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最弱の魔法戦闘師、旅に出る
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「ぐ、はっ………だ、誰ですか……結界が破られたとでも……」
この膨大な魔力……。予想以上だな……。あの短時間でこの成長ぶりは……ホントの天才だな。
「さっきぶりだな……レイト」
「何しに来たかは知らねぇが、助かったぜ、グロス」
(な、なんでこいつが!?)
あぁ……。どんな心境の変化かしらねぇが、警戒するに越したことはねぇな。
「だ、誰です……」
「あっ?黙ってろ、カスが一撃与えたぐらいで粋がるな」
「!!!あなたも魔法戦闘師ですね……魔法戦闘師は皆、態度が大きいですね。心底ムカつきますよ」
あの口調で言ってることがさっきから合ってないんだな。
だが、グロスはどっちの味方なんだ?
(いや、どっちでもないだろ……あのグロスが俺に恨みがないわけがない)
確かにな……。
「あなたから殺して差し上げます」
「…………」
「その目………その人を見下す目が気に入りませんね……」
消えたな……。反応しないのか?
「………何してんだ?」
「!!!なぜ攻撃が当たらないのですか!?」
「………俺の番な」
「………っ!!!!はがっ!?」
………こいつは桁違いに強くなったな……。こっちだと一日も経ってないってのに……。
「さて……」
「………」
本題は俺様たちってことか。まぁ、そりゃそうか。でなければこんなところまで来る筈がないもんな。
「………!!!」
(なっ!?こいつ急にどうしたんだ!?)
俺様に跪くなんて………。どんな心境の変化だ……??
「俺は決闘でお前に負け、奴隷になった……それを撤回する機会をくれ」
「……………」
そう言えば、そんなこともあったな。俺様らからしたら、気になることでも無かったけどな。
「俺は今……お前に逆らえない。こんなにお前を……殺してぇのにな……」
「…………そうだよな」
俺様にも分かる……。
(…………本能……グロス)
「分かった。話を聞こう」
「さっきの会話。俺が手伝ってやる」
「………人形のことか?」
「あぁ。俺が一緒に人形をぶっ潰してやる。だから……」
「奴隷から解放しろと?」
「………あぁ」
まぁ、俺様としても、それは好条件だ。ぶっちゃけ、あの程度の野郎に遅れを取ってる時点で、危惧していた。
「分かった」
「そうか……じゃあ、王女を連れて結界から出ろ」
「お前は?」
「副団長を潰す」
「………気付いてたのか」
やっぱりか………。さっきの奴は他の奴にはない紋章があった。
それに加え、副団長にしては手応えがない奴らばっかだった。
となると、副団長を倒してないことになるだろう。
「任せて良いのか?」
「あぁ。この程度、一分も必要ねぇ」
「………すまん」
理性、代わるぞ。俺様の精神力がさっきの攻撃で半分以下になっちまった。
このままだと、この体が使い物にならなくなっちまう。
(ホントかよ!?分かった)
~~~~
「よし。じゃあ、行くか」
王女を抱え、結界の外へと出た。起きる気配は全くもってない。
「にしても………グロス強くなってたな……」
『あぁ。あの領域にたった数時間でたどり着くってのは……天才以外に表しようがねぇ』
だよな。理由、分かるか?
『十中八九、俺様に対する復讐心だろうな』
だよなぁ。仮に人形を倒したとして、その後が問題だよな。
『あぁ。勝てる未来が見えねぇ。技を見破ることも不可能だった』
「はぁ?!どう言うことだよ?」
『あいつ……固有能力が覚醒してる』
「覚醒?」
なんだよ、それ?どんなもんなんだ?その、覚醒ってやつは?
『簡単に言えば、その固有能力を完全に引き出す……それ以上の力を引き出すことだ』
「なっ!?ってことは……」
『あいつは、本能無しでお前と同じ領域に達している』
………。
『俺様が全力を出しても、かすり傷をつけるのが精一杯だな』
なんで……。なんで、俺の周りにはそんな奴しか居ないんだよ……。
『レイト……』
どれだけ修行したと思ってんだ!!どれだけ修行したとしても、結局才能には勝てないのか?
じゃあ、俺のやってたことは何だったんだよ!
なぁ、本能……俺、今まで何やってたんだろ……。
なぁ……答えてくれよ……。俺は何のために修行を……??
『………きっと、俺様が言えることじゃねぇだろうけどよ……お前だって才能があるじゃねぇか』
「なんだよ?皮肉か?そんなの求めてねぇよ」
くそっ!こんな、大事な時に……。卑屈になっちまったらいけねぇのにな……。分かってんだよ、俺もよ……。
でも……。
『お前は……努力ができる。誰よりもだ。俺様が保証する。お前は努力の天才だって』
ありふれたもんだよな…。なんの受け売りか知らねぇがよ。気休めにもならねぇよ。
「悪かったとは、思ってんだよ……。俺があんな仕打ちを受けるのも仕方がなかったと今は思う」
「………グロス。いつの間に?」
「ついさっきだ」
まさか、あのグロスと一緒に旅をすることになるとはな……。
「陸強共戦には頼れない状況になった」
「なぜ?」
「どれだけクズな国でも、強国だ。多分、俺らは反逆者だ。となると、国家間の共戦には参加できなくなるだろう…」
「……好都合だ。もとより頼る気はなかった」
「……そうか」
どんどん嫌な方向にことが進む。何も上手くいかない。どうしてだ?
体の動きがあの空間と全然違かった。
あの違和感を、修正しないといけない。
体が上手く動かせれば、いける筈なんだ……。
『追い込まれすぎだ。焦るのは分かる。でも、それは今じゃない』
………すまん。取り乱した。
「しっかりしろ。今はまだ、俺の主だ。情けないと……お前から潰しかねん」
「………変わったな、グロスは」
「…………お前のおかげだ。お前のおかげで俺は成長できた。それは確かだ……強さは武力だけを指すものじゃない。人を導くのも……立派な強さだ」
「……………グロス」
こいつにこんなことを言われるとはな……。ホントに変わったよ、お前は。
「…………カインドと合流しよう」
この膨大な魔力……。予想以上だな……。あの短時間でこの成長ぶりは……ホントの天才だな。
「さっきぶりだな……レイト」
「何しに来たかは知らねぇが、助かったぜ、グロス」
(な、なんでこいつが!?)
あぁ……。どんな心境の変化かしらねぇが、警戒するに越したことはねぇな。
「だ、誰です……」
「あっ?黙ってろ、カスが一撃与えたぐらいで粋がるな」
「!!!あなたも魔法戦闘師ですね……魔法戦闘師は皆、態度が大きいですね。心底ムカつきますよ」
あの口調で言ってることがさっきから合ってないんだな。
だが、グロスはどっちの味方なんだ?
(いや、どっちでもないだろ……あのグロスが俺に恨みがないわけがない)
確かにな……。
「あなたから殺して差し上げます」
「…………」
「その目………その人を見下す目が気に入りませんね……」
消えたな……。反応しないのか?
「………何してんだ?」
「!!!なぜ攻撃が当たらないのですか!?」
「………俺の番な」
「………っ!!!!はがっ!?」
………こいつは桁違いに強くなったな……。こっちだと一日も経ってないってのに……。
「さて……」
「………」
本題は俺様たちってことか。まぁ、そりゃそうか。でなければこんなところまで来る筈がないもんな。
「………!!!」
(なっ!?こいつ急にどうしたんだ!?)
俺様に跪くなんて………。どんな心境の変化だ……??
「俺は決闘でお前に負け、奴隷になった……それを撤回する機会をくれ」
「……………」
そう言えば、そんなこともあったな。俺様らからしたら、気になることでも無かったけどな。
「俺は今……お前に逆らえない。こんなにお前を……殺してぇのにな……」
「…………そうだよな」
俺様にも分かる……。
(…………本能……グロス)
「分かった。話を聞こう」
「さっきの会話。俺が手伝ってやる」
「………人形のことか?」
「あぁ。俺が一緒に人形をぶっ潰してやる。だから……」
「奴隷から解放しろと?」
「………あぁ」
まぁ、俺様としても、それは好条件だ。ぶっちゃけ、あの程度の野郎に遅れを取ってる時点で、危惧していた。
「分かった」
「そうか……じゃあ、王女を連れて結界から出ろ」
「お前は?」
「副団長を潰す」
「………気付いてたのか」
やっぱりか………。さっきの奴は他の奴にはない紋章があった。
それに加え、副団長にしては手応えがない奴らばっかだった。
となると、副団長を倒してないことになるだろう。
「任せて良いのか?」
「あぁ。この程度、一分も必要ねぇ」
「………すまん」
理性、代わるぞ。俺様の精神力がさっきの攻撃で半分以下になっちまった。
このままだと、この体が使い物にならなくなっちまう。
(ホントかよ!?分かった)
~~~~
「よし。じゃあ、行くか」
王女を抱え、結界の外へと出た。起きる気配は全くもってない。
「にしても………グロス強くなってたな……」
『あぁ。あの領域にたった数時間でたどり着くってのは……天才以外に表しようがねぇ』
だよな。理由、分かるか?
『十中八九、俺様に対する復讐心だろうな』
だよなぁ。仮に人形を倒したとして、その後が問題だよな。
『あぁ。勝てる未来が見えねぇ。技を見破ることも不可能だった』
「はぁ?!どう言うことだよ?」
『あいつ……固有能力が覚醒してる』
「覚醒?」
なんだよ、それ?どんなもんなんだ?その、覚醒ってやつは?
『簡単に言えば、その固有能力を完全に引き出す……それ以上の力を引き出すことだ』
「なっ!?ってことは……」
『あいつは、本能無しでお前と同じ領域に達している』
………。
『俺様が全力を出しても、かすり傷をつけるのが精一杯だな』
なんで……。なんで、俺の周りにはそんな奴しか居ないんだよ……。
『レイト……』
どれだけ修行したと思ってんだ!!どれだけ修行したとしても、結局才能には勝てないのか?
じゃあ、俺のやってたことは何だったんだよ!
なぁ、本能……俺、今まで何やってたんだろ……。
なぁ……答えてくれよ……。俺は何のために修行を……??
『………きっと、俺様が言えることじゃねぇだろうけどよ……お前だって才能があるじゃねぇか』
「なんだよ?皮肉か?そんなの求めてねぇよ」
くそっ!こんな、大事な時に……。卑屈になっちまったらいけねぇのにな……。分かってんだよ、俺もよ……。
でも……。
『お前は……努力ができる。誰よりもだ。俺様が保証する。お前は努力の天才だって』
ありふれたもんだよな…。なんの受け売りか知らねぇがよ。気休めにもならねぇよ。
「悪かったとは、思ってんだよ……。俺があんな仕打ちを受けるのも仕方がなかったと今は思う」
「………グロス。いつの間に?」
「ついさっきだ」
まさか、あのグロスと一緒に旅をすることになるとはな……。
「陸強共戦には頼れない状況になった」
「なぜ?」
「どれだけクズな国でも、強国だ。多分、俺らは反逆者だ。となると、国家間の共戦には参加できなくなるだろう…」
「……好都合だ。もとより頼る気はなかった」
「……そうか」
どんどん嫌な方向にことが進む。何も上手くいかない。どうしてだ?
体の動きがあの空間と全然違かった。
あの違和感を、修正しないといけない。
体が上手く動かせれば、いける筈なんだ……。
『追い込まれすぎだ。焦るのは分かる。でも、それは今じゃない』
………すまん。取り乱した。
「しっかりしろ。今はまだ、俺の主だ。情けないと……お前から潰しかねん」
「………変わったな、グロスは」
「…………お前のおかげだ。お前のおかげで俺は成長できた。それは確かだ……強さは武力だけを指すものじゃない。人を導くのも……立派な強さだ」
「……………グロス」
こいつにこんなことを言われるとはな……。ホントに変わったよ、お前は。
「…………カインドと合流しよう」
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