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09 ■ Super Darling 01 ■――スーパーダーリン
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「ちょっとそこに座れプラム」
「は、はひ……」
街から帰る途中。
教会まであと半分ってあたりで、さっきから終始無言だったブラウニーがそのように切り出した。
ちょうどあった切り株に腰をおろした私の前に立った彼は、腕組をして見下ろしている……。
なんとなく正座してしまった。
なに? 怒られるの?? なんで? こわいよおお!
「さっきも言ったが、そろそろオレに話してないことが、溜まっているんじゃないか……?」
「いや、その喋ってないというか……喋ってはいけないこともありまし」
「あるんだな」
「はっ!?」
私は口を手で隠してモゴモゴした。
「ぶ、ブラウニーサンにお伝えするには信ぴょう性のないお話というかつまらないお話といいますか……」
「はけ」
ひぃっ。
膝を折って目線を合わせてきた。
目が怖い。
いつもなら距離が近いと超嬉しいんですが、今は恐怖で泣きたいです。
ブラウニーサンに、シスター・イラのことや、さっきのココリーネ嬢の話をまるっと伝えた。
神父様に、転生者のことを口止めされたことも。
「なんだ……くっだらねー……」
「怖い顔して聞き出しておいての感想がそれ!?」
「オレが怒ってたのは、くだらなくても隠し事をされたからだ。運命だのなんだの関連は、さすがにオレももう全部聞く権利あるんじゃないか?」
「結局はくだらないんだ!? ……まあ、確かにそうね。……でも、転生者の話しを口止めされたら、かいつまんで話すのも難しいし、この件ではもう悩まないって約束したから気にしないようにしてたの。
……ブラウニーに変な負担かけたくなかったし」
「それに」
私はスカートを掴んでイジイジした。
「……シスター・イラの話は……なんていうか、ちょっと恥ずかしかったのもあって……。
『ブラウニールート』とか……口にするの、なんか」
わあー、ほんとに恥ずかしいよー!
シスター・イラにとっては私達は物語の中の人間だからそういうの平気で言えるんだよ~。
当事者ブラウニーめ、お前も恥ずかしがるがいい……。
「プッ」
笑った!?
「なんで笑うの? 恥ずかしくない?」
「いや、たしかに恥ずかしいな。でもお前を世界の主人公にしたらたしかにそうなんだろうなって。
言い得て妙っていうか。……オレが主人公ならプラムルートか?」
「……いやあ! 何それ恥ずかしい!」
私は顔を手でおおった。
もうこのあたりで勘弁してほしい。
「なあプラム」
ブラウニーは少し笑った後、私の手をそっと剥がして握った。
「前にも言ったろ、隠してもわかるって。それにオレはお前のこと、どんなくだらない事でも知っておきたい。これからは、話してくれ。口止めされていてもだ。オレにだけは」
まっすぐ見つめてくる瞳はさっきまでと違って、優しかった。
ああ、ブラウニーが私のことを思ってくれてる。
私は嬉しくて、ちょっと涙目になりながら頷いた。
「よし、それじゃあ」
ブラウニーは懐から小さな包みをだして、私に渡した。
「?」
「誕生日プレゼント。さっきお前が令嬢と喋ってる間に買ってきた。一緒に買う約束だったのにごめんな。……でもリンデンにくっつかれながら買ったから大変だったんだぞ。なんか口だしてきてうるさかったし」
いつの間に……。
ふと、リンデンにくっつかれながら迷惑そうな顔でプレゼント選んでる絵面が浮かんだ。
ふふ、面白い。……ちょっと見てみたかったな。
「ううん、ありがとう。選んでもらえて嬉しい! 開けて良い?」
「おう」
包みを開けてみると、四葉のクローバーの髪留めが出てきた。
丸い輪っかの金具部分に髪を通して留めるタイプだ。
「わ、可愛い。でも、私、髪が短いから……留めれるかな」
「大丈夫だ、貸してみろよ」
「うん? ブラウニーが留めてくれるの?」
ブラウニーに直接つけてもらえるとは思わなかった。
そういえばブラウニーは教会で、チビっ娘の髪を結ってやったりとかはしてるんだよね。
器用なんだよなぁ。
パチン、と左耳の横で髪留めがとまる音がした。
「よし、できた。今はオレがやったけど、自分でも留めれるな、これは。短くても大丈夫そうだ」
「……ありがとう。多分留めれるってわかってて買ったんだよね? ブラウニーのそういう所、ほんとすご」
その時、ブラウニーの手が私の髪から顎に降りてきて、彼の顔が近づいてきた。
「……う?」
そのまま唇が重なった。
「……」
一瞬びっくりして離れようとしちゃったんだけど、背中に手を回されて、ブラウニーはそれをさせなかった。
私は頭が真っ白になってしばらくそのまま固まってたんだけど、なんだかだんだん力が抜けてきて、少し彼に寄りかかるように抱きついた。
「……プラム」
唇を離してブラウニーが耳元で囁いた。
「大事なことを言ってなかったんだ、オレ」
「なに?」
「好きだ」
「あ……」
そういえば、言ってもらったことなかった気がする。
信じてたから気にしてなかったけど、実際、その言葉を言ってもらうと、心から溢れてくるなにかがあった。
「言葉にしてなかった。怒って良いぞ」
「あ、いや、いいの!今言ってくれて嬉しいっていうか……私も本当に好き…」
私は泣きながらブラウニーの胸に顔をうずめた。
彼もやんわりと、私を抱きしめてくれた。
ずっとこのままでいたい。
時が止まればいいのに、と思うくらい。
ブラウニーの腕の中でそんな幸せを噛み締めていたのに。
――突如、『特別な夢』が頭に浮かんだ。
「は、はひ……」
街から帰る途中。
教会まであと半分ってあたりで、さっきから終始無言だったブラウニーがそのように切り出した。
ちょうどあった切り株に腰をおろした私の前に立った彼は、腕組をして見下ろしている……。
なんとなく正座してしまった。
なに? 怒られるの?? なんで? こわいよおお!
「さっきも言ったが、そろそろオレに話してないことが、溜まっているんじゃないか……?」
「いや、その喋ってないというか……喋ってはいけないこともありまし」
「あるんだな」
「はっ!?」
私は口を手で隠してモゴモゴした。
「ぶ、ブラウニーサンにお伝えするには信ぴょう性のないお話というかつまらないお話といいますか……」
「はけ」
ひぃっ。
膝を折って目線を合わせてきた。
目が怖い。
いつもなら距離が近いと超嬉しいんですが、今は恐怖で泣きたいです。
ブラウニーサンに、シスター・イラのことや、さっきのココリーネ嬢の話をまるっと伝えた。
神父様に、転生者のことを口止めされたことも。
「なんだ……くっだらねー……」
「怖い顔して聞き出しておいての感想がそれ!?」
「オレが怒ってたのは、くだらなくても隠し事をされたからだ。運命だのなんだの関連は、さすがにオレももう全部聞く権利あるんじゃないか?」
「結局はくだらないんだ!? ……まあ、確かにそうね。……でも、転生者の話しを口止めされたら、かいつまんで話すのも難しいし、この件ではもう悩まないって約束したから気にしないようにしてたの。
……ブラウニーに変な負担かけたくなかったし」
「それに」
私はスカートを掴んでイジイジした。
「……シスター・イラの話は……なんていうか、ちょっと恥ずかしかったのもあって……。
『ブラウニールート』とか……口にするの、なんか」
わあー、ほんとに恥ずかしいよー!
シスター・イラにとっては私達は物語の中の人間だからそういうの平気で言えるんだよ~。
当事者ブラウニーめ、お前も恥ずかしがるがいい……。
「プッ」
笑った!?
「なんで笑うの? 恥ずかしくない?」
「いや、たしかに恥ずかしいな。でもお前を世界の主人公にしたらたしかにそうなんだろうなって。
言い得て妙っていうか。……オレが主人公ならプラムルートか?」
「……いやあ! 何それ恥ずかしい!」
私は顔を手でおおった。
もうこのあたりで勘弁してほしい。
「なあプラム」
ブラウニーは少し笑った後、私の手をそっと剥がして握った。
「前にも言ったろ、隠してもわかるって。それにオレはお前のこと、どんなくだらない事でも知っておきたい。これからは、話してくれ。口止めされていてもだ。オレにだけは」
まっすぐ見つめてくる瞳はさっきまでと違って、優しかった。
ああ、ブラウニーが私のことを思ってくれてる。
私は嬉しくて、ちょっと涙目になりながら頷いた。
「よし、それじゃあ」
ブラウニーは懐から小さな包みをだして、私に渡した。
「?」
「誕生日プレゼント。さっきお前が令嬢と喋ってる間に買ってきた。一緒に買う約束だったのにごめんな。……でもリンデンにくっつかれながら買ったから大変だったんだぞ。なんか口だしてきてうるさかったし」
いつの間に……。
ふと、リンデンにくっつかれながら迷惑そうな顔でプレゼント選んでる絵面が浮かんだ。
ふふ、面白い。……ちょっと見てみたかったな。
「ううん、ありがとう。選んでもらえて嬉しい! 開けて良い?」
「おう」
包みを開けてみると、四葉のクローバーの髪留めが出てきた。
丸い輪っかの金具部分に髪を通して留めるタイプだ。
「わ、可愛い。でも、私、髪が短いから……留めれるかな」
「大丈夫だ、貸してみろよ」
「うん? ブラウニーが留めてくれるの?」
ブラウニーに直接つけてもらえるとは思わなかった。
そういえばブラウニーは教会で、チビっ娘の髪を結ってやったりとかはしてるんだよね。
器用なんだよなぁ。
パチン、と左耳の横で髪留めがとまる音がした。
「よし、できた。今はオレがやったけど、自分でも留めれるな、これは。短くても大丈夫そうだ」
「……ありがとう。多分留めれるってわかってて買ったんだよね? ブラウニーのそういう所、ほんとすご」
その時、ブラウニーの手が私の髪から顎に降りてきて、彼の顔が近づいてきた。
「……う?」
そのまま唇が重なった。
「……」
一瞬びっくりして離れようとしちゃったんだけど、背中に手を回されて、ブラウニーはそれをさせなかった。
私は頭が真っ白になってしばらくそのまま固まってたんだけど、なんだかだんだん力が抜けてきて、少し彼に寄りかかるように抱きついた。
「……プラム」
唇を離してブラウニーが耳元で囁いた。
「大事なことを言ってなかったんだ、オレ」
「なに?」
「好きだ」
「あ……」
そういえば、言ってもらったことなかった気がする。
信じてたから気にしてなかったけど、実際、その言葉を言ってもらうと、心から溢れてくるなにかがあった。
「言葉にしてなかった。怒って良いぞ」
「あ、いや、いいの!今言ってくれて嬉しいっていうか……私も本当に好き…」
私は泣きながらブラウニーの胸に顔をうずめた。
彼もやんわりと、私を抱きしめてくれた。
ずっとこのままでいたい。
時が止まればいいのに、と思うくらい。
ブラウニーの腕の中でそんな幸せを噛み締めていたのに。
――突如、『特別な夢』が頭に浮かんだ。
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