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最弱の魔法戦闘師、修行する 1

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そうだ。気になっていたことがあるんだ。

『どうした?』

さすがにずっと俺の心の声を聞かれるのは嫌なんだが……どうにか出来ないか?

『ふむ………賢者に聞くのはどうだ?』

えっ?けど、居るか分からないぞ?

『物は試しだ』

分かった。取り敢えず森に引き返す。で、居なかったらどうするんだ?

『そんときは俺様らで考えりゃ済むだろ?』
「…………それもそうだな」

さて、じゃあ戻るとするか。

~~~~

「賢者さーん。居ますか?一つお聞きしたいことがありまして………本能について」
「………………なんの用事で?」

!!!!!!
きゅ、急に現れたらビックリするだろ?!いや、俺が呼んだからビックリするのは失礼なんだろうけれどさ……。

「ずっと本能が俺の心の声を聞こえるのは嫌なんだ。どうにか出来ないか?」
「………………方法はある」
「本当か?じゃあ早速……」
「出来るとは言っておらんだろ?」
「えっ?」

はっ?ちょ、ちょちょちょ!ちょっと待ってくれよ!あそこまで言って出来ないと言うオチか!?

この賢者絶対に友達居ねぇだろ?!(←ブーメラン)

くそっ!

「じゃが………出来ないとも言っておらんだろ?」
「……………」

一発殴って良い?良いよな?なんであんなどや顔なん?

マジでさぁ。凄い焦らすやん。

「方法を教えてくれ」
「何を言っておる?そしたらお前さんは行ってしまうだろ?」
「………ん?」

この賢者、何言ってんだ?いろんなもん拗らせ過ぎたんじゃねぇのか?

「まさか、対価もなしに貰えるとでも思ったのか?」
「………………」

……………ふざけてんのか?探しに来たのは俺だが語り始めたのはほぼ賢者だろ?

なんで俺が対価を払わなきゃいけんのだ?

「なぁに、簡単なことだよ」

こう言うのは大抵面倒なもんを押し付けられる。絶対に簡単なことじゃねぇんだよ。

簡単なら前置きしねぇだろ。絶対にやりたくねぇよ……。

「我と友達になろうぞ」
「……………はっ?」

ともだち?ともだちにって何?俺分かんない…………。

『思考停止するな。こんな威厳のカケラもねぇ奴とこの俺様が友達だと?反吐が出るわ』

俺の本能は普通に口悪いな。

「嫌ならば………ここで消すしか……」

この賢者はヤバイ奴過ぎるだろ?!なんで俺の周りには変な奴しか集まんねぇんだよ!?

「わ、分かった。友達になろうぜ?」

今はなんでも良いからこの賢者を宥めなければならない。
そうでもしなければここで死ぬ。

そんなのは嫌だ。死だけは回避しなければ………。

「ほ、本当か?」
「勿論だ。だから落ち着いてくれよ、な?」

人の顔色を窺うのがこんなに大変だとはな。理事長に媚売ってる先生たちはすげぇな。

俺だったら耐えられる自信が全くないな。

てか、なんだよ友達になろうって。人格と合ってなさすぎて気持ち悪いわ。

「まぁ、冗談は置いておこう」
「…………冗談?」

本当か?なら良いが………けど、まぁ……友達なんて俺にも分からんし、本能自体も嫌がってるし、良かったのだろうな。

「方法は我も一つしか分からない………失敗も許されないぞ?本当に良いのか?」
「……!!!!」

くっ………なんつう気迫だ。空気がピリついてきやがった。

だが、ここで退いては面目も立たないし、不都合が生じる。

「ふっ………決心がついたようだな『異時空空間』」
「…………な、なんだ!?!」
『こいつは………本当にヤバイぜ……』

えっ!?ヤバイって何!?俺死ぬの!?

『直感だが、この空間はヤバイと思っただけだ。どういう風にヤバイのかは俺様も分からん』

「…………うっ」

眩しい……いや、視界に入るものの色が変わった………?全面真っ白?

「ここは………」
「我が創った空間………と言えば分かるかな?」

いや、分かんねぇよ!てか、空間って創れんのかよ!?

「時空と空間に作用するこの空間は元の世界と時間の流れが全く異なる」

あぁ、くそ!本当に分かんねぇ!
理解が追い付かない。

「我に勝てば方法を教えてやる。我も本気で相手をする。最悪………死ぬ」
ゾクッ
「……………」

くっ………体が思うように動かない……。恐怖だ。俺は今、あの賢者を恐れた。
いや、あの気迫に押されている。

このままではあの賢者の思う壷だ。

「我を殺す気で来い!でなければ死ぬのは………貴様の方だぞ!」
「くっ……!!!」
『俺様に変われ!でなければ本当に死ぬぞ!お前が死んで困るのは俺様なんだぞ!』

くそっ!だからって………。

『ごちゃごちゃ言うな!死ぬぞ!早く交代の承諾しろ!』

「始めは………初級魔法、火炎球だぞ!」
「くそっ!もう、どうにでもなれ!」

承諾する!

『よし!』

「……………………久しぶりだぜ」
「!!!!!」

(こいつ………一瞬で数えきれない程の火炎球を消しやがった)

俺様の理性。絶対に越えられない壁ってもんを見せてやるよ!

「ふっ……結局本能頼りか……ザコは希望にすがりたがるな」
「!!!!」
(!!!!!!)

むかつく野郎だ!絶対にぶっ潰してやる!

「見切り抜刀」
「………!!!!」
(はっ!?!?)

くそっ!避けられたか!

「ほう………我の空間に傷を付けるとは……流石は本能だ」
「はっ!余裕ぶれるのも今のうちだぜ?」

~~~~

(す、凄すぎる!まさか、賢者と同等に戦うなんて……!!!)

「やるなぁ!」
「このクソ野郎が!さっさと死ねや!」

(本能も本能で楽しそうに戦ってやがる。どっちも凄い余裕がある。……………俺には、無理だ)

「自分の弱さに気付く頃であろう?」
(!!!!!)

…………戦ってみるか?この賢者、なかなか強ぇぜ?まぁ、俺様の次ぐらいだがな。

(………いや、良いよ……。俺では、こんな戦い無理だ)

「はぁ…………」
(えっ!?)

「お?戦う気になったのか?」
「ど、どう言うことだよ!?このまま戦えば勝てるかもしれないだろ?!」

なんで止めるんだよ?
これじゃあ、目的に近付けないだろ?

『お前の目的………それは強くなることじゃないのか?俺様に頼ったら、お前は強くなれない。そしたら俺様も強くなれない』

そ、そうだが………。

「信念を強く持て。お前さんは何にそんなに打ちのめされたのだ?」
「…………自分の弱さだよ」
「では強くなれば良い!さぁ、来い!」

『やってやれ!お前なら絶対に勝てる!』

本当にそう思ってるのか?

『本能に世辞が言えるとでも思ってんのか?』

「そうだな………そうだよな!」

自信を失くすな、俺!今は目の前の強大な敵をぶっ飛ばす事だけを考えろ!
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