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3章 天国からの地獄ルート、罪深ルート、現実は非情ルート

9話 罪深ルート 4

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「うわぁ、久し振りだぁ……」
ドアを開けて、家に入った時の第一声がこれだった。
「そ、そんなに?」
靴を脱ぎながら、会話している。
「ん。だって、前来たのは半年ぐらい前だったよ」
「えっ?そんなに?」
「?うん」
「そっかぁ………」
僕は何回かは分からないけど、やり直してるからなぁ……。感覚がおかしくなってるのか。
「そだ。お昼まだだったし、作ろ?」
「確かにね。何にするの?」
「うーん。今はオムライスの気分なんだ」
「好きだよね、オムライス」
「玉子料理が好きなんだよ」
「そうだったね。じゃ、作るか」
取り敢えずだけど、料理はできる。うまい保証は無いけど……。
「オムライスなら、相当なことがない限り失敗しないよ。それに、私も一緒に作るからさ」
「分かったよ」
少しの不安を抱え、台所へと向かった。

「台所に美紗と並ぶ日が来るとは……」
まるで夫婦、みたい……なんて。
「凱君が隣に居る台所って、少し違和感ある」
「そんなに料理しなさそう?」
「ううん。まるで夫婦みたいだなぁって、思っただーけ」
照れ隠しをするかのように、それだけ言ってそっぽを向いてしまった。そんなに恥ずかしいなら、言わなければ良いのに……。
「こんなんで照れてたら、これからの計画に支障が……頑張れ、私」
ゴニョゴニョと何かを言っている。きっと、気合いでも入れているのだろう。
「どーしたの?大丈夫?」
「私がおかしいみたいじゃん」
大丈夫と聞いた瞬間、勢い良くこっちを向くものだから、唇と唇が重なるところだった……
「「………/////」」
これはさすがに照れるわ。と言うか、単純に恥ずかしい……。
「そ、その……急に振り向いて、ごめんね?」 
「僕も、少し顔が近かったと思うし、こちらこそ、ごめん」
「………許してしんぜよう」 
「ふふっ……少し上から目線じゃない?」
「ノンノン。進ぜようって、親切心があってね、好意を持って何かをしてあげようと言う時に使うんだよ」
「へぇ。知らなかったよ」
そんな言葉もあるんだね。意外だなぁ。
「まぁ、良いよ。早く作ろ?」
「おっと、そうだね。お腹減っちゃったよ」
「よーし!凱君の胃袋掴んじゃえ作戦」
「君の優しさに僕の心は掴まれたよ」
「もう………不意打ち禁止、ね?」
なんで、ダメなのだろうか?
「なんで?」
「私の心臓が持たないからかなぁ……。あと、凱君が愛おし過ぎて暴走しちゃうかもしれないでしょ?」
「美紗の暴走か。見てみたいな。きっと可愛いんだろうなぁ」
「……////もう!不意打ちダメって言ったじゃん………」
「誘ってたんじゃないんだ。てっきり言わせたいのかと思ったよ」
意外と策士だからね、美紗は。
「ありがとう、美紗」
「へっ?急にどうしたの?」
「僕の彼女になってくれて」
「文脈無さすぎない?」
「良いんだよ、それで。僕がふと思ったことだから」
「私もう、お腹一杯だよ」
「えぇ……なんで?」
「凱君のせいだからね?」
「僕のせい?!どゆこと!?」
「軽くで良いから何か食べられる物ある?」 
「あるけど………」
「私、それで良い。でも、凱君はちゃんと食べなよ。育ち盛りなんだから」
「母さんみたいなこと言わないでよ……」
「凱君。他の女のこと考えちゃ、ダメ」
「えっ?考えてないけど?」 
誰を考えた?僕は誰も考えてないと思うんだけど……。
「お義母様のこと、考えてたじゃん」
「ニュアンスがおかしいよ。あと、母さんもだめなん?」
「今は、私のことだけ、考えて?私以外の女の子を視界に居れちゃ、ダメだからね?」
「う、うん………」
そう言って、身体を寄せてきた美紗。顔が僕の胸元だから、自然に上目遣いになる。少し赤く染まった頬が妙に色っぽい。何よりも服を着崩れさせているのが、ヤバイ。………うわぁぁあああ!!色気あり過ぎんだろぉぉおおおお!!!煩悩がぁぁああ!理性と言う僕の最後の砦が崩壊するぞ!
その体勢はヤバすぎる!彼女の胸が見えちゃうよ?良いの?いーや、ダメだね!僕は、絶対に負けるわけにはいかないんだぁあ!
「ちょ、ちょっと落ち着こ?美紗の考えは分かったからさ。今は少し距離をおかない?」
「ごめんね。めんどくさい女と思ったよね……。でも、離れたくないよぉ」
「ちょおおい!待てい!」
そんな甘ったるい声はあかん!と言うか、しょ、触感がじかに伝わるんだが!?女子って、細いのに柔らかいのな……。
思考放棄すな!
「ん?ダメ、なの?」
「ダメじゃ、無いけど……」
……………負けるな!
「いや、やっぱり良くないよ!一旦落ち着こ?」
「………意気地無し」
小さな声でそう言ったのだ。きっと、そう言うことなんだろう。
「…………もしかして、狙ってた?」
「……………」
何も言わず、うつ向いてしまった……。僕が悪いんだろう。
少しの間、気まずい雰囲気が流れたあと、意を決して……
「ごめん……。僕が悪かったよ」
「ううん。私こそ………凱君、嫌だったよね?」
何も言えない。美紗にその気があったとは言え、バリバリ興奮した(笑)とは言えん。一種の意地だね。
「取り敢えずさ、この話、無かったことにしてさ。テレビでも見ない?僕、なんかお腹一杯でさ」
「そうなの?じゃあ、見よっか、一緒に」
「うん」
夜が少し怖い………。

~~~~~~~~~~~~~~~

大大大ヒント盛り沢山!これはもう、結末が分かる人、ほとんどではないでしょうか?今回の話、結構長いんですよね。いやぁ、コメント来た時の荒れようは凄そうですね(笑)
面白いと思っていただけたらこれからもよろしくお願いします。
    
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