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第30話「独りのときのテンションたるや」
独りのときのテンションたるや(2)
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階段を上がりながら、幾ヶ瀬はため息をついた。
遅番の片付け中に、バイトの学生が辞めたいと言い出したのだ。
面接時の話では試験中はシフトを入れないということになっていたのに、その約束が反故にされそうだというのが理由らしい。
さもありなん。
店長の奴、最初から約束なんて守る気はなかったに違いない。
適当に面接をすませる強欲店長の姿がありありと目に浮かぶようだ。
だからと言って間に立ってやるほど幾ヶ瀬も立場が強くない。
これから本格的なクリスマスシーズンである。
ただでさえ人手が足りない時に辞められてはたまらないということしか考えが及ばないのは、やはり社蓄時代に性根が腐ってしまったからかとぼんやりと思うだけ。
シフトには文句をつけずに、試験期間はインフルエンザを理由に休む人もいるよと、根本的な解決には程遠いアドバイスで何とか宥めて、片づけを終えたのはいつもより30分以上も経ってからのことであった。
遅番の片付け中に、バイトの学生が辞めたいと言い出したのだ。
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