70 / 149
70 ■ FIRE 02 ■
しおりを挟む魔幻とくしの動きを抑える。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜
まほりろ
恋愛
ムーンライトノベルズで日間総合1位、週間総合2位になった作品です。
【完結】「ディアーナ・フォークト! 貴様との婚約を破棄する!!」見目麗しい第二王子にそう言い渡されたとき、ディアーナは騎士団長の子息に取り押さえられ膝をついていた。王子の側近により読み上げられるディアーナの罪状。第二王子の腕の中で幸せそうに微笑むヒロインのユリア。悪役令嬢のディアーナはユリアに斬りかかり、義理の兄で第二王子の近衛隊のフリードに斬り殺される。
三日月杏奈は漫画好きの普通の女の子、バナナの皮で滑って転んで死んだ。享年二十歳。
目を覚ました杏奈は少女漫画「クリンゲル学園の天使」悪役令嬢ディアーナ・フォークト転生していた。破滅フラグを壊す為に義理の兄と仲良くしようとしたら溺愛されました。
私の事を大切にしてくれるお義兄様と仲良く暮らします。王子殿下私のことは放っておいてください。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる