上 下
10 / 23
第1章 僕の子供が神ってマジですか?

2話 良い一日へ 2

しおりを挟む
 いつもの通学路が鮮やかに見える。今ならば何をやっても上手く行きそうな、自分が自分じゃないような……。

 付き合った人はみんなこんな風になるのだろうか?

 周りの人に付き合っているというのは聞いたことがないので、実際のところはどうなのか……。

「よっ。おはよ」
「ん?昂也か。おはよ」

 ほぼ毎日、登校中に会う。別に約束していた訳じゃないが、家が近いから顔を合わせる機会が多いと僕はそう解釈してる。

「そういやさ」
「ん?」
「お前の家の隣の家。明日から人が住むらしいよ」
「そうなの?」

 そろそろ人が住むとは思っていたけれど、想像以上に早かったな。

「噂によるとさ」
「噂?」
「あぁ。なんでも、海藤さんが越してくるらしいよ」
「あの海藤?」

 生憎と、僕の知人でみんなが知ってるような人は居ない……という訳でもないが、有り得ない。

 あいつは外国に行ってるらしいし。連絡も取り合ってるが、そんな話題は出ていない。

「えっ?知らない?」
「わからないに決まってるだろ?」

 不機嫌めに言い放った。生憎と人の心を読むことは出来ないので。

「海藤零さんだよ?!」

 海藤、零だと!?まさか、本当に……。

「ここまで言えばわかるだろ?さすがに……」
「あ、あぁ……まぁな」

 偶然か?それても……。

「にしても、海藤さんを知らないなんて……」
「そ、そんなに驚くか?」

 確かに有名だが、知らない人は知らないと思う。

 こんなことを思っている僕の心を見透かしてか、昂也は呆れたような顔をしてきた。

「じゃあさ。浜枝さん達は知ってる?」
「……っ!!まぁ、それなら……」

 急に苗字を呼びれて驚いたが、両親の事だということはすぐに分かった。

 僕の両親が芸能人だと言うことは誰にも言っていない。

「気のせいかもしれないんだけど」
「ん?」
「妙に似てるよね。苗字も同じだし。もしかして……」

 背筋がゾッとした。冷や汗が止まらない。知られて困ることは無い。でも、今更知られるのはなんだか、気分が良くない。

「なんてね。身近に芸能人がいれば良いなって話」
「そ、そうだね」

 これはどう解釈すれば良いのか……。本当にそう思ってるか?何かに勘づいたんじゃ……。
 変な雰囲気が漂った。しかし、それも一瞬だった。

「今日から忙しくなるよ」
「ん?なんで?」
「だってよ……いや、なんでもない」
「気になるじゃん」

 さっきとは打って変わって、周囲の雰囲気が和んだ。僕は自然の笑みを零していた。それは、昂也も一緒だった。

「良い一日になると良いな」
「だね……」

 学校に行くのが楽しみなのか、僕たちの歩みは自然といつもよりも早かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた

ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。 俺が変わったのか…… 地元が変わったのか…… 主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。 ※他Web小説サイトで連載していた作品です

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

彼女の幸福

豆狸
恋愛
私の首は体に繋がっています。今は、まだ。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

放課後の生徒会室

志月さら
恋愛
春日知佳はある日の放課後、生徒会室で必死におしっこを我慢していた。幼馴染の三好司が書類の存在を忘れていて、生徒会長の楠木旭は殺気立っている。そんな状況でトイレに行きたいと言い出すことができない知佳は、ついに彼らの前でおもらしをしてしまい――。 ※この作品はpixiv、カクヨムにも掲載しています。

処理中です...