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片思いだと思っていたらエルフのつがいでした。

12■ 間抜けな侵入者 ―Plum―

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                                       ※プラム視点です。


 ――私は非常に気分を害していた。

 
 ――リアの『報』が届いて、ヒースの自宅組は蜂の巣をつついた騒ぎとなり、ブラウニーを会社から呼び戻した。
 そこへ、ココリーネ(リンネ)からの手紙が着た。


 手紙には、
『リアを預かっている。返してほしければプラム一人で俺に会いにこい』
 とあった。

  ココリーネ。絶対許さない。
 私は、受け取った手紙をグシャ、と握り潰した。

 そしてヒースの男どもが、そんな手紙を見て、大人しくしているわけはない。
 手紙には私に来いと書いている割に場所の指定はなく……短い相談の結果、ブルボンス家に向かう事になった。

「心配いらない。お前は家で待ってろ」

 ブラウニーはそう言うと長男のヴァレンも連れて出ていった。

 アドルフさんとギンコも飛び出して行った。

 怒らせるとやばいのが4人出ていった。

 ブルボンスから死人がでませんように……。
 えっと、主神と地母神どっちに祈ればいいんだ。最近悩む。

 そして、ブラウニー達が出ていった後に――元ココリーネのリンネがヒースの我が家に侵入してきた。

 ブラウニー達が出ていくのを見計らっていたようだ。

 ブラウニー達も、リアの事で頭がカッカしていたから、まさか自宅にリンネが侵入するなんて思わなかっただろう。

 しかし、問題なかった。
 だってリンネは弱かった。

 私のいる場所にたどり着くまでに、我が家のセキュリティであるガーゴイルにボコボコにされた。

「馬鹿じゃないの? 以前、私がこの家からさらわれてしまったのは、ギンコが強かったからだって、わかってなかったの?」

「嘘だろ……。俺だって風の精霊と契約したのに……」

「契約しただけで同じように使えるって思ってるわけ?」

「だって、ゲームではよ」

「まだゲームの話してるの」

 せいぜい簡単な精霊魔法ぐらいで魔力を持たないリンネなんて、うちのガーゴイルたちの敵ではない。

 そして、私がブルボンスに囚われていた条件も彼自身忘れてしまったのか。
 あの時、私は魔力を封じられて手も足もでなかったって事。

 戦闘のセンスもない、身体も鍛えてない、ただちょこっと精霊魔法を使えるだけのボンクラには流石の私でも負けはしない。

そこへ、
「母さん……ガーゴイルが動いてたけど。あれ、そのおじさんだれ?」

眠い目をこすりながら、一番下のチビのブラッドが起きてきてしまった。
昼寝の時間だったのに。

「ああ、ブラッド。起きちゃったの? このおじさんは、おうちに勝手に入ってきた悪い人だよ。母さんちょっとお仕置きしてるの」

「お仕置き……僕、やるよ?」

 茶髪組の中でも特に目の色が明るくて黄色に近いその瞳に静かな殺意が宿る……。

 幼い癖に言う事がちゃっかり茶髪組だ……。
 茶髪組の言動は、教育に悪くて困る。

 桃髪隊と比較すると、育て方を間違えたなんて事は無いはずなのに、おかしい……どういう事なの。

「ううん、ブラッドは……そうだ、好きなお菓子を食べてていいからお留守番してくれる? あと、誰か帰ってきたら、ダミアンのとこにいるって言ってくれる?」

「わ、ほんと!? いいよ! でも早く帰ってきてよ!」

 好きなお菓子選択権を与える。フフン、ブラウニー似とは言え、まだ幼き子供ね。
 ブラッドは、嬉しそうに食堂に走っていった。
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