最弱の魔法戦闘師、最強に至る

捌素人

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最弱の魔法戦闘師、本契約する 1

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(てか、いつまで俺はこう言う風になってれば良いんだ?)

おっと、すまない。完全に忘れてた。

(一旦部屋に戻ろうぜ。決闘が行われた日は午後からの授業なんだよ)

そうなのか?じゃあ一回戻るとするか。お前とは今後についても話し合わないといけないしな。

(確かにな)

~~~~

「そうそう。この感覚だよ!」

久し振りに実体を持ったな。やっぱり霊体よりこっちの方が断然良い。

『久し振りで嬉しいのは分かった。取り敢えず座れ』

「ははっ……座るのも久し振りだな」

まぁ、何はともあれ、こっちだって聞きたいことがごまんとある。

『取り敢えず、だ。俺様たちの個人的な質問は置いておこう。俺様たちが初めにするべきことは、本契約だ』

決闘の前にもそんなことを言っていたな。

「そもそも本契約ってのはなんだ?」

自分自身なのだから契約も何も無いじゃないのか?

『それも契約内容と一緒に話してやるよ』

その言い方だと今はまた、違う話からすつるつもりか?他にどんな話があるんだ?

契約についてならば、内容以外に知りたい情報なんて無いんだが。

『俺様の正体、気になるんじゃねぇか?』
「えっ?」

けどまぁ、確かに気になりはするな。そもそもなんで今になっての登場なんだ?

瞑想だけが理由ではないだろう。瞑想をして無くても声を聞くことはできる。

何がきっかけで俺の本能が喋りだしたのか。それに、本能とは他の奴らにも存在するのか。

気になり始めたらキリがない。

『やはり本契約する前に話そうと思ってな』

そう言えば、俺の心で思ったことは俺の本能には聞こえてないのか?

「出端を挫くようで悪いが、少し良いか?」
『どうした?』
「お前は俺の心の声みたいのは聞こえないのか?」
『聞こえねぇな。多分理性が邪魔してるのかもな』
「お前でも分からないのか?」
『聞こえること自体知らなかったしな』

なるほど。俺が特別なのか?けど、なんで自分の考えなのにではなく聞こえるなのだろうか。

実体から離れた時点でもう自分ではないのか?
まぁ、どうでも良いか。こいつは知らないみたいだし。

ぶっちゃけ知る必要もないだろうし。

「そうか………分かった。じゃあ、続きの話を頼む」
『何か分かったら教える。まぁ、それで俺様の正体は…………お前だ』
「…………」

なぁ、こいつのこと殴って良い?良いよな。俺がそんな答えを求めてると思ってるのか?

あれだ。そうだけどそうじゃないってやつだ。

『そ、そう怒るなよ………じょ、冗談だからさ……』
「笑って誤魔化す気か?」
『目が笑ってないぞ!?その圧はなんだなんだよ!?そんなんだから友達の一人も居ないんだぞ?』

こいつ……!!!黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって………そんなにシメてほしいのか?

『ん?誰か来るな………王女がお前の部屋に向かってきてるぞ』
「はぁ?そう言う言い訳は良いんだよ」
『本当だっての!』
「…………後で覚えてろよ?」
『へいへい。じゃあ一旦意識を戻すぞ』

~~~~

「あれ?もう戻ってる?」

前よりも体感では早い気がしたな。

「声に出せば聞こえるか?」
『何当たり前のこと言ってんだよ』

そうか………。つまり心の声以外ではいつでも意思の疎通が可能なのか。

まぁ、人目が付くところでは控えるか。俺がヤバイ奴になり得るからな。

「それでいつぐらいに到着するんだ?」
『はっきりとは……まぁ、そろそろ到着するとは思うぞ』
「そうか……分かった」

昨日、あんなことを言われたのだ。なんとなく気まずい。

そもそも俺の部屋に用事があるかどうかも分からない。もしかしたら近くを通っただけと言う可能性もある。

コンコンコン
「!!!!!!」

ほ、本当に来たのか?!

「だ、誰ですか……?」

平常心だ!平常心を保つのだ。まさか本当に俺の部屋に来たとはな………予想外にも程がある。
全くもって驚きが隠せない。

「わたくしですよ……」

何だろうか……昨日とは声音こわねが違うような………。

少し震えてるような声だな。一体どうしたのだろうか?

「フレミア様ですか?」
「…………えぇ。少しお話をしたく……」
「そう言うことでしたら、俺から出向いたのですが……」

嘘だ。誘われた場合、絶対にとんずらするだろうな。

「取り敢えず入ってください」

取り敢えず、本能が俺の言葉に反応しないからやりやすい。
一々反応されてはたまったものではない。

「では、失礼しますね……」

ドアを開けて登場した次期女王には少しの違和感があった………。服装は制服だし、外見で変わったことは無さそうなのだが……。

「あれ?護衛さんの姿が見えないのですが………?」
「今回はとても大切なお話なので………」
「大切な話?」

まさか、巨額の大金を支払う代わりに俺を学院から追い出すつもりか?

「はい…………わたくしの御守りがお役に立ったようですね」

お守り?どう言うことだ?てか、大事な話をするんじゃなかったのか?

「どう言うことです?」

お守りって………あっ、なんかポケットに入ってるな。改めて見るとしっかりとしてるな。

あれ?なんだか、魔力を感じるぞ?なんで紙…………あれ?このお守りは紙じゃない……。外見は紙なのに、どう言うことだ?

「そのままの意味ですよ。使ったのでしょ?を」
「!!!!!」

なぜそれを?いや、もし本当に次期女王の仕業ならば知っていて当然だろうが……。

俄に信じがたいな。でも、それを知ってると言うのが一番の証明になってる。

「それにしても、わたくしはとても驚きましたのよ?」
「????」

くっ………全く話が見えん。ただ、俺の本能が覚醒したのは次期女王の仕業と言うことは確実だな。

「思いませんか?なぜ能力値が五倍以上もある相手に勝てたのか?」
「そ、それはまぁ…………」

でも、それは本能が勝ち方知ってるとしたら………それすらもおかしいのか?

俺が強くならなければあいつは強くなれない。もし、知識や経験にま作用するなら、俺だって素の状態でグロスに対抗出来る筈だ。

つまり、多少の能力値を凌駕するが本能にはあるのだろう。

「それにですよ?そんな簡単に強くなれるなら、誰もが本能に向き合おうと思いませんか?」

確かにだ……。なんと言うか出来すぎてる気がするぞ………。次期女王は俺に何をさせるつもりなんだ?

「つまりですよ。本能の力を行使するには適正がある、と言うことです」

悔しいが、認めるしかなさそうだ。この次期女王がこのお守りを俺にくれなければ確実に負けていた。

適正があったのは偶然として、だ。

「で、何が望みなんです?」

こんな事を無償で人に与えるとは思えない。適正があった場合自分の敵をつくるようなものではないのか?

「ここに行ってもらえれば良いんです」

次期女王が地図で指したのは『全知の森』だった。俺も噂でしか聞いたことはないが、この森には全ての魔法を行使することが出来ると言う人が居るらしい。

「なぜです?」
「この森に行ってもらうことがわたくしの望みですのよ」

掴み所の無い人だ。けどれ、考え方を変えれば、これは良い機会だろうな。この森に行く道中で本能と話し合う時間も出来るからな。

「教師にはわたくしから言っておきますよ」
「なんで、そんなに?」
「これはわたくしのためでもあるので……」
「????」

まぁ、そこまでしてくれるのならば俺としても頑張らなければな。

「分かりましたよ………」
「ありがとうございます。では失礼しますね」

さて、次期女王も去ったことだし……。
「どう言うことだ?」
『俺様にもさっぱりだ』
「じゃあ、お前の正体は?」
『お前に封じられた本能………としか言いようがない』

そりゃそうだろうな。あくまでも俺の予測だしご都合主義な考え方になるが、あのお守りは本能を強制的に解放して、強くするためのものだ。

つまり、本能が封印されてるのは強くなれる奴なのではないだろうか。

「まぁ、さっきの話を聞いてたろ?行くとするか」
『だな。俺様も自分の事を少し知りたくなったぜ』
「それはお前の存在についてか?」
『それしかねぇだろ』

確かにな。よし、全知の森は意外と近いから準備物とかは特に無さそうだな。


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