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2章 後悔ルート、絶望ルート、失望ルート
14話 失望ルート 4
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道端に一人残された僕。
「はぁ………走るか」
僕は美紗を追いかけるように走り出した。
少しだけ高校が見えるとこに着き、少し息を整えていると、どこからか啜り泣く声がした。
この声を僕は知っている。馴染みがあり、いつまでも聞いていたいと思ったあの声。
「美紗?」
路地裏で身を小さくし、泣いていた彼女を見つけた。
「凱、君………」
目は少し充血していた。物凄く泣いていても視界は良好のようだ。
「そうだよ。どうしたの?」
「なんでも………ないよ」
「美紗………」
嫌な沈黙をはさみ、僕は自分らしくない行動をしていた。
「……っ!!凱君?どうしたの?」
「美紗。あんな悲しいことを言わないでよ………僕らはずっと一緒だよ?走った理由は……言いたい時に聞くよ。でもさ。もうあんなことを言わないでよ!ぼく、僕もう悲しくて、寂しくて……もう君を失いたくない、から………」
彼女の頭を腕で包むように自分の胸元に彼女の額をくっつけた。ハグのようなものだけ……。今だけは許してもらいたい。
「ごめん、凱君………私……」
何かを言ようとする彼女の言葉に被せ、僕はこう言った。
「謝ることじゃないよ?こう言うときはね、一緒に居よ、で良いんだよ?飾る必要はないよ」
「…………うん」
その後、落ち着くまでその場に居た。どのくらい居ただろうか?まぁ、そこまで経っていないのは確かだね。
「行こう、美紗」
「うん!」
路地裏から出た僕らは学校に向かった。
美紗のあの言動を除き…………
「変なところはないか………」
「どうしたの?凱君?」
首を傾げて顔色を探るような仕草。やはり、何も無いのかもしれない。この世界に異変なんて……。神様は言っていたっけ。僕に耐性を付けるって。試練なんか、無いじゃないか。今の時刻は十二時過ぎ。朝に零とすれ違った。毎回会う。今回も感じた危機感。今までとは比べ物にならなかった。
その時、美紗は視線を下げていた。零もそうだった。気になって話してみたが、陽気な感じだった。けど、申し訳ない、と言われたの覚えている。意味が分からない。
「何でもないよ」
「凱君。どこかに遊び行かない?」
「良いよ。美紗はどこが行きたい?」
「凱君が行きたい場所、かな」
「そっか。じゃあ、…………っ!」やばい。あの事を思い出してしまった………。立ち眩みが……。
「え?!え?……凱君大丈夫?」
「う、うん」
お、思い出してはいけない。色んなものがグッと昇って来ている。
「美紗っ!」
「ふぇ?か、凱君大丈夫?」
「ごめん。今だけは、お願い………」
「凱君……良いよ。好きなだけね」
僕は、寂しかったんだ。今、こうしたハグしているのも、いつか無くなるんじゃないかって。もう、離したくない。この幸せを……。
「よしよし。大丈夫だよ。私がいつまでも一緒に……居るから」
「ん」
「ふふっ。凱君可愛い」
「美紗の方が可愛いよ。もう、絶対に離さないから……」
「私も、何があっても……絶対に」
このまま泣いていてもダメだ。心に決めろ。
「美紗、ごめん」
チュッ
「……えっ………」
雰囲気に流されたかもしれない。いや、流された。でも、こんな機会、滅多に来ない。あのままの自分が嫌だから。僕は彼女と唇同士を重ねた。前回とは全く違うシチュエーション。彼女の唇の柔らかさを知った。こんな人目があるなかでのキスだ。多少の注目は仕方がない。
「凱君、もっとして……」
「美紗……」
とても色っぽい。息遣いがエロい。僕の理性がゴリゴリに削られている。でも、我慢はしない。
ピロン
「はぁ……誰。ねぇ凱君、続きしよ?」
ムードを破壊された。まあ、大丈夫だろう。それよりも、内容が少し気になるな。
「僕、ちょっと気になるなぁ。見てみない?見たあと沢山しよ」
「むう……しょうがないなぁ」
そう、不貞腐れながらも言うことを聞いてくれる。素直で、こんな素敵な人なんだって再度理解したよ。
『そろそろ陽縞さんの家に着く。海藤さんと零君と居るから、さっさと来なさい。どうせ、凱君と居るのだろ?連れてきなさい』
「どう言うこと?」
なんで、零君も?
「酷いよお父さん……」
「美紗……?」
何で泣いてるの?何かあった?
「行こう。あっちで話すよ」
「う、うん」
「凱君」
「ん?」
僕に背を向けたまま、美紗は言った。
「私のことをいつまでも好きでいてくれる?」
こちらを振り返った美紗の瞳には涙が浮かんでいた。
「どう………」
いや、そんな野暮なことは言わない。
「勿論さ。君以外眼中に無いもの」
「ありがと、じゃ、行こっか」
「うん」
~~~~~~~~~~~~~~~
もはや、作者でも読めないぐらいの展開になって参りました。このあと、一体何が待ち受けているのか!?
面白いと思っていただけたらこれからもよろしくお願いします。
「はぁ………走るか」
僕は美紗を追いかけるように走り出した。
少しだけ高校が見えるとこに着き、少し息を整えていると、どこからか啜り泣く声がした。
この声を僕は知っている。馴染みがあり、いつまでも聞いていたいと思ったあの声。
「美紗?」
路地裏で身を小さくし、泣いていた彼女を見つけた。
「凱、君………」
目は少し充血していた。物凄く泣いていても視界は良好のようだ。
「そうだよ。どうしたの?」
「なんでも………ないよ」
「美紗………」
嫌な沈黙をはさみ、僕は自分らしくない行動をしていた。
「……っ!!凱君?どうしたの?」
「美紗。あんな悲しいことを言わないでよ………僕らはずっと一緒だよ?走った理由は……言いたい時に聞くよ。でもさ。もうあんなことを言わないでよ!ぼく、僕もう悲しくて、寂しくて……もう君を失いたくない、から………」
彼女の頭を腕で包むように自分の胸元に彼女の額をくっつけた。ハグのようなものだけ……。今だけは許してもらいたい。
「ごめん、凱君………私……」
何かを言ようとする彼女の言葉に被せ、僕はこう言った。
「謝ることじゃないよ?こう言うときはね、一緒に居よ、で良いんだよ?飾る必要はないよ」
「…………うん」
その後、落ち着くまでその場に居た。どのくらい居ただろうか?まぁ、そこまで経っていないのは確かだね。
「行こう、美紗」
「うん!」
路地裏から出た僕らは学校に向かった。
美紗のあの言動を除き…………
「変なところはないか………」
「どうしたの?凱君?」
首を傾げて顔色を探るような仕草。やはり、何も無いのかもしれない。この世界に異変なんて……。神様は言っていたっけ。僕に耐性を付けるって。試練なんか、無いじゃないか。今の時刻は十二時過ぎ。朝に零とすれ違った。毎回会う。今回も感じた危機感。今までとは比べ物にならなかった。
その時、美紗は視線を下げていた。零もそうだった。気になって話してみたが、陽気な感じだった。けど、申し訳ない、と言われたの覚えている。意味が分からない。
「何でもないよ」
「凱君。どこかに遊び行かない?」
「良いよ。美紗はどこが行きたい?」
「凱君が行きたい場所、かな」
「そっか。じゃあ、…………っ!」やばい。あの事を思い出してしまった………。立ち眩みが……。
「え?!え?……凱君大丈夫?」
「う、うん」
お、思い出してはいけない。色んなものがグッと昇って来ている。
「美紗っ!」
「ふぇ?か、凱君大丈夫?」
「ごめん。今だけは、お願い………」
「凱君……良いよ。好きなだけね」
僕は、寂しかったんだ。今、こうしたハグしているのも、いつか無くなるんじゃないかって。もう、離したくない。この幸せを……。
「よしよし。大丈夫だよ。私がいつまでも一緒に……居るから」
「ん」
「ふふっ。凱君可愛い」
「美紗の方が可愛いよ。もう、絶対に離さないから……」
「私も、何があっても……絶対に」
このまま泣いていてもダメだ。心に決めろ。
「美紗、ごめん」
チュッ
「……えっ………」
雰囲気に流されたかもしれない。いや、流された。でも、こんな機会、滅多に来ない。あのままの自分が嫌だから。僕は彼女と唇同士を重ねた。前回とは全く違うシチュエーション。彼女の唇の柔らかさを知った。こんな人目があるなかでのキスだ。多少の注目は仕方がない。
「凱君、もっとして……」
「美紗……」
とても色っぽい。息遣いがエロい。僕の理性がゴリゴリに削られている。でも、我慢はしない。
ピロン
「はぁ……誰。ねぇ凱君、続きしよ?」
ムードを破壊された。まあ、大丈夫だろう。それよりも、内容が少し気になるな。
「僕、ちょっと気になるなぁ。見てみない?見たあと沢山しよ」
「むう……しょうがないなぁ」
そう、不貞腐れながらも言うことを聞いてくれる。素直で、こんな素敵な人なんだって再度理解したよ。
『そろそろ陽縞さんの家に着く。海藤さんと零君と居るから、さっさと来なさい。どうせ、凱君と居るのだろ?連れてきなさい』
「どう言うこと?」
なんで、零君も?
「酷いよお父さん……」
「美紗……?」
何で泣いてるの?何かあった?
「行こう。あっちで話すよ」
「う、うん」
「凱君」
「ん?」
僕に背を向けたまま、美紗は言った。
「私のことをいつまでも好きでいてくれる?」
こちらを振り返った美紗の瞳には涙が浮かんでいた。
「どう………」
いや、そんな野暮なことは言わない。
「勿論さ。君以外眼中に無いもの」
「ありがと、じゃ、行こっか」
「うん」
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もはや、作者でも読めないぐらいの展開になって参りました。このあと、一体何が待ち受けているのか!?
面白いと思っていただけたらこれからもよろしくお願いします。
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