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プロローグ
プロローグ 3
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「魁、ちょいと来てくれ」
僕を呼んだのは霧島 陽太。あまり目立つような感じではない。だが、話は面白いので、なんやかんや人気者だ。
「何か用?」
不安で一杯だった。いつの間にか、僕の机の周りにはいつも通りの面子があった。
勿論、昂也も居た。ずっとニコニコしてるその顔に苛立った。
だが、僕が迂闊だった。非は僕にある。そのことは認めざるを得ない。
まるで、両親のように、たくさんの人の注目を受けながら呼ばれた方へと向かった。
席の近くに来ると、他の人たちは雑談をし始めた。
「昂から聞いたんだけど……本当なん?」
何が、とは言わなかった。僕の席に座りながら静かに見据えてくる陽太。
昂也は面白いものが見れるとでも思っているのか、さっきから顔がニコニコしてる。
他の友達も少し緊張の色が見える。なぜ僕ではなく、友達がなのかは分からない。
「本当って何が?」
時間を稼ぐ。あわよくば、時間で逃げ切れる筈。
ずっとは無理でも、考える時間が欲しい。僕は今、この瞬間を免れるための策を練った。
直接言えば良いかもしれない。でも、それは肯定をしたも同然。意味が無い。
陽太と目を合わせること数秒。僕らはある音で意識がズレた。
それはチャイムの音だった。みんなは時計を見た。勿論僕もだ。逃げ切れたと安堵したが、この世界の非情さに嘆くしなかったか。
それは予鈴だった。まだ五分も残してのこの状況。
白状する他なかった。トイレから帰ってきた僕を見た昂也が居る時点で退路を完全に防がれた。
僕と友達の間で謎の沈黙が起きていた。
この静寂な空気を破るように陽太は声を発した。
「告白……したんやろ?」
やっぱり、と思った。
流石に観念するしか無かった。僕は少し視線を下げた。みんなの方を見ながらは、少し恥ずかしかったからだ。
「…………うん」
周囲が……僕の机の周りがザワっとなった。その反応が更に僕を恥ずかしくさせた。
「今日はノー部だから帰り早いだろ?職員会議だし」
今日は水曜日で部活がない。更に、職員会議があって給食を食べたあと、五時間目が終わったら帰りの学活をしての下校。
普通に嬉しい。今日は朝からみんな浮かれていた。ボクもその例に漏れずに。
「今日、俺ん家に来てくれ。来れる人だけで良いが……」
そんなことを行ったら、僕が行くはずがない。絶対に僕の話題だろうから。
「魁。お前は確定だぞ」
心の内を見透かされたその言葉にゾクリとした。
それだけ言うと、陽太は椅子から立ち上がって、僕の肩に手を乗せた。
「ガンバ」
それだけ言って自分の席に向かった。他の人も自分の席に戻っていく。それにも関わらず、昂也は未だに僕の席の前に居た。
「僕にまだ用があるの?」
今回の元凶とも言える存在。別に恨んでいたりはしない。僕は特に何も思っていない。
昂也は自分の頭に手を置くと、視線を少し下げていた。その顔は申し訳なさそうだった。
「あぁ……その……すまん。良かれと思って広めた。でも、お前の反応見てて思ったんけど……本当にすまん」
昂也は何かを察したみたいだった。僕も周りの人達同様に、自分の席に着いた。
その後、昂也の顔を見るように見上げた。
「席、座った方が良いんじゃない?話は陽太の家で聞くからさ」
ハッとしたような驚いたような顔をし、僕の方を見てきた。その表情が何とも言えなくて、僕は視線をずらした。
「先生に怒られるぞ?」
「……ごめん。ありがと」
昂也がなんでこう言ったのか。僕は察した。
「……気にしてないよ」
聞こえてたらそれで良い。でも、これは独り言だった。
僕を呼んだのは霧島 陽太。あまり目立つような感じではない。だが、話は面白いので、なんやかんや人気者だ。
「何か用?」
不安で一杯だった。いつの間にか、僕の机の周りにはいつも通りの面子があった。
勿論、昂也も居た。ずっとニコニコしてるその顔に苛立った。
だが、僕が迂闊だった。非は僕にある。そのことは認めざるを得ない。
まるで、両親のように、たくさんの人の注目を受けながら呼ばれた方へと向かった。
席の近くに来ると、他の人たちは雑談をし始めた。
「昂から聞いたんだけど……本当なん?」
何が、とは言わなかった。僕の席に座りながら静かに見据えてくる陽太。
昂也は面白いものが見れるとでも思っているのか、さっきから顔がニコニコしてる。
他の友達も少し緊張の色が見える。なぜ僕ではなく、友達がなのかは分からない。
「本当って何が?」
時間を稼ぐ。あわよくば、時間で逃げ切れる筈。
ずっとは無理でも、考える時間が欲しい。僕は今、この瞬間を免れるための策を練った。
直接言えば良いかもしれない。でも、それは肯定をしたも同然。意味が無い。
陽太と目を合わせること数秒。僕らはある音で意識がズレた。
それはチャイムの音だった。みんなは時計を見た。勿論僕もだ。逃げ切れたと安堵したが、この世界の非情さに嘆くしなかったか。
それは予鈴だった。まだ五分も残してのこの状況。
白状する他なかった。トイレから帰ってきた僕を見た昂也が居る時点で退路を完全に防がれた。
僕と友達の間で謎の沈黙が起きていた。
この静寂な空気を破るように陽太は声を発した。
「告白……したんやろ?」
やっぱり、と思った。
流石に観念するしか無かった。僕は少し視線を下げた。みんなの方を見ながらは、少し恥ずかしかったからだ。
「…………うん」
周囲が……僕の机の周りがザワっとなった。その反応が更に僕を恥ずかしくさせた。
「今日はノー部だから帰り早いだろ?職員会議だし」
今日は水曜日で部活がない。更に、職員会議があって給食を食べたあと、五時間目が終わったら帰りの学活をしての下校。
普通に嬉しい。今日は朝からみんな浮かれていた。ボクもその例に漏れずに。
「今日、俺ん家に来てくれ。来れる人だけで良いが……」
そんなことを行ったら、僕が行くはずがない。絶対に僕の話題だろうから。
「魁。お前は確定だぞ」
心の内を見透かされたその言葉にゾクリとした。
それだけ言うと、陽太は椅子から立ち上がって、僕の肩に手を乗せた。
「ガンバ」
それだけ言って自分の席に向かった。他の人も自分の席に戻っていく。それにも関わらず、昂也は未だに僕の席の前に居た。
「僕にまだ用があるの?」
今回の元凶とも言える存在。別に恨んでいたりはしない。僕は特に何も思っていない。
昂也は自分の頭に手を置くと、視線を少し下げていた。その顔は申し訳なさそうだった。
「あぁ……その……すまん。良かれと思って広めた。でも、お前の反応見てて思ったんけど……本当にすまん」
昂也は何かを察したみたいだった。僕も周りの人達同様に、自分の席に着いた。
その後、昂也の顔を見るように見上げた。
「席、座った方が良いんじゃない?話は陽太の家で聞くからさ」
ハッとしたような驚いたような顔をし、僕の方を見てきた。その表情が何とも言えなくて、僕は視線をずらした。
「先生に怒られるぞ?」
「……ごめん。ありがと」
昂也がなんでこう言ったのか。僕は察した。
「……気にしてないよ」
聞こえてたらそれで良い。でも、これは独り言だった。
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