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6章 最後のルート
3話 最後のルート 3
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『また、フッたのかい?』
「あぁ、そうだね」
『君は、何がしたいんだい?』
「さぁ?まぁ、ちょっと神様とお話があってね。手短に済ませてきたと言っておくよ」
『そうなのかい?それで、話って?』
「単刀直入に言うけど…………僕をもとの世界に戻してくれないか?」
『……………どう言うことだい?』
「ん?まだとぼけるのか?」
『知らないものは、知らないのさ』
「はぁ…………じゃあ、証拠を提示すれば、良いか?」
『そんなもの、あったかい?』
「まぁ、色々とね」
『じゃあ、さっそく御披露目願うよ、その証拠とやらを』
「そうだね、まずは父さんが母さんを呼ぶときの愛称かな。僕が知ってる父さんは、絶対に清子とは呼ばない」
『………断言できないだろう?』
「かもね」
『それが、君の言う証拠かい?少し弱い気がするけど』
「だから、まずはって言ったんだろう」
『じゃあ、次はなんだい?』
「次は、性格や一人称が少し雑になっていたってことかな」
『どう言うことだい?』
「美紗や零の性格が時々変わっていた。それに、僕が仕事場に突入したときに、零の一人称は俺と僕だったんだよ」
『き、気分かもしれないだろう』
「にしては、雑すぎだよ」
『で、でも!確証はないよね?他には何があるんだい?』
「次は………僕が美紗に失望したときだったかな」
『………………』
「神は言ったよね。架空の世界だからって」
『そ、そうだね………』
「もし、それが僕にそう思わせるための演出だったとしたら?」
『…………』
「つまり、僕がいままでやってきたこの全てが架空の世界だったってことだよね?」
『……………まだだよ。証拠不十分だよ』
「そうか?」
まったく、往生際がわるいぜ。
「次はね………ちょっとタイミングが良すぎることだよね」
『ん??』
「時間が良い例だよね。僕がそろそろと思ったとき、その物事が起きる。神が操作してるよね」
『……………』
「次は………神の力は僕たちの世界に作用できないと言うことだ」
『……!!』
「僕が美紗に言ったとき、大変なことが起きたよね。それって………神の力じゃないの?」
『………たまたまじゃないか?』
「まぁ、最後はね……」
『ま、まだあるのかい!?』
「美紗の運命についてかな」
『……………』
「神ははっきりとは言わなかったけど、美紗の運命って……僕と一緒にいると……辛い目に遭うって感じでしょ?」
『だとしたらなんだい?実際になってるだろ?』
「いや。重要なのは、なってるかどうかではなく、いつからなったとかって話だよ」
『意味がわからないよ』
「つまり、美紗がこんな酷い目に遭い始めたのは、神と出会ってからじゃないか?」
『たまたまだよ』
「三年間もかい?」
『ん?三年間?』
「僕が美紗と付き合ったのは、大体三年前なのさ。と言うことは、三年間は何もなかったのに、神と出会った瞬間からって言うのは、少し都合が良すぎじゃないか?」
『それで?』
「神の力が関与してると考えれば、そう考える必要もないだろ?」
『そうかもね』
「でも、神は僕らの世界に力を使えない。ならば、力の使える世界を創れば良いんだよな」
『何が言いたいんだい?』
「神は僕にヒントをくれたよ。神は架空の世界を創れる。ならば、持続することも可能だろう?」
『つまり?』
「神が僕を試すために、創った世界だろう?」
『……………完敗だよ』
「やっと認めたね」
『認めないわけにはいかないよね。それで、僕はなんのためにしたと思う』
「色々と考えたけど、僕が選ばれた理由は二つの要因があるんだ」
『そこまでわかるのかい?』
「一つはこのやり直しのできる世界が架空であると見抜ける頭脳」
『あと一つは?』
「ここに連れてくることができる理由だ。僕が丁度彼女をフッた。神はここに連れてくる適当な理由ができて、それをだしに、僕を釣ったんだろ?」
『その通りだよ。で?きみは何をしたいんだ?』
「もと居た世界に戻してくれれば別に良いよ」
『本当に良いのかい?ここに居ればいろんな障害はあるだろうけど、死なないし、幸せになれるだろう』
「だとしても、だよ………僕は……普通に暮らしたい」
『そっか。わかったよ』
「ありがと」
『じゃあ、バイバイ』
「あぁ。いままでありがとうな」
『あっ。一つ言い忘れてたけど、君の世界だと、十一日過ぎてるからね』
「はぁ?!早く言ってよ!」
『君は精神だけをこっちに呼んでるから……本体は仮死状態だよ』
「はぁ……もっと早く言ってよね………」
『ごめん、ごめん……じゃあね、凱くん』
「…………!!あぁ、じゃなあ、クロノス」
「ん………んん……」
ここは………病院か?
「母さんに………父さん?」
寝てるのか?
「心配かけたね………ごめん」
美紗は……居ないか………しょうがない。だって、僕はフッたんだもんな。
今は午後五時か。
「ずっとありがとう、父さん、母さん」
なんだろうか……いままで抱えていたものがなくなって………緊張感が切れたのかな………?どっと疲れてるみたいだ。もう少しだけ、寝させてほしいなぁ。なんて……。
~~~~~~~~~~~~~~~
6章完結です!あとはエピローグのみとなりました。最後までお願いします!
「あぁ、そうだね」
『君は、何がしたいんだい?』
「さぁ?まぁ、ちょっと神様とお話があってね。手短に済ませてきたと言っておくよ」
『そうなのかい?それで、話って?』
「単刀直入に言うけど…………僕をもとの世界に戻してくれないか?」
『……………どう言うことだい?』
「ん?まだとぼけるのか?」
『知らないものは、知らないのさ』
「はぁ…………じゃあ、証拠を提示すれば、良いか?」
『そんなもの、あったかい?』
「まぁ、色々とね」
『じゃあ、さっそく御披露目願うよ、その証拠とやらを』
「そうだね、まずは父さんが母さんを呼ぶときの愛称かな。僕が知ってる父さんは、絶対に清子とは呼ばない」
『………断言できないだろう?』
「かもね」
『それが、君の言う証拠かい?少し弱い気がするけど』
「だから、まずはって言ったんだろう」
『じゃあ、次はなんだい?』
「次は、性格や一人称が少し雑になっていたってことかな」
『どう言うことだい?』
「美紗や零の性格が時々変わっていた。それに、僕が仕事場に突入したときに、零の一人称は俺と僕だったんだよ」
『き、気分かもしれないだろう』
「にしては、雑すぎだよ」
『で、でも!確証はないよね?他には何があるんだい?』
「次は………僕が美紗に失望したときだったかな」
『………………』
「神は言ったよね。架空の世界だからって」
『そ、そうだね………』
「もし、それが僕にそう思わせるための演出だったとしたら?」
『…………』
「つまり、僕がいままでやってきたこの全てが架空の世界だったってことだよね?」
『……………まだだよ。証拠不十分だよ』
「そうか?」
まったく、往生際がわるいぜ。
「次はね………ちょっとタイミングが良すぎることだよね」
『ん??』
「時間が良い例だよね。僕がそろそろと思ったとき、その物事が起きる。神が操作してるよね」
『……………』
「次は………神の力は僕たちの世界に作用できないと言うことだ」
『……!!』
「僕が美紗に言ったとき、大変なことが起きたよね。それって………神の力じゃないの?」
『………たまたまじゃないか?』
「まぁ、最後はね……」
『ま、まだあるのかい!?』
「美紗の運命についてかな」
『……………』
「神ははっきりとは言わなかったけど、美紗の運命って……僕と一緒にいると……辛い目に遭うって感じでしょ?」
『だとしたらなんだい?実際になってるだろ?』
「いや。重要なのは、なってるかどうかではなく、いつからなったとかって話だよ」
『意味がわからないよ』
「つまり、美紗がこんな酷い目に遭い始めたのは、神と出会ってからじゃないか?」
『たまたまだよ』
「三年間もかい?」
『ん?三年間?』
「僕が美紗と付き合ったのは、大体三年前なのさ。と言うことは、三年間は何もなかったのに、神と出会った瞬間からって言うのは、少し都合が良すぎじゃないか?」
『それで?』
「神の力が関与してると考えれば、そう考える必要もないだろ?」
『そうかもね』
「でも、神は僕らの世界に力を使えない。ならば、力の使える世界を創れば良いんだよな」
『何が言いたいんだい?』
「神は僕にヒントをくれたよ。神は架空の世界を創れる。ならば、持続することも可能だろう?」
『つまり?』
「神が僕を試すために、創った世界だろう?」
『……………完敗だよ』
「やっと認めたね」
『認めないわけにはいかないよね。それで、僕はなんのためにしたと思う』
「色々と考えたけど、僕が選ばれた理由は二つの要因があるんだ」
『そこまでわかるのかい?』
「一つはこのやり直しのできる世界が架空であると見抜ける頭脳」
『あと一つは?』
「ここに連れてくることができる理由だ。僕が丁度彼女をフッた。神はここに連れてくる適当な理由ができて、それをだしに、僕を釣ったんだろ?」
『その通りだよ。で?きみは何をしたいんだ?』
「もと居た世界に戻してくれれば別に良いよ」
『本当に良いのかい?ここに居ればいろんな障害はあるだろうけど、死なないし、幸せになれるだろう』
「だとしても、だよ………僕は……普通に暮らしたい」
『そっか。わかったよ』
「ありがと」
『じゃあ、バイバイ』
「あぁ。いままでありがとうな」
『あっ。一つ言い忘れてたけど、君の世界だと、十一日過ぎてるからね』
「はぁ?!早く言ってよ!」
『君は精神だけをこっちに呼んでるから……本体は仮死状態だよ』
「はぁ……もっと早く言ってよね………」
『ごめん、ごめん……じゃあね、凱くん』
「…………!!あぁ、じゃなあ、クロノス」
「ん………んん……」
ここは………病院か?
「母さんに………父さん?」
寝てるのか?
「心配かけたね………ごめん」
美紗は……居ないか………しょうがない。だって、僕はフッたんだもんな。
今は午後五時か。
「ずっとありがとう、父さん、母さん」
なんだろうか……いままで抱えていたものがなくなって………緊張感が切れたのかな………?どっと疲れてるみたいだ。もう少しだけ、寝させてほしいなぁ。なんて……。
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6章完結です!あとはエピローグのみとなりました。最後までお願いします!
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