25 / 149
25 ■ A new chapter 02 ■
しおりを挟む
王都『エレウシス』の城下町『ホワイトバーチ』に着いた。………人多っ!
そして街行く人が、私の髪を振り返りながら見てくる。
……でも、以前のように、話しかけられたりはしなくなった。
アミュレットの力ありがたい。
ブラウニーとアドルフさんに挟まれて歩いてるのもあると思うけど。
役所で申請して待つこと30分程、最初の担当者とは違う……多分偉い人がでてきて、応接室へどうぞ、と連れて行かれた。
制服に身を包んだ三角メガネの女史は言った。
「あのですね。ご存知かと思いますが、聖属性というのは非常に希少でして、色々と国に貢献していただきたいという事で、非常に手厚い援助が用意されておりまして、その代わり」
「断る」
アドルフさんが役人さんが喋り終わる前に一刀両断した。
「いえ、しかし、王立の学院など通えたり」
「いらん。うちの子はオレが育てる。オレは教師の資格も持ってる。必要ない」
「しかし、しかしですよ? 聖属性のお子さんは聖属性の先生に」
「うちの養子の娘はそのうちの養子の息子と結婚してうちの家業を継ぐからオレが教えれば問題ない」
聖属性の先生か……なんとなくエセ神父が頭に浮かんだ。
一応アイツも回復魔法とかある程度はまともな魔法を教えてくれてたなぁ。
ケイリー神父様の情報を抜き取って教えてたんだろうけど。
「いえいえしかし、こちらの検査結果……プラムさんは魅了の他に、強い自己自動回復と瘴気無効もお持ちですし……その他にも今回ノイズで読み取れなかった能力がお有りのようです。……それは国家の損失といいますか」
瘴気で全然平気だったのはそのせいか……。
「レディ……オレの領地、ヒース、知ってますよね? 国家が何もしてくれなくて滅びたのに……神殿も何もしてくれなくて、焼け野原っすよ……それなのに!」
アドルフさんが悔しそうに机をドン!、とした。演技入ってますね~。
「ちょっとお父さん落ち着いてください」
「国は……オレから後継者まで奪うってのか……?」
涙ぐんでる。絶対嘘泣きだと思うんだけど、どうやって涙出した。
ブラウニーはつまらなさそうに見ている。
「ちなみにこれ見てくださいよ」
アドルフさんは懐からなにやらカードのような物を取り出した。
小さな文字で長々とかいてある。
「……あっ、これは。王家の紋章と……印も本物、ですね」
なんだろう?
あとで教えてもらったけど、王家と神殿からの命令を断っても罪に問われない、という証明書らしい。
領地が滅びた時に、国から頂いた補償の一つらしい。
なにそれすごい。
「ふぅ……こんなものがあるのでしたら、しょうがないですね。うーん……わかりました。
……ただ、魅了のパッシブにつきましては、アミュレットが外れたら意味がないので、魔法研究所へ行って封印処理は行ってください。この後すぐに。書類はこちらに用意しておきましたのであちらで提出してください」
ふ、封印!まあ別になくなっても困らないからいいけど……。
「でも、もしお嬢さんが、聖女となった場合……国家への貢献は求められると思いますよ?
援助受けといたほうがお得かと思いますけどねぇ」
「聖属性ってだけでも珍しいのに、聖女なんて夢物語でしょ」
アドルフさんが書類まとめてトントンする。
……そういえば、聖女の条件ってなんなんだろう。
さっきも魔力量を測られてびっくりされたけど、聖女だ!とは言われなかった。
やっぱり『絶対圏』なのかな……?
いやでもそれだと今の聖女様も『絶対圏』を使えるはず。
「それが、最近王都から離れた田舎で大きな聖属性の反応が……あら? このお嬢さんの出身地……」
ぎくっ。
ブラウニーが、私の手をぎゅっと握った。……ああ、ごめん。反応しちゃだめね。
「……へえ? 最近って?」
アドルフさんは冷静に世間話スタイルのままだ。
「あ、いえ。つい5日程前ですけど。こちらに戻ってこられたのが先月半ば、ということですので、ちょっと無理がある話でしたね」
……ふぅ。
アドルフさんは、書類を向こうで提出したときに、こんなこともあろうかと、日付を細工したって言ってた。
「向こうの職員がよそ見した隙にチョチョイトナー」
なんて手回しの良い……。
とはいえ、懸念がある。
ココリーネ嬢だ。
彼女が何か騒いだらバレてしまうかも……。
転生者としての知識もあるし、さらに公爵令嬢だ。
立場的にこっちが弱いよね……。
「うーん、やはりもったいないですねぇ。この魔力量、パッシブだけでも本来なら即座に王宮に連絡するレベルなんですよ……聖女教育、ものの試しに受けてみません?」
ううん、粘りますね、三角メガネ女史。
そこでブラウニーが口を開いた。
「俺たち、来年12歳になったらすぐに結婚する予定ですので。聖女は無理ですね……」
三角メガネ女史の前で、私の頬を包むブラウニー。なんていうか目つきが色っぽい。
そして今にもキスしそう……。
ちょ、ちょ……?
なにその目つき、初めて見ましたよ? 演技? 演技なの? 演技だよね?! ぶらうにーい!?
「あなたたち、まさか既に……法律違反ですよ?」
女史がゴクリ、と喉をならした。
え、何。
アドルフさんが口をポカンと開けて目を点にしている。
「……法律は、『子供ができなければいい』ってだけですよね? ……そこを守れば本人たちの自由では?」
そう言ってブラウニーは私の頬にちゅっとした。
ふぁーーーーー!?
人前だよ!!!
「オレの言いたいこと、わかりますよね……?」
「その若さでなんて爛れた関係を……ふ、不潔ですこと! ……う、まあ。……そうですか、では無理ですね……聖女、残念です」
た、ただれたかんけい……!? ふけつ……!?
三角メガネ女史は唇をワナワナと震わせて、私達を汚いものを見るような目で見ている!
え、ええええ……。
アドルフさんが何やらハッ!、として叫ぶ。
「ブラウニー、てめえ、散々言っただろう! まだ手は出すなと!」
また机をばーん!、と叩いて立ち上がる。
あ、アドルフさん!? ……な、何言ってんの!?
なんなんですか?あなた達!なんの連携取ってんの!?
「ですが、もうすぐオレの嫁ですよね? なら別にいいじゃないですか。先に味見したって。なあ……? プラム」
ひいいい! 妙に色っぽい表情のブラウニーの唇が非常に耳元に近くてくすぐったい!!!
ブラウニーがこっそり私の後頭部を掴んで首を縦に振らせる。コクコク。
!!!!!!??????(涙目)
「お、お父さんも息子さんも落ち着いて!!! ……えー、とりあえずわかりました、聖女ぺけ、と」
聖女……ぺけ!?
書類の聖女か否かみたいな欄にバッテンがつけられる。
なんだろう、私、自分の人としての尊厳みたいなものをロストした気がする!
「レディ。もういいか? ちょっとこいつ説教しないと気がすまないわ」
アドルフさんが私から引き剥がしブラウニーの首根っこを掴んで椅子から立ち上がる。
舌打ちするブラウニー。ぶ、ぶらうにい……。
「あ、はい。お、お引取いただいて結構です。ですが暴力はおよしくださいね! 虐待ですからね!!
そ、それと、くっ、くれぐれも15歳までは……その、ご遠慮くださいね! 法律ですから!!」
さすがにだいだいなんの事かは、わかるけど、なんでこんな事に!?
「おー、暴力はしねーよ、わかったよ。世話んなったな、レディ。おら、行くぞお前ら!」
アドルフさんはブラウニーを掴んだままズカズカ応接室を出ていく。
私はその後をパタパタ着いて出ていった。
そして街行く人が、私の髪を振り返りながら見てくる。
……でも、以前のように、話しかけられたりはしなくなった。
アミュレットの力ありがたい。
ブラウニーとアドルフさんに挟まれて歩いてるのもあると思うけど。
役所で申請して待つこと30分程、最初の担当者とは違う……多分偉い人がでてきて、応接室へどうぞ、と連れて行かれた。
制服に身を包んだ三角メガネの女史は言った。
「あのですね。ご存知かと思いますが、聖属性というのは非常に希少でして、色々と国に貢献していただきたいという事で、非常に手厚い援助が用意されておりまして、その代わり」
「断る」
アドルフさんが役人さんが喋り終わる前に一刀両断した。
「いえ、しかし、王立の学院など通えたり」
「いらん。うちの子はオレが育てる。オレは教師の資格も持ってる。必要ない」
「しかし、しかしですよ? 聖属性のお子さんは聖属性の先生に」
「うちの養子の娘はそのうちの養子の息子と結婚してうちの家業を継ぐからオレが教えれば問題ない」
聖属性の先生か……なんとなくエセ神父が頭に浮かんだ。
一応アイツも回復魔法とかある程度はまともな魔法を教えてくれてたなぁ。
ケイリー神父様の情報を抜き取って教えてたんだろうけど。
「いえいえしかし、こちらの検査結果……プラムさんは魅了の他に、強い自己自動回復と瘴気無効もお持ちですし……その他にも今回ノイズで読み取れなかった能力がお有りのようです。……それは国家の損失といいますか」
瘴気で全然平気だったのはそのせいか……。
「レディ……オレの領地、ヒース、知ってますよね? 国家が何もしてくれなくて滅びたのに……神殿も何もしてくれなくて、焼け野原っすよ……それなのに!」
アドルフさんが悔しそうに机をドン!、とした。演技入ってますね~。
「ちょっとお父さん落ち着いてください」
「国は……オレから後継者まで奪うってのか……?」
涙ぐんでる。絶対嘘泣きだと思うんだけど、どうやって涙出した。
ブラウニーはつまらなさそうに見ている。
「ちなみにこれ見てくださいよ」
アドルフさんは懐からなにやらカードのような物を取り出した。
小さな文字で長々とかいてある。
「……あっ、これは。王家の紋章と……印も本物、ですね」
なんだろう?
あとで教えてもらったけど、王家と神殿からの命令を断っても罪に問われない、という証明書らしい。
領地が滅びた時に、国から頂いた補償の一つらしい。
なにそれすごい。
「ふぅ……こんなものがあるのでしたら、しょうがないですね。うーん……わかりました。
……ただ、魅了のパッシブにつきましては、アミュレットが外れたら意味がないので、魔法研究所へ行って封印処理は行ってください。この後すぐに。書類はこちらに用意しておきましたのであちらで提出してください」
ふ、封印!まあ別になくなっても困らないからいいけど……。
「でも、もしお嬢さんが、聖女となった場合……国家への貢献は求められると思いますよ?
援助受けといたほうがお得かと思いますけどねぇ」
「聖属性ってだけでも珍しいのに、聖女なんて夢物語でしょ」
アドルフさんが書類まとめてトントンする。
……そういえば、聖女の条件ってなんなんだろう。
さっきも魔力量を測られてびっくりされたけど、聖女だ!とは言われなかった。
やっぱり『絶対圏』なのかな……?
いやでもそれだと今の聖女様も『絶対圏』を使えるはず。
「それが、最近王都から離れた田舎で大きな聖属性の反応が……あら? このお嬢さんの出身地……」
ぎくっ。
ブラウニーが、私の手をぎゅっと握った。……ああ、ごめん。反応しちゃだめね。
「……へえ? 最近って?」
アドルフさんは冷静に世間話スタイルのままだ。
「あ、いえ。つい5日程前ですけど。こちらに戻ってこられたのが先月半ば、ということですので、ちょっと無理がある話でしたね」
……ふぅ。
アドルフさんは、書類を向こうで提出したときに、こんなこともあろうかと、日付を細工したって言ってた。
「向こうの職員がよそ見した隙にチョチョイトナー」
なんて手回しの良い……。
とはいえ、懸念がある。
ココリーネ嬢だ。
彼女が何か騒いだらバレてしまうかも……。
転生者としての知識もあるし、さらに公爵令嬢だ。
立場的にこっちが弱いよね……。
「うーん、やはりもったいないですねぇ。この魔力量、パッシブだけでも本来なら即座に王宮に連絡するレベルなんですよ……聖女教育、ものの試しに受けてみません?」
ううん、粘りますね、三角メガネ女史。
そこでブラウニーが口を開いた。
「俺たち、来年12歳になったらすぐに結婚する予定ですので。聖女は無理ですね……」
三角メガネ女史の前で、私の頬を包むブラウニー。なんていうか目つきが色っぽい。
そして今にもキスしそう……。
ちょ、ちょ……?
なにその目つき、初めて見ましたよ? 演技? 演技なの? 演技だよね?! ぶらうにーい!?
「あなたたち、まさか既に……法律違反ですよ?」
女史がゴクリ、と喉をならした。
え、何。
アドルフさんが口をポカンと開けて目を点にしている。
「……法律は、『子供ができなければいい』ってだけですよね? ……そこを守れば本人たちの自由では?」
そう言ってブラウニーは私の頬にちゅっとした。
ふぁーーーーー!?
人前だよ!!!
「オレの言いたいこと、わかりますよね……?」
「その若さでなんて爛れた関係を……ふ、不潔ですこと! ……う、まあ。……そうですか、では無理ですね……聖女、残念です」
た、ただれたかんけい……!? ふけつ……!?
三角メガネ女史は唇をワナワナと震わせて、私達を汚いものを見るような目で見ている!
え、ええええ……。
アドルフさんが何やらハッ!、として叫ぶ。
「ブラウニー、てめえ、散々言っただろう! まだ手は出すなと!」
また机をばーん!、と叩いて立ち上がる。
あ、アドルフさん!? ……な、何言ってんの!?
なんなんですか?あなた達!なんの連携取ってんの!?
「ですが、もうすぐオレの嫁ですよね? なら別にいいじゃないですか。先に味見したって。なあ……? プラム」
ひいいい! 妙に色っぽい表情のブラウニーの唇が非常に耳元に近くてくすぐったい!!!
ブラウニーがこっそり私の後頭部を掴んで首を縦に振らせる。コクコク。
!!!!!!??????(涙目)
「お、お父さんも息子さんも落ち着いて!!! ……えー、とりあえずわかりました、聖女ぺけ、と」
聖女……ぺけ!?
書類の聖女か否かみたいな欄にバッテンがつけられる。
なんだろう、私、自分の人としての尊厳みたいなものをロストした気がする!
「レディ。もういいか? ちょっとこいつ説教しないと気がすまないわ」
アドルフさんが私から引き剥がしブラウニーの首根っこを掴んで椅子から立ち上がる。
舌打ちするブラウニー。ぶ、ぶらうにい……。
「あ、はい。お、お引取いただいて結構です。ですが暴力はおよしくださいね! 虐待ですからね!!
そ、それと、くっ、くれぐれも15歳までは……その、ご遠慮くださいね! 法律ですから!!」
さすがにだいだいなんの事かは、わかるけど、なんでこんな事に!?
「おー、暴力はしねーよ、わかったよ。世話んなったな、レディ。おら、行くぞお前ら!」
アドルフさんはブラウニーを掴んだままズカズカ応接室を出ていく。
私はその後をパタパタ着いて出ていった。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜
まほりろ
恋愛
ムーンライトノベルズで日間総合1位、週間総合2位になった作品です。
【完結】「ディアーナ・フォークト! 貴様との婚約を破棄する!!」見目麗しい第二王子にそう言い渡されたとき、ディアーナは騎士団長の子息に取り押さえられ膝をついていた。王子の側近により読み上げられるディアーナの罪状。第二王子の腕の中で幸せそうに微笑むヒロインのユリア。悪役令嬢のディアーナはユリアに斬りかかり、義理の兄で第二王子の近衛隊のフリードに斬り殺される。
三日月杏奈は漫画好きの普通の女の子、バナナの皮で滑って転んで死んだ。享年二十歳。
目を覚ました杏奈は少女漫画「クリンゲル学園の天使」悪役令嬢ディアーナ・フォークト転生していた。破滅フラグを壊す為に義理の兄と仲良くしようとしたら溺愛されました。
私の事を大切にしてくれるお義兄様と仲良く暮らします。王子殿下私のことは放っておいてください。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】没落令嬢オリビアの日常
胡暖
恋愛
没落令嬢オリビアは、その勝ち気な性格とあまり笑わない態度から、職場で「気位ばかり高い嫁き遅れ」と陰口を叩かれていた。しかし、そんなことは気にしてられない。家は貧しくとも心は誇り高く!
それなのに、ある時身に覚えのない罪を擦り付けられ、啖呵をきって職場をやめることに。
職業相談所に相談したら眉唾ものの美味しい職場を紹介された。
怪しいけれど背に腹は変えられぬ。向かった先にいたのは、学園時代の後輩アルフレッド。
いつもこちらを馬鹿にするようなことしか言わない彼が雇い主?どうしよう…!
喧嘩っ早い没落令嬢が、年下の雇い主の手のひらの上でころころ転がされ溺愛されるお話です。
※婚約者編、完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる