1 / 50
最弱の魔法戦闘師、決闘を申し込む
しおりを挟む
実力主義。どこもかしこも、そんな言葉で埋め尽くされている。何をしたってその言葉で済む。そんな環境………腐ってる。いや、俺だってきっと、力があればそんな環境は万々歳なんだろうな……。
この魔術学院カムイは実力さえあれば学院内で許され無いことなんて……絶対にない。そう……たとえ実力のない人を殺したとしても……。
そんなルール間違っている。でも、俺ではこんな腐った学院を正すことが出来ない。
俺もやられる側だからだ。俺はこの学院で最弱の烙印を持っている。
毎日一方的に暴力を受けても、やり返すことも出来ない。
こんな自分自身に嫌気が差す。
「おいおいおい!ゴミが俺らと同じ言葉話してんぞ?これ良いのか?良いわけねぇよなぁ!!」
「!!!!!!」
体が動かない……。その言葉で体が完全に硬直した。その言葉は俺に対してではない筈なのに。
「す、すみませ…………」
「だからぁぁあ、何喋ってんだって言ってんだよ。一方的に話すなんて悲しいことすんなよなぁ?」
やっぱりあいつはクズだ。学年で一番の発言力がある。実力も学年で二番だ。
発言力も相まってこの学年であいつに物申せる奴なんて、絶対に居ない。
こんな教室の真ん中で朝っぱらから集団で………。
「おい………止めてやれよ」
「あ"?誰だ?」
いつもは入らない邪魔に少し戸惑うかと思ったが、平常みたいだ。
「はっ!なんだよ、びっくりさせんなよな。……………んで、俺の邪魔したんだ……。死ぬ覚悟、あるんだろうなぁ!!??!?」
「っ!!!!」
なんと言う威圧感だ……。体の震えが止まらない。
だが、こんなことでは今までと何も変わらないじゃないか。
「お、お前こそ………お、俺にややややられるのが………怖いんじゃ……ないか?」
自分でも意味が分からない。あいつが何時俺に恐れた?
くそ………恐怖に打ち克たなければならないのに………。
「はぁ?何言ってんのか分かんねぇんだけどぉ?」
どうすれば良いんだ……。
周りの雑音のせいで考えが全くまとまらない。
「おいおいおい。まさかビビっちまったのか?俺は何もしてないだろ?」
その顔が無性に腹立つ。人を見下すかのようなその笑み。
「じゃ、じゃあよ………明日、決闘しようぜ?」
その言葉のあと、沈黙がこの教室を支配していた。だが、それはたったの一瞬だった。
次の瞬間には机を蹴飛ばす音が聞こえた。
「!!!!」
「決闘だと?お前ごときに決闘だと?」
さっきまでの雰囲気が嘘のように、物凄い殺気を放ってくる。
決闘を申し込むと言うことは、順位の変動にも関わる。二位にワーストワン。
簡単に勝てるなら乗ってきそう気もするが、実際はもっと複雑な仕組みなのだ。
「その決闘で俺には何の利益もない。俺が勝っても順位の変動はない。俺の実力を示すことも出来ない」
そう。この決闘は受ける必要性が完全にない。俺が負けてもそれが必然。俺が勝てば順位の変動。あいつの周りからの視線だって変わるだろう。
どう考えたって利益があるのは俺の方だ。
だからこそ、俺は賭けに出る。これならばあいつだって食い付く筈だ。
「俺が負けたら、この学院を辞めてやるよ」
上位の奴らにとっては俺は目障りで仕方がないだろう。だからこそ、それをダシにすれば食い付くだろう。
俺自身でこの学院を変えたかったが、仕方がないだろう。今は手段なんて選べないからな。
「そりゃ良いな。先生等も含めて上位の俺等にとってはお前が目障り極まりないからな」
やはりか。まぁ、先生方は俺の技術の一つを認めてくれているから、そこまで酷い扱いを受けていない。
それが逆に気に入らないのだろうとは前々から気付いていた。
これは皮肉の策だが仕方ない。まぁ、そう思いながらも心では相当喜んでいる自分が居るのは否めないが。
「じゃあ決まりだな。申請は俺が出しておくよ」
「いや、理由も含めて俺から言っておいてやるよ。その方が融通が効く。どっかの雑魚とは違ってな」
チッ………言ってろ。周りの奴らもゲラゲラと笑いやがって。心底呆れた根性だ。
だが、良かった事に集団で攻撃されていた被害者からは目が逸れたみたいだ。
金輪際、あんな被害者を出さないようにしないとな。
まぁ、それはやはりこの学院を変えなければならないだろうが……。まぁ、それは後世の奴らに託すとしよう。
~~~~
あのあとはなんの障害もなく一日を過ごした。俺の場合は上位に入れる実力はないが、先生と言う後ろ楯があるからそこまで攻撃されることはない。
明日に全てを賭けた俺としてはなんだか不思議な気分だ。
どうせ俺は奴には勝てない。分かりきっている。
ドカッ
「???」
一日の授業が終わり寮に帰ろうと廊下を歩いていると、何かにぶつかってしまった。
「あっ…………すみません……??あなたは?」
目の前には仁王立ちで立っている男性が居た。教師でもなければ学生でもない。だが、どこかで見たことがある。
「………………」
無言で俺を見下してくる。もう少しで思い出せそうなのだが……一体どこで見たのだか……。
「あら、もういらしたのですか?」
俺の部屋の方角から来たのはこの国を担う次期女王の………名前が長くて覚えてないや。
「そのお顔だとわたくしの事は覚えてないようですね。わたくしの名前はフレミア·ソフィリア·ファン·ラングランドと申します。これからは親しくミアとでもお呼びくださいませ」
そんなことしたら僕の首は必ず飛ぶな。
それよりも、なぜ次期女王が……?
警戒するに越したことはないか……。
「立ち話もなんですし、良ろしければレイト様のお部屋に伺ってもよろしいでしょうか?」
本当に何が狙いなんだ?
この魔術学院カムイは実力さえあれば学院内で許され無いことなんて……絶対にない。そう……たとえ実力のない人を殺したとしても……。
そんなルール間違っている。でも、俺ではこんな腐った学院を正すことが出来ない。
俺もやられる側だからだ。俺はこの学院で最弱の烙印を持っている。
毎日一方的に暴力を受けても、やり返すことも出来ない。
こんな自分自身に嫌気が差す。
「おいおいおい!ゴミが俺らと同じ言葉話してんぞ?これ良いのか?良いわけねぇよなぁ!!」
「!!!!!!」
体が動かない……。その言葉で体が完全に硬直した。その言葉は俺に対してではない筈なのに。
「す、すみませ…………」
「だからぁぁあ、何喋ってんだって言ってんだよ。一方的に話すなんて悲しいことすんなよなぁ?」
やっぱりあいつはクズだ。学年で一番の発言力がある。実力も学年で二番だ。
発言力も相まってこの学年であいつに物申せる奴なんて、絶対に居ない。
こんな教室の真ん中で朝っぱらから集団で………。
「おい………止めてやれよ」
「あ"?誰だ?」
いつもは入らない邪魔に少し戸惑うかと思ったが、平常みたいだ。
「はっ!なんだよ、びっくりさせんなよな。……………んで、俺の邪魔したんだ……。死ぬ覚悟、あるんだろうなぁ!!??!?」
「っ!!!!」
なんと言う威圧感だ……。体の震えが止まらない。
だが、こんなことでは今までと何も変わらないじゃないか。
「お、お前こそ………お、俺にややややられるのが………怖いんじゃ……ないか?」
自分でも意味が分からない。あいつが何時俺に恐れた?
くそ………恐怖に打ち克たなければならないのに………。
「はぁ?何言ってんのか分かんねぇんだけどぉ?」
どうすれば良いんだ……。
周りの雑音のせいで考えが全くまとまらない。
「おいおいおい。まさかビビっちまったのか?俺は何もしてないだろ?」
その顔が無性に腹立つ。人を見下すかのようなその笑み。
「じゃ、じゃあよ………明日、決闘しようぜ?」
その言葉のあと、沈黙がこの教室を支配していた。だが、それはたったの一瞬だった。
次の瞬間には机を蹴飛ばす音が聞こえた。
「!!!!」
「決闘だと?お前ごときに決闘だと?」
さっきまでの雰囲気が嘘のように、物凄い殺気を放ってくる。
決闘を申し込むと言うことは、順位の変動にも関わる。二位にワーストワン。
簡単に勝てるなら乗ってきそう気もするが、実際はもっと複雑な仕組みなのだ。
「その決闘で俺には何の利益もない。俺が勝っても順位の変動はない。俺の実力を示すことも出来ない」
そう。この決闘は受ける必要性が完全にない。俺が負けてもそれが必然。俺が勝てば順位の変動。あいつの周りからの視線だって変わるだろう。
どう考えたって利益があるのは俺の方だ。
だからこそ、俺は賭けに出る。これならばあいつだって食い付く筈だ。
「俺が負けたら、この学院を辞めてやるよ」
上位の奴らにとっては俺は目障りで仕方がないだろう。だからこそ、それをダシにすれば食い付くだろう。
俺自身でこの学院を変えたかったが、仕方がないだろう。今は手段なんて選べないからな。
「そりゃ良いな。先生等も含めて上位の俺等にとってはお前が目障り極まりないからな」
やはりか。まぁ、先生方は俺の技術の一つを認めてくれているから、そこまで酷い扱いを受けていない。
それが逆に気に入らないのだろうとは前々から気付いていた。
これは皮肉の策だが仕方ない。まぁ、そう思いながらも心では相当喜んでいる自分が居るのは否めないが。
「じゃあ決まりだな。申請は俺が出しておくよ」
「いや、理由も含めて俺から言っておいてやるよ。その方が融通が効く。どっかの雑魚とは違ってな」
チッ………言ってろ。周りの奴らもゲラゲラと笑いやがって。心底呆れた根性だ。
だが、良かった事に集団で攻撃されていた被害者からは目が逸れたみたいだ。
金輪際、あんな被害者を出さないようにしないとな。
まぁ、それはやはりこの学院を変えなければならないだろうが……。まぁ、それは後世の奴らに託すとしよう。
~~~~
あのあとはなんの障害もなく一日を過ごした。俺の場合は上位に入れる実力はないが、先生と言う後ろ楯があるからそこまで攻撃されることはない。
明日に全てを賭けた俺としてはなんだか不思議な気分だ。
どうせ俺は奴には勝てない。分かりきっている。
ドカッ
「???」
一日の授業が終わり寮に帰ろうと廊下を歩いていると、何かにぶつかってしまった。
「あっ…………すみません……??あなたは?」
目の前には仁王立ちで立っている男性が居た。教師でもなければ学生でもない。だが、どこかで見たことがある。
「………………」
無言で俺を見下してくる。もう少しで思い出せそうなのだが……一体どこで見たのだか……。
「あら、もういらしたのですか?」
俺の部屋の方角から来たのはこの国を担う次期女王の………名前が長くて覚えてないや。
「そのお顔だとわたくしの事は覚えてないようですね。わたくしの名前はフレミア·ソフィリア·ファン·ラングランドと申します。これからは親しくミアとでもお呼びくださいませ」
そんなことしたら僕の首は必ず飛ぶな。
それよりも、なぜ次期女王が……?
警戒するに越したことはないか……。
「立ち話もなんですし、良ろしければレイト様のお部屋に伺ってもよろしいでしょうか?」
本当に何が狙いなんだ?
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる