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最弱の魔法戦闘師、決意する
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「それで…………お話と言うのは…………?」
俺は明日のことで頭がショートしそうなんだが……。
たが、相手は女王だし無下に扱ったら………それだけは避けなければならないな。
あれだけ言っておいて女王に無礼を働いて死にました、なんて死んでも死にきれないぜ。
「今日、あのグロスさんに歯向かったとお聞きしましたの。本当ですの?」
「…………あぁ。それで、それを聞くためにわざわざ次期女王様がいらしたわけないですよね」
この女王は何を考えているのか全くもって分からない。
表向きは分け隔てなく色んな人に話し掛けているためか、学院全体から見てもこの人を嫌う奴は居ないだろう。
しかし、この女王はこの国のトップになる人物だ。そして、その実力も半端ではない。
確か、学院で三位と聞いた。毎年三年生が一位から五位を占めているから、一年生でその中に入るのはイレギュラーとしか言いようがない。
つまり、裏では他の奴らをどう思ってるかなんて分からないということだ。
「勿論ですよ。フレイン、レイト様のお部屋から退室してもらえますか?」
「仰せのままに………」
手を腰ぐらいのところまで持っていき、その上でとてもキレイなお辞儀をしていた。
なんか、新鮮だ。まさかあのお辞儀をこんな間近で見ることになるなんてな……。遠目からなら一度見たことはあったが………。
まぁ、そんな事は置いておこう。付き添いの者を引っ込めたと言うことは、他の人に聞かれたくないという事だろうな。
俺では全くと言って良い程、予想つかない。
だが、きっと決闘に関する事なのだろう。
「さて、レイト様はわたくしの事を覚えてらっしゃいますか?」
「……………え?」
何時の話をしているんだ?名前を覚えたか遠回しに聞いているのか?
まぁ、覚えてないわけではないが、パッとは出てこないな。
「その反応だと覚えてないみたいですね………」
あからさまに悲しそうな顔をして見せる。
名前を覚えていない時点であなたとの面識は皆無ですよ。
こんな事を言ったら死ぬな。一番恥ずかしい死に方だな。
「まぁ、それは些細なことですわ」
「はぁ…………」
じゃあなんで聞いてきたんだよ。話の流れをつくるためか?俺は女王みたいに頭良くないから分からん。
「あちらに座ってもよろしいでしょうか?」
「………へっ?」
丸机を挟んで対面するように座っていたが、急に俺のベッドに座りたいと言い出した。
椅子みたいのがないと落ち着かないのか?まぁ、座布団に座らせるなんて、俺の肝っ玉はなかなかに据わってるな。
「まぁ………好きにしてください」
「ありがとうございます」
一礼してから俺のベッドの方へ移動した。
本当に座ったぞ。冗談ではないみたいだ。
女王を見上げるような位置に座っているせいか、いつもは隠れている瞳を見ることが出来た。
「女王様の瞳は青紫色なのですね」
「えっ?」
青や緑は時々見るが青紫はあまり見ないな。
まぁ、目元を隠しているということは見られたくないからだろうな。
お節介かもしれないが、フォローしておいた方が良さそうだ。
「とてもキレイな瞳ですね」
「………………」
こうやって顔全体を眺めると本当に整った顔だな。これなら確かに男子が群がるのも分かる。
女王が教室にいる時程穏やかな時間はないからな。初めは女王に媚売っているのかと思ったが違ったみたいだな。
まぁ、だからと言って俺もそうなるかと言うと、俺はそうはならない。住む世界が違うということを知ってるからな。
「それで、女王様が直々になんのようで?」
なんだか、敬語を使っている自分に吐き気がした。勿論、相手が怒るようであれば敬語を使用するが。
「………………」
赤面をしたまま微動だにしないため、そしてこっちとしても時間が惜しいため、強引にいかせてもらおう。
「なぁ、話があったんじゃないのか?話すことがなければ出ていってもらえないか?」
こんな言葉遣いをしていたら、普通は死ぬな。
今日だけで何回死を感じたことか。こんな日常に気が滅入る。
まぁ、それも明日までだけどな。
「あ、あぁ……すみません。実はこれをお渡ししたくて………」
「……………これは?」
女王がポケットから出したのは手作りのお守り?のような物だった。
「わたくしが誠心誠意込めて作った御守りです」
「なんで、これを俺に?」
上位の人物にとって俺は目障りな存在だろうに………。まさか大怪我をさせるとか悪い意味を持っているのではないか?
「いつか分かりますよ。こう言うのは辛いのですが、明日の決闘、負けてくださいね」
「………………期待どおりに」
「悪い意味ではありませんのよ?」
良いよ。別に取り繕う必要もない。結果的に俺の味方は誰も居ないと言うことが分かっただけでも、充分だ。
「これで全部か?なら、帰ってくれ。俺は忙しいのでな」
「……………分かりましたわ。それでは明日」
「……………」
本当ならば、反発すべきなのだろう。意地でも勝とうとするだろう。
でも、そんなことをして俺に何が残るんだ?この学院に思い入れは全くない。ならば潔く諦めた方が賢明な判断だろう。
だが、俺だってタダでは負けない。抗いまくってやる。
折角もらったチャンスだ。今までの鬱憤を、晴らさせてもらうぞ。
俺は明日のことで頭がショートしそうなんだが……。
たが、相手は女王だし無下に扱ったら………それだけは避けなければならないな。
あれだけ言っておいて女王に無礼を働いて死にました、なんて死んでも死にきれないぜ。
「今日、あのグロスさんに歯向かったとお聞きしましたの。本当ですの?」
「…………あぁ。それで、それを聞くためにわざわざ次期女王様がいらしたわけないですよね」
この女王は何を考えているのか全くもって分からない。
表向きは分け隔てなく色んな人に話し掛けているためか、学院全体から見てもこの人を嫌う奴は居ないだろう。
しかし、この女王はこの国のトップになる人物だ。そして、その実力も半端ではない。
確か、学院で三位と聞いた。毎年三年生が一位から五位を占めているから、一年生でその中に入るのはイレギュラーとしか言いようがない。
つまり、裏では他の奴らをどう思ってるかなんて分からないということだ。
「勿論ですよ。フレイン、レイト様のお部屋から退室してもらえますか?」
「仰せのままに………」
手を腰ぐらいのところまで持っていき、その上でとてもキレイなお辞儀をしていた。
なんか、新鮮だ。まさかあのお辞儀をこんな間近で見ることになるなんてな……。遠目からなら一度見たことはあったが………。
まぁ、そんな事は置いておこう。付き添いの者を引っ込めたと言うことは、他の人に聞かれたくないという事だろうな。
俺では全くと言って良い程、予想つかない。
だが、きっと決闘に関する事なのだろう。
「さて、レイト様はわたくしの事を覚えてらっしゃいますか?」
「……………え?」
何時の話をしているんだ?名前を覚えたか遠回しに聞いているのか?
まぁ、覚えてないわけではないが、パッとは出てこないな。
「その反応だと覚えてないみたいですね………」
あからさまに悲しそうな顔をして見せる。
名前を覚えていない時点であなたとの面識は皆無ですよ。
こんな事を言ったら死ぬな。一番恥ずかしい死に方だな。
「まぁ、それは些細なことですわ」
「はぁ…………」
じゃあなんで聞いてきたんだよ。話の流れをつくるためか?俺は女王みたいに頭良くないから分からん。
「あちらに座ってもよろしいでしょうか?」
「………へっ?」
丸机を挟んで対面するように座っていたが、急に俺のベッドに座りたいと言い出した。
椅子みたいのがないと落ち着かないのか?まぁ、座布団に座らせるなんて、俺の肝っ玉はなかなかに据わってるな。
「まぁ………好きにしてください」
「ありがとうございます」
一礼してから俺のベッドの方へ移動した。
本当に座ったぞ。冗談ではないみたいだ。
女王を見上げるような位置に座っているせいか、いつもは隠れている瞳を見ることが出来た。
「女王様の瞳は青紫色なのですね」
「えっ?」
青や緑は時々見るが青紫はあまり見ないな。
まぁ、目元を隠しているということは見られたくないからだろうな。
お節介かもしれないが、フォローしておいた方が良さそうだ。
「とてもキレイな瞳ですね」
「………………」
こうやって顔全体を眺めると本当に整った顔だな。これなら確かに男子が群がるのも分かる。
女王が教室にいる時程穏やかな時間はないからな。初めは女王に媚売っているのかと思ったが違ったみたいだな。
まぁ、だからと言って俺もそうなるかと言うと、俺はそうはならない。住む世界が違うということを知ってるからな。
「それで、女王様が直々になんのようで?」
なんだか、敬語を使っている自分に吐き気がした。勿論、相手が怒るようであれば敬語を使用するが。
「………………」
赤面をしたまま微動だにしないため、そしてこっちとしても時間が惜しいため、強引にいかせてもらおう。
「なぁ、話があったんじゃないのか?話すことがなければ出ていってもらえないか?」
こんな言葉遣いをしていたら、普通は死ぬな。
今日だけで何回死を感じたことか。こんな日常に気が滅入る。
まぁ、それも明日までだけどな。
「あ、あぁ……すみません。実はこれをお渡ししたくて………」
「……………これは?」
女王がポケットから出したのは手作りのお守り?のような物だった。
「わたくしが誠心誠意込めて作った御守りです」
「なんで、これを俺に?」
上位の人物にとって俺は目障りな存在だろうに………。まさか大怪我をさせるとか悪い意味を持っているのではないか?
「いつか分かりますよ。こう言うのは辛いのですが、明日の決闘、負けてくださいね」
「………………期待どおりに」
「悪い意味ではありませんのよ?」
良いよ。別に取り繕う必要もない。結果的に俺の味方は誰も居ないと言うことが分かっただけでも、充分だ。
「これで全部か?なら、帰ってくれ。俺は忙しいのでな」
「……………分かりましたわ。それでは明日」
「……………」
本当ならば、反発すべきなのだろう。意地でも勝とうとするだろう。
でも、そんなことをして俺に何が残るんだ?この学院に思い入れは全くない。ならば潔く諦めた方が賢明な判断だろう。
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