最弱の魔法戦闘師、最強に至る

捌素人

文字の大きさ
上 下
31 / 50

最弱の魔法戦闘師、決戦に臨む 2

しおりを挟む
洞窟みたいな道に入ってから、少し経つが、特に罠のような物は見当たらないな……。

こんな雰囲気だと、罠の一つや二つあってもおかしくないと思うのだが……。

「こっちはどんな仕掛けが?」
「頭を使うものですね」
「頭を?」
「うん……そうなの」

こっちが本来の王女なのかもな。

『だとしたら、何なんだよ』

いや、ただ……少し昔の事を思い出してな。

『変な奴』

それは、しゃあねぇな。

「だとしたら厄介だな」

俺なんかで出来るか……?まぁ、王女が居るし大丈夫だろう。だよな?

「レイトさんは頭の回転が早いので頼りにしてるよ?」
「……お、おう」

くっ……。ダメだな。王女には恋しちゃダメだろ……。俺よりも良い奴はたくさん居るだろうし……。

なんで、俺はこんなこと考えてんだよ!王女と二人きりだからって浮かれるな。

『それが本音か?隅に置けないねぇ』

うっせぇよ!

「どうか、した?」
「なんでもねぇよ!さっさと行くぞ!」

なんでなんでなんで!いつからだよ!俺はいつから王女の事を……。

本能は何か知ってんじゃねぇのか?

『生憎と知らねぇな。強いて言えば、お前が覚醒し始めてからじゃねぇか?』

覚醒で?なんでだ……?何か繋がりが?そう言えば、俺が頭痛を起こした時、何か言っていたような……。

あれに関係しているのか?だとしたら、王女は頭痛が起こる本当の理由を知ってる筈だ。

「心ここに在らず、みたいだね?どうかしたの?」
「……何でもない。なるべく俺に関わらないでくれ」
「えっ?なんで?」
「別に良いだろ?なんだってよ……」
『流石にそれはいけないと思うぞ?しっかりとした理由がないのに、突き放すのか?』

王女の前だと平常心を保てないんだよ……。俺だって出来ればこんなことはしたくない。

でも、なんでか、心がそれを許さないんだよ。

「……わかった。ごめんね」
「あっ……」

何やってんだよ、俺は……。そんな事を言って欲しかった訳じゃないんだろうに……。

「その……すまん」
『謝るなら目を見ろよ』

仕方がねぇだろ。照れ臭いんだよ。

『本当にガキなんだから……』

言ってろ。

「謝らないで。きっとわたしが悪いの……ううん。絶対にわたしのせい……ホントに謝らないといけないのはわたしなの……」
「どういうこと?」
『それを聞くのも良いが、空気の読めない野郎が居るぜ?』

あれは、ゴーレムだよな?なんでここに?

『一つ目の質問だ。どれだけ頼んでも、何も売ってはくれない職業は何?』
「それは……なぞなぞか?」

本能は分かるか?俺には無理だ。職業……そんなもん知らん。

『天恵として考えるならば……。売らない、か……。占い師とか?職業ならば、占者か?』

占者か。なるほどな。本能頭良いな。

『まぁ、頭が良いと言うか、ひねくれてると言うかな』

それじゃ、俺がひねくれてるみたいじゃねぇかよ。

『取り敢えずは言ってみろ』

はぁ……分かったよ。

「答えは、占い師売らないしで占者か?」
『正解だ。通そう』

こ、これだけか?問題の数にもよるが、そこまで大変じゃないな。

「……流石はレイトさん。わたしは全く分からなかったよ」
「あと、どのくらいあるんだ?」
「あと三つぐらいだよ」

三つか。少し大変だが、大丈夫だよな。

「次の質問まで時間が少しあるし、お話しない?」
「良いけど…俺、話題提供は無理だぞ?」
「ふふっ。知ってるよ。大丈夫。前の続きについてね」

前?あぁ。何か言い掛けてたけど、カインドたちが来て聞けなかったやつか。

その時は凄い気になっていたが、色々ありすぎて忘れていたな。

「話す前に一つ確認したいの」
「確認?何を?」
「わたしを……見捨てないで」
「………どういう意味?」
「そのままの意味。答えて」

なんか、辛そうに見えるのはなんでだろう……。

「そ、そんな事を頼むくらいの話なら、無理に話す必要はないぞ?」
「ううん……ダメなの。わたしから言わないと……あとに知ったら……あなたはわたしを……」

訳アリってことかよ。はぁ……そんな顔されたら断れねぇだろうが。

『惚れた弱みってか?』

ち、違うぞ!やっぱり、女性が悲しんでるのを見ぬふりはできないだろ?

あれだ!俺は紳士だからな。

『お前が?寝言は寝て言え』

チッ。この野郎……。こいつと話しててもムカつくだけだな。こいつのことは記憶から抹消するか。

「分かったよ。どんな話だろうと見捨てない。約束する」
「絶対だよ?」
「あぁ」

これだけ言う程だ……。相当辛い過去の話しだろうが……。

『次の問題だ』
「は、早いな……」
「予想外ですね」

まぁ、多分これからも時間はある筈だ。その時に聞けば良い。

「王女。俺は王女を絶対に見捨てない。それだけは覚えていて欲しい」
「あなたは何も変わってないのね」
『簡単に動かすことは出来るが、絶対に持ち上げることの出来ないものは?』

動かせるのに、持ち上がらないもの?今回は前回みたいな限定的なものじゃないから、絞り込めないな……。

「王女は何か分かるか?」
「そうですね。簡単に動かせると言うことは力が要らない、ということですよね」

力が要らない……か。だから、持ち上げることが出来ない?それならば、重い魔物とか?いや、抽象的過ぎるか。

「ヒントとかはないのか?」
『みんな持ってるものだ』

みんなが持っているもの?

「それは俺も持ってるのか?」
『我々も持っている』

なるほど……。我々、と言うことは王女も持ってる。身に付けるものならば、持ち上げることは可能。

足に関しても、歩くと言う時点で持ち上げることが出来る。

つまり、人体関係ではない。そして、ゴーレムも持っているもの……。こいつらに臓器なんてないからな……。

「植物にもあるのか?」
『ある』

簡単に動かせるのに、動かない植物さえ持ってるのか。

つまり、動く動かないの問題ではない。その上で共通して持っているもの……。もしかして……。

「答えは……影、か?」
『正解だ』

よし。ヒントがあるのは大きかったな。ヒントがなければ絶対に答えは出なかっただろうな。

「これで先に進めるな」 

あと二問か。

これ以上難しくなるのは勘弁だぜ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

削除予定です

伊藤ほほほ
ファンタジー
削除します

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

『邪馬壱国の壱与~1,769年の眠りから覚めた美女とおっさん。時代考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁
SF
1,769年の時を超えて目覚めた古代の女王壱与と、現代の考古学者が織り成す異色のタイムトラベルファンタジー!過去の邪馬壱国を再興し、平和を取り戻すために、二人は歴史の謎を解き明かし、未来を変えるための冒険に挑む。時代考証や設定を完全無視して描かれる、奇想天外で心温まる(?)物語!となる予定です……!

処理中です...