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39 ■ The Hanged Man,Upright 01 ■ ―Brownie――吊られた男(正位置)
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※ブラウニー視点です。
――プラムがいなくなってから、7ヶ月。
とくに大きな進展はない。毎日アドルフさんと二人で頭をひねってるだけ。
ただし、荒野から魔石は結構見つかって、むしろ買わなくてよくなった。
逆に商売できそうなくらい見つかった。
「うーん……ヒース領を復興させて、社会的に無視できない力つけるしかねえかな」
ものすごくやりたくなさそうな顔でアドルフさんがぼそっと言った。
多分、ヒース領にかなりの思い入れがあって、新しい街を作りたくないんだろう。
今復興してもそれはもう彼のヒースじゃない。前もそんな感じのこと言ってたしな。
「なあ、ブラウニー。お前本気で貴族する気ある?」
「正直やりたくない」
「だよなあ、オレもそうなんだよ。今のきままな冒険者暮らしが好きなんだよな……」
「そんなに自由が無くなんの?」
「領地経営に、他の領地との交流だろ……頻繁におこなわれる舞踏会やティーパーティへの参加……」
「なしで」
そう言うと、アドルフさんは少しホッとした顔をした。
本人隠してるつもりだろうけども、わかるんだよ。まったくプラムといい、アドルフさんといいポーカーフェイスが下手くそだ。
オレ達のことで、彼は自分を削りすぎていると思う。
本人が良しとしていても、彼のヒースへの思いをオレは大切にしたい。
「単純に錬金術によるアイテム作成の会社経営とかは? 財力では抜きん出る自信あるんでしょ?」
「やっぱ妥協してもそこだよな……。オレ単独で仕事が向いてるタチだから、人雇ってとりまとめとかできる気しないんだよな。白髪生えそう」
「オレにもとから白髪だろって言わせたいんだね、父さん」
「銀髪だ!!! あと父さん禁止!!」
「オレ、やってもいいよ。経営学とか学べばいいの?」
「まじか、素晴らしいな息子。でもそうなると学校行ったほうがいいかもな」
「どうして?」
「オレの苦手分野で教えられる自信がない。昔は親に勉強させられたが、どうにも向いてない。ヒースが滅びてなければ、今頃必死でやってただろうけどな。跡取りだし。
それとな、他人との交流を増やして、沢山他人を知ったほうがいいんじゃないかと。同年代の人脈もつかめる可能性あるしな」
「また時間がかかりそうな……本買ってきて詰め込み式で勉強してぶっつけ本番開業じゃ駄目?」
「人の上に立つなら経験は重要だぞ。本だけじゃ駄目だ。あとはこの土地に来てくれる奴がいるかどうか……」
オレ的には、アドルフさんさえその気になれば、雇用人はすぐ集まりそうな気がする。
人に好かれやすい、という意味で。プラムとは違う意味で好かれやすいと思う。ホッとするんだよな、この人の傍は。
レインツリーでも理由つけてアドルフさんと仕事しようとした冒険者仲間が結構多かったし、彼に片思いしてそうな女性を何人か見かけた。
でも本人はどうも何人もつるむのが好きではなさそうだったし、彼女が欲しいといいつつ、その気がなさそうな雰囲気を感じる。
「王都との境界線付近に会社を設立すれば?」
「お、なるほど。それなら来るかもな。良く考えたらこの屋敷周辺が賑やかにならなくていいかもな」
やっぱ静かな場所が好きなんだな。
「移住者を考えて街も作らなくていいし。なにげに良い立地じゃん、ヒース」
「ブラウニーお前……天才か。そういや昔は王都から通いでよく働き手がきてたんだよなぁ。ヒースの街にも」
懐かしそうな瞳をした。
……と話してたところ、リーンリーンとベルの音がした。
実に七ヶ月ぶり。あのエルフが来た時以来のベルだ。
アドルフさんはあれ以来、ちょっと玄関に細工して、誰が来たかわかるように魔法を施した鏡を設置した。
玄関の鏡に映った姿が、各部屋にある鏡で確認できるようにしてある。せっかく設置したのに7ヶ月間作動することはなかったっていう。
「……誰だ? こいつ……ん? どっかで見たな」
「リンデンだ。どうしてここに……」
「知り合いか?」
「プラムに良く絡んでた奴。妹にならないかってしつこかった……訳あってその後はオレに絡んでくるうざい奴だよ」
「あ! 思い出した。オレも見たことあるわ。レインツリーにいたお坊ちゃんな。たしかリーブス公爵家の令息だよな」
「は? 公爵家? 殺しましょう」
公爵家と聞いてオレは、気分を害した。
「怖いよ!! いきなりなんなの?! お前。リーブス公爵家だから! ブルボンス公爵家とはまた違うから!!」
「はあ」
オレはフッと大きくため息ついた。
「ため息つくと幸せにげるぞ!! ああもう、お前、この部屋で待ってなさいね? お父さん、話聞いてくるから!」
「幸せはいま行方不明なんで。プラムに絡んでたしつこいやつですし、ココリーネに夢中でプラムを突き飛ばした奴だし。殺しても良いと思うんだけど」
……何か悪い?
「お前……どうしちゃったの? その思考やめなさい!? いい? 大人しくしてるのよ!? お母さん行ってくるからね!?」
「たまにお母さん化するのは何? ……行くなら早く行ってきてよ」
母親なんてどんなもんか実際は知らないけど。アドルフさんは泣きそうな顔して出てった。
チビの頃、最初のインターンで出会った時は眼帯してるし、物静かで怖そうな人なイメージだったんだけどな。よく見ると優しい瞳してるし実際優しいし、気がついたら心開いちゃったんだけど。人たらしめ。最近はいじると面白い。
さて……どうせ、応接室に通す事になるだろ。
応接室で待ってるか。
※※※※※
「……。ブラウニー。おまえ、別室で待ってなさいっていったでしょ!?」
応接室にリンデンを連れてきたアドルフさんが、まだお母さん口調でうざかったからスルーする。
「よぉ、リンデン」
「スルー!? 聞いちゃいねえ!」
おかあさん(父)、うるさい。スルー。
「反抗期だ……」
なんかブツブツ言ってる。
「うわ、師匠! 相変わらず顔が怖いね! いやあ、久しぶりだね! 会いたかった!!」
「開口一番、人の身体的特徴をなじるのが貴族のやり方か」
「ブラウニー! お前も一応もう貴族の子だからね!?」
「表情が怖いのは身体的特徴になるの!? てか顔が怖くなってるの認めるの!?」
「……ツッコミがうまくなったじゃねえか」
めんどくさい。なんとなく知ってる言葉で適当に褒めよう。
ちなみにツッコミが何なのかはオレは知らない。
「ありがとうございます!!!」
「なんなの君ら!? 実は仲良しなの!?」
「はい! とっても!」
「絶対違う」
「……ところで何の用だ。前も散々言ったがオレはお笑いなんて教えてないからな」
「あはは。またまた。その人とコンビ組んでるんでしょ☆見てて楽しい!」
「……」
「あ! ブラウニー、やめなさい、ホント」
後ろ手でダガーを抜こうとしたところ、アドルフさんに本気で止められた。
「えっと、コーヒーしかないんだが、いいですかい、坊っちゃん」
アドルフさんが敬語混じりにリンデンに聞いた。
「ほんと? 僕、コーヒー大好き。でもいいの? ヒースは水が貴重なんじゃない?」
「大丈夫ですよ。錬金アイテムで作ってますから」
「あ、そうか。そういえばヒース家がそういうの作って王都は水で苦労しなくなったんだよね……優秀な錬金術師達が失われたのは……あ、ごめん」
リンデンは口を抑えた。
アドルフさんは穏やかな表情で首を横に振る。
「もう10年以上も前のことですよ」
「で、何しに来たんだ。プラムならいないぞ」
「うん、知ってる。僕、こないだブルボンス公爵家で会ったからね」
がちゃ、とアドルフさんがコーヒーを煎れてたカップを倒しそうになった。
「な……」
プラムに、会っただと……?
「とても、帰りたがってる。師匠のところに。今日はその話をしにきたんだ。聞く気になった?(にっこり)」
オレは力が抜けた。
「……聞かせて、くれ……」
「うん、その為にきたからね」
アドルフさんがコーヒーを運んできた。
彼も、信じられない、といった顔をしている。
「……まず何から話そうかな(コーヒーずず)」
――プラムがいなくなってから、7ヶ月。
とくに大きな進展はない。毎日アドルフさんと二人で頭をひねってるだけ。
ただし、荒野から魔石は結構見つかって、むしろ買わなくてよくなった。
逆に商売できそうなくらい見つかった。
「うーん……ヒース領を復興させて、社会的に無視できない力つけるしかねえかな」
ものすごくやりたくなさそうな顔でアドルフさんがぼそっと言った。
多分、ヒース領にかなりの思い入れがあって、新しい街を作りたくないんだろう。
今復興してもそれはもう彼のヒースじゃない。前もそんな感じのこと言ってたしな。
「なあ、ブラウニー。お前本気で貴族する気ある?」
「正直やりたくない」
「だよなあ、オレもそうなんだよ。今のきままな冒険者暮らしが好きなんだよな……」
「そんなに自由が無くなんの?」
「領地経営に、他の領地との交流だろ……頻繁におこなわれる舞踏会やティーパーティへの参加……」
「なしで」
そう言うと、アドルフさんは少しホッとした顔をした。
本人隠してるつもりだろうけども、わかるんだよ。まったくプラムといい、アドルフさんといいポーカーフェイスが下手くそだ。
オレ達のことで、彼は自分を削りすぎていると思う。
本人が良しとしていても、彼のヒースへの思いをオレは大切にしたい。
「単純に錬金術によるアイテム作成の会社経営とかは? 財力では抜きん出る自信あるんでしょ?」
「やっぱ妥協してもそこだよな……。オレ単独で仕事が向いてるタチだから、人雇ってとりまとめとかできる気しないんだよな。白髪生えそう」
「オレにもとから白髪だろって言わせたいんだね、父さん」
「銀髪だ!!! あと父さん禁止!!」
「オレ、やってもいいよ。経営学とか学べばいいの?」
「まじか、素晴らしいな息子。でもそうなると学校行ったほうがいいかもな」
「どうして?」
「オレの苦手分野で教えられる自信がない。昔は親に勉強させられたが、どうにも向いてない。ヒースが滅びてなければ、今頃必死でやってただろうけどな。跡取りだし。
それとな、他人との交流を増やして、沢山他人を知ったほうがいいんじゃないかと。同年代の人脈もつかめる可能性あるしな」
「また時間がかかりそうな……本買ってきて詰め込み式で勉強してぶっつけ本番開業じゃ駄目?」
「人の上に立つなら経験は重要だぞ。本だけじゃ駄目だ。あとはこの土地に来てくれる奴がいるかどうか……」
オレ的には、アドルフさんさえその気になれば、雇用人はすぐ集まりそうな気がする。
人に好かれやすい、という意味で。プラムとは違う意味で好かれやすいと思う。ホッとするんだよな、この人の傍は。
レインツリーでも理由つけてアドルフさんと仕事しようとした冒険者仲間が結構多かったし、彼に片思いしてそうな女性を何人か見かけた。
でも本人はどうも何人もつるむのが好きではなさそうだったし、彼女が欲しいといいつつ、その気がなさそうな雰囲気を感じる。
「王都との境界線付近に会社を設立すれば?」
「お、なるほど。それなら来るかもな。良く考えたらこの屋敷周辺が賑やかにならなくていいかもな」
やっぱ静かな場所が好きなんだな。
「移住者を考えて街も作らなくていいし。なにげに良い立地じゃん、ヒース」
「ブラウニーお前……天才か。そういや昔は王都から通いでよく働き手がきてたんだよなぁ。ヒースの街にも」
懐かしそうな瞳をした。
……と話してたところ、リーンリーンとベルの音がした。
実に七ヶ月ぶり。あのエルフが来た時以来のベルだ。
アドルフさんはあれ以来、ちょっと玄関に細工して、誰が来たかわかるように魔法を施した鏡を設置した。
玄関の鏡に映った姿が、各部屋にある鏡で確認できるようにしてある。せっかく設置したのに7ヶ月間作動することはなかったっていう。
「……誰だ? こいつ……ん? どっかで見たな」
「リンデンだ。どうしてここに……」
「知り合いか?」
「プラムに良く絡んでた奴。妹にならないかってしつこかった……訳あってその後はオレに絡んでくるうざい奴だよ」
「あ! 思い出した。オレも見たことあるわ。レインツリーにいたお坊ちゃんな。たしかリーブス公爵家の令息だよな」
「は? 公爵家? 殺しましょう」
公爵家と聞いてオレは、気分を害した。
「怖いよ!! いきなりなんなの?! お前。リーブス公爵家だから! ブルボンス公爵家とはまた違うから!!」
「はあ」
オレはフッと大きくため息ついた。
「ため息つくと幸せにげるぞ!! ああもう、お前、この部屋で待ってなさいね? お父さん、話聞いてくるから!」
「幸せはいま行方不明なんで。プラムに絡んでたしつこいやつですし、ココリーネに夢中でプラムを突き飛ばした奴だし。殺しても良いと思うんだけど」
……何か悪い?
「お前……どうしちゃったの? その思考やめなさい!? いい? 大人しくしてるのよ!? お母さん行ってくるからね!?」
「たまにお母さん化するのは何? ……行くなら早く行ってきてよ」
母親なんてどんなもんか実際は知らないけど。アドルフさんは泣きそうな顔して出てった。
チビの頃、最初のインターンで出会った時は眼帯してるし、物静かで怖そうな人なイメージだったんだけどな。よく見ると優しい瞳してるし実際優しいし、気がついたら心開いちゃったんだけど。人たらしめ。最近はいじると面白い。
さて……どうせ、応接室に通す事になるだろ。
応接室で待ってるか。
※※※※※
「……。ブラウニー。おまえ、別室で待ってなさいっていったでしょ!?」
応接室にリンデンを連れてきたアドルフさんが、まだお母さん口調でうざかったからスルーする。
「よぉ、リンデン」
「スルー!? 聞いちゃいねえ!」
おかあさん(父)、うるさい。スルー。
「反抗期だ……」
なんかブツブツ言ってる。
「うわ、師匠! 相変わらず顔が怖いね! いやあ、久しぶりだね! 会いたかった!!」
「開口一番、人の身体的特徴をなじるのが貴族のやり方か」
「ブラウニー! お前も一応もう貴族の子だからね!?」
「表情が怖いのは身体的特徴になるの!? てか顔が怖くなってるの認めるの!?」
「……ツッコミがうまくなったじゃねえか」
めんどくさい。なんとなく知ってる言葉で適当に褒めよう。
ちなみにツッコミが何なのかはオレは知らない。
「ありがとうございます!!!」
「なんなの君ら!? 実は仲良しなの!?」
「はい! とっても!」
「絶対違う」
「……ところで何の用だ。前も散々言ったがオレはお笑いなんて教えてないからな」
「あはは。またまた。その人とコンビ組んでるんでしょ☆見てて楽しい!」
「……」
「あ! ブラウニー、やめなさい、ホント」
後ろ手でダガーを抜こうとしたところ、アドルフさんに本気で止められた。
「えっと、コーヒーしかないんだが、いいですかい、坊っちゃん」
アドルフさんが敬語混じりにリンデンに聞いた。
「ほんと? 僕、コーヒー大好き。でもいいの? ヒースは水が貴重なんじゃない?」
「大丈夫ですよ。錬金アイテムで作ってますから」
「あ、そうか。そういえばヒース家がそういうの作って王都は水で苦労しなくなったんだよね……優秀な錬金術師達が失われたのは……あ、ごめん」
リンデンは口を抑えた。
アドルフさんは穏やかな表情で首を横に振る。
「もう10年以上も前のことですよ」
「で、何しに来たんだ。プラムならいないぞ」
「うん、知ってる。僕、こないだブルボンス公爵家で会ったからね」
がちゃ、とアドルフさんがコーヒーを煎れてたカップを倒しそうになった。
「な……」
プラムに、会っただと……?
「とても、帰りたがってる。師匠のところに。今日はその話をしにきたんだ。聞く気になった?(にっこり)」
オレは力が抜けた。
「……聞かせて、くれ……」
「うん、その為にきたからね」
アドルフさんがコーヒーを運んできた。
彼も、信じられない、といった顔をしている。
「……まず何から話そうかな(コーヒーずず)」
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