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最弱の魔法戦闘師、グロスと合流する 1
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「まぁ……取り敢えず、他の鍵も回収しに行こう」
「ふふっ。そうですね」
なんか、元気になってないか?それとも俺を心配させないためか……?
「うぅん……カインドは大丈夫だろうが、グロスが心配だ」
カインドは何故だか分からないが、鍵の付近にまで近付いている。
十人掛かりで二年程なのに、この速さは異常だな。
まぁ、何か秘策があったのだろう……。
例えば、壁をぶち破るとかな…。
だが、グロスは相当な方向音痴のようだ。さっきから似たような場所を何回も通っている。
かろうじて鍵に近付いてはいるものの、あれでは時間が掛かりすぎるのではないか?
「王女。東に行く前にグロスを助けたいのだが、良いだろうか?」
「えぇ。わたくしはあなたに従いますわ」
「そうか。わかった、ありがとな」
~~~~
南はあっちか。この神殿、無意味なほどに大きいからな。移動するのに結構な時間が生じるぞ。
「疲れたら言ってくれよ」
「この程度、大丈夫ですわ」
なぁんか、思うんだけどよ……。王女の容姿に対して言葉が似合わないような気がするんだよなぁ。
『それは同感だ。何となく自分を隠してるような雰囲気があるよな』
あぁ……。もう少し活発な感じだと思うんだが……。
「わたくしに何か付いておりますか?」
「あっ……いや、何でもないよ……」
無意識の内に顔を見ていたみたいだな。王女は顔……特に瞳はあまり見られたくないような、そんな意思を感じるからな。
無意識とは言え、失礼だったよな。
「すまん、王女」
「ん?何がですの?」
「さっきのことだよ」
「さっき……あぁ。気にしないでください」
気を遣わせてばかりだな。本当に面目ない。
「どうこう考えてる内に着いたな……」
ここには中央に繋がる道がある。多分、ここの魔物が一番強い。魔力の保持量がカインドのところや東のところの魔物とでは格が違う。
「王女、気を引き締めて行くぞ」
「えぇ……まぁ、あなたが居りますし、万が一なんてあり得ませんよ」
「なんだよ……俺はそんなに信頼される程の実力者じゃねぇよ」
「今は……でも、いつか分かりますわ」
最短で行ける道のりは……はぁ。全くねぇな。てか、よくもまぁ魔力が持つよ。
結構な時間、破壊してるよな。魔力が無限にあると言われても信じるほどだ。
「じゃあ、早速行くとするか」
よかった。さすがに頭痛は……。
「うぐっ………!がはっ!」
『!!!!なっ!またかよ!』
「や、やべぇ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ………」
毎度毎度こんなんだったら、死ぬな。
でも、収穫もあるな。この頭痛さえ、なければ完璧なんだけどなぁ。
どうにかできないかな?
『今度はどんなもんなんだ?』
魔力総量が今までの千倍以上になってる。
『は、はぁぁああ!?千倍ぃぃいいい!?!?』
そ、そりゃあ驚くよな……俺も俄には信じがてぇよ。
『見切りの覚醒……魔力量の増加……。この神殿はお前に何かを求めてるのかもしれないな』
俺に?なんで?
『さぁな?でも、こんな規格外の成長が、入り口に入っただけでだぞ?これは異常だ』
まぁ、確かにな……。
「…………」
「どうした、王女?考え事か?」
「えっ?あっ、いえ………」
本当にどうしたんだ?あまり触れられたくなさそうだし、良いか。
「そうか?」
「えぇ。それよりもグロス様を助けに行きましょう」
「おう」
時折聞こえる破壊音。それなのに、魔物は一切動く気配がない。
動けないと言う訳ではないだろうに……。
『まぁ、どうせ来る敵なんだ。待ち構えていた方が何かと楽だろ』
まぁ……俺としては、グロスが暴れてる間に鍵を取りに行きたかったんだがな。
『にしても、この鍵って鍵って感じしないよな』
まぁ、ひし形の鉱石みたいだからな。鍵には変わりないだろうし、気にしなくても良いんじゃねぇか?
『それもそうだが………なんでこんな形なのか気にならないか?』
えっ?別に?
『そ、そうか……じゃあ良いや』
もう少し走る速さを上げた方が良いな。
グロスがそろそろ魔物と接触する。今のグロスの魔力残量はそこまで多くない。
神武の維持には魔力があまり必要ではないとしても、かなりキツイんじゃないだろう。
「『居合い抜き』」
五月雨のように魔力でコーティングすれば、かなりの威力になるはず……。
「よし!王女、行くぞ!」
「はい」
あともう少しなんだ。だから早まるなよ……グロス。今のお前では勝てない。
絶対に勝負なんて仕掛けるなよ……。
~~~~
「はぁ……はぁ……くそ………!」
たかが魔物だと侮っていた。このオーク、格が違ぇ。俺の魔法が何も効いてない。
「もう少し魔力を温存すべきだったな……」
方向音痴も考えようだな。
魔法はあと二回ほどしか使えないか……。
不意を付くしかないか……。
「『空間切削』」
神武が短剣だなんて、不運もなかなかだな。
「…………」
「ちっ……効かねぇか」
さて、このあとどうしたものかな。こいつは良くも悪くもこの場を動かない。
「魔法が放てねぇ……もう物理しかねぇか」
多分、こいつは俺らの言葉を理解できる。
ならば、これで誘い出せる筈だ。
「ふっ……正真正銘のクズだな……」
俺が弱ったと知った瞬間、動きやがった。元々神武じゃ攻撃が通らないからな。
相手からしたら好機だろうな。
気持ち悪りぃ顔しやがってよ。ムカつくぜ。まぁ、それもこれまでだ。
「こっち来んなよ……止めろよ……」
さぁ、もっとよってこいよ?それがお前の死に時だけどな。
「グォオオ!!」
「………!!!」
今だ!
「『空間歪』」
空間ごと奴の攻撃を無効化する。ついでに腕が歪んで攻撃もしづらくなる。
「なっ!!」
確かに攻撃は無効化した。だが、腕には何も変化がない。
いくら魔王級と言えど、それは反則だろ。
「ははっ……もうダメだな」
万策尽きたな。
「グガァァアアア!!!」
はっ。怒らせちまったみたいだ。それもそうか。不意打ちを受けたんだしな。
「『月光の刃』」
「ふふっ。そうですね」
なんか、元気になってないか?それとも俺を心配させないためか……?
「うぅん……カインドは大丈夫だろうが、グロスが心配だ」
カインドは何故だか分からないが、鍵の付近にまで近付いている。
十人掛かりで二年程なのに、この速さは異常だな。
まぁ、何か秘策があったのだろう……。
例えば、壁をぶち破るとかな…。
だが、グロスは相当な方向音痴のようだ。さっきから似たような場所を何回も通っている。
かろうじて鍵に近付いてはいるものの、あれでは時間が掛かりすぎるのではないか?
「王女。東に行く前にグロスを助けたいのだが、良いだろうか?」
「えぇ。わたくしはあなたに従いますわ」
「そうか。わかった、ありがとな」
~~~~
南はあっちか。この神殿、無意味なほどに大きいからな。移動するのに結構な時間が生じるぞ。
「疲れたら言ってくれよ」
「この程度、大丈夫ですわ」
なぁんか、思うんだけどよ……。王女の容姿に対して言葉が似合わないような気がするんだよなぁ。
『それは同感だ。何となく自分を隠してるような雰囲気があるよな』
あぁ……。もう少し活発な感じだと思うんだが……。
「わたくしに何か付いておりますか?」
「あっ……いや、何でもないよ……」
無意識の内に顔を見ていたみたいだな。王女は顔……特に瞳はあまり見られたくないような、そんな意思を感じるからな。
無意識とは言え、失礼だったよな。
「すまん、王女」
「ん?何がですの?」
「さっきのことだよ」
「さっき……あぁ。気にしないでください」
気を遣わせてばかりだな。本当に面目ない。
「どうこう考えてる内に着いたな……」
ここには中央に繋がる道がある。多分、ここの魔物が一番強い。魔力の保持量がカインドのところや東のところの魔物とでは格が違う。
「王女、気を引き締めて行くぞ」
「えぇ……まぁ、あなたが居りますし、万が一なんてあり得ませんよ」
「なんだよ……俺はそんなに信頼される程の実力者じゃねぇよ」
「今は……でも、いつか分かりますわ」
最短で行ける道のりは……はぁ。全くねぇな。てか、よくもまぁ魔力が持つよ。
結構な時間、破壊してるよな。魔力が無限にあると言われても信じるほどだ。
「じゃあ、早速行くとするか」
よかった。さすがに頭痛は……。
「うぐっ………!がはっ!」
『!!!!なっ!またかよ!』
「や、やべぇ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ………」
毎度毎度こんなんだったら、死ぬな。
でも、収穫もあるな。この頭痛さえ、なければ完璧なんだけどなぁ。
どうにかできないかな?
『今度はどんなもんなんだ?』
魔力総量が今までの千倍以上になってる。
『は、はぁぁああ!?千倍ぃぃいいい!?!?』
そ、そりゃあ驚くよな……俺も俄には信じがてぇよ。
『見切りの覚醒……魔力量の増加……。この神殿はお前に何かを求めてるのかもしれないな』
俺に?なんで?
『さぁな?でも、こんな規格外の成長が、入り口に入っただけでだぞ?これは異常だ』
まぁ、確かにな……。
「…………」
「どうした、王女?考え事か?」
「えっ?あっ、いえ………」
本当にどうしたんだ?あまり触れられたくなさそうだし、良いか。
「そうか?」
「えぇ。それよりもグロス様を助けに行きましょう」
「おう」
時折聞こえる破壊音。それなのに、魔物は一切動く気配がない。
動けないと言う訳ではないだろうに……。
『まぁ、どうせ来る敵なんだ。待ち構えていた方が何かと楽だろ』
まぁ……俺としては、グロスが暴れてる間に鍵を取りに行きたかったんだがな。
『にしても、この鍵って鍵って感じしないよな』
まぁ、ひし形の鉱石みたいだからな。鍵には変わりないだろうし、気にしなくても良いんじゃねぇか?
『それもそうだが………なんでこんな形なのか気にならないか?』
えっ?別に?
『そ、そうか……じゃあ良いや』
もう少し走る速さを上げた方が良いな。
グロスがそろそろ魔物と接触する。今のグロスの魔力残量はそこまで多くない。
神武の維持には魔力があまり必要ではないとしても、かなりキツイんじゃないだろう。
「『居合い抜き』」
五月雨のように魔力でコーティングすれば、かなりの威力になるはず……。
「よし!王女、行くぞ!」
「はい」
あともう少しなんだ。だから早まるなよ……グロス。今のお前では勝てない。
絶対に勝負なんて仕掛けるなよ……。
~~~~
「はぁ……はぁ……くそ………!」
たかが魔物だと侮っていた。このオーク、格が違ぇ。俺の魔法が何も効いてない。
「もう少し魔力を温存すべきだったな……」
方向音痴も考えようだな。
魔法はあと二回ほどしか使えないか……。
不意を付くしかないか……。
「『空間切削』」
神武が短剣だなんて、不運もなかなかだな。
「…………」
「ちっ……効かねぇか」
さて、このあとどうしたものかな。こいつは良くも悪くもこの場を動かない。
「魔法が放てねぇ……もう物理しかねぇか」
多分、こいつは俺らの言葉を理解できる。
ならば、これで誘い出せる筈だ。
「ふっ……正真正銘のクズだな……」
俺が弱ったと知った瞬間、動きやがった。元々神武じゃ攻撃が通らないからな。
相手からしたら好機だろうな。
気持ち悪りぃ顔しやがってよ。ムカつくぜ。まぁ、それもこれまでだ。
「こっち来んなよ……止めろよ……」
さぁ、もっとよってこいよ?それがお前の死に時だけどな。
「グォオオ!!」
「………!!!」
今だ!
「『空間歪』」
空間ごと奴の攻撃を無効化する。ついでに腕が歪んで攻撃もしづらくなる。
「なっ!!」
確かに攻撃は無効化した。だが、腕には何も変化がない。
いくら魔王級と言えど、それは反則だろ。
「ははっ……もうダメだな」
万策尽きたな。
「グガァァアアア!!!」
はっ。怒らせちまったみたいだ。それもそうか。不意打ちを受けたんだしな。
「『月光の刃』」
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