学校いこう、奏」
「お、おはよう。花音。 ……いけね、まだ弾くところだった」
「スマホのタイマーは?」
「朝寝坊する時もそうなんだけどさ~。タイマー消して続行しちゃうんだよ…」
 駄目な子だ。


※※※


「転校生の白井清華(しらいさやか)です!」


 ――その日。
 うちのクラスになんと白井清華がやってきた。

 なんで!?
 コンクールで会うんじゃないの!?

 そして休み時間。
「ねえ、君。昔、コンクールとかいっぱい出てたでしょ?」
 清華が奏の前の席に座って振り返り、話しかける。

「ん? ああ…よく知ってるな」
「同年代のこの界隈じゃ、君は有名だったもの。私もピアノやってるんだ。ねえねえ、最近見かけなかったけど、ピアノ続けてる?」
「ちょっと指を怪我して……リハビリしてた」
「わあ、大変だったんだね。もう大丈夫なの?」
「ああ、そろそろ、再開しようかと思ってる。趣味レベルだけどな」
「えー。もったいない。……まあ、私も趣味みたいなものなんだけどね! てか、本気でやるなら音楽科はいるしね。」

 会話が弾んでる。
 さすが真ヒロイン……。

 奏も、広美と話す時とは態度が違う。
 楽しそうだ。
 私が入れない世界の話をしている。
 自分の気持ちを認めてしまったので、素直に妬ける、と思う。

 ……そうだ、せっかく白井清華が転校してきたのなら、私が仲良くなるのでもいいのでは?
 嫌がられる可能性もありそうだけど、やってみる価値はあるんじゃないだろうか。

 でも広美とか、私の親友ー!とか言いながら、奏と二人で会話してる時に私が割り込んだら嫌な顔してたものな。うまくいくかな。
 うーん、なんとか彼女と仲良くなって、病気になったら彼女のお父さんに執刀してもらいたい。
 そうすれば、奏が金賞とれなかったとしても助かるのでは?
 だいたい奏が金賞とったら、清華と奏にフラグが立ってしまうかもしれない。

「なになにー☆何の話ー?」
 うぉ、広美!
 広美が、清華と奏の和気あいあいとした会話に突っ込んでいった。
 彼女の様子を見るに、転校生を歓迎して和に入りにいった感じではない。
 それは私が狙ってる男なのよアピールを感じる。

 おまえひょっとして、まだ奏を諦めてないのか!
 女経由で金返されたら脈なしと思って欲しい!!

「ピアノの話だよ。えっと…」
 すこし戸惑った清華が広美に答える。
「私は橘広美☆ヒロミンとでもよんで☆」
 私はなんとなくケロリンを思い出した。
「そう、広美さん、よろしくね」

 あ、これ。
 すごくよそ行きの表情(えがお)ですね。
 即効で相手にしないって決めたな。
 広美……これは、格が違う相手だ……やめておけ……。

 広美は話題に入ろうとするが、奏も清華もずっとピアノの話を続けていてなかなか口が挟めない。
 奏も広美と話したくないから余計に清華だけと喋るようにしてるんだろうな。

 そして奏の隣の席の『親友』の私のところへは来ることもないし、見ることもない。
 休み時間とか普通は親友のところに来たりしないの?

 そのうち不貞腐れて去っていった。
 お前は私と同じ不人気なのだよ。真ヒロインに敵うわけがないのだ……。

※※※

 昼休み。

「奏くん、お昼一緒に食べよう?」
 清華が、やってきた。

「あ、ごめん。昼はこいつと、いつも一緒だから」
 奏が私を指指す。

 私はチャンスだと思って、清華に挨拶した。
「はじめまして、清華さん。良かったら一緒に食べよう。お弁当だよね? 屋上行かない?」
 私はちょっとドキドキしてた。
 彼女が奏と二人で行きたくて、嫌な顔されたらどうしよう。
 実は病気フラグのことは別として、彼女には嫌われたくないのだ……。

 ライバルになるかもしれないけれど、私は彼女とは普通に仲良くなりたい。
 だって、私もプレイヤーの時は、彼女が大好きだったから……。
 ごめん、花音。
 花音より清華が好きだったよー!!

 奏が、えって顔したけど、こればかりは逃したくない。
 清華は、私の命綱だ。
 なんとか気に入られたい!

「おお! ありがとう!! そうだ、お名前聞いていい?」
 清華が、パッと明るい笑顔を浮かべて私の腕に自分の腕を絡ませた。

 ……かわゆす!?
 神が天使を遣わされた……!
 よ…よし!よし…!!

「音鳴花音だよ。奏の幼馴染なんだ」
「へえ! ねえ、あなたもピアノやってる?」
「うーん、私はやってないんだ。でも、ピアノを聞くのは好きだよ。白井さんのピアノを今度聞かせてほしいな」

 確か、清華にはこの君のピアノ聞きたいっていう、セリフが効いたはず。
 こ、攻略するわよ!

「本当!? 聞いて聞いて!! 嬉しい!」

 女子二人で腕を組んでラブラブモードで、歩いていく。
 思っても見なかった展開である。
 奏が後ろで面白くなさそうな顔で、頭をポリポリしている。
 我慢してくれ!
 これはとても大事な事なのだよ、お前にとってもな!

「お姉様! 私も一緒に食べたいです!!」
 屋上についたら、ドジっ子後輩が待ち受けていた。

「いいよー。もう転ばないって約束してくれるなら」
 ……そうか、君も私が助けたから、私の好感度があがったのだな。
 そもそも好感度があるのかどうかも知らんけど。

「します!! ドジ直します!!!」

 屋上のベンチに座った私の両隣に花が。
 二人共かわゆす……だが…。

「(どんより)」
 奏が……!!
 ベンチ一人だね……ごめんね。
 そもそもこの私が座っている位置は本来、奏のものである。
 奪ってしまったな……すまない。

「お姉様これ、たべてください。はい、あーん」
「私のサンドイッチ食べない? おいしいのよ。そうだ私のことは清華ってよんで…。」
 私が貢がれている……。
 ちょっと攻略しただけなのに!

 後輩ちゃんは予想外だったが、清華との接近は嬉しい。
 君は私の命だ、清華。

※※※

 放課後の帰り道。

「……」
 奏が不貞腐れている。

 あの後も、ずっと放課後まで清華とべったりで、奏が入り込む余地がなかったからだ。
 その立場はてっきり私がなるものと思っていたのに、まさかこんな事になるとは。

 清華は終礼後も、私の家にいくーといって聞かなかったが、ピアノの練習しなくていいの?って言ったら、思い出したかのように帰っていった。
 まあ、転校初日とか不安だっただろうし、攻略情報使ったのは卑怯かな、とは思ったけど、友達になってくれてよかった。

「奏さん」
「……(むす)」
「今日は手は繋がないんですか」
「……(むす)」
「電車ごっこに興味がおありで?」
 私は奏の制服の裾を掴んだ、
「ねえよ!!」
「女の子にヤキモチ妬いてるの?」
「べ、べつに」
 執着がすごいな。
 女の子でも駄目なのか。

 私は奏の手をとった。
「ほら、帰って宿題やるよ」
「え、うち来る?」
 顔がほころんだ。お前はチョロインか。

 ……でも、私が行くって言っただけでこんなに喜んでくれるとか思うと嬉しい。
「先に宿題やらないと、ピアノの練習はじめたら、忘れるでしょ」
「お、おう。そうだな」

 その時。
 
 キキーーーーーーッ!!!!

 また車が突っ込んできた!
「え……」
「花音!!」

 奏に抱きしめられて、二人で転がった。

「え、えええ……」
 私はガタガタと震えた。

「またか……怪我、ないか?」
「奏は?」
「オレは大丈夫」
「……」

 なんで?
 広美が諦めてないから……か?
 そうとしか思えない。

 仕方ない、奏に一つお願いをしよう。
 私は奏宅についてから、しばらくして切り出した。

「奏。変な話なんだけど」
「ん?」
「今度、広美が奏にちょっかいかけてきたら、傷つけるかもしれないけど、追い払って欲しい」
「……それって、妬いてるのか?」
 う、嬉しそうな顔するな……。

「そういう訳ではないのだけど……彼女、実は私の親友じゃないし……」
「はい!? ちがうの!?」
「……? うん」
「なんだよ、早く言ってくれよ!? お前の友達だと思ってたからできるだけ丁寧に対応してたのに!」
 なんと。

「彼女、奏狙いなんだよ。気が付かなかった? 私が一人でいる時は絶対、私のところへはこないんだよ」

 そうか、奏が丁寧に対応するから、イケルって思い続けてるのか、広美も。
 以前の銀髪の先輩も奏がきっぱりと拒絶しに行ったからか、あれ以来なにも音沙汰がないし、彼女のせいで危ない目にも合ってない。

 ならば完全に奏にフラレてしまえば、死亡フラグは再来しないのでは。
 そうか、そうだな。奏が振らないと彼女も次へ行けないだろうし……。
 脈のない相手にすがりついていても、良い事はまずない。
 奏に振ってもらうしかない。

 また、清華やドジっ娘は奏にそういう興味が今の所なさそうだ。
 ドジっ娘もあれ以来、死亡イベント来ないし。
 体育娘に関しては先生LOVEだから、まったく関わりがない。

「そういう事か。……わかった、明日からは塩対応する」
「……ありがとう…ん?」
 奏がちょっと顔赤くしながら、両腕を広げた。

「……お願い聞くから、1回1ハグです」
 なんじゃそりゃ!?

「あの、私達まだ付き合ってないんですけど」
「それは、それ。これは、これ」
 し、仕方ないな!?

 ハグして、サービスで頭を撫でた。
「ま…まいど」

 要求した本人が、真っ赤になってそっぽ向き、そう言った……。
 色気がない!!! 可愛いけどな!

 その後、奏が、広美に塩対応をしたところ、広美は別の男子の所へ行き始めた。
 そして、それ以降、交通事故は起こらなかった。
 回数的に偶然だったかもしれないけど、広美もその男の子とは良い感じに見えたので、これで良かったのかもしれない。

※※※

 そして昼休みは、4人で食べるようになっていった。

 奏はどうも、二人で食べたかったみたいだったので、その代わり奏とは放課後はずっと一緒に宿題するように埋め合わせした。
 宿題をしていると、たまに奏がピッタリくっついてくる。

「……はいはい、まだ付き合ってませんよー。幼馴染の距離たもってくださーい」
「……むう」

 実際、金賞とったら彼女として付き合うって言ったってことは、距離を縮める意志がある、ということを伝えたようなものだから、くっつきたくなるのもわかるけれども。
 そこはそれ。
 これは18禁ゲームだしな。
 厳しくしておかないと、簡単に一線を超えてきそうだ。

 清華とは仲良くなったし、治療へのフラグは多分大丈夫とは思うけれど……万が一の手術失敗とかもあるかもしれない。
 そのためにもピアノは絶対再開させておく。
 できたら金賞取って自信を持ってほしい。

 そしたら清華フラグ立っちゃうかもしれないけど。
 それでも……だ。


※※※


 それからしばらくは、楽しい日々が続き始めた。
 気がついたら、吉崎くんまで仲間に入っていた。

 吉崎くんには、夏に入る前に、交際の申し込みをされたが、断った。
 吉崎くんもなんとなくわかってたみたいだけど、気持ちに区切りをつけたくて、と言っていた。

 奏とのことで、彼のところへ行こうとしてた。
 たった一日だったけど期待をさせたと思う。

 さらに前世を思い出したばっかりで、心の中だけとはいえ、当て馬当て馬言ってたし。
 とても失礼だった。ごめんね。

 しかし。
 夏休みは、皆で遊園地いったり、夏祭りに行ったりもしてたら、いつのまにか吉崎くんが後輩ちゃんの世話係みたいになっていた。
 最近あやしい、あの二人。

 ――そして。
 夏休みの終わり頃、私はたまに目眩がするようになった。

 ……来たか。
 ゲームでもたしか、病の予兆は合ったはず。
 確か脳神経の一部が駄目になっていく病気だったっけ。

 ただ、そうなるのは高校二年生だったはずなんだけど……展開早いよ。
 清華が予定外に転校してきて、役者がそろったから?

 私の心の準備はどうしてくれる。
 もうちょっと青春させてほしい。
 まじで死ぬかもしれないんだから。
 確実に奏や家族と過ごす時間はもうちょっとくれても良いんじゃないのかって思いますよ、神様。

 でも、前世を思い出してよかった。
 前世を思い出したのは、きっと私自身が生きたいと思っているからだと、最近は思うようになった。
 その方法を引き寄せる知識を手に入れる事に成功したのだと。

 だから、きっと大丈夫、と私は自分で自分に言い聞かせるのだった。
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