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最弱の魔法戦闘師、囚われる
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「これほどまでに力が戻ってるとは……予想外。しかし、好都合ですね」
「強がりは止めろよ。みっともねぇだろ?」
まぁ、あの面倒そうな巨大魔法陣の魔法解体は難しいそうだな。
賢者の集中力を散漫させて、崩させる方法が唯一の方法か。
「強がり?それはあなたでしょう?まさか、気付いておられないのですか?」
「どういうことだ?」
『すまん』
急にどうしたんだよ?なんで謝るんだ?
『多分、あと三十分程度でお前は………死ぬ』
なっ?!どういうことだよ?!
『前世の記憶が戻るにつれて、お前の体は少しずつ崩壊していってる』
な、なんで……理由は?
『多分……脳が情報の処理に追い付けていない。だから、体全体の細胞がとてつもない負荷を被ってる』
…………な、なんだよ、それ……。
「その顔……やっと理解したようですね」
「………」
どうすれば良いんだ……。
『やるしか、ないだろ。お前が死んじまったら賢者を止められる奴は居なくなると思う』
…………そうだな。どうせ死ぬ運命だ。これからに繋げないとな。
「真っ向から事実を受け止め、私に挑むとは……その根性は認めましょう」
「『絶対領域』『黒熾輪撃』『半永反響』『瞬鋭の陣』」
「!!!!それだけ魔法を使ったらどうなるか………ぐはっ!」
「……黙れよ?こっちは時間がねぇんだ」
これだけやっても魔力が七割程度残ってる。記憶の戻り具合はそこまで分からないが……まだ大丈夫だろう。
そこまで痛みを感じない。
「こうなったら……!!うぐ……」
「しゃべる気力があるなら俺に殴らせろ『転移』」
「!!!!あがっ!」
「もういっちょいくぜ!」
「……!!!!」
結構良いのが入ったな。まぁ、拳闘士の天恵があるしな。二発だけでも相当痛いだろうな。
俺は回復も取り敢えずはできる。じり貧になるのがオチ……だが、俺にも時間がない。
「『記憶の牢獄』」
「!!!!こ、これは?!」
「少し時間があるようですし、説明してあげますよ」
逃げろ!俺はもう動けない!だから、逃げてくれ!
くそっ!声が出ない……。どうにか伝わってくれ……。
「あなたの弱点……後悔の念が敗因ですよ」
「!!!」
ははっ……。まさか、あの記憶がこんなところまで影響を及ぼすとはな……。
ごめんな……。俺が弱いばっかりに……。本能……俺もう無理そうだ。
『大丈夫だ!俺様に任せろ!絶対に死なせない!』
ありがとな……。でも、大丈夫だ。
「余、裕……だな」
「ほう……!まだ喋れるのですか?凄いですね」
「てめぇを……ぶっ潰すためにな!」
「なっ!」
「ビビったか?体も動かせるんだよ」
辛うじて動く程度、首を絞める手に少しずつ力が入らなくなってきた。
視界もボヤけてきた……。意識が朦朧としてきて……。
『気をしっかりと持て!』
根性論で突破出来るなら、催眠系の魔法なんていらねぇだろ!
あと一分持つかどうか……。これは、大分キツいな。
「覚えてろよ?次あったら、確実に殺る」
「怖いですね。殺れるものなら殺ってみてくれよ?どうせあの時みたいに口だけなんだからよ」
あぁ……もう無理だ……。何があるか分からない。本能も気を抜くなよな…。
~~~~
あぁ……俺は落ちてるのか……?感覚がない。
体に力が入らない。この空間は……。意識はあるのに、認識できない……。夢の中に居るような
気分だな。
これは……これが『死』というものなのか。死んだ経験はない……訳ではないな。でも覚えてないしな。
痛みはないし、気にする必要もないか……。責任も何もない。これはこれで心地よいな……。
『意識をしっかりと持て!ホントに死ぬぞ!』
………誰?
『はっ?冗談はよせ!取り敢えず自分をしっかりと保て』
ノイズのようなものがあって聞こえにくいな……。だが、知ってる奴の声だ……。
誰だっけな。確か………本能、と言ったか……。
「はっ!」
うぅ……頭が痛いな。どのくらい意識を失っていたのだ……?取り敢えず、状況の把握が必要だな。
「頭いてぇ……」
なんだ……?自分の声なのに違和感が……。そう言えば、視線も低いな。どうしたんだ?
「あっ。起きたの?おはよ、レイ」
「…………フィア……?」
「えっ?えぇ!急にどうしたの?!何か怖い夢でも見たの?」
フィアが……フィアが生きてる……!!
「会いたかった……もう、絶対に会えないと思ってた……」
「????大丈夫だよ……私は居なくならないから」
俺はきっと、今までは悪い夢でも見てたんだろうな……。予知夢か何か……。
でも、ホントに良かった。
「落ち着いた?」
「あっ……ごめん、急に……」
冷静になって考えたら、俺……急に抱きしめるとか頭おかしい奴だな。
「今さ……少し頭が混乱してて……一人で居る時間が欲しいんだけど」
「うん。分かったよ。でも、逃げちゃダメだよ?」
「逃げないよ」
逃げるものは何一つないからね。
フィアも行ったことだし……色々と整理してみるか。
「まぁ……そもそもここは現実じゃねぇんだろうけどな」
冷静に考えればすぐに分かることだ。俺はもう……嫌なことから逃げる訳にはいかない。
どうにかしてこの空間から脱出しなくては……。
『名残惜しくないのか?』
確かにな。でも………って!本能も居たのかよ!?
『失礼な奴だな』
さて、ヒントも何一つない。収穫と言えば、俺の意識がしっかりしてるのと、案外冷静だと言うことだな。
『俺様の存在は?』
そう言えば居たな。
『ふざけやがって……』
冗談は置いておこう。これからどうすべきだと思う?
『お前の記憶とどれだけあってるか確認するとか』
そうだな。折角ならば、やれることはやってみるか。
まずは今がいつなのか知る必要があるな。
『なんでだ?』
俺がこの空間に囚われた原因となる事件が起こる筈だ。
原因を絶てば、この空間から出られるかもしれない。
『それで無理だったら?』
他の方法探すしかないだろ?
『それもそうだが……あては?』
はっ?そんなもんあるかよ。
『無鉄砲すぎだろ……』
あとあとを考えて行動してたら出来るもんも出来ねぇだろ?
「さてと……思い立ったが吉日ってやつだ。まずは村に戻るとするか」
「強がりは止めろよ。みっともねぇだろ?」
まぁ、あの面倒そうな巨大魔法陣の魔法解体は難しいそうだな。
賢者の集中力を散漫させて、崩させる方法が唯一の方法か。
「強がり?それはあなたでしょう?まさか、気付いておられないのですか?」
「どういうことだ?」
『すまん』
急にどうしたんだよ?なんで謝るんだ?
『多分、あと三十分程度でお前は………死ぬ』
なっ?!どういうことだよ?!
『前世の記憶が戻るにつれて、お前の体は少しずつ崩壊していってる』
な、なんで……理由は?
『多分……脳が情報の処理に追い付けていない。だから、体全体の細胞がとてつもない負荷を被ってる』
…………な、なんだよ、それ……。
「その顔……やっと理解したようですね」
「………」
どうすれば良いんだ……。
『やるしか、ないだろ。お前が死んじまったら賢者を止められる奴は居なくなると思う』
…………そうだな。どうせ死ぬ運命だ。これからに繋げないとな。
「真っ向から事実を受け止め、私に挑むとは……その根性は認めましょう」
「『絶対領域』『黒熾輪撃』『半永反響』『瞬鋭の陣』」
「!!!!それだけ魔法を使ったらどうなるか………ぐはっ!」
「……黙れよ?こっちは時間がねぇんだ」
これだけやっても魔力が七割程度残ってる。記憶の戻り具合はそこまで分からないが……まだ大丈夫だろう。
そこまで痛みを感じない。
「こうなったら……!!うぐ……」
「しゃべる気力があるなら俺に殴らせろ『転移』」
「!!!!あがっ!」
「もういっちょいくぜ!」
「……!!!!」
結構良いのが入ったな。まぁ、拳闘士の天恵があるしな。二発だけでも相当痛いだろうな。
俺は回復も取り敢えずはできる。じり貧になるのがオチ……だが、俺にも時間がない。
「『記憶の牢獄』」
「!!!!こ、これは?!」
「少し時間があるようですし、説明してあげますよ」
逃げろ!俺はもう動けない!だから、逃げてくれ!
くそっ!声が出ない……。どうにか伝わってくれ……。
「あなたの弱点……後悔の念が敗因ですよ」
「!!!」
ははっ……。まさか、あの記憶がこんなところまで影響を及ぼすとはな……。
ごめんな……。俺が弱いばっかりに……。本能……俺もう無理そうだ。
『大丈夫だ!俺様に任せろ!絶対に死なせない!』
ありがとな……。でも、大丈夫だ。
「余、裕……だな」
「ほう……!まだ喋れるのですか?凄いですね」
「てめぇを……ぶっ潰すためにな!」
「なっ!」
「ビビったか?体も動かせるんだよ」
辛うじて動く程度、首を絞める手に少しずつ力が入らなくなってきた。
視界もボヤけてきた……。意識が朦朧としてきて……。
『気をしっかりと持て!』
根性論で突破出来るなら、催眠系の魔法なんていらねぇだろ!
あと一分持つかどうか……。これは、大分キツいな。
「覚えてろよ?次あったら、確実に殺る」
「怖いですね。殺れるものなら殺ってみてくれよ?どうせあの時みたいに口だけなんだからよ」
あぁ……もう無理だ……。何があるか分からない。本能も気を抜くなよな…。
~~~~
あぁ……俺は落ちてるのか……?感覚がない。
体に力が入らない。この空間は……。意識はあるのに、認識できない……。夢の中に居るような
気分だな。
これは……これが『死』というものなのか。死んだ経験はない……訳ではないな。でも覚えてないしな。
痛みはないし、気にする必要もないか……。責任も何もない。これはこれで心地よいな……。
『意識をしっかりと持て!ホントに死ぬぞ!』
………誰?
『はっ?冗談はよせ!取り敢えず自分をしっかりと保て』
ノイズのようなものがあって聞こえにくいな……。だが、知ってる奴の声だ……。
誰だっけな。確か………本能、と言ったか……。
「はっ!」
うぅ……頭が痛いな。どのくらい意識を失っていたのだ……?取り敢えず、状況の把握が必要だな。
「頭いてぇ……」
なんだ……?自分の声なのに違和感が……。そう言えば、視線も低いな。どうしたんだ?
「あっ。起きたの?おはよ、レイ」
「…………フィア……?」
「えっ?えぇ!急にどうしたの?!何か怖い夢でも見たの?」
フィアが……フィアが生きてる……!!
「会いたかった……もう、絶対に会えないと思ってた……」
「????大丈夫だよ……私は居なくならないから」
俺はきっと、今までは悪い夢でも見てたんだろうな……。予知夢か何か……。
でも、ホントに良かった。
「落ち着いた?」
「あっ……ごめん、急に……」
冷静になって考えたら、俺……急に抱きしめるとか頭おかしい奴だな。
「今さ……少し頭が混乱してて……一人で居る時間が欲しいんだけど」
「うん。分かったよ。でも、逃げちゃダメだよ?」
「逃げないよ」
逃げるものは何一つないからね。
フィアも行ったことだし……色々と整理してみるか。
「まぁ……そもそもここは現実じゃねぇんだろうけどな」
冷静に考えればすぐに分かることだ。俺はもう……嫌なことから逃げる訳にはいかない。
どうにかしてこの空間から脱出しなくては……。
『名残惜しくないのか?』
確かにな。でも………って!本能も居たのかよ!?
『失礼な奴だな』
さて、ヒントも何一つない。収穫と言えば、俺の意識がしっかりしてるのと、案外冷静だと言うことだな。
『俺様の存在は?』
そう言えば居たな。
『ふざけやがって……』
冗談は置いておこう。これからどうすべきだと思う?
『お前の記憶とどれだけあってるか確認するとか』
そうだな。折角ならば、やれることはやってみるか。
まずは今がいつなのか知る必要があるな。
『なんでだ?』
俺がこの空間に囚われた原因となる事件が起こる筈だ。
原因を絶てば、この空間から出られるかもしれない。
『それで無理だったら?』
他の方法探すしかないだろ?
『それもそうだが……あては?』
はっ?そんなもんあるかよ。
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