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22 ■ Happy Paradise Lost 02 ■
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私達は飛び出し、ブラウニーは私の手を取ると、走るスピードを上げた。
わわわ。雪積もってるのに速い!!
「魔力変質して付いてこいよ。むしろオレより早く走れるならそうしろ」
「多分まだそういうの無理……ってどこ行けばいいんだっけ」
「そっか、行き先……こっちだ」
ブラウニーに連れられて、街へ行く道を外れた林を走り抜けていると、馬車や甲冑の音が聞こえた。
見ると、立派な鎧と、きらびやかな馬車の一行だった。観測所からの使者だ!
ブラウニーは私の口を塞いで、木の陰に身をひそめた。
「んっ」
え、うそ。
ここまで早かったの?
「教会に向かってるな」
――息を潜める。
「……!」
馬車が通り抜けた。馬車の中に観測所の人っぽい制服の人が数人と……
ココリーネ嬢!?
「んん」
ブラウニーが耳元で囁く。
「……こら、声だすなよ」
「ん……」
ブラウニーわかってるな。ブラウニーが口抑えてなかったら声出しちゃってたかも……。
……ひょっとして、ココリーネ嬢が通報した?
一行が遠ざかると、ブラウニーが手を放した。
「あの公爵令嬢、通報しやがったな……リンデンはいなかったな」
「……ふう。そういえば口止めのお願いとかしてなかったね。……聞いてくれなかったかもだけど」
「やっかいな交換条件だされたかもしれないから、しなくてよかった。幸い今、オレ達は逃げ出せたしな」
「さ、行くぞ。教会にはちょっと迷惑かけてしまいそうだが」
「だね。家探しぐらいはされるかもね」
「よし、行くぞ」
ブラウニーは再び私の手をとって走った。
しばらく走ると約束の丘が見えてきた。
「こっちだ」
もう少しで林を抜けると思った時、アドルフさんの声がした。
見ると、小さな洞窟があって、その中に姿が見えた。
「よしよし、ちゃんとすぐ来たな」
「アドルフさん、さっき使者が教会へ」
ブラウニーが報告する。
「ああ。家探しした後、周辺探索しはじめるだろうな。……プラム、魔法は使うなよ。魔法感知のプロ達が来てるんだ」
「わ、わかりました」
き……緊張する。
「よし、今から急いで回り道して王都方面に向かう。ほら、歩くぞー。あっちの森に入っちまえば視界が 悪いから、目立つことしなければ見つからん。そしたら夜中までは進むぞ。寝不足覚悟しろよー」
アドルフさんはとっとと歩き初めた。
「えっ、王都!?」
ブラウニーも私もなんでって顔した。
「ほらほら、歩きながらしゃべるんだぞー。確かに、王都からの使者から逃げるのになんで王都方面? ってなるよな。裏切ったわけじゃないから安心しろ。あとあくまで王都方面な。王都じゃないぞ。まあ、王都も行く必要あるんだが。……えーっと何から話すかな……。そうだな、まず目的地。オレの家にいく。オレん家」
「え、ご実家ってことですか?」
「実家……うん、まあそうだな。そこのレインツリーの街で住んでた家よか設備は整ってるからオレも仕事がやりやすいし、家は広いほうだから、お前らにも各自部屋やれるし。久しぶりに帰るから掃除は頼むぜー」
「はい、それはもちろんやりますよ」
おおー自分の部屋。……いや、ブラウニーと同室でもいいんですけry
「それでな、ついさっきお前ら二人共、オレの養子にしてきた。ホントは書類上婚姻させてから引き取りたかったんだが、おまえらまだ結婚できないしな。結婚する時に書類手続き面倒になるな」
「え」
二人で声が揃った。
「勝手なことしてすまない、だが観測所に見つかって里子みたいな軽い契約なら、それこそ役人たちの好きなようにされるからな」
「……」
「……」
「え、なんで無言おまえら。良かれと思ってやったんだが……やりすぎだったか?」
アドルフさんが焦り気味の声で言った。
ううん、そんなじゃない。
そこまで気を回してくれて嬉しい、嬉しいんだけど……
「どうしてそこまでオレ達にしてくれるんですか……。オレなんてただのインターンじゃないですか」
「うん、私だって、まだちょっとしか会ったことない……」
「……ああ、一応喜んでくれてるのか?」
私達は同時に頷いた。
特にブラウニーは嬉しそうだ。
「成り行きもあるけどな。ブラウニーは仕事の助手としても、あ~、ここ3年ほどか、すごい優秀で助かってたから手放したくなかったし、ようはお前のこと気に入ってるんだよ。もともと卒業までにオレん家への引取の相談しようとは思ってたし。なんか気が合うしな」
アドルフさんは足を止めて言った。
ブラウニーは頬を染めて照れくさそうに言った。
「そ、そうですか……ありがとうございます」
「プラムは確かに会ったばかりだけど、ブラウニーからちょくちょく話は聞いてたし……まあ、こないだのエセ神父の件でなんだか放っておけなくなってなぁ。あとブラウニーの嫁だし。家族になるのに相性の悪さ感じなかったしな。……だいいち可愛い娘ができるってのは悪くない」
嫁。
あ、そうか、私は将来ブラウニーのおよめさんなんだ……フフフフフ。
「……この娘はほんとにブラウニーが好きだな。ブラウニーの嫁って言った後の話聞いてないだろ……」
「やだ、そんな事ないですよ~。もっと言ってください、誰が、誰の嫁ですって」
「……お前ら静かにしろよ!? 逃亡中だぞ!」
……耳まで真っ赤になったブラウニーが一番大きな声だった。
「しー! しー! ……まあ、オレも拾われっ子だったしなー。なんか放っておけないってやつだな」
「え、そうなんですか?」
「オレ迷い子だったのよ。記憶なくしてフラフラしてたところ、拾われたんだ。で、親も見つからなかったしそのまま養子になった」
「記憶がない?」
ブラウニーが初耳、といった感じで聞き返した。
「そ。オレ、お前らの歳くらいかなぁ。そのくらいまでの記憶ないのよ。で拾われた家が錬金術を家業にしてる家だったもんで、そのまま家業継いだって感じか。ちょうど後継者探してたみたいだったしな」
「へえ……結構波乱万丈に生きてきたんですね」……とブラウニー。
「まあ、語るとそう感じるかもしれないけども。淡々としたもんよ? そんなわけでお前らはこれからブラウニー=ヒースとプラム=ヒースだ」
うお、ファミリーネームキター!
孤児だったから名字なかったのよ、私達。感動。
そのうち自分で考えて申請しなきゃって思ってたけど、それはファミリーネームって感じしないから……こうやって名前をもらえるって……なんか嬉しい。
「わあー、私達に名字ができたよ!ブラウニー」
「なんかくすぐったいな……慣れるのに時間がかかりそうだ。……そういえば、掃除してくれって言ってましたけど、アドルフさん、ご家族は?」
「ああ、死んだ。オレ一人暮らし。あと、うちの土地、ほぼ荒野だから貧しいからな?
オレの家の周りだけちょい森になってるけど。オレががんばって復興したから。
領民もいないし。滅びたせいで税金免除されてるのが救いだ。王都が近いのが救いでなー。買い出しは王都行くことになるから」
ああ、亡くなられたんだ……ん? 領民? 滅びた???
ブラウニーがピン、ときたって顔をした。何?何?
「あの、アドルフさん。貴方の故郷はなんて名前ですか」
「ん? お前らの名字だぞ。ヒース領。王都の傍にありながら魔王に滅ぼされ荒野と化した土地」
「まおうに」
「ほろぼされた」
魔王悪いことしてた!
「末端男爵家だけどな。お前たちは貴族っ子になったんだぞ☆」
「きぞく」
「吹けば跳ぶような男爵家だけどな。王家と神殿がうちの土地滅ぼされた時に援軍とかよこさなかったり対応が悪かったせいで負い目あんのよ。そういう時のために税金やらお布施を収めてたのもあるのになぁ。
そんなの他の領地にもモロバレだし、うちを無下に扱えないんだよ。そんな事をしたら他の領地の顰蹙と反発がねぇ。だから」
「プラムの事でなにか言われても、うちの籍入ってれば、酷いことにはならんと思う。どこの機関も聖属性囲い込みたい欲が丸出しだからなー。お前らも隠れて逃げてを繰り返すより、この方法に乗ってみないか? いやならオレから逃げるといいさ。オレは追わないから」
頬をかきながら彼は苦笑した。
「アドルフ、さん……」
「アドルフさん、お人好しすぎですよ……」
「お人好しかねぇ。そうでもないぞ、仕事の助手もしてもらうし家事も分担してもらうぞ」
「……もちろんです」
ブラウニーと私が笑顔で答える。
わわわ。雪積もってるのに速い!!
「魔力変質して付いてこいよ。むしろオレより早く走れるならそうしろ」
「多分まだそういうの無理……ってどこ行けばいいんだっけ」
「そっか、行き先……こっちだ」
ブラウニーに連れられて、街へ行く道を外れた林を走り抜けていると、馬車や甲冑の音が聞こえた。
見ると、立派な鎧と、きらびやかな馬車の一行だった。観測所からの使者だ!
ブラウニーは私の口を塞いで、木の陰に身をひそめた。
「んっ」
え、うそ。
ここまで早かったの?
「教会に向かってるな」
――息を潜める。
「……!」
馬車が通り抜けた。馬車の中に観測所の人っぽい制服の人が数人と……
ココリーネ嬢!?
「んん」
ブラウニーが耳元で囁く。
「……こら、声だすなよ」
「ん……」
ブラウニーわかってるな。ブラウニーが口抑えてなかったら声出しちゃってたかも……。
……ひょっとして、ココリーネ嬢が通報した?
一行が遠ざかると、ブラウニーが手を放した。
「あの公爵令嬢、通報しやがったな……リンデンはいなかったな」
「……ふう。そういえば口止めのお願いとかしてなかったね。……聞いてくれなかったかもだけど」
「やっかいな交換条件だされたかもしれないから、しなくてよかった。幸い今、オレ達は逃げ出せたしな」
「さ、行くぞ。教会にはちょっと迷惑かけてしまいそうだが」
「だね。家探しぐらいはされるかもね」
「よし、行くぞ」
ブラウニーは再び私の手をとって走った。
しばらく走ると約束の丘が見えてきた。
「こっちだ」
もう少しで林を抜けると思った時、アドルフさんの声がした。
見ると、小さな洞窟があって、その中に姿が見えた。
「よしよし、ちゃんとすぐ来たな」
「アドルフさん、さっき使者が教会へ」
ブラウニーが報告する。
「ああ。家探しした後、周辺探索しはじめるだろうな。……プラム、魔法は使うなよ。魔法感知のプロ達が来てるんだ」
「わ、わかりました」
き……緊張する。
「よし、今から急いで回り道して王都方面に向かう。ほら、歩くぞー。あっちの森に入っちまえば視界が 悪いから、目立つことしなければ見つからん。そしたら夜中までは進むぞ。寝不足覚悟しろよー」
アドルフさんはとっとと歩き初めた。
「えっ、王都!?」
ブラウニーも私もなんでって顔した。
「ほらほら、歩きながらしゃべるんだぞー。確かに、王都からの使者から逃げるのになんで王都方面? ってなるよな。裏切ったわけじゃないから安心しろ。あとあくまで王都方面な。王都じゃないぞ。まあ、王都も行く必要あるんだが。……えーっと何から話すかな……。そうだな、まず目的地。オレの家にいく。オレん家」
「え、ご実家ってことですか?」
「実家……うん、まあそうだな。そこのレインツリーの街で住んでた家よか設備は整ってるからオレも仕事がやりやすいし、家は広いほうだから、お前らにも各自部屋やれるし。久しぶりに帰るから掃除は頼むぜー」
「はい、それはもちろんやりますよ」
おおー自分の部屋。……いや、ブラウニーと同室でもいいんですけry
「それでな、ついさっきお前ら二人共、オレの養子にしてきた。ホントは書類上婚姻させてから引き取りたかったんだが、おまえらまだ結婚できないしな。結婚する時に書類手続き面倒になるな」
「え」
二人で声が揃った。
「勝手なことしてすまない、だが観測所に見つかって里子みたいな軽い契約なら、それこそ役人たちの好きなようにされるからな」
「……」
「……」
「え、なんで無言おまえら。良かれと思ってやったんだが……やりすぎだったか?」
アドルフさんが焦り気味の声で言った。
ううん、そんなじゃない。
そこまで気を回してくれて嬉しい、嬉しいんだけど……
「どうしてそこまでオレ達にしてくれるんですか……。オレなんてただのインターンじゃないですか」
「うん、私だって、まだちょっとしか会ったことない……」
「……ああ、一応喜んでくれてるのか?」
私達は同時に頷いた。
特にブラウニーは嬉しそうだ。
「成り行きもあるけどな。ブラウニーは仕事の助手としても、あ~、ここ3年ほどか、すごい優秀で助かってたから手放したくなかったし、ようはお前のこと気に入ってるんだよ。もともと卒業までにオレん家への引取の相談しようとは思ってたし。なんか気が合うしな」
アドルフさんは足を止めて言った。
ブラウニーは頬を染めて照れくさそうに言った。
「そ、そうですか……ありがとうございます」
「プラムは確かに会ったばかりだけど、ブラウニーからちょくちょく話は聞いてたし……まあ、こないだのエセ神父の件でなんだか放っておけなくなってなぁ。あとブラウニーの嫁だし。家族になるのに相性の悪さ感じなかったしな。……だいいち可愛い娘ができるってのは悪くない」
嫁。
あ、そうか、私は将来ブラウニーのおよめさんなんだ……フフフフフ。
「……この娘はほんとにブラウニーが好きだな。ブラウニーの嫁って言った後の話聞いてないだろ……」
「やだ、そんな事ないですよ~。もっと言ってください、誰が、誰の嫁ですって」
「……お前ら静かにしろよ!? 逃亡中だぞ!」
……耳まで真っ赤になったブラウニーが一番大きな声だった。
「しー! しー! ……まあ、オレも拾われっ子だったしなー。なんか放っておけないってやつだな」
「え、そうなんですか?」
「オレ迷い子だったのよ。記憶なくしてフラフラしてたところ、拾われたんだ。で、親も見つからなかったしそのまま養子になった」
「記憶がない?」
ブラウニーが初耳、といった感じで聞き返した。
「そ。オレ、お前らの歳くらいかなぁ。そのくらいまでの記憶ないのよ。で拾われた家が錬金術を家業にしてる家だったもんで、そのまま家業継いだって感じか。ちょうど後継者探してたみたいだったしな」
「へえ……結構波乱万丈に生きてきたんですね」……とブラウニー。
「まあ、語るとそう感じるかもしれないけども。淡々としたもんよ? そんなわけでお前らはこれからブラウニー=ヒースとプラム=ヒースだ」
うお、ファミリーネームキター!
孤児だったから名字なかったのよ、私達。感動。
そのうち自分で考えて申請しなきゃって思ってたけど、それはファミリーネームって感じしないから……こうやって名前をもらえるって……なんか嬉しい。
「わあー、私達に名字ができたよ!ブラウニー」
「なんかくすぐったいな……慣れるのに時間がかかりそうだ。……そういえば、掃除してくれって言ってましたけど、アドルフさん、ご家族は?」
「ああ、死んだ。オレ一人暮らし。あと、うちの土地、ほぼ荒野だから貧しいからな?
オレの家の周りだけちょい森になってるけど。オレががんばって復興したから。
領民もいないし。滅びたせいで税金免除されてるのが救いだ。王都が近いのが救いでなー。買い出しは王都行くことになるから」
ああ、亡くなられたんだ……ん? 領民? 滅びた???
ブラウニーがピン、ときたって顔をした。何?何?
「あの、アドルフさん。貴方の故郷はなんて名前ですか」
「ん? お前らの名字だぞ。ヒース領。王都の傍にありながら魔王に滅ぼされ荒野と化した土地」
「まおうに」
「ほろぼされた」
魔王悪いことしてた!
「末端男爵家だけどな。お前たちは貴族っ子になったんだぞ☆」
「きぞく」
「吹けば跳ぶような男爵家だけどな。王家と神殿がうちの土地滅ぼされた時に援軍とかよこさなかったり対応が悪かったせいで負い目あんのよ。そういう時のために税金やらお布施を収めてたのもあるのになぁ。
そんなの他の領地にもモロバレだし、うちを無下に扱えないんだよ。そんな事をしたら他の領地の顰蹙と反発がねぇ。だから」
「プラムの事でなにか言われても、うちの籍入ってれば、酷いことにはならんと思う。どこの機関も聖属性囲い込みたい欲が丸出しだからなー。お前らも隠れて逃げてを繰り返すより、この方法に乗ってみないか? いやならオレから逃げるといいさ。オレは追わないから」
頬をかきながら彼は苦笑した。
「アドルフ、さん……」
「アドルフさん、お人好しすぎですよ……」
「お人好しかねぇ。そうでもないぞ、仕事の助手もしてもらうし家事も分担してもらうぞ」
「……もちろんです」
ブラウニーと私が笑顔で答える。
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