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47 ■ Let's go home 04 ■
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殿下の治療が終わると同時に、ココリーネの声がした。
「……これは、一体何事ですの!」
その声に全員がハッとする。
「ココリーネ……」
ギンコが、つらそうな顔でその名を呼ぶ。
一方ココリーネは、そんなギンコのほうを欠片も見ない。……見ていてせつない。
「こんな夜更けに、ご招待してないお客様がいらっしゃるなんて……どういうことかしら?ですの」
ココリーネの後ろには、大量の兵士。
……まあ、こんな塔が傾くほどの音がしたらそりゃ来るよね。
兵士達が、ココリーネ様、危険ですと口にしている。
「兵士達の言う通りだ、ココリーネ。塔が不安定だ、すぐに退去すべきだ」
ギンコが彼女を気遣ってそう言った。
彼は彼女の内情を知った上で、彼女を守ろうとしている。
割り切れないんだろう。
その気持はわかる。私とブラウニーも、あのエセ神父で散々味わった気持ちだ。
ココリーネは誰の忠告も聞かず。
「まあ……」
ココリーネは私とブラウニーを見た。
「なんて見事な銀の髪。……前世で…夢でみた『絶対圏』をこの目で見れる日が……くるなんて」
唇を噛んでこちらを睨んでる。
自分が使いたかった、って言ってたもんな。
ブラウニーが、私の肩を抱いて抱き寄せた。
「おかしいですわね、魔力は封印していたはずなのに、発動するなんて…」
「ココリーネ、この力は封印なんてものではとても抑えられるものではない。見ていたが、発動した瞬間、封印は弾け飛んだ。一瞬でだ。」
ギンコがココリーネに説明する。
「……なんですって。……やはり『鍵』――許可されし者と接触すると無駄だったんですのね」
ココリーネはギリ、と親指を噛んだ。
それをギンコが見るのが辛そうな顔で見ている。……つらい。
「失礼致します、ブルボンス令嬢。ヒース領の領主、アドルフ=ヒースでございます。夜分のご訪問失礼致します。」
アドルフさんがそこで一礼した。
……う、この人もやっぱ教育受けてるんだな。洗練された姿勢になってる!!
「申し訳ないのですが、プラム様を迎えに参りました。
今回のこの件は追って後日抗議致します」
ん? プラム様?
「……何を言ってるんですの?弱小男爵家がそのような反抗できると思ってますの?」
ココリーネは怪訝な顔をした。
「プラム様は本日付でリーブス公爵家の養子となりましたので、最早リーブス公爵令嬢です。
あなたが今後、お相手なさるのはリーブス公爵家でございます」
アドルフさんは清々しい笑顔をした。
ホントはまだ書類処理されてないと思うけど、見切り発車で言ってるなアドルフさん……。
ブラウニーの手が、私の肩を抱く力が少し強くなった。
「プラム、これは今日、ヒースに帰れる流れになったな」
と小声で言ってきた。
……そうか。この流れ的に考えて、私、今日……ヒース領に帰れるんだ! 嬉しい!
「な、なんですって!?」
「後日、リーブス公爵家から抗議書が届くかと。……この事お父さんとお母さんは知ってるのかなぁ~?ボク?」
アドルフさんが煽るような表情になった。
……この人、たまに煽るタイプだよな。
ボク? と言われてココリーネの顔が、かっと赤くなった。
「ぼ、ぼくって何のことです!? ギ、ギンコ!! この者たちを殺して!! お願い!!」
「ココリーネ、君はそんな事を…言う人では…」
ギンコ可哀想……。
「大体、侵入許しちゃうなんて! 信じてたのに! …役立たず!! それともプラムに懐柔されたんですの!?」
「すま、ない………」
ギンコは、苦しそうにココリーネから顔を背けた。
「そこらへんまでにしてあげなさいよ~ ココリーネおぼっちゃん?
もうギンコも知ってるんだぜ? それで礼節をかかさずギンコは接してるってのに……このクズが。
……そういえば、クズと言えば、そこでノビてる紫頭」
アドルフさんは第二王子を指指す。
「うちの娘の部屋に、夜這いに来たみたいなんですが、オレたちの戦いに巻き込まれてしまいましてね。
でも正当防衛なんで、すいませんね。誰かは知りませんが、公爵家の使用人の方ですかね?」
紫頭が誰なのかって事を知らないふりしてる……。
「……なっ。夜這い!? ……こいつ!! ライラック殿下?! 俺だってやってないのにこの野郎……! これだからライラックはクソなんだよ!! このマイナー層向け人気最下位が!!! もっとテコいれしろよ運営め!!! 難易度は高いわ、好感度マックスにならねーとクズのまんまだわ……ブツブツ」
……人気最下位?? え、こんな美形なのに? ……あ、クズだから?
「プラムはオレのだっつーの!!」
あっ……。言っちゃった!!!
私がとっさにブラウニーを抑えるのとブラウニーの力がまた増すのが同時だった。
「プラムはお前のもんじゃねえ!!!」
公爵令嬢殺人事件がおきちゃうううう!!!
私は必死でブラウニーを抑えた。
あああ、魔力のない公爵令嬢を本気で殴りにいこうとしてるよおおおお!!!
「ブラウニー、身体はか弱い女の子だから!!! 死んじゃうよ!!」
「うっせえ、関係ねえよ!」
「うわ……ギンコ! なんとかしろ……なんとかしてくださいですの!!」
「……」
ギンコがグッと目を閉じて顔を背けている。ううう、可哀想しかない……!
背後の兵士達も殿下が倒れているのと、ココリーネの豹変にざわざわしている。
さっき、殿下治しといてよかった……。
「ライラック殿下……? そんな…!! でもどうしてこんな所に? しかも11歳の少女を夜這いに来たんですか? 王国の王子が!?」
めいいっぱい私達は知らなかったんですよう、を主張しているアドルフさん、ココリーネの背後に兵士いっぱいいるし、東棟にいた侍女や使用人も集まってきたから、結構効果的かもしれないね。
……彼らはざわざわして、口々に言葉を交わしている。
兵士の中から走っていくものが見える。
おそらく、騒ぎがブルボンス公爵に届けられるのだろう。
ブルボンス公爵がどういう人かは知らないけれど、これはココリーネ……そしてライラック殿下の醜聞になるだろう。
この半年貴族のことを少し勉強したから、そういう風に予想がついた。
こんな事になった以上、ココリーネは身内からの制裁が下り、おそらく無罪放免とはならないだろう。
なぜなら私がもうリーブス家の公爵令嬢だからだ。
「ココリーネ。もう一度言うね。私はブラウニーが好きなの。愛してるの。ブラウニーしかいらないの。あなたのものじゃない。ましてや皇太子殿下のものにもならない。私を…私達をもう巻き込まないで!!」
もう、これであなたと目を合わせるのは最後。
私ははっきりそう言って、少し背伸びしてブラウニーにキスをした。
ブラウニーは目を一瞬見開いた後、私の腰に手を回して抱きしめた。
ココリーネが入る隙など一ミリもない、と見せつけたかった。
「な、何いってんだよ……お前がいなくなったら誰が俺を、バッドエンドから……」
この子は前世に囚われ過ぎた。私に執着しすぎた。
私に執着していいのはブラウニーだけだ。さようなら。
「ブラウニー、私、帰りたい」
私はブラウニーの胸に顔を埋めた。
「ああ、帰ろう」
「……そうだな、帰ろう。モチ、マロ、来い。それではブルボンス公爵令嬢、失礼致します。」
アドルフさんの声が聞こえて、頭にポフっと手を置かれた。
「み」
「みっ」
マロたちが窓の外へ飛び出す。
「ちょっと……!! あなた達、捕まえなさい!!」
ギンコが動かないので、兵士たちに命令するココリーネ。
兵士たちがハッと動こうとした時。
アドルフさんと、私を抱えたブラウニーがバルコニーから飛び降りる。
弓や、魔法のエネルギー弾が飛んできたけど、『絶対圏』にはそんなもの、無意味。
さようなら。
ああ……帰れるんだ。本当に……!!!
「……これは、一体何事ですの!」
その声に全員がハッとする。
「ココリーネ……」
ギンコが、つらそうな顔でその名を呼ぶ。
一方ココリーネは、そんなギンコのほうを欠片も見ない。……見ていてせつない。
「こんな夜更けに、ご招待してないお客様がいらっしゃるなんて……どういうことかしら?ですの」
ココリーネの後ろには、大量の兵士。
……まあ、こんな塔が傾くほどの音がしたらそりゃ来るよね。
兵士達が、ココリーネ様、危険ですと口にしている。
「兵士達の言う通りだ、ココリーネ。塔が不安定だ、すぐに退去すべきだ」
ギンコが彼女を気遣ってそう言った。
彼は彼女の内情を知った上で、彼女を守ろうとしている。
割り切れないんだろう。
その気持はわかる。私とブラウニーも、あのエセ神父で散々味わった気持ちだ。
ココリーネは誰の忠告も聞かず。
「まあ……」
ココリーネは私とブラウニーを見た。
「なんて見事な銀の髪。……前世で…夢でみた『絶対圏』をこの目で見れる日が……くるなんて」
唇を噛んでこちらを睨んでる。
自分が使いたかった、って言ってたもんな。
ブラウニーが、私の肩を抱いて抱き寄せた。
「おかしいですわね、魔力は封印していたはずなのに、発動するなんて…」
「ココリーネ、この力は封印なんてものではとても抑えられるものではない。見ていたが、発動した瞬間、封印は弾け飛んだ。一瞬でだ。」
ギンコがココリーネに説明する。
「……なんですって。……やはり『鍵』――許可されし者と接触すると無駄だったんですのね」
ココリーネはギリ、と親指を噛んだ。
それをギンコが見るのが辛そうな顔で見ている。……つらい。
「失礼致します、ブルボンス令嬢。ヒース領の領主、アドルフ=ヒースでございます。夜分のご訪問失礼致します。」
アドルフさんがそこで一礼した。
……う、この人もやっぱ教育受けてるんだな。洗練された姿勢になってる!!
「申し訳ないのですが、プラム様を迎えに参りました。
今回のこの件は追って後日抗議致します」
ん? プラム様?
「……何を言ってるんですの?弱小男爵家がそのような反抗できると思ってますの?」
ココリーネは怪訝な顔をした。
「プラム様は本日付でリーブス公爵家の養子となりましたので、最早リーブス公爵令嬢です。
あなたが今後、お相手なさるのはリーブス公爵家でございます」
アドルフさんは清々しい笑顔をした。
ホントはまだ書類処理されてないと思うけど、見切り発車で言ってるなアドルフさん……。
ブラウニーの手が、私の肩を抱く力が少し強くなった。
「プラム、これは今日、ヒースに帰れる流れになったな」
と小声で言ってきた。
……そうか。この流れ的に考えて、私、今日……ヒース領に帰れるんだ! 嬉しい!
「な、なんですって!?」
「後日、リーブス公爵家から抗議書が届くかと。……この事お父さんとお母さんは知ってるのかなぁ~?ボク?」
アドルフさんが煽るような表情になった。
……この人、たまに煽るタイプだよな。
ボク? と言われてココリーネの顔が、かっと赤くなった。
「ぼ、ぼくって何のことです!? ギ、ギンコ!! この者たちを殺して!! お願い!!」
「ココリーネ、君はそんな事を…言う人では…」
ギンコ可哀想……。
「大体、侵入許しちゃうなんて! 信じてたのに! …役立たず!! それともプラムに懐柔されたんですの!?」
「すま、ない………」
ギンコは、苦しそうにココリーネから顔を背けた。
「そこらへんまでにしてあげなさいよ~ ココリーネおぼっちゃん?
もうギンコも知ってるんだぜ? それで礼節をかかさずギンコは接してるってのに……このクズが。
……そういえば、クズと言えば、そこでノビてる紫頭」
アドルフさんは第二王子を指指す。
「うちの娘の部屋に、夜這いに来たみたいなんですが、オレたちの戦いに巻き込まれてしまいましてね。
でも正当防衛なんで、すいませんね。誰かは知りませんが、公爵家の使用人の方ですかね?」
紫頭が誰なのかって事を知らないふりしてる……。
「……なっ。夜這い!? ……こいつ!! ライラック殿下?! 俺だってやってないのにこの野郎……! これだからライラックはクソなんだよ!! このマイナー層向け人気最下位が!!! もっとテコいれしろよ運営め!!! 難易度は高いわ、好感度マックスにならねーとクズのまんまだわ……ブツブツ」
……人気最下位?? え、こんな美形なのに? ……あ、クズだから?
「プラムはオレのだっつーの!!」
あっ……。言っちゃった!!!
私がとっさにブラウニーを抑えるのとブラウニーの力がまた増すのが同時だった。
「プラムはお前のもんじゃねえ!!!」
公爵令嬢殺人事件がおきちゃうううう!!!
私は必死でブラウニーを抑えた。
あああ、魔力のない公爵令嬢を本気で殴りにいこうとしてるよおおおお!!!
「ブラウニー、身体はか弱い女の子だから!!! 死んじゃうよ!!」
「うっせえ、関係ねえよ!」
「うわ……ギンコ! なんとかしろ……なんとかしてくださいですの!!」
「……」
ギンコがグッと目を閉じて顔を背けている。ううう、可哀想しかない……!
背後の兵士達も殿下が倒れているのと、ココリーネの豹変にざわざわしている。
さっき、殿下治しといてよかった……。
「ライラック殿下……? そんな…!! でもどうしてこんな所に? しかも11歳の少女を夜這いに来たんですか? 王国の王子が!?」
めいいっぱい私達は知らなかったんですよう、を主張しているアドルフさん、ココリーネの背後に兵士いっぱいいるし、東棟にいた侍女や使用人も集まってきたから、結構効果的かもしれないね。
……彼らはざわざわして、口々に言葉を交わしている。
兵士の中から走っていくものが見える。
おそらく、騒ぎがブルボンス公爵に届けられるのだろう。
ブルボンス公爵がどういう人かは知らないけれど、これはココリーネ……そしてライラック殿下の醜聞になるだろう。
この半年貴族のことを少し勉強したから、そういう風に予想がついた。
こんな事になった以上、ココリーネは身内からの制裁が下り、おそらく無罪放免とはならないだろう。
なぜなら私がもうリーブス家の公爵令嬢だからだ。
「ココリーネ。もう一度言うね。私はブラウニーが好きなの。愛してるの。ブラウニーしかいらないの。あなたのものじゃない。ましてや皇太子殿下のものにもならない。私を…私達をもう巻き込まないで!!」
もう、これであなたと目を合わせるのは最後。
私ははっきりそう言って、少し背伸びしてブラウニーにキスをした。
ブラウニーは目を一瞬見開いた後、私の腰に手を回して抱きしめた。
ココリーネが入る隙など一ミリもない、と見せつけたかった。
「な、何いってんだよ……お前がいなくなったら誰が俺を、バッドエンドから……」
この子は前世に囚われ過ぎた。私に執着しすぎた。
私に執着していいのはブラウニーだけだ。さようなら。
「ブラウニー、私、帰りたい」
私はブラウニーの胸に顔を埋めた。
「ああ、帰ろう」
「……そうだな、帰ろう。モチ、マロ、来い。それではブルボンス公爵令嬢、失礼致します。」
アドルフさんの声が聞こえて、頭にポフっと手を置かれた。
「み」
「みっ」
マロたちが窓の外へ飛び出す。
「ちょっと……!! あなた達、捕まえなさい!!」
ギンコが動かないので、兵士たちに命令するココリーネ。
兵士たちがハッと動こうとした時。
アドルフさんと、私を抱えたブラウニーがバルコニーから飛び降りる。
弓や、魔法のエネルギー弾が飛んできたけど、『絶対圏』にはそんなもの、無意味。
さようなら。
ああ……帰れるんだ。本当に……!!!
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