そのヒロインが選んだのはモブでした。

ぷり

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片思いだと思っていたらエルフのつがいでした。

15■ 相変わらずブラウニーのことしか考えてません。―Plum―

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                       ※プラム視点最後です。ちょっとプラムの妄想が長いとこがあります(謝)


 ……ココリーネは、気を失った。
 終わった。
 遠い昔の仕返し。




「プラム……終わったか?」

 ブラウニーが、天井をすり抜けて降りてきた。

「……いつからいたの?」

「オレとお前を引き裂いた、と叫んだあたりから」

「よく、手を出さなかったね」

「これは、お前の手で決着を付けたほうが良さそうだ、と思った。よくやった」

 そう言うとブラウニーは、自分の外套を脱いで、私に着せてくれた。

「……外套着せてくれるんだ」
「……そんな胸元開いたドレス。寝ててもこいつの前で着てほしくないだけだ。ちなみに、似合っていた」

 そう言うと抱き寄せてキスしてくれた……けど、そのまま私に抱きついて、落ち込んだ顔をしてる。

「どうしたの? まさかリアになにか」
「いや、リアは平気だ……でも、オレが大丈夫じゃない」
「わかった、話聞かせて。帰ってコーヒーでもいれてバルコニーで話しよう」

 ブラウニーは、コク、と頷いた。

 ――その時。

「みっ」

 マロが急にブラウニーの懐から飛び出して、床に飛び降り、キラキラまだ光ってたココリーネの神性を食べ始めた。

「ああ!? マロ!! やめなさい!!」
「あ! おいこら! マロやめろ!! 腹こわすぞ!!」

「みっ みっ」

 結局、全部食べちゃった……。

「マロが……キラキラしている……」

 ブラウニーが青い顔をしている。

「まさかマロが神性を得て攻略対象に……いや、天空神に……」
 ふと、そんな事を思ってしまった。

「はは、マロが攻略対象なら、オレは勝てないな」
 ブラウニーが困ったような顔で笑った。
 こんな笑顔はレアだ。
 じっくり見ておこう。

「み?」

 マロが首を傾げる。
 そんなマロを見て、ブラウニーが、また少し笑った。
 マロの癒しは昔からブラウニーを助けてくれてる。

 ブラウニーも今や、大家族の長だ。
 結局、気苦労が多いね、ブラウニー。
 持つものが多いと大変だ。




 ちなみにマロですが。
 次の日にマロが突如、数倍大きくなった為、子どもたちに千切って配る羽目になりました。

「マロが……でかい!!」

 子どもたちは欲しがってたので喜んでたけど、ブラウニーはマロの巨大化を見て、ショックで泣いてた。
 気苦労が耐えなry


※※※



 バルコニーに移動して。

「ココリーネに手紙送ったって聞いてないが?」

 ブラウニーの顔が……と思ったけど、落ち込んでるせいか、あんまり今日は怖くない。

 バルコニーに移動してから詳しく聞いたところ、ブラウニーはリアがギンコの番(つがい)だった事と、それをずっとアドルフさんに隠されていたことにショックを受けた事、さらに自分が留守の間にココリーネがヒースの自宅に入り込んだことで、落ち込んでいる。


 気苦労がホント多いな!
 大丈夫だよ!
 全部自分で抱えなくても!!


「いや……その、ちょっとした親切心だったんだけど。すごく昔に一通だけ。ココリーネが酷い目にあう夢を見ちゃって。……でもそのせいで、リアを危ない目に合わせちゃったね」

 ブラウニーにコツ、と頭をげんこつされた。

「そうだな。親切にする相手は、今後は選べよ」
「うん」

「さてと……」

 コーヒーを飲み終えたブラウニーは、立ち上がった。

「え!? 顔怖!?」

「……ちょっと、アドルフのところへ行ってくる……」

 声低(こえひく)!!! そして呼び捨て……!!

「ずっとオレに黙って嫌がった! あいつ、殺す……!!」
「ちょ……」


 2Fのバルコニーを飛び越えて走っていった。
 アラサーだよ!! 無茶するな!!

 そしてアドルフさん、にげてー!!

 それにしても、アドルフさん、リアのことを良くブラウニーから隠し通せたな。
 ひょっとしてアドルフさんってバレる時はわざとバレるように仕向けたりするのかな。
 もしくは必死になんでもない風を装ってたかもしれないけど。 

 彼もなかなか食えない男だ。……とか思ったけど、実質ブラウニーだものなあ。
 でも、とても似てるけど、同じ人間って感じは全然しないんだけどね。
 たまにふと、私にしかわからないレベルで、ああこういうとこやっぱブラウニーだなーってのはたまにある。

 ……。

 育ち方で色々なブラウニーが生まれるのか……とかふと思うと、ちょっと色々想像してしまうな。
 ああ、そういえば、昔、アカシアに視せてもらった幼いアドルフさんは可愛かったなぁ。

 髪色が違うブラウニーとかもっと見てみたいな……。
 一番上の子のヴァレンあたりが金髪のお嫁さん貰ってくれないかな。

 ヴァレンはヴァレンで、ちょっとゆるいウェーブのかかった髪のブラウニー姿を見せてもらえた感で親孝行ありがとう、とは思っている。
 多分ウェーブは私の髪のせいだろう。
 ああ、まさにブラウニーと私の子だよ! なんて愛おしい!
 
 ……そんで金髪のブラウニーが生まれたら……あ、それってなんか王子様ぽい。
 王子様ブラウニー!?
 え、人生やり直してブラウニー王子と結婚した……いかん、ブラウニーのことを考えると妄想が止まらない。

「ふぅ……」
 
 しばし妄想してたがやっと現実に戻ってきた。


 リアのことは、私はびっくりしたけど、特にショックではなかった。
 むしろ、つがいとかロマンチックじゃないの。
 でもブラウニーからしたら違うよね。
 
 彼が内心、リアを溺愛してたのは、わかってたから、相当ショックだろう。
 なんていうか、リアは子どもたちの中でも守ってあげたい感が強いから、余計に心砕いてたかもしれない。


 ……まあ、顔が怖いの戻ってきたから、何かしら区切りつけたんだろうな。
 立ち直りは早いほうだよね、ブラウニー。
 そしてアドルフサン逃げて(再)


 そんな事を考えつつ、ブラウニーが走って行ったほうを、コーヒーを飲みながら眺めていると。


「かあさーん」

 4番目の子供で、10歳の娘のルクリアの声が背後から聞こえた。

「ルクリア。どうしたの?」

 ルクリアは悪い顔をしてニヤニヤしている。

 ルクリアは、アルメリアとは正反対だなぁ。
 元気はつらつ娘だ。

「ちょっとおもしろい話……一緒に聞きにいかない?」
「ほう……?」


 私はルクリアに、早く早く、と、手を引っ張られていった。
 どこへ行くのやら。


 今日は忙しい日だなぁ。

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