55 / 329
第7話「カラフル」
カラフル(9)
しおりを挟む
「へんりひへにゃい……」
──返事、してない。
あのとき、弁当とともに囁かれた言葉。
それから今朝だって。
これまで何度「好き」と言われたか。
なのに、一度だって返事をしていないことに今気付いたのだ。
「らって、そんなのひちいちひうもんらない……」
──だって、そんなのいちいち言うもんじゃない。
今も耳の奥には幾ヶ瀬の声が残っているようで。
目を閉じると、すぐそばに顔が迫っているようで。
いつもならば、その手が有夏の頬に触れる筈なのに。
なのに、今はひとり。
有夏の両手の指は、枕の端を握り締めていた。
※ ※ ※
──返事、してない。
あのとき、弁当とともに囁かれた言葉。
それから今朝だって。
これまで何度「好き」と言われたか。
なのに、一度だって返事をしていないことに今気付いたのだ。
「らって、そんなのひちいちひうもんらない……」
──だって、そんなのいちいち言うもんじゃない。
今も耳の奥には幾ヶ瀬の声が残っているようで。
目を閉じると、すぐそばに顔が迫っているようで。
いつもならば、その手が有夏の頬に触れる筈なのに。
なのに、今はひとり。
有夏の両手の指は、枕の端を握り締めていた。
※ ※ ※
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
74
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる