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30■ Surprise Attack 02 ■
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「プラム、お前はここにいろ。モチ、ブラウニーを起こしてここに連れてこい」
「みっ」
そういうとアドルフさんとモチは厨房を出て行ってしまい、しばらくすると、寝癖がついたブラウニーが血相かえて厨房に滑り込んできた。
「寝坊した、ごめん」
「ううん、疲れとってほしくて私も起こさなかった。おはよ、ブラウニー」
「おはよ」
ブラウニーが頬にキスしてくれた。こんな時にって思うけども……う、うれしい。なんか新婚さんみたいだ。
私も頬にキスを返した。
私はただ、こういう日常が欲しいだけなんだけどな……。
「みっみっみ」
ブラウニーの頭でマロとモチがはねてる。
「マロもおはよ。モチ、ブラウニー連れてきてくれてありがとう」
「みー」
モチが私の肩に乗ってきた。
可愛い…。私は頬ずりした。
「入るぞ」
アドルフさんも、急いだ感じで戻ってきた。
「おかえりなさい」
「アドルフさん、おはよう」
「おう、ただいま。ブラウニーおはよう」
アドルフさんは一通の手紙を手に持っている。
すごく綺麗な封筒で、赤い封蝋が施されている。
そしてアドルフさんは、ついさっきまでタンクトップ姿だったのに、既に昨日までと同じ装備になってる。整えるのはや。
「プラム、ブルボンス公爵家の令嬢からお前に手紙だ……郵便屋が返事しないと帰らないって言ってるから、取り急ぎ読んでくれ。というか郵便屋がなんかあやしい。とりあえず応接室に上手いこと言って閉じ込めては来たが、急いで逃げる準備をしたほうがいいかもしれん」
アドルフさんが封筒をビリっと破って中身を渡してくれた。
「え、郵便屋さんが? うわ……何が書いてあるのかな……怖」
ブラウニーが深い溜め息をついた。
「……手紙だけ見たら、オレ、荷物かき集めてくる。アドルフさん、こいつ少しの間頼んでいいですか。最悪マロで追いかけますから危なそうなら先に逃げてください」
「んー、とりあえず手紙だけはササっと読んで方向性を決めよう」
「い、急いで読むね……読みたくないけど」
私は手紙を広げて読んだ。
『拝啓 プラム=ヒース様』
『初春の候、プラム様におかれましては、
ますますご健勝の事とお喜び申し上げます。
先日、教会へお伺いしたところ、
すでにご卒業されたとの事でびっくり致しました。
まだまだお話したいことがありましたのに、
どちらへ旅立たれたのかと心配しておりました。
思いかけず役所への貴女様の提出書類を目にしましたので、
取り急ぎお手紙したためました。
提出書類の日付と、貴女様がご卒業された日にちが、
異なっているように思いますが
わたくしの勘違いでしょうか?』
「うわ……書類提出したの昨日よね!?」 私驚愕。どうやって調べた。
「いやみったらしい脅しだな……」 ブラウニーから不穏な空気。
「情報収集力すげーな。さすが公爵家……」 アドルフさんは言葉だけは感心している。
『つきましては、公爵家にいらしていただけないでしょうか?
珍しい茶菓子などご用意して楽しみにお待ちしております。
もしいらっしゃってくださらないなら、妙な噂が流れるかもしれませんね
ヒース領地に、桃色の髪の聖女が隠れている、などと。
それではお目にかかれますこと、楽しみにしております。
我が公爵家の精鋭が出張がすることがありませんよう……
では、ヒース男爵家の今年一年のご多幸をお祈りいたしております。 敬具
※追伸 ご招待はプラム様のみとなります。
他の方の同行はご遠慮くださいませ』
「うああああ。人の心が感じられない…!」 私涙目。
「クソが。プラムを拉致る気満々じゃねえか、誰が行かせるか!」 スパダリ神は激おこ。
「この子なんなの……?公爵令嬢ってこんな手紙の書き方すんの? 怖…」 アドルフさんドン引き。
「ココリーネ嬢、こんな人だったっけ、もっと純粋で可愛らしい感じの……」
「これが本性だろ」
「公爵家に逆らえる強カードはねぇな……」
「……そうなっても、プラムを行かせるわけにはいかない」
ブラウニーが手紙を睨んでいる。
「……うーん、外国へ逃げるか? いや、このぶんだとそれも読まれてるだろうな…」
アドルフさんが眉間をもんだ。
また二人を悩ませてる。なんとか平和的解決はないのかしら……。
「だいたい、話しはどうせ平行線になるだろうし。彼女の希望は私が何したって力になれないと思うんだけどな……」
「えっと、たしか第一王子と結婚したくないんだっけか」
アドルフさんの問いに私は頷いた。
「私が彼女と同じ学院にいくっていうのが落とし所な気がするけど……彼女は多分私に第一王子と最終的に結婚してもらいたいんだと思……」
「ふざけるな……」
ブラウニーが地の底から出るような声で言った。
やっと今日から日常生活に入れると思ってたのに……。
ブラウニーもアドルフさんもすごく疲れてるはずだ。
よし、ここは私が動かなきゃ。
「多分殺されるわけでもないし…私、行って今度こそ断りを……」
ドゴオオオオオオオン!!
――その時、エントランスのほうで何かが爆発する音がした
「みっ」
そういうとアドルフさんとモチは厨房を出て行ってしまい、しばらくすると、寝癖がついたブラウニーが血相かえて厨房に滑り込んできた。
「寝坊した、ごめん」
「ううん、疲れとってほしくて私も起こさなかった。おはよ、ブラウニー」
「おはよ」
ブラウニーが頬にキスしてくれた。こんな時にって思うけども……う、うれしい。なんか新婚さんみたいだ。
私も頬にキスを返した。
私はただ、こういう日常が欲しいだけなんだけどな……。
「みっみっみ」
ブラウニーの頭でマロとモチがはねてる。
「マロもおはよ。モチ、ブラウニー連れてきてくれてありがとう」
「みー」
モチが私の肩に乗ってきた。
可愛い…。私は頬ずりした。
「入るぞ」
アドルフさんも、急いだ感じで戻ってきた。
「おかえりなさい」
「アドルフさん、おはよう」
「おう、ただいま。ブラウニーおはよう」
アドルフさんは一通の手紙を手に持っている。
すごく綺麗な封筒で、赤い封蝋が施されている。
そしてアドルフさんは、ついさっきまでタンクトップ姿だったのに、既に昨日までと同じ装備になってる。整えるのはや。
「プラム、ブルボンス公爵家の令嬢からお前に手紙だ……郵便屋が返事しないと帰らないって言ってるから、取り急ぎ読んでくれ。というか郵便屋がなんかあやしい。とりあえず応接室に上手いこと言って閉じ込めては来たが、急いで逃げる準備をしたほうがいいかもしれん」
アドルフさんが封筒をビリっと破って中身を渡してくれた。
「え、郵便屋さんが? うわ……何が書いてあるのかな……怖」
ブラウニーが深い溜め息をついた。
「……手紙だけ見たら、オレ、荷物かき集めてくる。アドルフさん、こいつ少しの間頼んでいいですか。最悪マロで追いかけますから危なそうなら先に逃げてください」
「んー、とりあえず手紙だけはササっと読んで方向性を決めよう」
「い、急いで読むね……読みたくないけど」
私は手紙を広げて読んだ。
『拝啓 プラム=ヒース様』
『初春の候、プラム様におかれましては、
ますますご健勝の事とお喜び申し上げます。
先日、教会へお伺いしたところ、
すでにご卒業されたとの事でびっくり致しました。
まだまだお話したいことがありましたのに、
どちらへ旅立たれたのかと心配しておりました。
思いかけず役所への貴女様の提出書類を目にしましたので、
取り急ぎお手紙したためました。
提出書類の日付と、貴女様がご卒業された日にちが、
異なっているように思いますが
わたくしの勘違いでしょうか?』
「うわ……書類提出したの昨日よね!?」 私驚愕。どうやって調べた。
「いやみったらしい脅しだな……」 ブラウニーから不穏な空気。
「情報収集力すげーな。さすが公爵家……」 アドルフさんは言葉だけは感心している。
『つきましては、公爵家にいらしていただけないでしょうか?
珍しい茶菓子などご用意して楽しみにお待ちしております。
もしいらっしゃってくださらないなら、妙な噂が流れるかもしれませんね
ヒース領地に、桃色の髪の聖女が隠れている、などと。
それではお目にかかれますこと、楽しみにしております。
我が公爵家の精鋭が出張がすることがありませんよう……
では、ヒース男爵家の今年一年のご多幸をお祈りいたしております。 敬具
※追伸 ご招待はプラム様のみとなります。
他の方の同行はご遠慮くださいませ』
「うああああ。人の心が感じられない…!」 私涙目。
「クソが。プラムを拉致る気満々じゃねえか、誰が行かせるか!」 スパダリ神は激おこ。
「この子なんなの……?公爵令嬢ってこんな手紙の書き方すんの? 怖…」 アドルフさんドン引き。
「ココリーネ嬢、こんな人だったっけ、もっと純粋で可愛らしい感じの……」
「これが本性だろ」
「公爵家に逆らえる強カードはねぇな……」
「……そうなっても、プラムを行かせるわけにはいかない」
ブラウニーが手紙を睨んでいる。
「……うーん、外国へ逃げるか? いや、このぶんだとそれも読まれてるだろうな…」
アドルフさんが眉間をもんだ。
また二人を悩ませてる。なんとか平和的解決はないのかしら……。
「だいたい、話しはどうせ平行線になるだろうし。彼女の希望は私が何したって力になれないと思うんだけどな……」
「えっと、たしか第一王子と結婚したくないんだっけか」
アドルフさんの問いに私は頷いた。
「私が彼女と同じ学院にいくっていうのが落とし所な気がするけど……彼女は多分私に第一王子と最終的に結婚してもらいたいんだと思……」
「ふざけるな……」
ブラウニーが地の底から出るような声で言った。
やっと今日から日常生活に入れると思ってたのに……。
ブラウニーもアドルフさんもすごく疲れてるはずだ。
よし、ここは私が動かなきゃ。
「多分殺されるわけでもないし…私、行って今度こそ断りを……」
ドゴオオオオオオオン!!
――その時、エントランスのほうで何かが爆発する音がした
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