最弱の魔法戦闘師、最強に至る

捌素人

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最弱の魔法戦闘師、決戦に臨む 4

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それにしても、かなり歩いた筈なのに、三つ目の質問ゴーレムが現れないな。

かなり長い道のりだと言うことはわかったが……。少なからず不安になってくるな。

俺一人だったら発狂しててもおかしくないな。

「あとどのくらい掛かるんだろうか……」
「わたしにもよく分からないんだよね。でも、いつかは来るから焦る必要はないと思うよ?」
「そう、だな」

聞きたいことは聞いたし、俺は別に話題なんてないからな。

けど、まぁ。折角だし聞きたいことでも聞くか。

「王女」
「ん?どうかしたの?」
「なんで目を髪で隠してるんだ?」

ついでに言えば、両方の目の色が少し違う気もするし……。

『目の色が違うのはお前もだろ?右目が紫で左目が淡い赤って……もう恐怖しかねぇわ』

だから、右目は隠してるんだろ?あっ。俺も人の事言えねぇわ。

「左目にはね。前世の魔力……聖女としての力がある、。右目は元々の色」
「でも、目の色に違いはそこまでないじゃねぇのか?」

前に見えたから分かるが、両目ともパッと見は分からないが、じっくり見れば違いが分かる程度。

俺みたいに露骨に違う訳じゃねぇのに、一体なぜ……。

「力が暴走するときがあるの」
「暴走?」
「………うん。この目のせいでカムイが死んじゃったの」
「えっ?」

どいうことだ?祝福をもたらすのに、なぜ人が……。

『だから万事なんだろ?人によって幸福の意味は全然違うだろ?』

つまり、カムイが死ぬことを幸福と感じる人物が……まさか……。

「賢者に発動したのか?」
「………うん」
「暴走するのと任意ではどんな違いが?」
「内容が違うの」
「内容が?」

何の内容だろうか……?つい、おうむ返しになってしまったが……。

「暴走すると、最悪の形で実現するの」
「つまり、賢者の願望がカムイの死という最悪の形で叶ったということか?」
「そう……だから、わたしのせいなの」

勿論、王女が直接殺したと言うわけではないだろうが……。使い方によっては、どんな物にも裏があるってことだな。

「今度はわたしから良い?」
「ん?まぁ、良いけど」

あれだけ質問したのだ。中には王女の辛い過去もあっただろうし……。

「レイトさんはわたしのこと好き?」
「……えぇと。それはどういう意味での?」

好きって言っても一概には言えないからな。何も考えずに答えれば、意味によっては墓穴を掘りかねない。

こう言う質問は慎重になるに越したことはない。

「逆にどんな意味だと思う?」
「……分からないから聞いてるんだろ?」

ここで王女のペースに嵌まってしまえば後々地獄行きが確定してしまう。

「あんなに質問してきたのに、わたしの質問には答えてくれないの?」
「うっ……」

それは……確かにそうだな。でも、なぁ?

『お前がどう思ってるのかハッキリと言えば良いだろ。本心を言えば、逆に驚くかもだろ?』

そう上手くいくかな?

『考えるな。時には無鉄砲になるのも必要だぞ』

そんなことはないと思うが……。まぁ、分かった。ありがとな。

「そうだな。俺は王女のこと好きだぞ」
「えっ?ホントに?」
「あぁ」
「ねぇ。それってどんな意味での?」
「自分で考えてくれ」

これは卑怯だろうが、質問にはしっかりと答えてあげたし。

少し罪悪感はあるが、俺とてこんな雰囲気で、恋愛的な意味の好きだなんて言えない。

でも、そんなに王女と関わってないと思うのだがな。

まぁ、恋をするなんてこんな風にいつの間にか、って感じなんだろうな。

「時間は掛けられないし、走るぞ、王女」
「ねぇ。本当に教えてよぉ」
「俺に勝てたらな」
「ずるいってぇ」

でも、なんだが楽しいな。これからはこんな気持ちにもなれないかもしれないからな。

『次の質問だ』
「うおっ?!急に出てくるなよ!ホントにビックリしただろ?」
『………すまん』
「あっ……こっちこそ……」

謝られるとは思ってなかったぞ。

「レイトさん。置いていくなんて酷いですよ」
「あっ……でも、着いたぜ」
「まぁ……そうですがぁ……」
『目を開けると見えなくなり、目を閉じると見えるもの』

本能、とか?

『頭大丈夫か?人形と戦う前に自分の頭の悪さと闘うべきだろ』

ふざけたこと言いやがって……。じゃあ、本能は分かるのかよ。

『わ、分かってるわ!ただお前に花を持たせたいからな』
「いや、そう言うのは良いんだよ。早く言え」
『ま、まぁ……まずは自分で考えてみろ』

はぁ……どうせ分からないんだ?知ってるんだよ。知らないってことを。

「わたし分かったかも」
「ホントか?」
「たぶん答えは『にゅめ』だよ。…………」
「…………」
『…………』
『…………』

わ、笑っちゃダメだよな?堪えるので精一杯なんだが。

こ、堪えるんだ!笑ったら止まらなく……我慢できん!

「あはははは!」
「あっ。笑いましたね?」
「今のはホントにヤバイ」
『すまぬ。笑いが止まらない』

ゴーレムもか。

「みんなして酷いですよ!と言うか、正解ですか?」
『当たらずとも遠からず。少なくとも『』ではない』

あのゴーレム。意図的ににゅめのところを強調しやがった。意地悪な野郎だぜ。

「夢です!夢なら良いんですよね?」
『あぁ。正解だ』

よし。これで通れる。それに、次の質問で最後の筈だ。

「わたしは忘れませんよ。レイトさんが笑ったこと」
「悪かったって。そんなに根に持つなよ」

本能。こう言うときの対処を教えてくれ。

『俺様を何だと思ってんだ?』

良くも悪くも本能だろ。

『まぁ、相手の気をそらす事を言えば良いんじゃねぇか?』

なるほどな。気をそらすか。

「ねぇ。レイトさん」
「ん?なんだ?」

まだ、気をそらせる話題を見付けてないんだが……。

「お願いがあるんだけど、良い?」
「お願い?良いけど……」

ん?待てよ?これは良い機会なんじゃ……。

「ううん。何でもない。わたしの自己満足だからさ……それよりも、急がない?」
「えっ?あ、あぁ」

気になるところで止めやがって……。まぁ、気はそれたのかな?



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