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84 ■ The Contents of the Box 03 ■
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「ククク、ヤツは四天王の中でもry」
なんか言ってはいけない事を言いかけたヤツを殴り飛ばした。
恐らくこいつは、何かを自称してる。
「顔が曲がった。よし。次。」
「よし、じゃないよ!? お前怖……」
ドッペルがなんか言っている。
これを良しとできないお前は本当にオレの分身(コピー)なのか?
「最後までセリフ言わせてやれよ……」
ドッペルがドン引きしている。
「最後まで言わせちゃならないことだってある……」
「お前、顔怖! ほんとにオレお前の本体(オリジナル)なの!?」
「生まれたてのお前にオレの何がわかる……」
「オレ、ドッペルゲンガーだったって自信なくしそう」
「いらないだろ、そんな自信……」
……なんだろう、さっきからの、この既視感。
「ところで、生きたいっていうのはわかったが、何故すぐに俺を殺そうとしないんだ」
「ん? 言ったろ。オレは誰かの半分になりたかったって。 今すぐ一つになったら、つまらないし……ああこれは寂しいという感情か? お前の魂もらったからそうなんだとわかったが。 ……あと何故だか、お前に好感がある。」
「オレを寂しがり屋みたいに言うんじゃない。 というか、そういう思いが根底にあるならもとから魂持ってるんじゃないのか?」
「寂しいのはお前じゃなくてオレだ。 これは魂というより生態だなぁ。鏡は誰かが前に立ってくれなければ誰も映らないままだ。今までは動けない鏡だったが、付いて行ける鏡になったとでも思ってくれ。適当だが」
「…迷惑な!」
しかし、魔族が寂しいとか。
さっきのモリヤマといい、魔族というのは人間に近い感情を持っていたりもするのか?
……いや、人間にも様々なヤツがいる。
魔族にも多様性はあるのだろう。
だからといってこいつを認めるわけではないが。
「役にたつぜー?なんせ自分が二人だ!」
一理ある。
「なあなあ、プラムって誰だ」
「お前は知らなくていい」
「彼女だな」
「お前そろそろ黙れ。本当にオレなのかよ」
「そうだぞー。ただ生まれたばかりだから知りたがりだ!」
…一理ある。
「そうか、オレには彼女がいるのか」
「お前のじゃない!!」
やはり殺さなければ。
魔王の拠点は、要塞のような城だった。
そして高い天井から木の根のようなものが生えていて、それに覆われていた。
なんかあの樹の根に見覚えが……ああ、アカシアの生やしてた樹の根に似てるのか。
除草剤作ってぶちまげたい。
それにしても今みたいに、プラムと存在する時間軸が違うのに『絶対圏』には接続できるんだな。
おそらくオレがプラムから接続できる権利(かぎ)を貰っていて、地母神が存在する時間軸ならば、勝手にいつでもどこでもアクセスできるようになってるんだろう。
そしてドッペルはその鍵はコピーできたのか。
まあ、オレの魂半分持ってる訳だし、それはつまりこいつも本物のオレとも言えるから、できてもおかしくない。
プラムはこの状態をどう思うだろうか…。
……(思案)。
『ぶ、ブラウニーが二人いるううう幸せエエエ』
……ありえる。
これはよくない。
なんとか魂を取り戻さないと。
心の眼で、要塞を視る。
時計の中のような歯車がたくさん回っている部屋がある。
――そして、謁見の広間。
そこから奥へ伸びた長い廊下。
――暗い部屋で、酒を継いでいる、黒髪で角のある男。
――男がこっちを視た。
「……目が合った」
「合ったな」
「お前も視えたのか」
「おう」
ブツッ
視界を切られた。
驚いた、こんな事ができるのか。
「場所は……あの辺か」
「そうだな、オレもそう思うぞ、オレ」
「…なあ」
ドッペルが無邪気な顔でこっちを見る。
「なんだよ」
「オレ、なんかお前といるの楽しい」
ほんわかとした笑顔を浮かべる。
「…なっ。馬鹿なこというな」
……これホントにオレか?
まあ、お互い自分だし、気が合うのは当然とも言えるが……。
……しかしこいつの人懐っこさといい、このまま関係が続いたら情が移ってしまいそうだ。
今はそれよりもプラムとアドルフさんを探す手段を見つけないといけないのに、厄介な事情を抱えてしまった。
「オレ、なんかずっと魂半分のままでいいや。お前とずっといたい。寿命が来る頃に魂は返してやるよ。ほら、早く行こうぜ」
「お、おい」
オレの手を引いて、ドッペルが魔王の部屋へとテレポートした。
なんか言ってはいけない事を言いかけたヤツを殴り飛ばした。
恐らくこいつは、何かを自称してる。
「顔が曲がった。よし。次。」
「よし、じゃないよ!? お前怖……」
ドッペルがなんか言っている。
これを良しとできないお前は本当にオレの分身(コピー)なのか?
「最後までセリフ言わせてやれよ……」
ドッペルがドン引きしている。
「最後まで言わせちゃならないことだってある……」
「お前、顔怖! ほんとにオレお前の本体(オリジナル)なの!?」
「生まれたてのお前にオレの何がわかる……」
「オレ、ドッペルゲンガーだったって自信なくしそう」
「いらないだろ、そんな自信……」
……なんだろう、さっきからの、この既視感。
「ところで、生きたいっていうのはわかったが、何故すぐに俺を殺そうとしないんだ」
「ん? 言ったろ。オレは誰かの半分になりたかったって。 今すぐ一つになったら、つまらないし……ああこれは寂しいという感情か? お前の魂もらったからそうなんだとわかったが。 ……あと何故だか、お前に好感がある。」
「オレを寂しがり屋みたいに言うんじゃない。 というか、そういう思いが根底にあるならもとから魂持ってるんじゃないのか?」
「寂しいのはお前じゃなくてオレだ。 これは魂というより生態だなぁ。鏡は誰かが前に立ってくれなければ誰も映らないままだ。今までは動けない鏡だったが、付いて行ける鏡になったとでも思ってくれ。適当だが」
「…迷惑な!」
しかし、魔族が寂しいとか。
さっきのモリヤマといい、魔族というのは人間に近い感情を持っていたりもするのか?
……いや、人間にも様々なヤツがいる。
魔族にも多様性はあるのだろう。
だからといってこいつを認めるわけではないが。
「役にたつぜー?なんせ自分が二人だ!」
一理ある。
「なあなあ、プラムって誰だ」
「お前は知らなくていい」
「彼女だな」
「お前そろそろ黙れ。本当にオレなのかよ」
「そうだぞー。ただ生まれたばかりだから知りたがりだ!」
…一理ある。
「そうか、オレには彼女がいるのか」
「お前のじゃない!!」
やはり殺さなければ。
魔王の拠点は、要塞のような城だった。
そして高い天井から木の根のようなものが生えていて、それに覆われていた。
なんかあの樹の根に見覚えが……ああ、アカシアの生やしてた樹の根に似てるのか。
除草剤作ってぶちまげたい。
それにしても今みたいに、プラムと存在する時間軸が違うのに『絶対圏』には接続できるんだな。
おそらくオレがプラムから接続できる権利(かぎ)を貰っていて、地母神が存在する時間軸ならば、勝手にいつでもどこでもアクセスできるようになってるんだろう。
そしてドッペルはその鍵はコピーできたのか。
まあ、オレの魂半分持ってる訳だし、それはつまりこいつも本物のオレとも言えるから、できてもおかしくない。
プラムはこの状態をどう思うだろうか…。
……(思案)。
『ぶ、ブラウニーが二人いるううう幸せエエエ』
……ありえる。
これはよくない。
なんとか魂を取り戻さないと。
心の眼で、要塞を視る。
時計の中のような歯車がたくさん回っている部屋がある。
――そして、謁見の広間。
そこから奥へ伸びた長い廊下。
――暗い部屋で、酒を継いでいる、黒髪で角のある男。
――男がこっちを視た。
「……目が合った」
「合ったな」
「お前も視えたのか」
「おう」
ブツッ
視界を切られた。
驚いた、こんな事ができるのか。
「場所は……あの辺か」
「そうだな、オレもそう思うぞ、オレ」
「…なあ」
ドッペルが無邪気な顔でこっちを見る。
「なんだよ」
「オレ、なんかお前といるの楽しい」
ほんわかとした笑顔を浮かべる。
「…なっ。馬鹿なこというな」
……これホントにオレか?
まあ、お互い自分だし、気が合うのは当然とも言えるが……。
……しかしこいつの人懐っこさといい、このまま関係が続いたら情が移ってしまいそうだ。
今はそれよりもプラムとアドルフさんを探す手段を見つけないといけないのに、厄介な事情を抱えてしまった。
「オレ、なんかずっと魂半分のままでいいや。お前とずっといたい。寿命が来る頃に魂は返してやるよ。ほら、早く行こうぜ」
「お、おい」
オレの手を引いて、ドッペルが魔王の部屋へとテレポートした。
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