最弱の魔法戦闘師、最強に至る

捌素人

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最弱の魔法戦闘師、決戦に臨む 5

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「王女。最後の質問も同じ感じで出されるのか?」
「違うけど……なんで?」
「いや。なんか、聞いてたのと違うからさ」

強化系が必要だとか、ヒントがあるとか。でも、今のいままで全く出てきてない。

「そうだね……わたし、一つウソ付いたんだ」
「ウソ?」

もしかして、そもそもヒントなんかない?いや、実は賢者の仲間だったとか?

「実は、グロス様と一緒になるのが嫌でこっちも強化系が必要だって言っちゃった」
「へっ?」

そ、それだけ?もっと壮大なものなのかと思ったが。

「けど、ヒントはどっちにもあるからさ。信憑性は出せるでしょ?」
「なかなかの策士だな」

王女が故なのか。はたまた前世の経験からか……。

「ふふっ。でしょ?誉めても良いのよ?」
「誉め言葉が出ないくらい凄い」
「それは昔から変わらないね。面倒事は避ける感じ」

避けてはないと思うが……。まぁ、そう感じるかもしれないな。

「それよりも、なんでグロスと一緒は嫌なんだ?」

そこまで、拒絶する理由が俺には分からないが……。

「レイトさんの事をイジめていたから、かな」
「えっとぉ……それだけ?」
「他に理由はないよ。だって……」
「ん?」
「な、なんでもないよ!」

なんか、顔が赤くなってるような……。気のせいか?

「ほら、さっきの勝負の続き!わたしが勝ったら、質問に絶対に答えてね!」
「えっ?ちょ、ちょっと待って!ズルすぎるぞ!」

~~~~

「はぁ、はぁ……」

疲れたぁ……。壁に着いたけれど、ゴーレムは居ないみたいだな。

代わりに壁に文字が彫られている。この問題自体がヒントなのか。または、答えがヒントなのか。

まぁ、解けば分かるものだ。
それに、こんな事を考えられない程に、王女が怖い。

「さぁてと。どんな質問にしようかなぁ」

さっきからずっとあの調子だ。これから戦うと言うのに、緊張感の欠片もない。

こればかりは、俺が言えることではないだろうが。

「なぁ……取り敢えず、この問題を解いてからにしないか?」
「先延ばしにするの?」
「い、いや?そう言う訳じゃなくてだな……」
「ふふっ。そう慌てないで。大丈夫。後でじっくりと聞くからね」

せ、背筋がゾッとしたぞ……。こ、これはホントにヤバイんじゃねぇか?

『んで、イチャイチャは終わったか?さっさと問題解くぞ。この浮かれクソ野郎』

口悪いな、おい!何がそんなに不満だったんだよ?

『お前自身も思っただろうが、緊張感を持て』

分かってる……ただ、昔を思い出しちまったんだよ……。

『昔の記憶?』

前に言ったろ?俺が無意識に涙流した時だよ。

『あぁ。その時のか。俺様には分からねぇんだけどな』

多分、俺自身があの記憶を拒絶してるんだ。だから、仕方がない。気になるならば、後で話すよ。

『そうか?じゃあ、楽しみにしてるぜ』

楽しい話ではないと思うが……。

「『暗殺者の動向を知るには天恵に』……なんだこれ?」

三文字入れる必要があるようだが……。

暗殺者の下に一つ。動向を知るの下に一つ。天恵にの下に一つ、変な枠がある。

この感じだと、魔力を流し込むことで文字が浮かび上がるようだな。

『ん?数字が書いてある気がするぞ?』

数字?どんなのだ?

『天恵にが一で動向を知るが三だ。暗殺者のところには二だ』

文字の並びに関係無いのか?
この文の並びは文章を成り立たせるため……。

この順に文字を入れると三文字の言葉になるのか?

「王女は何か知らないか?」
「問題の内容はあまり覚えてないんだよねぇ……」

うぅん。どうなんだろうか。これは、意味が分からない。ヒントをくれるゴーレムも居ないしな。

三文字の言葉か……。多分、言葉の下にあるのだから、関連がある筈……。

唯一のヒントと言ったところだろうか。だとしても、情報が少なすぎる。

『そもそも、三文字の言葉じゃないとか?』

はぁ?どう言うことだよ?

『例えばだぞ?天恵が一だろ?一問目の答えは占い師。天恵に直して占者』

つまり、一文字目は占って事か?

その考え方でいくと、二文字目は影。三文字目は夢になるのか?

『試す価値はあるんじゃないか?』

そうだな。こう言う時の本能の勘は凄いからな。

「王女。一回試しても良いか?」
「えっ?分かったの?」
「可能性と言うか……取り敢えず候補の一つとしてだ」

どこから湧いてるのか分からないが、なんだが成功する自信がある。

「占、影、夢………っと」
「その文字は?」
「今までの答えを合わせたものだ」

さて、開くかな。

「おっ!」
「凄い……」

内臓にまで響きそうな低音を鳴らしながら、壁が開いた。

今のところヒントと言うヒントはない。もしかしたから、俺が気付いてないだけ?

「あの文字……ヒントかな?」

いつの間にか天井に文字が彫ってあった。

多分、壁が開いたことにより見えるようになったのだろう。

「『リングを手にしろ。思い出せ。俺が俺になるように』」

これまた意味が分からない言葉だな。

俺が俺になるようにってどう言うことだ……?

「また、なぞなぞ?」
「かもしれないな。けど、何もないし……取り敢えず言葉だけでも覚えておこう」
「だね」

あと、カインドたちと合流するだけだ。

この道を少し進んで行けば会えるのであろう。

「さぁてと。ここからは気を引き締めていこう」
「そうだね。わたしも頑張らないと」

合流すれば、あとは人形との戦闘だけだ。賢者もぶっ飛ばさないとな。

『一つ良いか?』

なんだ?そんなに改まって何かあったのか?

『気付いてるか分からないが、お前の体がさっきから少しずつ痛みを感じてる』

えっ?ホントか?俺には分からないが……。

『もしかしたから、筋肉痛かもな。あんなに走ることなかったろ?』

あぁ……言われてみればそうだな。

それに、俺は別に感じないし、そこまで気にする必要はなさそうだな。

また変化があったら教えてくれ。

『分かった。取り敢えず、今は大丈夫そうだ』


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