僕の子供は現在神のようです

プロローグ

プロローグ 4

「では、静かに自習していてください。隣の教室で見学授業をしてるので、うるさくするとすぐに分かりますからね」

 先生から咎めの言葉を頂いた。けど、みんなは気にも止めてない様子だった。

 まぁ、僕は今日の分の宿題をやりたいし、問題になるようなことは無いだろう。

 放課後のこともあるし、居残りとかはしたくない。

 気が進まないのは確かだけど。

「ねぇねぇ。香菜ちゃんに告ったって本当？」
「えぇと……まぁ……」

 先生が教室を出ていった途端に、僕に話しかけてきたのは隣の席の新庄　葵しんじょう　あおいと言って、香菜と良く一緒にいる友人の一人だ。

 あまり女子と喋らない僕でも彼女とは普通に会話が出来る。
 まぁ、片手で数えられるくらいしか喋ったことは無いのだけど。

 けれど、椅子を近づけてきて、僕との距離も、いつもよりも近い。やっぱり気になるのだろう。

 この距離だと流石に緊張してしまう。
 
 どう返答しようかと考えていると、葵は続けるように言葉を発した。

「あはっ。なんだか安心しちゃった」
「え、えぇと……」

 別にキョドっているのではない。なんだか、話についていけないだけだ。

 ポカンとしてる僕に気付いたようで、付け足すように話を続けた。

「ほら。付き合ってすぐに彼氏面してきたら、ね？」

 何を言おうとしてるのかは分からなくは無い。僕だって、付き合ってすぐにスキンシップを多くされたら、ビックリしちゃうし。

「まぁ、よろしくね」
「ん？うん」

 それだけ言い終えると自分の席に戻って行った。そこからは黙々と宿題に手を付けていた。

 僕も自分の宿題に向かい合って、勉強を始めた。

～～～～

 いつの間にか五十分という時間は、チャイムを機に終わりを告げた。

 宿題が終わって手持ち無沙汰となっていたので丁度良かった。

「んん……やっと終わった。魁斗君もそう思わない？」
「え？あぁ、そうだね」

 体を伸ばすように頭の上で腕を伸ばしながら、話しかけてきた。

 一日で、それも一時間も経たない間にこんなに話すのは珍しい。

 僕は宿題などを机の中に入れながら、陽太たちに話す内容を考えていた。

 少しボケっとしていると、前のドアがガラガラガラと音を立てた。先生が戻ってきたようだ。

「では、早速ですが帰りの学活をしましょう。日直さん、お願いします」

 日直は前にある教卓の後ろに立って、淡々と仕事をこなして行った。

 僕はその間もこれからのことについて考えていた。

 そんなことをしてる内に、先生の話が終わろうとしていた。

「では、皆さん。さようなら」

 先生のその号令を合図に教室は騒がしくなった。

 折角早く帰れるのだ。ソワソワするのは仕方がない。

「魁。逃げるなよ？」

 ロッカーから背負いカバンを持ってきた陽太が通り過ぎるついでに僕に話しかけてきた。

 僕の机は六列ある内の三列目。その最後尾が僕の机がある場所だ。

 話し掛けやすい位置と言えばそうである。

「そんなに心配しなくとも行くさ」

 昂也には行くと言ってしまったし、今さら逃げられる気がしない。

「気を引き締めていかないとな……」

 どんな事を聞かれても、変な返しだけはしないようにしなければ。

 心の中でそんな事を考えながら、僕は背負いカバンに教科書などの荷物を入れていった。

少しばかり緊張する。告白する時とはまた別の緊張だ。

 でも、なんだか嬉しくもあって、変な心境だけど。